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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

大変身近な我々の生活圏で暮らすフクロウたち (その4)最終

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    アナホリフクロウ1羽土管前

    街中の住宅街に暮らすアナホリフクロウ (Burrowing Owl ) 南アリゾナでは農耕地ばかりでなく、住宅街の中でもアナホリフクロウが見られるのには驚いた。

     

     

    風景Wash全景とアナホリフクロウ巣

    新興住宅街の中を通る Wash (夏のモンスーン時には水が流れるが、通常は乾いてる川)の土手に造られた人口のアナホリフクロウの巣(赤矢印

     

     

     

    風景家並びアナホリフクロウ巣

    家が並ぶすぐ前の土手に造られた人工の巣(赤矢印

     

    アナホリフクロウがアリゾナから姿を消して行った大きな原因は、かってアリゾナでもごく普通に見られたリスの仲間のプレーリードッグが、ネズミ退治に使う殺鼠剤により直接殺されたのと、その上、人間による開発によって生息地が少なくなってその数が減少していった。(95%減少)それに伴ってプレーリードッグの古巣を棲家にしていたアナホリフクロウの数も急減して行った。

     

     

    アナホリフクロウ1羽土管2個前

    19リッターの水が入るほどの大きなプラスチック製のバケツを1メートル22センチ地下に埋めて造られた人工の巣と、住み着いたアナホリフクロウ ( Athene cunicularia )

     

    アリゾナ州では、急減したアナホリフクロウを元に戻そうとするプロジェクトを、2009年にスタートさせた。フェニックスをベースとして負傷した猛禽類を保護し、リハビリ後自然へ戻す活動を長年やって来たノンプロフィットの " Wild at Heart " が中心となって、政府の許可を受けて他州のアナホリフクロウを捕獲し、南アリゾナの農耕地に移住させる大掛かりなプロジェクトが実行されたのである。初年度の2009年は70羽、昨年2019年には200羽を移住させることに成功。今ではアナホリフクロウが農地の作物に多大な被害を与える害虫やネズミをたくさん捕食するので、農耕地では害虫を食べてくれる益鳥として再確認されてきてる。そして、アナホリフクロウが戻って来たこの農耕地は、如何にアナホリフクロウが農家に役立つ鳥かを多くの一般の人々に知ってもらう為のショーウインドーとしても有名になってきた。

     

     

    アナホリフクロウ2羽土管前

    プラスチックの人工の巣に住み着いたアナホリフクロウ

     

    南アリゾナの農耕地や宅地造成開拓地を中心に、これまで7000個近い人口の巣が造られ、今後もどんどんアナホリフクロウをアリゾナで増やしていく計画もあり、リロケイトプロジェクト ( Relocate Project ) は成功裏に進められてる。このプロジェクトは新聞・TV などで何回も取り上げられ、一般の人々にも知れ渡って、今では大手の宅地開発業者も住宅街を造る時には事前に " Wild at Heart " に連絡し、アナホリフクロウの巣作り、リロケイトを相談するまでになってきた。そのため、農耕地だけでなく町の住宅街の中でもアナホリフクロウが見られるようになったのである。

     

     

    アナホリフクロウ1羽横向

    住宅街のアナホリフクロウの巣が造られてる土手には住人の遊歩道が整備されてるので、犬と散歩する人が巣に近づくと警戒して直ぐ巣穴に入って隠れてしまう。街の一般の人々が、一時は居なくなってしまったアナホリフクロウと同じコミュニティに暮らす様子は、同じ南アリゾナの住人として実に嬉しく誇りに思える。


    大変身近な我々の生活圏で暮らすフクロウたち (その3)

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      アナホリフクロウ雛3羽並ぶ

      尻つぼみな下半身に毛の生えた長い脚が一風変わった姿のアナホリフクロウ ( Burrowing Owl ) の雛たち

       

      北米では主にフロリダ、テキサス、アリゾナ、カリフォルニアの南部地域で留鳥として一年中見られる。日本のオオコノハズクやムクドリと同じ大きさで、フクロウとしては大変小さい。砂漠や草原、農地などの開けた環境に生息するが、時には人工的なゴルフ場や空港でも見られる。しかもフクロウとしては珍しく日中でも非常にアクティブなので見れる機会が多い。

       

       

      アナホリフクロウ雛正面向き1羽

      茶色で丸っこく脚の長いアナホリフクロウ ( Athene cunicularia ) の雛。バーダーにとってこのフクロウはしばしば見つけるのに苦労する。畑の土と同じ薄い茶色をしているのと、小さい体なので土の塊や牛の糞と見間違うことがある。

       

       

      車から眺める畑とアナホリフクロウ一家

      車の窓から見る野菜畑とアナホリフクロウ一家

       

      5月21日、近年アリゾナではめっきり数が少なくなってなかなか見る機会がなかったアナホリフクロウの雛が、我が家から車で20分ぐらい走った畑地で見られる情報を入手。一面広い畑なので隠れられる木や建物が全くない。仕方なく車をブラインドにして窓を開け長いレンズを出して撮影した。連日猛暑が続く炎天下一番気温が高い午後3時過ぎ(35度の暑さ)に巣穴の横に車を停めて雛が穴から出て来るのを待つ。4時半頃になると、いよいよ穴から一羽そして二羽‥‥と続いて雛が出て来る。夕日が沈む7時半ごろまで熱中症を心配しながらの3日間であった。

       

       

      アナホリフクロウ雛横向

      夕陽を斜めに背に受けて、親がエサ探しに出かけた畑をじっと見てる雛。親のエサ捕りは昼間は主にバッタや虫を捕り、夕方から夜にかけてはネズミなど小型の動物を捕食する。彼らは一日に一匹ないし二匹のネズミと、12匹以上の虫を捕る‥‥と言われる。

       

       

      アナホリフクロウ雛巣穴見つめる

      巣穴をじっと長いこと見つめてる雛

       

      アナホリフクロウは主に大草原に群れで生息するリスの仲間のプレーリードッグの古巣や、ジリスの古巣を棲家として生活する実に変わったフクロウである。北米の南部から中米、南米にかけての広い地域に生息しており、20種以上の亜種がいる。中にはフロリダ亜種のような自分で穴を掘って棲家を作るのもいる。彼らは天敵のコヨーテなどから何時でも逃げれるように、巣穴近くでウロウロして過ごすことが多いので、バーダーが近づくと直ぐ穴に入って隠れてしまう。また、雛たちは巣穴に入って来る侵入者を驚かす為、猛毒のガラガラヘビの「シュル、シュル、シュル…」という音を真似してコールする面白い習性を持っている。

       

       

