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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

パティオの花のポットにズアカカンムリウズラの巣 2018年夏 (その1)

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    ズアカカンムリウズラ雄正面
    南アリゾナ・ソノラ砂漠のシンボル、ズアカカンムリウズラ雄 ( Gambel's Quail / Callipepla gambelii )

    ズアカカンムリウズラは南アリゾナ、南カリフォルニアなどアメリカ南西部からメキシコ北部にかけての乾燥した荒地や草原に生息する、新世界(アメリカ大陸)のウズラの仲間である。全長28センチ、日本のウズラ ( Coturnix japonica ) よりずっと大きく、コジュケイ ( Bambusicola thoracica ) よりもさらに大きい。翼は丸くて短いので飛ぶより歩くのが得意である。しかし、危険が迫った場合は翼を素早く羽ばたかせその「力」で思いっきり飛び、ゆっくりと滑空してグラウンドへ下りて逃げて行く。
     
    塀の上を歩くズアカカンムリウズラ
    庭の高い塀の上を歩くズアカカンムリウズラ雄


    繁殖期になると、群れを離れた雄と雌がペアーとなって行動する仲睦まじい姿が見られる。雄は庭でエサ取りする雌を常にエスコートするために高い所から見守っていることが多い。雄は頭が鮮やかな赤茶色で黒い顔、そして頭から突き出した「涙」の形をした羽毛が大変愛嬌がある。雄のコールの良く響く「コケッコー」は " Sound of the Desert " と言われ親しまれている。古い映画、西部劇の背景音には必ずこの鳴き声が入っていたのを思い出す。英名 " Gambel " (ギャンベル)は19世紀の博物学者の名前からとられた。
     
    屋根の上ズアカカンムリウズラ
    屋根の上から庭を見下ろすズアカカンムリウズラの雌

    4月に入ると、雄と雌のペアーが一緒に二羽でテリトリーの家の周りや庭をよく歩き回り、時には高い屋根に上がって巣を作るのに適した場所を探したり、周りの安全性、外敵(鷹、ボブキャット、コヨーテ、ヘビ)の動きを何日間も掛けてよーく観察している。
     
    パティオの巣ズアカカンムリウズラ
    ズアカカンムリウズラが巣を作ったパティオのポット(赤い矢印)

    ズアカカンムリウズラは小さな灌木の根元やよく茂った大きな草の根元に巣を作るが、時には人家の庭の大きい花のポットに巣を作ることが結構ポピュラーなようである。今夏、我が家のパティオのエレファントツリーが植えられてる大きなポットの中に巣を見つけ大変驚いた。しかもその場所は家の中から出入りするドアーの真横で、夜はランプの光に照らされる明るい所だから、なおさら信じられなかった。
     
    ズアカカンムリウズラ雌
    パティオで談笑してる我々を横目で見ながら少しづつ巣に近づいて来るメス

    パティオは朝コーヒーを飲んだり、時には昼食を取ることもあり、夕方には友人達と大声で歓談することもちょくちょくある我が家の生活圏であるが、雌親は一向に気にせずびくともしないで近くまで寄って来る。雌が巣に座り始めた最初の頃、巣があることに気が付かずじょうろで上から水を撒いた時はさすがびっくりしてバサバサ・・・と飛び上がって一気に庭の外へ飛んで行ったが、数分後には巣に戻って来て何事もなかったかのように再び座り始めていた。
     
    ポットの上ズアカカンムリウズラ雌
    巣のあるポットに飛び上がった雌

    雌がエサ取りのため巣から離れる動作が面白い。エサ取りに巣を離れる時は、巣から一気に飛び立ち真っ直ぐ100メートルぐらい平行に飛んで大きな木の高い枝にダイレクトに止まる。エサ取りが終わって巣に戻って来る時は、周りを警戒しながらゆっくり歩いて巣に近づき、安全を確かめた上でヒョイッとポットに上がって座り始める。
     
    巣に座るズアカカンムリウズラ雌
    巣に座り始めた雌

    ズアカカンムリウズラの巣は非常にシンプルで、ポットの土を少し掘って窪地を作り、そこへダイレクトに卵を産んでいた。雌が巣に座ってる時間は、最初のまだ卵がない間は昼の短い時間だけで、夜は巣を離れ庭から出て行って近くの大きな木の根元で寐ているようだった。卵が産まれるとさすが夜はずっと座っていた。エサ取りは朝、午前中、午後、夕方の寝る前の4回で、それぞれ1時間ぐらい巣を留守にする。

