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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その2)

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    アンナハチドリ最初の卵

    アンナハチドリの雌が巣に座り始めて3日後1月24日、まず最初の卵が産まれる。卵の大きさは長さ1.3センチ横幅77ミリでピンポン玉より小さい。雌親が体長たった10センチと小さいので卵も超小型である。

     

     

    アンナハチドリの巣の小灌木

    アンナハチドリが巣(赤丸)を作った小灌木 ( Butterfly Bush )

     

    寝室前のこの木はハミングバードがお気に入りの木で、毎年アンナハチドリ、コスタハチドリが交互に巣を作り雛を育てている。巣は地上2メートル半の高さで、冬の終りで葉はまだ茂ってないのでスカスカに見えるが、雛が育つ春にはしっかり葉も茂って巣が隠れるようになり、雛も直射日光から守られる。本能とは言え、葉が茂る日数計算をしながらしっかり巣作り子育てをしていく能力には驚く。

     

     

    アンナハチドリ2個目の卵

    最初の卵が産まれて2日後の1月26日、2個目の卵が産まれる。アンナハチドリは2個から3個の卵を産むが、我が家の庭では3個が産まれた巣は今だ見たことがない。

     

     

    抱卵中のアンナハチドリ

    巣に深々としっかり座って卵を温めるアンナハチドリの雌

     

    抱卵中のアンナハチドリは私が巣の真下でガーディニングや水撒きしようが、また横を通って巣の様子を見ようが、知らん顔でじっとしている。卵が孵化して雛が生まれるまで14日から19日は掛かる。2月初めはまだ南アリゾナの砂漠は日中は暖かくなっても朝晩は非常に冷えることがある。2月2日から4日までの3日間、早朝は2度、日中は7度と寒い日が続いたので心配したが、雌親はフィーダーで砂糖水を舐める短い時間以外はほとんど巣に座り続けていた。花が少ないこの時期にはフィーダーはハミングバードにとって貴重なエサとなる。

     

     

    アンナハチドリ生まれたての雛2羽

    生まれたての雛2羽、巣の中で二列に並んでる。抱卵してから18日目の2月13日、雛は孵化したばかりで、まだ羽もほとんど生えてない黒い体である。

     

     

    アンナハチドリ生れて6日目

    2月19日生まれて6日目の雛。だいぶ羽が生えて嘴もしっかりしている。

     

     

    アンナハチドリ生れて15日目

    生まれて15日目の2月28日の雛

     

    羽もすっかり生えそろって色も付き始め、目もしっかり開いてこちらを見ている。ハミングバードは花蜜を舐めるのに嘴を花の奥深く差し込むため、ホバリング(空中停止)する必要がある。そのため翼は最も重要な体の一部で、最初に大きくなっていく。小さな雛の体には不釣り合いな大きく長い刀のような形をしている。

     

     

    雌親からエサを貰うアンナハチドリ

    メス親からエサを貰う雛。まだ短い嘴を大きく開けて、花蜜やフィーダーの砂糖水に小さい虫を混ぜて流し込んでもらう。

     

     

    雛にエサ与えるアンナハチドリ雌

    エサ与えに忙しい雌親は休まる暇がない。早朝から夕方遅くまで巣に出たり入ったりしている。オスの協力は一切ないので、子育ては全て自分一人でやらなくてはならない、タフなシングルマザーである。

     

     

    巣の中で羽ばたくアンナハチドリ雛

    生まれて19日目の3月1日の雛

     

    すっかり大きくなり巣も手狭になってきたが、時々翼を上げたりしながら羽ばたきに似たまねごとをし始める。雛は日ごとにどんどん大きくなり小さな巣では居心地が悪くなって、自然と巣からはじき出されるように出て行くのが巣立ちなのだろう。雛が巣から離れて行く行程は意外と単純なのだろう。


    ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その1)

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      アンナハチドリ、蜘の巣に近づく

      クモの巣を見つけ、ホバリングしながら少しづつ近づくアンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) の雌

       