      アナホリフクロウ雛私を見て叫ぶ

      カメラのシャッター音が気になるのか、警戒してこちらに向かって叫ぶ雛

       

      彼らは色々な面白い仕草をするので人気者である。その一つに、巣穴入口で挨拶するような仕草をするので、カーボーイたちは彼らを " Howdy birds  " と呼んでいた。小さくて昼行性で主に畑の害虫を食べてくれるので、農家の人々に好かれるフクロウでもある。

       

       

      アナホリフクロウ雛飛ぶ練習

      飛ぶ練習をする雛。卵から孵化してまだ一ヶ月経つか経たぬかと思われるが、成長が非常に早く、3ヶ月で立派な成鳥となって独立する。

       

       

      アナホリフクロウ親一羽

      エサ探しの合間、灌漑用水路の淵で一休みするアナホリフクロウの親

       

       

      アナホリフクロウ雛と親

      灌漑用水路の淵に止まるアナホリフクロウ親(右)と雛。雛へのエサ与えは雄親、雌親の両方で行うが、成鳥の違いはほとんどないのでDNA以外、特にフィールドでの識別は不可能である。

       

       

      アナホリフクロウ親からエサを貰う雛

      エサ取りから帰って来た親(左)に素早く近寄りエサをぶん取る雛。5羽いる雛の内この雛が一番すばしっこくて元気が良い。

       

       

      アナホリフクロウ親と雛の飛び立ち

      エサ探しに飛び出した親のあとを追って一緒に飛ぼうとする雛。しかし、悲しいかなまだ1メートルから2メートル程度しか飛べない。

       

       

      アナホリフクロウ雛草を引っ張る

      草を引っ張って食べ始める雛

       

      雛は腹がすいてるが、好物の虫やバッタを自分ではまだ捕れないので仕方なく草を食べる。雛がこのぐらい大きくなると、自分でエサ捕りが出来るよう親は雛にエサを与える回数を少なくしてくる。雛は腹がすくので自然と自分でエサ探しを始める。独立への一歩で、親の厳しい愛の鞭であろう。

       

       

      アナホリフクロウ親電線に止まる

      電線に止まるアナホリフクロウの親。地平線に沈んでいく夕陽に照らされて全身赤く染まって美しい。

       

      「砂漠」というと、我々日本人はアフリカや中東の砂地だけの広陵とした風景を思い浮かべるが、南アリゾナの「ソノラ砂漠」は、低灌木や背丈の低い草が生えてる広々とした草原に近い乾燥した所である。灌漑を施してやれば、「砂漠」でも見事に作物が出来る。そのため、近年、牛の放牧地が少なくなり広大な野菜畑があちらこちらで見られるようになってきた。こうした畑地に、一時は激減してほとんど見られなくなったアナホリフクロウが少しづつではあるが戻って来てその数が増え始めているのは嬉しい。


      大変身近な我々の生活圏で暮らすフクロウたち (その2)

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        サワーロの巣に座るワシミミズク雌

        巨大サボテン Saguaro (サワーロ)の天辺の巣に座るアメリカワシミミズクの雌 ( Great Horned Owl )

         

        アメリカワシミミズクの営巣は大きな木から小さな灌木、サワーロサボテン、時にはグラウンド、そして巣箱も利用する。南アリゾナ・ソノラ砂漠は大きな木が少ないのでサワーロサボテンに営巣する例が多い。幹から大きな枝が何本も枝分かれしてる根元に枯れ枝を敷いて作られるが、写真の巣は先が折れて無くなった平らな天辺にあり、砂漠の強い太陽の光を遮る陰が全く無い少々お粗末な巣である。

         

         

        風景ーワシミミズクの巣がある環境

        並んでる家のすぐ前、ワシミミズクの巣(赤矢印)があるサワーロサボテン

         

        私が住んでるコミュニティの中にある小さな野生生物保護区のサワーロサボテンの巣に、アメリカワシミミズクが座ってるのを4月9日に見つけ、家から歩いて10分ぐらいの近場なのでさっそく観察、撮影を開始した。この保護区はメキシコ種のアカスズメフクロウ ( Ferruginous Pygmy Owl )の保護のため自然の形で家の周りに残されている。一般には解放されてないのでコミュニティに住む人々が管理費を支払い、一切人工物を設置しないソノラ砂漠の自然そのままを維持している。トレールは整備されてるが住人だけに自然探索が許されてるので、動物や鳥が豊富な静かな保護区となってる。

         

         

        サワーロ花と眠るワシミミズク

        5月初旬サワーロサボテンの白い花が咲き出し、初夏の爽やかな風を受けて気持ち良さそうに眠るアメリカワシミミズクの雌 ( Bubo virginianus )

         

        アメリカワシミミズクは1月から3月ぐらいまでの寒い時期に卵を産み雛を育てるので、この巣は季節的に非常に遅い。昨年、この同じコミュニティ内でしかも家の玄関前の木で雛3羽を育てたワシミミズクを観察、撮影したが、彼らは人の動きなどあまり気にしないようだ。大型フクロウには珍しく、人家近くで営巣したり庭でエサ捕りや昼寝をすることがある。

         

         

        サワーロ満開の花とワシミミズク

        サワーロサボテンの満開の花とフクロウの組合せ、実はなかなか見られない珍しい構図である。

         

        サワーロサボテンの花が咲く初夏に、フクロウがまだ巣に座って抱卵してるのは非常に珍しい。推測するに昨年生まれたまだ若い初めて繫殖行動を経験する雌と思われる。ワシミミズクは大変ソフトな羽に全身包まれていて非常に寒い冬にも耐えられるようになっており、音もなく静かに飛んで獲物に近づくことが出来る。その代り暑さにはあまり強くなく、雛にとっての夏の日差しは堪えると思う。

         

         

        尾が巣からはみ出てるワシミミズク

        巣が少々小さすぎるらしく、尾が外へはみ出してしまう

         

        アメリカワシミミズクは立っていると身長は64センチ近くもある。彼らの大きな耳のような羽角はボディーランゲージを伝えるのに使うことがある。イライラしてる時は平らになってる、そして警戒して何かを知ろうとしている時は真っ直ぐに立っている。

         

         

        親の胸から顔を出すワシミミズク雛

        5月21日雌親の胸からやっと顔を出した雛。観察し始めて丁度6週間、やっと雛の姿を見ること出来た。

         

         

        親の尾の下から顔を出すワシミミズク雛

        雌親の尾の下から顔を出す雛、暑いので口を開けてハーハーしている。既に5月下旬に近いドライサマーの日々、日中の気温は35度近い暑さである。

         

         

        親と並んで私を見るワシミミズク雛

        大分大きくなった雛、雌親と並んでこちらをじっと見つめている。

         