    アリゾナの夏・モンスーン 2018年晩夏

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      積乱雲と雨のカーテン
      「雲の峰」のように聳え立つ幾つかの積乱雲が一緒になって広がり、雨のカーテンが下りて来る。

      8月の南アリゾナは5月・6月の乾いた「ドライサマー」が終わって「モンスーン期」に入り、40度近い灼熱の日と猛烈な雷を伴う「ゲリラ豪雨」の日が交互にやって来る季節となる。「モンスーン」と言えば、日本では主にインドやタイの雨期を指す言葉として有名だが、もともとアラビア語の「季節」という意味の " mausiim" からとられたようである。米国では2008年に国立気象局によってアリゾナ州の6月15日から9月30日の期間をオフィシャルに「モンスーン・シーズン」と決められた。
       
      空一面の雷雲
      夏の日差しが消えて、突然雷のファンファーレが鳴り出す。

      モンスーンの雷雨は大きな災害をもたらした「西日本豪雨」と形が似ている。いわゆる「バックビルディング現象」と言われるヤツで、同じ場所の上空で積乱雲が次々と生じ線状降水帯を形成する。灰色の雲のカーテンが下りてきて激しい雨が降り始め、庭でのんびりエサ取りしていた鳥たちも慌てふためいて飛び立ち、逃げ込み場所に潜り込む。
       
      雨が激しく降る庭
      激しい雷雨は大きな雨粒を地面に叩きつける。神の力を現す「神立」(かんだち)とはよく言ったもんだ。

      一年のほとんどが乾燥している砂漠では「モンスーン期」だけ雨が激しく降って庭がしっとり濡れる。この時期に降る雨の量は年間平均降雨量(31.8センチ)の半分近くにもなる。この雨は夏の猛暑を抑え、水源に水を補給し砂漠の草木に滋養を与え、庭木の緑を一段と濃くする。
       
      雨どいから流れる雨水
      雨どいからの雨水が勢いよく窪地(溜池)に流れていく。

      5月・6月の乾燥した西風が砂漠の大気を暖め、ジェット気流を北へ押し返す。それによって風は南に変わり、メキシコの湿気を大量に含んだモンスーンの大気がアリゾナに入って来る。強い夏の太陽に暖められた湿気を含んだ大気は積乱雲を作り雷雨となる。アリゾナのモンスーン雷雨は短時間で狭い局地的、しかも集中的に降るので途端に雨水は溢れ、道路や Wash (普段は川底が見える水のない乾いた川)へ勢い良く流れ込み、場所によっては道路の冠水や洪水が起きて、災害をもたらす激しい嵐が特徴でもある。しかし、この雨水は特に砂漠の庭の草花や木にとって大変恵みで貴重なので、雨どいに集めて大きな窪地に流し時間を掛けて土に浸透させ草や木の根へ万遍なく滋養を供給する。決して天然の水を無駄にしないよう庭がデザインされている。
       
      サワーロサボテンに止まるモモアカノスリ
      雷雨の中、雨滴を全身に受けて水浴びするモモアカノスリ ( Harris's Hawk / Parabuteo unicinctus )

      乾いた砂漠ならではの鷹の姿である。鷹ばかりでなく小さなハミングバードも、雨の中ホバリングしながら雨水を盛んに浴びる姿を見ることがある。乾燥した暑い天気が続いた間での雨は、砂漠の生きものにとっては、又、我々人間にとっても嬉しい天の恵みである。
       
      翼を広げて踊るモモアカノスリ
      雨の中、巨大サボテン Saguaro (サワーロ)の上で雨水を浴びるモモアカノスリ

      写真のような鷹の姿は、砂漠のモンスーン期でないと見られない珍しいユーモラスな景観である。足を交互に上げながら踊るように翼を広げたりつぼめたりして雨水でしっかり体を濡らしている。モモアカノスリはメキシコとの国境沿いの乾いた砂漠に生息しており、サワーロサボテンにしばしば巣を作るポピュラーな中型の鷹である。
       
      大木に止まるオオカバマダラ蝶、
      大きな木にしがみついて雷雨を逃れる蝶オオカバマダラ ( Monarch / Danaus plexippus ) 毎年、夏から晩秋にかけて、メキシコへの長い旅の途中、庭の花に寄っていく。
       