      我が家の庭では3種類のハミングバード(ハチドリ)が毎年巣を作り雛を育てている。「砂漠のハチドリ」と呼ばれるコスタハチドリ ( Costa's Hummingbird ) とノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird ) そして、カリフォルニアの流れ者アンナハチドリである。今回の話の主人公アンナハチドリは、コスタハチドリと同様巣作りが早く、12月に入ると早くも巣作りを始めるペアーもいる。我が家の庭でも今年はまだ冬の真っ只中の1月11日、アンナハチドリが巣材集めを始め、クモの巣に近づく姿が見られるようになった。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の巣に嘴入れる

      クモの巣に嘴を突っ込み糸を取ろうとしてるアンナハチドリ ( Calypte anna )

       

      庭の身近な鳥として見慣れてるハミングバードが、家の壁沿いのグラウンドからたった10センチぐらいの低さの所で、ホバリングしながら何かを探してる姿を最初に見た時は「何をしてるのだろう?」と不思議に思った。双眼鏡で姿をじっくり追って見ると、初めてクモの巣を探していることが判った。クモの糸は多くの鳥が巣作りに使用する重要な材料の一つであることは知っていたが…。まさか小さいハミングバードまでが巣材にクモの糸を使うとは思ってなかった。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の糸引っ張る

      嘴でクモの糸を挟み引っ張ってちぎろうとしてるアンナハチドリ

       

      グラウンドから5センチほどまでの低さまで少しづつ降りて行き、ホバリングしながら空中停止し、クモの糸を嘴で掴んで引っ張る動作はまさに曲芸的な技である。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の糸運ぶ

      クモの糸を好みの長さに切ることはアンナハチドリにとって大変苦労する作業である。ホバリングしながら後ろへバックして糸がほぐれるまで引っ張るので、時には長い糸をそのまま不自由そうに運んで行くこともある。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の糸織り込む

      運んできたクモの糸をどんどん巣に織り込んでいき、巣を木の枝に固定していく。

       

       

      アンナハチドリ、巣の底補強

      巣の底まで丁寧にクモの糸を織り込んで補強していく。

       

       

      アンナハチドリ、綿を銜える

      次は小さく軟らかい綿のような物を巣の底に敷いていく。

       

       

      アンナハチドリ、巣の縁を作る

      小さな枯葉を巣の淵に積み上げてクモの糸を絡ませ最後の仕上げに入っていく。

       

       

      アンナハチドリ、座り心地チェック

      巣に座りぐるぐる回りながら巣の中を平らにし、座り心地をチェックしている。

       

       

      アンナハチドリの巣

      ほぼ完成した巣、オスの協力は一切なく、雌一羽で一週間で作り上げた。巣は地上から2メートル半ぐらいの高さにあり、地衣や小さい枯葉と枯れ枝、鳥の羽根をクモの糸で織り込んで作られてる。

       

       

      アンナハチドリ雌

      巣を作り上げ、これから産卵に入る前の一休みするアンナハチドリ雌

       

      アンナハチドリは耐寒性のある小さな鳥(体長10センチ、キクイタダキと同じ)で、太平洋沿岸のカリフォルニアからカナダまでの海岸沿いの狭い地域で年間を通して冬でも見られ、多くのハチドリの様に中南米への渡りはしない。1950年代から繁殖地を北と東へ広げてきており、特に内陸の南アリゾナで数が増えてきている。郊外の公園や住宅地の庭に花や’フィーダーを掛ける所が多くなったのが数が増えた主な理由に挙げられてる。アリゾナで年間を通して見られるアンナハチドリは渡りはしないが、繁殖期が終わる晩春には暑い砂漠の夏を避けるためカリフォルニアの太平洋沿岸へ移動し、夏の終わり頃になると戻って来る。


      春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(下)

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        トレールを歩くヒラモンスター

        春の早朝、トレールに出てきたアメリカドクトカゲ ( Gila Monster ヒラモンスター)

         

        暦の上で彼岸の中日である「春分」を過ぎ、大地が暖まってくると土の中の虫やトカゲ、ヘビなどが穴を開いて地上に出て来る。普段ほとんど見ることが出来ないアメリカドクトカゲも陽気に誘われメスを求めて日中に歩くので、時々出会えることがある。英名 "Gila Monster " (ヒラモンスター)の由来はアリゾナの北のヒラ川 ( Gila River ) にあり、「ヒラ川の怪物」という意味である。