        アメリカワシミミズクの雛に与えるエサはワタオウサギやネズミ、カエル、昆虫などである。彼らは大変気性が荒々しく、獲物捕りは非常にパワフルで、自分より大きいスカンクやボブキャットなども狙う。時には猛禽類のミサゴやハヤブサ、他のフクロウなども襲ってエサとすることもある。又大変小さいサソリや虫なども食べる。短くて幅の広い翼は、森や林の中の木々の間を巧みに飛ぶことが出来る。獲物を掴む時は背骨も切り裂いてしまう程の鋭く強力な爪を使い、11キログラムに近い大きな獲物を持ち上げることが出来る。

         

         

        親にくっついて欠伸するワシミミズク雛

        眠ってる雌親にぴったりくっついて大欠伸をする雛。夜行性なので昼はほとんど眠っている。

         

         

        親に話しかけてるワシミミズク雛

        雛が一生懸命雌親に語り掛けてるように見える。

         

         

        スナップ巣の写真を撮る友人

        巣上のアメリカワシミミズク親子(赤矢印)の写真を撮る同じコミュニティに住む友人

         

        巣が家の近くでしかも人々が朝夕散策するトレールの横にあり、まさに我々の生活圏の中で彼らも暮らしている。この巣に座ってる雌親は、1月ごろから毎夜明け方によく我が家の屋根上でオスと鳴き合っていたので非常に親しみがわく。オスは太い声で、、雌は高い少し細い声で「ホッホ・ホーホー」と鳴き合う。時には寝室の真上で夜明け直前の5時頃から30分近くも鳴き合あうこともあり、起こされて寝不足となりふらふらするが、何となく彼らと一緒に暮らしてる喜びの方が大きいので満足感に浸れる。

         

         

        目を大きく開けて私を見るワシミミズク親子

        巣の真下に散歩の犬が近づいたので雌親、雛共に大きく目を開けて少し警戒し始める。

         

        彼らは雛の時から大きな目を持っている。暗くなると更に大きく開ける。しかしこの大きな目は眼窩の中に固定されてるので左右、上下とも動かせない。その代り首の特殊な脊椎のおかげで頭をぐるりと270度回すことが出来る。そして非常に音に敏感で鋭い。顔面に音波をダイレクトに捉えるディスクがあり、夜の暗闇の中でもちょっとした小動物の動きをキャッチすることが出来る。

         

         

        欠伸するワシミミズク親子

        昼近くになってくると、雌親、雛共に眠くなり大欠伸をする。

         

         

        頭を垂れて眠るワシミミズク雛

        5月28日雛が少々弱って来てる様子、しかも頭を垂れて眠ってる姿が見られたので心配になる。

         

        5月末ともなると、爽やかな初夏も終わって日中は真夏に近い気候となり気温も高くなる。そして今年の夏は記録的な暑さで5月に入って35度近い日が続くこともあり、密な羽毛に全身覆われてる雛にとっては大変厳しい毎日となった。そもそも雌親の産卵が4月中旬と砂漠では非常に遅すぎたので、雛が育つには厳しすぎる状況となってしまった。雛は5週間程で巣立ちするが。飛べるまでは9週間から10週間掛かり、オス親と雌親からエサを貰うのは数か月間続く。しかし、雛はよく巣から落ちることがあり、落ちても親鳥はグラウンドに居る雛にエサを与えて安全な場所へ誘導することが多いらしい。翌々日5月30日巣のチェックへ行くと、巣は空っぽで雛の姿、雌親の姿も全く見られなかった。想像するに雛は連日の猛暑に耐えられず弱ってしまい巣から落ちてしまって他の動物のエサとなったかもしれない。一か月半観察した雛の死は大変ショックだった。自然の中で生きていく厳しさをまたまた強く感じることになった。


        大変身近な我々の生活圏で暮らすフクロウたち (その1)

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          抱卵中の雌を見守るアメリカワシミミズク雄

          スーパーマーケット(ウオルマート)の建物の梁に止まって抱卵中の雌を見守るアメリカワシミミズク雄 ( Great Horned Owl )

           

          アメリカワシミミズクはカナダ全域そして北はアラスカから南のフロリダ、アリゾナまで全米の広い地域に生息する北米で最もポピュラーなフクロウである。大きさはハシブトガラスとほぼ同じの大型のフクロウで、森林から町の公園、開けた砂漠など何処でも見られ、アリゾナは特にその数が多い。英名の " Horned Owl " は大きな角のような長い羽角から付けられた。

           

           

          建物に居るアメリカワシミミズク雄雌

          スーパーマーケットの建物に作られた巣に座るアメリカワシミミズク ( Bubo virginianus ) の雌(赤い矢印)とそばで見守る雄(青い矢印

           

          彼れらは非常に繫殖期が早く、冬のまだ寒い1月から巣に座り始めるペアーもいる。通常、タカ(主にクーパーハイタカ)やワタリガラスの古巣を利用することが多いが、時には彼らが作ってる最中に横取りするずる賢いのもいる。南アリゾナはワシミミズクの数が特に多いとは言え、朝から晩まで買い物客が出入りするスーパーマーケットのビルに巣を作る例はあまり聞かない。人々が行きかう賑やかなこのような場所を何が気に入ってるのか?彼らのエサの一つであるネズミが多いからかもしれないが?・・・

           

           

          ウオルマート建物全景

          スーパーマーケット(ウオルマート)の全景、ワシミミズクの巣(赤い矢印

           

          ワシミミズクの巣が作られたスーパーマーケットのビルは色々な店舗やレストランが立ち並ぶ大きな商店街の一角で、" The Market Place " と呼ばれる大きなショッピングエリアでもある。大都市では見られない大きな駐車場と人工的に植えられた小さな庭木が並ぶコンクリートジャングルでもある。

           

           

          風景ー駐車場とカタリナ連山

          スーパーマーケットの駐車場とカタリナ州立公園、カタリナ連山

           

          ショッピングエリアのすぐ近くには、カタリナ連山に隣接する「マイフィールド」のカタリナ州立公園があり、雛は巣立ちすると親ともどもこの州立公園の林へ帰って行くと思われる。彼らが雛を育てる時期だけ、天敵と恐れるコヨーテ、ボブキャット、キツネなどの動物を避けるため、この賑やかなショッピングエリアのコンクリートの建物を巣の場所に選んだのであろう。丁度見に来ていたバーダーによると、昨年もこの同じビルに営巣して無事雛を育てたようである。

           

           

          ワシミミズクを見上げる買い物客

          アメリカワシミミズクの巣を見上げるスーパーマーケットの買い物客たち

           