      枝の雨水に顔を擦りつけるコスタハチドリ
      雨が小やみになったのでコスタハチドリ ( Costa's Hummingbird / Calypte costae ) がしっとり濡れてる小枝に顔を擦りつけて水浴びを始める。
       
      塀の欄干を登るヒラモンスター
      「モンスーン期」に入ってまもなく、非常に珍しいアメリカドクトカゲが欄干から庭に入って来た。

      和名「アミメアメリカドクトカゲ」、英名 " Gila Monster " (ヒラモンスター)、学名 " Heloderma suspectum " 体長60センチほどの太いボディーをした北アメリカでは唯一の毒トカゲである。英名にアリゾナの川の名前 (Gila ヒラ)が付けられて、まさにアリゾナのシンボルでもある。しかし、一年の90%以上を地中で生活しているので、フィールドで見れるチャンスは非常に少ない。昨年に続いて2年連続して庭に現れびっくりしたが、再度じっくりと観察することが出来、非常に嬉しいモンスーンとなった。
       
      雨雲のカーテンが残る夕焼け空
      激しい雷雨が去って夕焼けが始まる。

      灰色のカーテンが残っている所はまだ雨が降っており、雷雨の地域が非常に局地的なことが判る。まさに、天気予報でよく使われる言葉 " Isolated Thunder Storm " の景観である。
       
      ヨタカが飛ぶ夕焼け空
      雨上がりの後はグラウンドから虫がたくさん上がってくるので、まだ空が明るい内からヨタカが虫捕りに飛び始める。
       
      コアメリカヨタカの飛翔
      夕陽が当たって体が赤茶色のコアメリカヨタカ ( Lesser Nighthawk / Chordeiles acutipenuis )

      雷雨が終わった後の夕空は、西側に雨雲が残って夕焼けが始まり夕陽に空が赤く染まるが、東側はすっかり雨雲がとれて青空が広がるモンスーン独特の夕空となる。コアメリカヨタカは「砂漠のヨタカ」と呼ばれ、5月中旬頃、中南米から渡って来て子育てを行い8月末には南へ帰っていく。夕方や夜、ライトに集まる虫を捕りにちょくちょく庭に入って来る。独特な低い声で鳴く「ポロロロ・・・」という鳴き声が8月中旬頃になると聞けなくなる。庭の上を飛ぶヨタカやコウモリの小群が見れなくなると、秋も間近で季節の変わり目を感じる。
       
      サワーロサボテンと夕焼け空
      モンスーン期の夕焼け空は特に美しく、サワーロサボテンとの組み合わせはソノラ砂漠の写真の定番。

      モンスーンはアリゾナの夏の独特な特異な現象である。夏のモンスーンの雨は農家にとってはまさに恵みの「慈雨」で、ランチ(牧場)にとっても草の生育に役立つので貴重な「喜雨」でもある。
       
      ソノラ砂漠の夕焼け空
      嵐の去った後の夕焼けはひときわ美しく、静寂が戻った砂漠にコヨーテ (Coyote) の遠吠えが良く響く。

      夏のアリゾナの大嵐には,
      雷雨の他に土埃を巻き上げるダストストーム ( Dust Storm ) がある。中国で起こる砂塵嵐 ( Sand Storm ) と区別されていて、ダストストームはアリゾナの砂漠独特な嵐で、乾燥した日が続くと起きる。町を包み込んでしまうぐらい幅広く大きな茶色のカーテン(大きな山のように見える)が迫ってくる景観は凄い恐怖を覚える。高速を走ってる時にすっぽり包まれると,自分の車のボンネットの先が見えないぐらい視界が落ち、運転が出来なくなるので車を停めて嵐が行き去るのを待つしかない。車の中にも土埃が入り込んできて、口や鼻の中がジャリジャリして少々息苦しくなるのを経験したことがある。

      ハミングバード(コスタハチドリ)のヒナ誕生 2018年春 (その4)最終

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        雛にエサを与えるコスタハチドリ雌親1
        雌親は雛の口奥深く長い嘴を入れエサを流し込む