         

         

        スティックに嚙みつくヒラモンスター

        ハイキング用スティックに嚙みつくアメリカドクトカゲ ( Heloderma suspectum )

         

        アメリカドクトカゲは主にアリゾナとカリフォルニアの乾燥した砂漠や荒れ地、特に大きな岩が多い荒涼とした斜面に生息する。2亜種がいるが、南アリゾナ・ソノラ砂漠で見られるのはアミメアメリカドクトカゲである。体長は40センチ以上あり、北米では一番大きなトカゲで、丸くて太い胴体をして丸くピンク色したビーズに似た鱗に覆われていて大変美しい。唯一毒を持つトカゲで、噛まれると激しい痛みと吐き気をもようすが、大人の場合は噛まれても死に至ることは稀である。しかし下顎の力は非常に強く、指を噛まれるとちぎれてしまうので、うっかり手や足を出すと大変なことになる。

         

         

        岩場のヒラモンスター

        繁殖期なのでメスを探し求めて歩くアメリカドクトカゲ

         

        一年の90%以上を地中の穴で暮らすアメリカドクトカゲ。地上に出てきて昼間でも活発に動くのは春の繁殖期の3週間ぐらいだけである。主にトカゲやヘビなど爬虫類の卵、鳥の卵や雛、小さな鼠などの哺乳類を食べるが、太い尾に脂肪を蓄えることが出来るので、4回から5回ぐらいの捕食で一年間過ごすことが出来る。のっしのっしとゆっくり歩くことが多いが、危険を感じると突然素早く動き始め、口を開けて「ハーハー」という噴気音をあげて威嚇することがある。ペット用(日本にも輸入されてる)として乱獲されたので、その生息数が減少しており、アリゾナ州では捕獲したり殺したり、飼育したりする事は州法で厳しく禁じられてる。

         

         

        交尾中のトロピカルバックアイ蝶1

        交尾中の蝶 " Tropical Buckeye " 上がオスで下がメスと思われる。

         

        ソノラ砂漠で春一番に見る蝶が " Tropical Buckeye " ( Junonia evarete )  である。ポピーが咲き出す2月初めには花畑を乱舞する姿が見られる。タテハチョウの仲間で別名 " West Indian Buckeye " " Florida Buckeye " とも呼ばれている。南フロリダから南テキサス、南アリゾナの地域のみに生息しているので、数は多くない。特徴である大きな目玉模様は捕食者であるタイランチョウやハエトリなど空中を飛んでる虫を食べる鳥たちを驚かすので大いに役立っている。

         

         

        交尾中のトロピカルバックアイ蝶2

        トロピカルバックアイ蝶 ( Tropical Buckeye ) はウイングスパン6センチの中型の蝶で、ちょくちょくグラウンドに降りて翅を広げてくれるので双眼鏡でゆっくり観察出来るが、フィールドで交尾する姿を見るのはなかなか難しい。

         

         

        コモンバックアイ蝶

        Common Buckeye (コモンバックアイ蝶 / Junonia coenia ) はトロピカルバックアイ蝶と非常に似ている。

         

        コモンバックアイ蝶は全米の広い地域で見られるポピュラーな蝶であるが、アリゾナではトロピカルバックアイ蝶の方が数が多い。この2種は大変よく似ていて、長い間同種と思われていた。大きな違いはコモンバックアイ蝶の大きな2つの目玉模様の周りの縁どりが白で目立つ、一方トロピカルバックアイ蝶の方は茶色でボヤーとした感じに見える。

         

         

        風景 水の流れ

        春にしか見られないソノラ砂漠の水の流れ。このテンポラリーの川は春が終わってドライサマーに入ると、乾ききって水が全くない "Dry Wash " と呼ばれる小石混じりの砂地となってしまう。

         

         

        囀る姿ロードランナー

        ポピーの花が咲き出すと、オオミチバシリ ( Great Roadrunner / Geococcyx californianus ) が岩の上や高い木の枝で囀り始める。

         