          彼らにとって、ほとんどの人が夜行性の野生のワシミミズクを身近に見るのは初めて…と思われる。美しい大きなワシミミズクの姿に感嘆の声あげる人、子供に説明する人、双眼鏡をぶら下げ観察してる私に説明を求める人、iフォンで写真を撮ってメールを送ってる買い物客など、ちょっとした人だかりになる時もある。

           

           

          巣に座るワシミミズク雌1

          巣に座って抱卵中のアメリカワシミミズク雌。地元の新聞、TVでは紹介されているものの大騒ぎはされておらず、都会と違って自然が豊かで野生の生きものが身近に居る田舎の良さであろう。

           

           

          巣に座るワシミミズク雌2

          巣の真下を人や車が行きかい、大きな騒音がしても全く平然と巣に座って卵を温める雌親

           

           

          抱卵中のワシミミズク雌

          雌が巣に座り始めて一ヶ月が過ぎ、雛の誕生も間近である。卵は通常2個から3個で、卵が産まれてから雛が孵化するまで30日から35日ぐらい掛かる。

           

           

          翼を広げて雛を隠すワシミミズク雌

          生まれて間もない雛。雌親は翼で雛を隠すように包むのでなかなか観察が難しい。

           

           

          巣上のワシミミズク雛一羽

          雌親、雄親ともエサ取りで留守、寂しそうに雛一羽で巣に残っている。

           

          4月27日巣に残っていた雛一羽を見たのを最後に、巣の観察の継続が難しくなったので断念する。南アリゾナもコロナウイルス問題で人の集まる場所での人々の往来の規制が厳しくなり、スーパーマーケットのワシミミズク親子の観察、撮影が不可能になって、残念ながら巣立ちを見ることが出来なかった。


          残暑お見舞い 2020年南アリゾナのサマーストーリー

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            昼の山火事カタリナ連山

            カタリナ連山 ( Catalina Mountains ) の山火事

             

            我が家から20キロ、一番近いマイフィールド「カタリナ州立公園」( Catalina State Park ) を含むカタリナ連山の南端プッシユリッジ山 ( Putsh Ridge Mt. ) に6月5日3個の雷が同時に落ちて山火事となった。丁度南アリゾナはドライサマーに入っており、非常に乾燥していて(湿度5%以下)気温が35度近い高温が続く天候の毎日で、火は一気に広がった。

             

             

            夜の山火事カタリナ連山

            家の間から巨大サボテンサワーロ ( Saguaro ) 超しに見る山火事の炎は、今まで見たことがないソノラ砂漠ならではの迫力ある夜景であった。

             

            我が家からも山火事は毎晩よく見え、時には煙の臭いも漂うことがあった。このカタリナ連山に生息するオオツノヒツジ ( Bighon ) から名前を取って " Bighorn Fire " と名付けられた。南のプッシュリッジ山から燃え始めた山火事は北のレモン山 ( Mt. Lemmon ) の一部まで燃え広がり、48日間燃え続けて200,000エーカー (Acres ) 燃えつくし、7月23日にやっと消えた。南アリゾナでは10年ぶりの山火事で、これほど町や商店街、住宅街の近くで燃え続けたのは初めてで、一時は避難命令が出されたが、大型飛行機とヘリコプター、千人以上の山岳消防隊などの努力で、家の消失死亡による犠牲者は一人も出ない完ぺきな消火作業となった。

             

             

            庭の滝全景

            ハミングバードが水を飲んでる庭の小さな滝の水場

             

            南アリゾナの夏は通常4月から6月の3か月間は「ドライサマー」と呼ばれ、雨が全くなく乾燥している(湿度5%以下)。日向の気温は30度ぐらいでも日陰に入れば20度と涼しく大変凌ぎやすい。そして後半の7月から9月の3か月間は「モンスーン」と呼ばれる夏で、2日ないし3日に一度は雷雨に見舞われる。ソノラ砂漠の象徴サワーロサボテンは、このモンスーン期の雨を溜め込んで一年の水とする。ところが、今年の南アリゾナの夏は4月から35度近い日が多く、しかも7月8月に入っても「モンスーン」がなく40度になる日が続くことがあって記録的な猛暑となっている。砂漠で暮らしている鳥や動物たちもこの猛暑は応えるらしく、庭の滝の水場は大混雑となった。

             

             

            滝の水飲むヒメキンヒワ

            水が流れる滝の岩に降りて、足を冷やしながら旨そうに水を飲むヒメキンヒワ ( Lesser Goldfinch / Carduelis psaltria ) の雄。彼らは流れてる水に降りて休むことは滅多にしない。よほど暑さが応えてるようだ。

             

             

            ズアカカンムリウズラ雄雌雛滝

            雛を連れて水飲みに現れたズアカカンムリウズラの雄雌 ( Gambel's Quail / Callipepla gambelii )

             

            夏になると住宅の庭、家の周りの道路で子連れのズアカカンムリウズラを多く見かけるようになる。もともと水が大好きなウズラであるが、今年のように異常に暑い夏だと雛を引き連れた大家族で一日に何回もやって来る。卵から孵って直ぐ巣離れして歩かなくてはならない雛にとってこの異常猛暑は死活問題である。水場に現れる彼らの家族を見てると、最初は生まれたての雛15羽ぐらい連れて来るが、日が経つにつれて半分の6羽になり、最終的には1羽から3羽ぐらいしか見られなくなる。最初の一年間の死亡率が非常に高いことが判る。このため彼らの平均寿命はたった一年半程度と大変短い。

             

             

            ズアカカンムリウズラ雛6羽滝

            雛6羽で滝を占拠するズアカカンムリウズラ(生れて2週間ぐらい)

             

            カンムリウズラの水飲みは午前中と午後遅くから夕方にかけてで、だいたいどの家族も同じ時間帯に庭に入って来るので、多い時は5家族が鉢合わせとなることがある。それぞれが雛を連れているので、雄は縄張り争いと雛を守ろうとして庭のあちらこちらで激しい争いが始まる。オス同士けたたましく鳴き合い羽ばたきしながら空中で体当たりをするのもいる。しかし争いは長続きせず、力の弱いと思われる雄の家族は庭の隅へ行って順番を待ち一番最後に水を飲む。どういう順番になってるか分からないが、見てると一組が終わって水場を去ると次がやって来て水を飲みだす。最終的には全家族がしっかり飲んでいくようである。

             

             

            ノドグロハチドリ玄関の壁

            日陰になってる玄関ドアーの横の壁にしがみついてじっと目を閉じて暑さをしのいでいるノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird / Archilochus alexandri )

             