        雛にエサを与える雌親の一日は大変忙しい。群生してる花の間を忙しく乱舞、ホバリングしながら丁寧に一つ一つの花に長い嘴を差し込んで花蜜を集め喉の奥の袋に貯め、小さな飛んでる虫を空中で捕まえて混ぜ合わせては雛に与えなくてはならない。自分のエサ取りの時間がないぐらい、一日中飛び回って子育てに奮闘している。
         
        雛と雌親並んでる姿
        雌親に甘えてるような雛の仕草が可愛い

        コスタハチドリの雌は雄の様な色の特徴がなく、頭と背中が雄と同じ緑色の他は灰色と白のプレーンである。遠くから見て全身が灰色に見えるのはコスタハチドリの雌の特徴でもある。
         
        雛にエサを与えるコスタハチドリ雌親2
        雛の嘴が親より短いのは、エサがもらい易くするためである。コスタハチドリの2羽の雛は、6月には完全に親離れして立派に育ち、自分たちでホバリングしながら長くなった嘴を花に差し込んで蜜を舐めていた。
         
        コスタハチドリ雄1
        コスタハチドリの雄親

        ハミングバードは巣作り、子育ては全て雌だけで行い、雄は一切手伝わない。巣作りが終わり雌が座り始めると、雄は巣の周りから離れてまた別の雌を探し始める。いわゆる一夫多妻である。雄は興奮していない時は特徴の頭と喉、ジョーゼットの紫色が光らず、ただ黒く髭の様に見えるだけである。
         
        コスタハチドリ雄2
        雄は興奮すると頭、喉、ジョーゼットの紫色が金属光沢してひときわ美しい

        コスタハチドリの雄の求愛飛行は、見ていて実に迫力がある。雌が止まっている枝の前で、猛烈な急上昇と急降下を繰り返す。そして、雌を惹きつけるために喉やジョーゼットの紫の金属光沢をより大きく美しく見せようと、陽の光の当たり具合を意識しながら調整しつつ飛ぶ。

        ハミングバード(コスタハチドリ)のヒナ誕生 2018年春 (その3)

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          巣立ち直前のコスタハチドリ雛
          巣立ち間近の雛、翼が長くて大きく目もしっかり開いて、警戒しながらこちらを見てる。


          コスタハチドリの雛は非常に乾燥してる所で育つ。そのため営巣時期が2月から4月の「乾燥期」で湿度が3%から10%ぐらいと大変乾いてるので巣や雛に虫があまり付かないらしい。そのためか、他の種の親鳥は通常ヒナにエサを与えて巣から離れる時に、雛の糞をくわえて巣の外へ捨てるが、ハミングバードは雌親が糞をそのままにしておくので巣の周りは糞だらけ・・・となる。しかし、非常に乾燥してるので糞もすぐ乾いてしまい、巣材の補強の役割を果たしてるようだ。
           

          巣立ち直後のコスタハチドリ雛
          巣を離れたばかりの巣立ち雛


          卵から孵化して20日目4月21日早朝、まず一羽が巣を離れ隣の枯れ枝に移った。枝につかまるのが精いっぱい、まだ体力が弱いのか、すぐ疲れてうつらうつら眠ってしまう。この時が外敵に狙われやすい一番危ない時でもある。
           

          メス親からエサもらう雛
          巣立ちしたばかりの雛がメス親から最初のエサをもらう。


          雌親は巣を離れたばかりの雛とコール(地鳴き)し合いながら居場所を確認し、エサを与えている。エサは花蜜と小さな虫を混ぜて
          雛に流し込んでる。
           

          巣立ちした2羽の雛
          後発の雛も巣から離れて同じ枝に移り、2羽横に並んでボヤーと私を見つめている。


          まだ巣立ちしたばかりの雛であるが、オス、メスの特徴がよく出ている。右側の雛は喉からジョーゼット(まだ小さい)にかけてくっきりした黒い縞模様がみられ、中央に小さく紋章のようなボッチがあるのでオスと思われる。左側の雛は喉の白い部分が多いので雌であろう。
           

          枝に止まるコスタハチドリ雛

          オスの雛が枝移りしたので一羽だけとなった雌の雛、まだ警戒心が薄く、少々近づいても「何だろう?」と横目でこちらを見るだけで動こうともしない。


          ハミングバード(コスタハチドリ)のヒナ誕生 2018年春 (その2)

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            孵化後の黒いコスタハチドリの雛
            孵化したばかりのコスタハチドリの雛