        ロードランナーは砂漠地帯に生息するアリゾナでは大変ポピュラーな鳥で、大きな足でグラウンドを歩きまわったり、時速30キロ以上のスピードで走ったりする。アニメやロゴマークによく使われるアメリカでは馴染み深い鳥で人気者でもある。カッコウの仲間であるが,他のカッコウの様に托卵はしないし頻繁に囀らない。ワイルドフラワーが咲く春の繁殖期には,低い声で「クークークー・・」と最後が消えるように下がっていく短くて冴えない囀りを繰り返す。フィールドでは風向きに寄ってよく耳をそばたてないと聞こえないほど小さい声である。

         

         

        サワーロサボテンで囀るサボテンミソサザイ

        サワーロサボテン ( Saguaro ) の天辺でメスを従えて高らかにテリトリーソングを歌うサボテンミソサザイ ( Cactus Wren / Campylorhynchus brunneicapillus )

         

        南テキサスから南アリゾナにかけての砂漠地帯に生息する。特にサボテンの多いソノラ砂漠は数が多く、庭の鳥でもある。フィーダーにはあまり来ないが、グラウンドで虫探しをしたり、ちょくちょく庭のパティオに入って来て壁や窓枠、窓のスクリーンなどに居る蛾や蝶、昆虫を捕っている。頭が良いのか、パティオではテーブルに飾ってある造花の中に顔を突っ込んで丹念に虫探しをしてる姿や、壁に掛けてある装飾品や温度計を突っついて,裏側に居る虫を落として食べてる姿も見かける。体長22センチで日本のミソサザイの2倍はある大きさで、しかも囀りは「ギョギョギョ…」と悪声であり、姿と囀りといい,とてもミソサザイとは思えない。

         

         

        ルーシーアメリカムシクイ

        3月に入ると春たけなわとなり、「砂漠のアメリカムシクイ」と呼ばれるルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler / Vermivora luciae ) が中南米から戻って来て囀り始める。

         

        主にアリゾナの砂漠で水の流れがあるメスケ ( Mesquie ) の低木を好み、春一番に囀るのでワイルドフラワー畑でルーシーアメリカムシクイの初音が聞こえてくると、まさに春を感じる。渡り鳥の中でも、一番早く戻って来て一番早く去って行ってしまう。

         

         

        ベルズモズモドキ

        モズモドキの中で一番早く中南米から戻って来て囀るベルズモズモドキ ( Bell's Vireo / Vireo bellii )

         

        ベルズモズモドキは中南米から大変早く南アリゾナに戻って来て、2ヶ月近く砂漠で囀り、5月になるとやっと営巣地の北へ移動して行く。葉の茂った低い灌木の中でエサ取りをするのと、色に特別な特徴がない地味な鳥なので見つけ難いが、鳴いてくれると特徴のある歌なので直ぐに識別出来る。多くのモズモドキと同じように、囀りは単調な一本調子でただ「ジュルジュルジュル・・・」という歌で、これを延々と続ける。朝早くから炎天下の暑い日中でも繰り返すので、しまいには耳障りになってくることもある。托卵鳥であるコウウチョウ ( Cowbird ) の托卵先の鳥なので、その被害が大きく総数が減少してきている。

         

         

        ベニタイランチョウ

        タイランチョウの中では春一番に囀るベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher / Pyrocephalus rubinus

         

        主に南テキサスと南アリゾナに生息するタイランチョウで、ソノラ砂漠では営巣する数が多い。ほとんどのタイランチョウはくすんだ茶色で地味であるが、ベニタイランチョウはまさに和名「ベニ」そのもので、鮮やかな紅色なので派手で美しい。スズメより少し大きい。3月に入ると早くも求愛飛行が始まり、翼をひらひらさせながらヒバリのように上昇し、囀りながらゆっくり平行飛行する姿は見ていてウキウキする春を感じる。

         

         

        サワーロサボテンの花とハジロバト

        巨大サボテン、サワーロ ( Saguaro ) の花の蜜を吸うハジロバト ( White-winged Dove / Zenaida astiatica )

         