            記録的な猛暑が続く今年の南アリゾナ、7月に入ってついに40度の日が続いた時の一番暑い午後3時過ぎ、ノドグロハチドリは木陰の枝に止まっておれず玄関の中に入ってきた。我が家の庭で渡りで寄って行く種類を除いて常時いるハミングバードは3種類である。このうち2種類は夏の猛暑が続く7月8月は涼しさを求めて移動して行く。アンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) は太平洋沿岸のカリフォルニアへ、コスタハチドリ ( Costa's Hummingbid ) は山の麓のキャニオンへ移る。一方ノドグロハチドリは猛暑でも庭に残っており、涼しい日陰を求めてパティオや玄関の中に入って来たり、滝の水が流れる岩に降りて水に顔を漬けたりして何とか体を冷やしてる姿を見る。

             

             

            ノドグロハチドリ壁にへばりつく

            キツツキの様に壁に縦に止まっているノドグロハチドリの珍しい姿。

             

            40度を超す日の午後3時から4時ぐらいまでほんの一時間ほどだけであるが、玄関の日陰の一番涼しい所を見つけ、猛暑を何とか凌いでいる。こうして見てると、自然の中で生きる厳しさ、生命の危険と隣り合わせの状況で精一杯生きてる凄さが伝わってくる。一方、一定の温度に保たれてる家の中に居る人間は何と幸せなんだろう!とつくづく思う。人にとって暑さでの生命の危険はほとんどない当たり前の毎日の夏の生活かもしれないが、自然の中で生きてる「生き物」の厳しさを見ていると考えさせられる。

             

             

            ワタオウサギ滝の水飲む

            滝の水をうまそうに飲むサバクワタオウサギ ( Desert Cottontail / sylvilagus audubonii )

             

            大きな耳を持った臆病な生き物で、滅多に水場には来ないが、40度の猛暑となると朝夕2度も滝に現れる。水をたっぷり飲んで、流れる水で冷えた岩に体を伸ばしてべったりくっつけて涼を取る姿も見られる。この暑さにあんな密な毛皮を背負っていては、暑さが半端でないことが想像できる。天敵が大変多く、空からは鷹やフクロウ、グラウンドではコヨーテやボブキャットなどの動物に常に狙われてる。そのため大変臆病で頻繁に庭の水を飲みに来るのは若い今年の春に生まれたウサギが多く、大きなアダルトは数日間に一度の頻度でしか庭に入って来ない。生まれて一年目の最初の夏の猛暑は若ウサギにとっては一つの試練なのかもしれない。

             

             

            リス滝の水飲む

            珍しいHarris Antelope Squirrel ( Ammospermophilus harrisii ) の水飲む姿。

             

            この夏の暑い砂漠に暮らすリスで、毛がふさふさしてるのはこの一種だけである。日中も活動するので、長い尾を上げて頭の上まで持っていき日傘の様にして強い陽射しを遮っている。警戒心が非常に強く臆病なので庭には滅多に入って来ないし、水もほとんど

            飲みに来ない。水分は木の実や草の実を食べて補給してるようだ。今年の猛暑は猛烈でリスも水を飲まざる得なくなったのだろう。ほんの5秒ほど水飲みをして、直ぐ駆け足ですっ飛ぶように砂漠へ帰って行った。


            ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その4)最終

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              雌親からエサを貰うアンナハチドリ雛1

              雛が巣から離れて1時間半後、やっと雌親からエサを貰うことが出来た。

               

              3月初めはまだ朝晩の気温が冬の様に低くなる日もある。アンナハチドリの体温は成鳥で通常42度ぐらい、人間にとっては皮膚が焼けてしまうほどの高温である。外気温が真冬の様に下がると、他のハミングバードと同じように「仮冬眠」の状態となり、脈拍、心拍ともスローとなって体温を下げる。外気温が上がると通常の状態に直ぐ戻って動き出す。そのため零下5度ぐらいまでは耐えられる丈夫な体を持っている。

               

               

              翼を羽ばたかせるアンナハチドリ雛

              雛はエサを貰うと元気が出たのか、翼を盛んに羽ばたかせて、もう一歩遠くの枝へ飛び移ろうとする。

               

               

              雌親からエサを貰う雛2

              巣立ちして3日後の雛、まだ行動範囲が狭く、巣の周りの木を枝移りしていた。本能的に雌親がエサを持って来た時、居場所が分かり易い枝に止まっている。

               

               

              雌親に向ってコールする雛

              雛は枝移りして居場所を変えるので、雌親がエサを持って近づいて来ると、雛独特な「ジュリジュリ・・・」という声を出し、盛んにコール(地鳴き)して自分の居場所を教えている。

               

               

              メス親からエサを貰う雛3

              巣立ちして6日目の雛。巣にいる時と違って足場が悪いので苦労している。アンナハチドリの雄の雛の特徴である喉と胸の黒いボチボチが見え始める。

               

               

              アンナハチドリ雌親と雛同時飛ぶ姿

              雛(右上)は雌親(左下)の飛ぶのを見よう見まねで盛んに飛ぶ練習をしている。

               

               

              ハニーサックル花とアンナハチドリ

              スイカズラの仲間ハニーサックル ( Mexican Honey Suckle ) の花蜜を舐める雌親

               

              ハミングバードは長い嘴を花の奥深く差し込んで舌で花蜜を舐めるので、ハニーサックルの様なラッパの形をした赤い花を好む。ハミングバードは花蜜の他に空中を飛んでる小さな虫をフライングキャッチすることもあり、また、葉に付いてる虫をホバリングしながら嘴でもぎ取ることもある。ハミングバードが好む花には花蜜を求めて蜂も集まって来る。大型のスズメバチがハミングバードの嘴の上を刺すことがあって、これで餓死することもあるらしい。

               

               

              チュパロサの枝に止まるアンナハチドリ雛

              巣立ちして2週間後の雛

               

              ホバリングしながら花蜜を舐める雌親の姿をしっかり見て学び、自分でも何とか花に嘴を入れて花蜜を舐めるが、まだ嘴と舌が少し短いので舐めるのに苦労し、直ぐ疲れて枝に止まることが多い。そしてまだ雌親からエサを貰うのと、フィーダーの砂糖水に頼ることが多い。3週間ほど経つと、いつの間にか雌親の姿が雛の近くで見られなくなる。いよいよ雛の独立である。雌親から譲り受けた餌場を自分で守る戦いが始まる。

               

               

              2羽のハミングバード空中戦

              嘴をぶっつけ合うハミングバードの戦い

               

              ハミングバードが好む花がたくさん植わってる庭は、彼らにとって極上の餌場である。庭の外から色々なハミングバードが庭に入って来て、隙があればテリトリーを奪おうとするので、それを体当たりして追い払わなくてはならない。時にはグラウンドすれすれでチャンバラのように嘴をぶっつけ合いパチパチというすごい音を出して戦う姿も見られる。なかなか厳しい生涯であるが、たった10センチの小さな体でも8年ぐらい生きる個体もおり、結構長生きをする。


              ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その3)

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                雛にエサ与えるアンナハチドリの雌

                巣立ちが近くなった大きなアンナハチドリの雛2羽。雛は食欲も旺盛なので、雌親は早朝からエサ運びに忙しい。

                 

                 

                巣上のアンナハチドリ雛2羽

                巣からはみ出しそうな巣立ち直前の雛2羽。右側が一日早く生まれた長男(オス)

                 

                 

                巣上で羽ばたくアンナハチドリ雌と雛2羽

                雌親はエサを持って巣に帰って来ても止まる場所がない、羽ばたきしながら又はホバリングしながらエサを与えることもある。

                 

                 

                木をよじ登るアンナハチドリ雛

                1羽の雛が巣から落ちてしまったが、懸命に羽ばたきしながら幹をよじ登り、頭上の巣にもどろうとしている。

                 

                 

                巣立ちして小枝につかまるアンナハチドリ雛

                卵から雛となって18日目の3月2日、2羽のうちの先に生まれた1羽の雛がついに巣を離れ近くの小枝に初飛び移る。枝につかまるのがやっとで、翼を広げてバランスを取っている。

                 

                 

                アンナハチドリ雛巣立ち直後

                1羽が巣立った翌日の3月3日、残りのもう1羽が早朝(午前6時頃)のまだ暗いうちに巣から飛び出して、近くの別の木に無事初飛行に成功。

                 

                 

                アンナハチドリ雛の初飛行図

                最後の雛が巣(赤丸)から初飛びして無事着陸した別の小灌木の枝(青丸)、距離にして4メートル程の初飛行であった。初飛行は下へ降下するのではなく、しっかりした翼で平行に飛行したのには驚いた、

                 

                 

                巣立ち1時間後のアンナハチドリ雛

                初飛びして1時間後、まだメス親からエサを貰ってないので、不安そうな顔をしてじっと動かずに最初に止まった枝にいる。

                 

                 

                眠ってるアンナハチドリ巣立ち雛

                巣立ちしての初飛びは、雛にとっては大変重労働なのだろう。目を閉じてウトウト眠り始めた。

                 

                 

                 

                 


                ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その2)

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                  アンナハチドリ最初の卵

                  アンナハチドリの雌が巣に座り始めて3日後1月24日、まず最初の卵が産まれる。卵の大きさは長さ1.3センチ横幅77ミリでピンポン玉より小さい。雌親が体長たった10センチと小さいので卵も超小型である。

                   

                   

                  アンナハチドリの巣の小灌木

                  アンナハチドリが巣(赤丸)を作った小灌木 ( Butterfly Bush )

                   

                  寝室前のこの木はハミングバードがお気に入りの木で、毎年アンナハチドリ、コスタハチドリが交互に巣を作り雛を育てている。巣は地上2メートル半の高さで、冬の終りで葉はまだ茂ってないのでスカスカに見えるが、雛が育つ春にはしっかり葉も茂って巣が隠れるようになり、雛も直射日光から守られる。本能とは言え、葉が茂る日数計算をしながらしっかり巣作り子育てをしていく能力には驚く。

                   

                   

                  アンナハチドリ2個目の卵

                  最初の卵が産まれて2日後の1月26日、2個目の卵が産まれる。アンナハチドリは2個から3個の卵を産むが、我が家の庭では3個が産まれた巣は今だ見たことがない。

                   

                   

                  抱卵中のアンナハチドリ

                  巣に深々としっかり座って卵を温めるアンナハチドリの雌

                   

                  抱卵中のアンナハチドリは私が巣の真下でガーディニングや水撒きしようが、また横を通って巣の様子を見ようが、知らん顔でじっとしている。卵が孵化して雛が生まれるまで14日から19日は掛かる。2月初めはまだ南アリゾナの砂漠は日中は暖かくなっても朝晩は非常に冷えることがある。2月2日から4日までの3日間、早朝は2度、日中は7度と寒い日が続いたので心配したが、雌親はフィーダーで砂糖水を舐める短い時間以外はほとんど巣に座り続けていた。花が少ないこの時期にはフィーダーはハミングバードにとって貴重なエサとなる。

                   

                   

                  アンナハチドリ生まれたての雛2羽

                  生まれたての雛2羽、巣の中で二列に並んでる。抱卵してから18日目の2月13日、雛は孵化したばかりで、まだ羽もほとんど生えてない黒い体である。

                   

                   

                  アンナハチドリ生れて6日目

                  2月19日生まれて6日目の雛。だいぶ羽が生えて嘴もしっかりしている。

                   

                   

                  アンナハチドリ生れて15日目

                  生まれて15日目の2月28日の雛

                   

                  羽もすっかり生えそろって色も付き始め、目もしっかり開いてこちらを見ている。ハミングバードは花蜜を舐めるのに嘴を花の奥深く差し込むため、ホバリング(空中停止)する必要がある。そのため翼は最も重要な体の一部で、最初に大きくなっていく。小さな雛の体には不釣り合いな大きく長い刀のような形をしている。

                   

                   

                  雌親からエサを貰うアンナハチドリ

                  メス親からエサを貰う雛。まだ短い嘴を大きく開けて、花蜜やフィーダーの砂糖水に小さい虫を混ぜて流し込んでもらう。

                   

                   

                  雛にエサ与えるアンナハチドリ雌

                  エサ与えに忙しい雌親は休まる暇がない。早朝から夕方遅くまで巣に出たり入ったりしている。オスの協力は一切ないので、子育ては全て自分一人でやらなくてはならない、タフなシングルマザーである。

                   

                   

                  巣の中で羽ばたくアンナハチドリ雛

                  生まれて19日目の3月1日の雛

                   

                  すっかり大きくなり巣も手狭になってきたが、時々翼を上げたりしながら羽ばたきに似たまねごとをし始める。雛は日ごとにどんどん大きくなり小さな巣では居心地が悪くなって、自然と巣からはじき出されるように出て行くのが巣立ちなのだろう。雛が巣から離れて行く行程は意外と単純なのだろう。


                  ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その1)

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                    アンナハチドリ、蜘の巣に近づく

                    クモの巣を見つけ、ホバリングしながら少しづつ近づくアンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) の雌

                     

                    我が家の庭では3種類のハミングバード(ハチドリ)が毎年巣を作り雛を育てている。「砂漠のハチドリ」と呼ばれるコスタハチドリ ( Costa's Hummingbird ) とノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird ) そして、カリフォルニアの流れ者アンナハチドリである。今回の話の主人公アンナハチドリは、コスタハチドリと同様巣作りが早く、12月に入ると早くも巣作りを始めるペアーもいる。我が家の庭でも今年はまだ冬の真っ只中の1月11日、アンナハチドリが巣材集めを始め、クモの巣に近づく姿が見られるようになった。