            卵が産まれてから15日目の3月31日朝、雛が生まれた。全身真っ黒で羽がまだ生えておらず、巣の底にべったりへばりついてるのでどちらが頭でどこが尾か?・・さっぱり判らない。辛うじて翼の軸になる白いすじが見えるので「鳥」だと納得するぐらいである。
             
            目が開いてないコスタハチドリの雛
            生まれて一週間目の雛

            一週間たってもまだ翅は生えてなく目も開いてないが、「雛」と判る形をしてきた。コスタハチドリは体長が7.6センチから8.9センチと大変小さく、北米では2番目に小さい鳥である。
             
            口を開けて上を見るコスタハチドリ雛
            上を向いて大きな口を開け、雌親がエサを持って戻って来るのをひたすら待つ雛2羽

            コスタハチドリは主に南アリゾナと南カリフォルニアの砂漠に生息するハミングバードであるが、時々アラスカやカナダで見られることもあり不思議がられてる。営巣が終わると、砂漠は暑くなるので樫や低木林が茂る涼しい渓谷 ( Cnyon ) へ移る。大きく育って親離れした雛だけが庭に残り、エサ場のテリトリー争いで若鳥同士が凄いバトルを早朝から繰り広げていた。
             
            目を開けて見るコスタハチドリ雛
            生まれて2週間が経つと、目も開いてボヤーとこちらを見ている。

            コスタハチドリの英名 " Costa " はフランスの貴族の名前からとったもの。アンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) と共に南アリゾナではごく普通に見られる最もポピュラーなハミングバードである。そのためかアンナハチドリとの Hybrids (交配種) はよく知られている。
             
            巣からはみ出るコスタハチドリ雛
            一段と体が大きくなって巣からはみ出そうである。まだ警戒心は薄く、顔を近づけても特別こちらを向くわけもなくじっとしている。

            ハミングバード(コスタハチドリ)のヒナ誕生 2018年春 (その1)

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              ポットの花コスタハチドリ
              暖かい朝日が花のポットと壁に当たって、コスタハチドリの雌 ( Costa's Hummingbird / Calypte costae ) は体を膨らませ気持ち良さそうにじっとしている。

              2月中旬のソノラ砂漠の早朝は、寒くて気温が零度近くまで下がる日がある。朝早く家の壁が朝日で温まることをコスタハチドリの雌はよく知っているのか?、毎朝温まった壁の前のポットに止まってじっとしていることが多い。それでも、コスタハチドリは比較的他のハミングバードと比べ低温に強いので、2月に入ると早くも繁殖期となって巣作りを開始する。
               
              指とコスタハチドリの巣
              私の指が大変大きく見えるコスタハチドリの小さな巣。

              我が家の庭は、今年アンナハチドリとコスタハチドリ2種類のハミングバード(ハチドリ)が巣を作ってくれた。巣材は植物の繊維、小さい草木の枝、葉、花、鳥の羽などで、それらをクモの巣の糸で結び付けてる。巣の大きさは直径5センチ、高さ3.5センチと大変小さい。蜘蛛の糸を嘴だけで編み上げる技量は大したものだ。誰に教わるわけでもなく、「本能の力」と思われるが、素晴らしくただ驚くだけである。蜘蛛の巣はハミングバードや色々な鳥たちにとって巣を作る上で貴重な材料なので、庭にある蜘蛛の巣は出来る限り取らずにそのまま置いておくことにしてる。
               
              巣に座るコスタハチドリ雌
              巣に座り始めたコスタハチドリの雌

              巣の位置は地上から1メートル60センチほどで私の目の高さより低い。メスは非常に寛容で、肉眼ではっきり見えるぐらい近づいても巣から飛び出さずじっとしている。
               
              風景コスタハチドリ巣場所
              フロントヤード(家の前庭)の小灌木ホップブッシュの真ん中に巣は作られてる。

              巣が造られた場所は家の前庭で、人の出入りが少なく天敵の動物も滅多に来ない比較的安全な所である。巣の前20メートルの所には歩道と車道があるが、一般道路ではなく私道なので人の歩きや車の行き交いが少ない静かな場所である。巣がある木の後の塀の向こう側は裏庭で、花蜜の豊富な花がたくさん咲いており、砂糖水のフィーダーと水場もあるので、ハミングバードの子育ての環境としては一等地と思われる。
               