        ワイルドフラワーが終わりになり、草や木の芽が若葉となる4月に入ると、いよいよソノラ砂漠の象徴サワーロサボテンの天辺や枝先に白い蠟細工のような花が咲き始める。花蜜が甘いので色々な鳥や蜂が集まって来る。なかでも春の終わりに渡って来るハジロバトはこの花が大好きで、よく花に嘴を入れてるのが見られる。ハジロバトはサワーロサボテンにとっては花粉を媒介してくれる重要な鳥でもある。ハジロバトはナゲキバト ( Mourning Dove / Zenaida macroura ) と同じ仲間であるが姿は全く異なる。体長は日本のキジバトより少し小さい。よく通る声で「ポッポーポッポー」と一日中鳴いてる。聞きなしは " Who - cooks - for - you " で、「君のために誰が飯を作るの?」という意味である。


        春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(上)

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          //saguaro & Gold Poppy

          巨大サボテンサワーロ ( Saguaro ) が林立する日当たりの良い南斜面にメキシカンゴールドポピー ( Mexican Gold Poppy ) がパラパラと咲き始める。

           

          2月初め、暦の上で冬と春の境である「立春」を迎えると、春の花「ゴールドポピー」が咲き、ソノラ砂漠も春一色となっていく。「メキシカンゴールドポピー」は隣の州カリフォルニアの春の花として有名な「カリフォルニア・ポピー」( Carifornia Poppy / Eschscholtzia californica ) とよく似てるが、南アリゾナの砂漠に群生する亜種である。

           

           

          ゴールドポピーの畑 1

          トレールを歩く足元は南アリゾナ・ソノラ砂漠に春を告げるメキシカンゴールドポピー ( Eschscholtzia mexicana ) の花に一面覆われる。

           

          ソノラ砂漠の冬は12月中旬から1月末までの一ヶ月半程度と大変短い。暦の上で2月初めの「寒」が開ける頃には早くも春の兆しに包まれる。そして2月下旬ともなるとワイルドフラワーが一斉に咲き出す。ポピー畑が一面ゴールドの絨毯を敷いたようになると、まぶしいぐらい鮮やかで春の陽気に誘われ、心がウキウキしてわずらわしいコロナウイルス問題やソーシアルディスタンスなどをしばし忘れることが出来るので自然の恵みの有難さに感謝する。

           

           

          ゴールドポピー畑 2

          今年のソノラ砂漠の春はワイルドフラワーの咲が良く、3月初めには早くも野花のカーペットが楽しめた。

           

          「メキシカンゴールドポピー」は陽の光がないと花が咲かない。9時頃開き始めて午後遅くには閉じてしまう。曇りの日は咲が悪いが、ソノラ砂漠の春は曇り空の日がほとんどなく、一片の雲もない抜けるような青空の毎日なのでほとんど心配ない。この花は冬の雨量にその咲き具合が左右されるが、昨年の12月から雨の日が多かったので今春は豪華な花畑となった。

           

           

          White Tackstem

          ゴールドポピーに混じって咲くヒマワリの仲間 White Tackstem ( Calycoseris wrightii ) 白い花で花弁の裏側にピンク色のすじ模様が特徴。

           

           

          Scorpionweed

          白い White Tackstem に混じって咲くアリゾナ原産の Scorpionweed ( Phacelia crenulata ) 紫色のベルの形をした北米ハゼリソウの仲間。英名 " Scorpion " はカールしてる花の頭がサソリの尾に似てるところから付けられた。

           

           

          Blue Dicks

          砂漠のヒアシンスと呼ばれるユリの仲間 Blue Dicks ( Dichelostemma pulchellum ) アメリカインディアンはこの球根を食用としていた。

           

           

          Desert Chia

          ミントの仲間 Desert Chia ( Salvia columbariae ) 丸く密な花房の上に咲く紫色の小さいのが花で、粘液を分泌するので悪臭がある。アメリカインディアンはこの種を食用にしていた。

           

           

          Owl Clover

          Owl-clover ( Orthocarpus purpurascens ) の群生。キンギョソウの仲間で、砂漠のワイルドフラワーの根に寄生する。手で触れると、綿のようなふわふわした感触が何とも春を感じる。

           

           

          Monkey Flower

          水の流れ沿いに生える Common Monkey Flower ( Mimulus guttatus ) アメリカインディアンはこの葉をサラダにして食べていた。

           