                     

                     

                    アンナハチドリ、蜘の巣に嘴入れる

                    クモの巣に嘴を突っ込み糸を取ろうとしてるアンナハチドリ ( Calypte anna )

                     

                    庭の身近な鳥として見慣れてるハミングバードが、家の壁沿いのグラウンドからたった10センチぐらいの低さの所で、ホバリングしながら何かを探してる姿を最初に見た時は「何をしてるのだろう?」と不思議に思った。双眼鏡で姿をじっくり追って見ると、初めてクモの巣を探していることが判った。クモの糸は多くの鳥が巣作りに使用する重要な材料の一つであることは知っていたが…。まさか小さいハミングバードまでが巣材にクモの糸を使うとは思ってなかった。

                     

                     

                    アンナハチドリ、蜘の糸引っ張る

                    嘴でクモの糸を挟み引っ張ってちぎろうとしてるアンナハチドリ

                     

                    グラウンドから5センチほどまでの低さまで少しづつ降りて行き、ホバリングしながら空中停止し、クモの糸を嘴で掴んで引っ張る動作はまさに曲芸的な技である。

                     

                     

                    アンナハチドリ、蜘の糸運ぶ

                    クモの糸を好みの長さに切ることはアンナハチドリにとって大変苦労する作業である。ホバリングしながら後ろへバックして糸がほぐれるまで引っ張るので、時には長い糸をそのまま不自由そうに運んで行くこともある。

                     

                     

                    アンナハチドリ、蜘の糸織り込む

                    運んできたクモの糸をどんどん巣に織り込んでいき、巣を木の枝に固定していく。

                     

                     

                    アンナハチドリ、巣の底補強

                    巣の底まで丁寧にクモの糸を織り込んで補強していく。

                     

                     

                    アンナハチドリ、綿を銜える

                    次は小さく軟らかい綿のような物を巣の底に敷いていく。

                     

                     

                    アンナハチドリ、巣の縁を作る

                    小さな枯葉を巣の淵に積み上げてクモの糸を絡ませ最後の仕上げに入っていく。

                     

                     

                    アンナハチドリ、座り心地チェック

                    巣に座りぐるぐる回りながら巣の中を平らにし、座り心地をチェックしている。

                     

                     

                    アンナハチドリの巣

                    ほぼ完成した巣、オスの協力は一切なく、雌一羽で一週間で作り上げた。巣は地上から2メートル半ぐらいの高さにあり、地衣や小さい枯葉と枯れ枝、鳥の羽根をクモの糸で織り込んで作られてる。

                     

                     

                    アンナハチドリ雌

                    巣を作り上げ、これから産卵に入る前の一休みするアンナハチドリ雌

                     

                    アンナハチドリは耐寒性のある小さな鳥(体長10センチ、キクイタダキと同じ)で、太平洋沿岸のカリフォルニアからカナダまでの海岸沿いの狭い地域で年間を通して冬でも見られ、多くのハチドリの様に中南米への渡りはしない。1950年代から繁殖地を北と東へ広げてきており、特に内陸の南アリゾナで数が増えてきている。郊外の公園や住宅地の庭に花や’フィーダーを掛ける所が多くなったのが数が増えた主な理由に挙げられてる。アリゾナで年間を通して見られるアンナハチドリは渡りはしないが、繁殖期が終わる晩春には暑い砂漠の夏を避けるためカリフォルニアの太平洋沿岸へ移動し、夏の終わり頃になると戻って来る。


                    春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(下)

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                      トレールを歩くヒラモンスター

                      春の早朝、トレールに出てきたアメリカドクトカゲ ( Gila Monster ヒラモンスター)

                       

                      暦の上で彼岸の中日である「春分」を過ぎ、大地が暖まってくると土の中の虫やトカゲ、ヘビなどが穴を開いて地上に出て来る。普段ほとんど見ることが出来ないアメリカドクトカゲも陽気に誘われメスを求めて日中に歩くので、時々出会えることがある。英名 "Gila Monster " (ヒラモンスター)の由来はアリゾナの北のヒラ川 ( Gila River ) にあり、「ヒラ川の怪物」という意味である。

                       

                       

                      スティックに嚙みつくヒラモンスター

                      ハイキング用スティックに嚙みつくアメリカドクトカゲ ( Heloderma suspectum )

                       

                      アメリカドクトカゲは主にアリゾナとカリフォルニアの乾燥した砂漠や荒れ地、特に大きな岩が多い荒涼とした斜面に生息する。2亜種がいるが、南アリゾナ・ソノラ砂漠で見られるのはアミメアメリカドクトカゲである。体長は40センチ以上あり、北米では一番大きなトカゲで、丸くて太い胴体をして丸くピンク色したビーズに似た鱗に覆われていて大変美しい。唯一毒を持つトカゲで、噛まれると激しい痛みと吐き気をもようすが、大人の場合は噛まれても死に至ることは稀である。しかし下顎の力は非常に強く、指を噛まれるとちぎれてしまうので、うっかり手や足を出すと大変なことになる。

                       

                       

                      岩場のヒラモンスター

                      繁殖期なのでメスを探し求めて歩くアメリカドクトカゲ

                       

                      一年の90%以上を地中の穴で暮らすアメリカドクトカゲ。地上に出てきて昼間でも活発に動くのは春の繁殖期の3週間ぐらいだけである。主にトカゲやヘビなど爬虫類の卵、鳥の卵や雛、小さな鼠などの哺乳類を食べるが、太い尾に脂肪を蓄えることが出来るので、4回から5回ぐらいの捕食で一年間過ごすことが出来る。のっしのっしとゆっくり歩くことが多いが、危険を感じると突然素早く動き始め、口を開けて「ハーハー」という噴気音をあげて威嚇することがある。ペット用(日本にも輸入されてる)として乱獲されたので、その生息数が減少しており、アリゾナ州では捕獲したり殺したり、飼育したりする事は州法で厳しく禁じられてる。

                       

                       

                      交尾中のトロピカルバックアイ蝶1

                      交尾中の蝶 " Tropical Buckeye " 上がオスで下がメスと思われる。

                       

                      ソノラ砂漠で春一番に見る蝶が " Tropical Buckeye " ( Junonia evarete )  である。ポピーが咲き出す2月初めには花畑を乱舞する姿が見られる。タテハチョウの仲間で別名 " West Indian Buckeye " " Florida Buckeye " とも呼ばれている。南フロリダから南テキサス、南アリゾナの地域のみに生息しているので、数は多くない。特徴である大きな目玉模様は捕食者であるタイランチョウやハエトリなど空中を飛んでる虫を食べる鳥たちを驚かすので大いに役立っている。