              コスタハチドリの卵
              メスが巣に座り始めて3日後、白い無地の卵が見られた。

              3月19日朝、2個の卵を確認できた。卵は楕円形でサイズは長さ12.4ミリ、横幅8.2ミリの小ささであった。卵の周りは柔らかい鳥の羽で包まれていて、卵は砂漠の春先の低温から守られている。

              暑中お見舞い 2018年夏

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                Mexican Silene
                標高2000メートルの山の松林に咲く Mexican Silene ( Silene laciniata )

                暑中お見舞い申し上げます。
                南アリゾナソノラ砂漠も夏の真っ盛りです。40度近い気温と湿度40%から50%の日が続き、10%以下のカラカラ天気に慣れてる体には堪えます。砂漠の夏ですからすごい猛暑を想像されるでしょうが、真夏の6月下旬から9月中旬ぐらいまでは「モンスーン期」と呼ばれ、毎日午後には激しいスコールに見舞われますので助かります。乾燥しきった砂漠に降る雷雨は,樹木、草花、生き物にとってはまさに「恵みの雨」で,花が咲き木々の緑も濃くなって多くの鳥たちは2回目の繁殖をしますので「第2の春」とも呼ばれます。真夏の私のフィールド歩きも涼しい山林へ移ります。標高3000メートル近い山には松林、アスペンの林、すずかけの木があり、苔が生える暗い渓流沿いには赤い花が咲いており、松の匂いを嗅ぎ水の流れる音を聞きながら眺めてますと心が和みます
                 
                Queen of the Night
                Desert Night-Blooming Cereus ( Peniocereus gregii ) 別名 " Arizona Queen of the Night "


                砂漠の夏の花、一夜だけしか咲かないサボテンの花、しかも「今夜咲くのか?」はその日の朝でないと判らないので見るのに大変苦労する花でもある。ライトに照らされて浮かび上がる11.5センチの大きな花は豪華で品があり、まさに愛称「アリゾナ・夜の女王」である。花は甘い良い香りがして花蜜がたくさん出るのでミツバチが大変好む。
                 
                Painted Redstert
                南アリゾナの夏の山林の鳥、カタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart / Myioborus pictus ) 尾を広げ幹を踊るように歩く姿が大変美しい。
                 
                Rivolis Hummingbird
                夏のフィーダーの花形、アオノドハチドリ ( Rivoli's Hummingbird / Eugenes fuigen's )

                旧英名 " Magnificent Hummingbird "、 山の渓谷 ( Canyon ) で見られるハミングバードで、フィーダーの砂糖水を好み、持参したフィーダーを木の枝に吊るすと、何処からともなく直ぐ飛んできて砂糖水を舐め始めた。林の中では全身黒にしか見えないが、夏の強い日差しが当たると、頭の紫色と喉の青い色が金属光沢してハッとするほど美しい。
                 
                Grand Western Cicada
                砂漠で唯一のセミ(シカーダ、Grand Western Cicada / Tibicen dorsata )

                南アリゾナソノラ砂漠にも一種類セミがおり、モンスーン期に入ると盛んに鳴き出す。体長4センチと大きくないが、声は良く聞こえてもなかなか姿を見ることが出来ない。日本のアブラゼミのように常時鳴き続けることはなく、突然大きな甲高いしかも一本調子で「ジー’’’」と短く鳴くが居場所を見つけるだけでも苦労する。
                 
                Round Tailed Horned Lizard
                モンスーン期に入ると庭に現れ、蟻をたくさん食べてくれるサバクツノトカゲ ( Round Tailed Horned Lizard / Phruynosoma modestu )

                体長6センチと大変小さく丸くて亀のような形をしているが、これでも立派なトカゲである。英名 " Horned Lizard " は「角があるトカゲ」という意味で、頭の後ろに短い角の形をした鱗が8本ある。体全体が白っぽい灰色で砂漠の土と同じ色なのでカモフラージュされていてフィールドではなかなか見つけにくい。庭でガーデニングをしている時はグラウンドに両膝をつけて這いつくばって作業をすることが多いので偶に見つけるチャンスがある。主食は蟻で、大きな石の上で小石に見えるようなポーズをとり、背中を丸め猫背にして蟻が登って来るのをじっと待ち、近づくと舌を出してパクリ・・と食べてしまう。

                ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その5)最終

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                  雌親に甘える雛
                  雛は腹が膨れると雌親に甘えるしぐさをする。
                  上を見つめる雛
                  上をじっと見つめて懸命に雌親を探す雛
                  嘴を付け合う雛と雌親
                  背中の玉虫色の青銅色が美しい雌親

                  ハミングバードは巣作りから抱卵、子育て全てメス親だけで行う、オスは一切協力しない、所謂「シングルマザー」なのである。メスが巣作りを始めるとオスは巣の周りから姿を消し、庭では全く見られなくなった。
                   
                  雛にエサを与える雌親
                  黄色い花粉がべったりついてる嘴を雛の口の中へ入れエサを与えている。
                  枝から落ちそうな雌親
                  エサをもらう雛が「もっとくれ!」と言わんばかりに嘴を離さない。雌親は枝から落ちそうになり慌てて翼を広げバタバタする姿を見てて思わず笑ってしまった。
                   
                  雛にエサを与える雌親
                  広い砂漠のフィールドではほとんど見ることが出来ない雌親のエサ渡しの姿であるが、今年は庭で子育てをしてくれたので、しっかり観察することが出来た。
                   
                  ホバリングしながらエサ渡し1
                  雌親はホバリング(空中停止)しながら雛にエサを与える。ハミングバードが得意とする業である。
                  ホバリングしながらエサ渡し2
                  雌親の曲芸的なエサ渡し

                  ハミングバードは飛ぶことが大変上手である。尾で舵を取りながら上下、左右、前方、後方、そして宙返りなど自由自在に飛ぶことが出来る。エサ取り方法はホバリングしながら花に長い嘴を差し込んで花蜜を舐める。この時の翼の羽ばたきは八の字を描きながら一秒間に80回以上と、目に留まらぬ速さである。
                   
                  雛の後ろでホバリングする雌親
                  メス親はじっとして動こうとしない雛の周りをホバリングしながらぐるぐる回る。まるで「じっとしてないで、飛ぶ練習をしなさい・・・」と𠮟咤激励しているようである。
                   
                  羽ばたく雛
                  雛はまず翼を広げてゆっくり羽ばたく練習から始めている。そして、もう一段遠くへ飛ぼうと試みる。

                  ほとんどのハミングバードは冬になると中南米へ渡りをするが、アンナハチドリの多くは営巣が終わると一時的に西側のカリフォルニアへ移動し、夏の終わりごろにまた南アリゾナに戻って来る。
                   
                  チュパロサに止まる雛
                  巣立ちした雛は夕方には飛ぶ距離を少し延ばして、花蜜が良く出るチュパロサまで来た。

                  巣立ちして10日もたつと、雛は自分で花蜜を舐めようと努力し始める。まだ、花の前でホバリングする「力」が弱いので、細い茎に止まったまま花に嘴を入れ花蜜を舐める。アンナハチドリの平均寿命は8.5年(飼育下だと15年)で、小さい体としては長生きをする。

                  ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その4)

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                    コスタハチドリ雛初飛び
                    巣から隣りの木へ、いよいよ雛の巣立ちの初飛行

                    孵化してから20日目の4月18日朝、2羽のうち1羽が巣の淵に上がって2メートル横隣りの小灌木へ初めての飛行をした。「飛ぶ」と言うよりも、高い巣から低い枝へ小さな翼をバタバタさせながら落ちて行く・・・といった感じである。多くの小鳥たちは親が雛を誘導しながら巣立ちさせるが、ハミングバードは雌親がエサ取りで留守の間、雛は自分で決め、勇気を奮って「エイヤ!」といった感じで初飛びをしたように思えた。
                     
                    初めて枝につかまるコスタ雛
                    巣から飛び降りやっと枝につかまる雛

                    初飛びを決行したのは良いが、「枝に止まる」という動作は彼らにとってその次にやらなくてはならない難しい行動である。何しろ、体に触れた木の枝ならどれでもよいらしく、手当たり次第に足でつかむ・・・といった感じであった。
                     
                    こちらを見るコスタ雛
                    枝につかまってやっと体勢を立て直すことが出来た。

                    雛はバタバタしながらも枝にしっかりつかまって揺れる体を抑えることが出来た。一段落したところで周りを見渡し私の存在に気が付いたらしく、本能的に少し警戒をした顔でこちらを見ていた。
                     