          Fremonts Pincushiion

          ヒマワリの仲間 Fremont's Pincushion ( Chaenactis fremontii )

           

           

          Fleabane

          Fleabane ( Erigeron oreophilus ) 標高1300メートル以上の樫の森に群生するワイルドフラワーなので、800メートルから1000メートルのソノラ砂漠では珍しい。山からはるばる飛んで来た種から出てきたものと思われる。

           

           

          Mariposa

          ウチワサボテンの横に咲く Desert Mariposa ( Calochortus kennedy )

           

          3月末頃になるとポピーの花畑が終わり、他のワイルドフラワーの花も少なくなる。そして「4月の花」と呼ばれるマリポサ ( Desert Mariposa ) が咲き始める。色、形からして初夏の雰囲気を醸し出す花である。英名 " Mariposa " はスペイン語名をそのまま英語名にしたもので、「蝶」の意味である。

           

           

          Pincushion Cactus

          鮮やかなマゼンタ色が美しい Pincushion Cactus ( Mammillaria microcarpa )

           

          春の草花が終わると、ソノラ砂漠はいよいよサボテンの花の季節となる。別名 " Fish hook Cactus " とも呼ばれ、棘が釣り針のように先が曲がっていて刺さると非常に痛い。ラテン名 " Mammillaria " は茎の上についてる突起が乳頭に似てる所から付けられた。


          チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その4)最終

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            トレールを歩くオオミチバシリ

            アンザトレール(自然探索路)を横切るオオミチバシリ ( Greater Roadrunner )

             

            アメリカでは非常に馴染み深い鳥で、アニメによく登場するし、会社や商品のロゴマークにも使われてる。体の長さは日本のハシブトガラスと同じ、背中は黒褐色で白いまだら模様、真っ直ぐな尾が特徴。頭をおっ立てて長い首を前に突き出し、長い尾で舵を取りながら速足で歩く姿は大変愛嬌があって人気者である。グラウンドを時速15キロ以上のスピードでよく走る。地上での生活が多いのと、しかも背中の模様がカモフラージュされてるので、双眼鏡で探しても中々見つからないが、トレールを歩いている時、思わぬ所で出くわすと「プルルル・・・」という警戒音を発するのでびっくりさせられる。

             

             

            トカゲを捕らえたオオミチバシリ

            草むらでトカゲを捕らえたオオミチバシリ ( Geococcyx californianus )

             

            西側の南部の乾いた暑い砂漠に生息するオオミチバシリ、南アリゾナ、ソノラ砂漠は数が最も多く、ごく普通に見られる。そして庭にエサ取りにやって来るので身近な鳥でもある。カッコウの仲間であるが、托卵は行わないで自分たちで巣を作る。昔は " Ground Cuckoo " と呼ばれていた。主なエサはトカゲ、バッタなどの昆虫、サソリ、ネズミなどの小動物、時には猛毒なガラガラヘビも捕食するが滅多に食べない。

             

             

            メグロトウヒチョウ

            南アリゾナのごく一部にしか生息してないメグロトウヒチョウ ( Abert's Towhee / Pipilo aberti )

             

            日本のムクドリと同じ大きさで、南アリゾナの一部地域でしか見られない固有種である。乾いた砂漠の水が流れる場所を好み、臆病なので暗い灌木の茂みの中で静かに止まっており、エサ取りはグラウンドで行うことが多く、見つけるのに苦労する。近づくと鋭い声で「ピーピー…」とコール(地鳴き)をするので、それで初めて居場所が判ることが多い。主に甲虫類の虫、バッタ、セミなどを食べ、時には草や木の実を両足で割りながら食べている。

             

             

            エサ取りするインカバト

            鱗模様が美しいインカバト ( Inca Dove )

             

            体の長さ21センチで、日本のキジバトよりずっと小さく、スズメより大きい。テキサス南部から南アリゾナそしてメキシコに生息する小さいハトで、ソノラ砂漠では特に数が多く、街中の公園、農耕地などでよく見られる。スズメバト ( Common Ground Dove ) によく似ているので間違われることが多い。グラウンドを歩きながら草や木の種、果実を拾って食べる。「聞きなし」の "No Hope " と言われる「クーポー」と鳴く地鳴きをよく繰り返す。