                       

                       

                      交尾中のトロピカルバックアイ蝶2

                      トロピカルバックアイ蝶 ( Tropical Buckeye ) はウイングスパン6センチの中型の蝶で、ちょくちょくグラウンドに降りて翅を広げてくれるので双眼鏡でゆっくり観察出来るが、フィールドで交尾する姿を見るのはなかなか難しい。

                       

                       

                      コモンバックアイ蝶

                      Common Buckeye (コモンバックアイ蝶 / Junonia coenia ) はトロピカルバックアイ蝶と非常に似ている。

                       

                      コモンバックアイ蝶は全米の広い地域で見られるポピュラーな蝶であるが、アリゾナではトロピカルバックアイ蝶の方が数が多い。この2種は大変よく似ていて、長い間同種と思われていた。大きな違いはコモンバックアイ蝶の大きな2つの目玉模様の周りの縁どりが白で目立つ、一方トロピカルバックアイ蝶の方は茶色でボヤーとした感じに見える。

                       

                       

                      風景 水の流れ

                      春にしか見られないソノラ砂漠の水の流れ。このテンポラリーの川は春が終わってドライサマーに入ると、乾ききって水が全くない "Dry Wash " と呼ばれる小石混じりの砂地となってしまう。

                       

                       

                      囀る姿ロードランナー

                      ポピーの花が咲き出すと、オオミチバシリ ( Great Roadrunner / Geococcyx californianus ) が岩の上や高い木の枝で囀り始める。

                       

                      ロードランナーは砂漠地帯に生息するアリゾナでは大変ポピュラーな鳥で、大きな足でグラウンドを歩きまわったり、時速30キロ以上のスピードで走ったりする。アニメやロゴマークによく使われるアメリカでは馴染み深い鳥で人気者でもある。カッコウの仲間であるが,他のカッコウの様に托卵はしないし頻繁に囀らない。ワイルドフラワーが咲く春の繁殖期には,低い声で「クークークー・・」と最後が消えるように下がっていく短くて冴えない囀りを繰り返す。フィールドでは風向きに寄ってよく耳をそばたてないと聞こえないほど小さい声である。

                       

                       

                      サワーロサボテンで囀るサボテンミソサザイ

                      サワーロサボテン ( Saguaro ) の天辺でメスを従えて高らかにテリトリーソングを歌うサボテンミソサザイ ( Cactus Wren / Campylorhynchus brunneicapillus )

                       

                      南テキサスから南アリゾナにかけての砂漠地帯に生息する。特にサボテンの多いソノラ砂漠は数が多く、庭の鳥でもある。フィーダーにはあまり来ないが、グラウンドで虫探しをしたり、ちょくちょく庭のパティオに入って来て壁や窓枠、窓のスクリーンなどに居る蛾や蝶、昆虫を捕っている。頭が良いのか、パティオではテーブルに飾ってある造花の中に顔を突っ込んで丹念に虫探しをしてる姿や、壁に掛けてある装飾品や温度計を突っついて,裏側に居る虫を落として食べてる姿も見かける。体長22センチで日本のミソサザイの2倍はある大きさで、しかも囀りは「ギョギョギョ…」と悪声であり、姿と囀りといい,とてもミソサザイとは思えない。

                       

                       

                      ルーシーアメリカムシクイ

                      3月に入ると春たけなわとなり、「砂漠のアメリカムシクイ」と呼ばれるルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler / Vermivora luciae ) が中南米から戻って来て囀り始める。

                       

                      主にアリゾナの砂漠で水の流れがあるメスケ ( Mesquie ) の低木を好み、春一番に囀るのでワイルドフラワー畑でルーシーアメリカムシクイの初音が聞こえてくると、まさに春を感じる。渡り鳥の中でも、一番早く戻って来て一番早く去って行ってしまう。

                       

                       

                      ベルズモズモドキ

                      モズモドキの中で一番早く中南米から戻って来て囀るベルズモズモドキ ( Bell's Vireo / Vireo bellii )

                       

                      ベルズモズモドキは中南米から大変早く南アリゾナに戻って来て、2ヶ月近く砂漠で囀り、5月になるとやっと営巣地の北へ移動して行く。葉の茂った低い灌木の中でエサ取りをするのと、色に特別な特徴がない地味な鳥なので見つけ難いが、鳴いてくれると特徴のある歌なので直ぐに識別出来る。多くのモズモドキと同じように、囀りは単調な一本調子でただ「ジュルジュルジュル・・・」という歌で、これを延々と続ける。朝早くから炎天下の暑い日中でも繰り返すので、しまいには耳障りになってくることもある。托卵鳥であるコウウチョウ ( Cowbird ) の托卵先の鳥なので、その被害が大きく総数が減少してきている。

                       

                       

                      ベニタイランチョウ

                      タイランチョウの中では春一番に囀るベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher / Pyrocephalus rubinus

                       

                      主に南テキサスと南アリゾナに生息するタイランチョウで、ソノラ砂漠では営巣する数が多い。ほとんどのタイランチョウはくすんだ茶色で地味であるが、ベニタイランチョウはまさに和名「ベニ」そのもので、鮮やかな紅色なので派手で美しい。スズメより少し大きい。3月に入ると早くも求愛飛行が始まり、翼をひらひらさせながらヒバリのように上昇し、囀りながらゆっくり平行飛行する姿は見ていてウキウキする春を感じる。

                       

                       

                      サワーロサボテンの花とハジロバト

                      巨大サボテン、サワーロ ( Saguaro ) の花の蜜を吸うハジロバト ( White-winged Dove / Zenaida astiatica )

                       

                      ワイルドフラワーが終わりになり、草や木の芽が若葉となる4月に入ると、いよいよソノラ砂漠の象徴サワーロサボテンの天辺や枝先に白い蠟細工のような花が咲き始める。花蜜が甘いので色々な鳥や蜂が集まって来る。なかでも春の終わりに渡って来るハジロバトはこの花が大好きで、よく花に嘴を入れてるのが見られる。ハジロバトはサワーロサボテンにとっては花粉を媒介してくれる重要な鳥でもある。ハジロバトはナゲキバト ( Mourning Dove / Zenaida macroura ) と同じ仲間であるが姿は全く異なる。体長は日本のキジバトより少し小さい。よく通る声で「ポッポーポッポー」と一日中鳴いてる。聞きなしは " Who - cooks - for - you " で、「君のために誰が飯を作るの?」という意味である。



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