                    雛の周りを飛ぶコスタ親
                    雌親は暫くの間巣から離れた雛を探していたが、やっと細い枝にじっとしてる雛を見つけた。

                    巣から出た雛を雌親はコール(地鳴き)しながら探す。雛はそれに返答するかのごとくコールするのであまり苦労せずに見つけることが出来た。巣を離れた雛と巣に残っているもう一羽の雛の2か所へのエサ運びは「シングルマザー}のメス親にとってますます忙しくなる。
                     
                    雛に近づくコスタ親
                    雛は雌親が近づくと,鋭いきしるような声で「ジリジリ・・・」とコール(地鳴き)しながら自分の居場所を親に知らせる。
                     
                    嘴を付け合うコスタ雛と親
                    細くて長い嘴を雛の嘴の先にくっつけて水を飲ませている。
                    雛にエサ与えるコスタ親
                    雛の口の中へ長い嘴を深く入れて花の蜜に小さい虫、そして水を混ぜて流し込んでいる。
                    雛から離れるコスタ親
                    巣立ちした雛へのエサ与えが終わると、巣に残っているもう一羽の雛へエサを与えるために飛んで行く。均等に2羽の雛にエサを与えなくてはならないので「シングルマザー」は忙しい。

                    ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その3)

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                      アンナハチドリの雄
                      頭と喉、ジョーゼットが美しいアンナハチドリの雄

                      アンナハチドリ雄のメタリックな深紅色はハッとするほど美しいが、陽に直接当たるか、興奮している時でないと輝かず、暗い日や日陰を飛んでる時は黒い色にしか見えない。雄のコートシップ(求愛行動)は猛烈で、40メートルも空中高く急上昇して、時速27メートルの凄い勢いで急降下する。最後は尾羽の外側を広げて「ジージージー)という大きな機械音を出す
                       
                      滝で水浴びアンナハチドリ雌
                      滝の流れ落ちる水をホバリングしながら体に浴びる雌親

                      ハミングバードの水浴びは、飲み水と同じく流れている水でないとダメ。ホバリング(空中停止)しながら少しづつ流れる水に近づき、しぶきを翼や体に浴びる。陽が当たって暑く成った巣の雛を濡れた体で冷やすために、雌親は体全体に水を浴びて直ぐ巣に戻って行く。日中の気温が30度を超すと、巣と滝の間を行ったり来たり何回も繰り返していた。
                       
                      巣に座る雌親
                      雌親は翼を広げて直射日光から雛を守る

                      4月中旬を過ぎると日中の陽射しは大変強く、気温も30度を超す日が多い。雌親はボディーと翼に水をたっぷり浴びて巣に戻り、翼を大きく広げて巣の上から被さって、強い日の光と高温から雛たちを守っている。
                       
                      巣のアンナハチドリ雛1
                      翼、頭の羽が生えそろい、目もしっかり開けて上を向いてる2羽の雛

                      アンナハチドリの雄はハミングバードの仲間ではめずらしくさえずりをする。声は良くないがギシギシした甲高い声で「ジージー」と鳴く。しかし、雄は巣作りはもちろん、抱卵、雛へのエサ与えなど子育てに関しては一切協力しない。雌が巣作りを始めると、その周りから姿を消し、別のメスを追い求める。
                       
                      巣のアンナハチドリ雛2
                      左側の大きな雛はアンナハチドリメスの特徴である喉のジョーゼットの小さい部分が既にポチンと見られる。また、右側の雛の喉は既に白黒の縞模様が見られるので多分オスと思われる。
                       
                      巣の全体像
                      雌親が雛にエサを与える時、必ず好きなスポットの枝に止まる。その枝先から、私も巣の雛たちを見てみた。

                      4月は午後になると北西の強い風が吹く日が多い。時々風速80キロの突風が吹くこともあり、巣のある小灌木は大きく揺れて、巣がかなり斜めになるので雛が巣から落ちるのでは?・・・とハラハラさせられる。こんな時メス親は巣に座っておることが出来ず、近くの揺れの少ない木へ移動して、じっと風が弱まるのを待ちながら雛たちを見守っている。雛たちは姿勢を低くしてペチャンコに伏せ巣にうずもれる格好で巣から落ちないよう踏ん張っている。夜中に強風が吹く音で目が覚めることがあるが、雛たちは大丈夫かな?…と心配で眠れないこともある。


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