             

             

            枝に止まるインカバト

            木陰で暑い砂漠の日差しを避けるインカバト ( Columbia inca )

             

             

            エサ取りするスズメバト

            グラウンドでエサ取りするインカバトによく似てるスズメバト ( Common Ground - Dove )

             

            和名は「スズメバト」であるが、体の長さはスズメより大きくヒバリと同じ大きさである。フロリダからテキサスの南部の牧草地や水の流れがある茂った林で生活している。主にグラウンドでエサ取りし、落ちてる草や穀物の種を拾って食べる。

             

             

            枝に止まるスズメバト

            翼の赤いすじ模様が特徴のスズメバト ( Columbina passerina )

             

            トレールを歩いていると、びっくりして飛び上がりバタバタという大きな羽ばたき音を出しながら近くの木の枝に止まることがあり、この時、特徴である翼の赤い色がよく見える。雄は暑い真夏の日中でも、短くソフトな声で「クークー」とひっきりなしに鳴く。近年その数が激減してきてソノラ砂漠でも見る機会が少なくなっているが、その原因がいまだに判ってない。

             

             

            虫を探すサメズアカアメリカムシクイ

            葉についてる虫を探すサメズアカアメリカムシクイ ( Orange - crowned Warbler / Vermivora celata )

             

            体の長さは日本のメジロより少し大きく、体全体がウグイス色でアメリカムシクイの中でも最も特徴がない。英名の由来である頭の天辺がオレンジ色 " Orange-crowned " はフィールドで見るのはなかなか難しい。ほとんどのアメリカムシクイが冬を中南米で過ごすが、サメズアカアメリカムシクイはアリゾナ、テキサスなどの北米の南部で過ごす。そのため冬になると我が家の庭のフィーダーや水場によくやって来る。特にフィーダーのエサとなるスエットやピーナツバターを非常に好む。大変好奇心が強い鳥で、口で「ピシピシピシ…」(Pishing ) という音を出すと、すぐ反応して近くの枝に飛んで来る。

             

             

            羽繕いするキヅタアメリカムシクイ

            水浴びをして羽繕いするキヅタアメリカムシクイ ( Yellow - rumped Warbler / Dendroica coronata )

             

            日本のシジュウカラと同じ大きさで、一番ポピュラーなよく知られてるアメリカムシクイである。ニューヨークなど東側で見られる " Myrtle "  (マートル)種と,アリゾナなど西側で見られる " Audubon " (オーデュボン)種の2亜種に分けられてるが、昔は完全な別種として区別されていた。前者の特徴は喉が白く顔に黒いマスクがあり、後者は喉が黄色である。夏の繁殖地はカナダやアラスカの針葉樹林帯で、冬は中南米へ渡らずに多くがアリゾナなどの北米の暖かい南部地域で過ごし、我が家の庭にもやって来る。エサは主に虫を捕食するが、冬になると月桂樹やビャクシン、ヤマモモ、ツタウルシなどの実を主に食べるようになるため、長い渡りをせずに北米の南部に留まる。

             

             

            オウゴンアメリカムシクイ

            水浴びに降りてきたアリゾナでは大変珍しいオウゴンアメリカムシクイ ( Prothonotary Warbler / Protonotaria citrea )

             

            昔は " Golden Swamp Warbler " と呼ばれており、主に東側南部のよどんだ沼に生息する派手なアメリカムシクイでこの名が付けられていた。英名 " Prothonotary " の由来はカソリック教会の書記(ジャーナリストのグループ)が着ていた明るい黄色のフードから付けられた。アリゾナでは冬に中南米へ渡っていく途中でごく稀に寄って行く旅鳥である。

             

             

            群れで水浴びルーシーアメリカムシクイ

            群れで水浴びする渡り前のルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler / Vermivora luciae )

             

            日本のメジロより小さく薄い灰色で目立たないが、南アリゾナの極暑の砂漠地帯で繁殖する唯一のアメリカムシクイである。冬を過ごす中南米への渡りは早いので、8月に入るともう群れを作って南下し始める。砂漠の " Wash " 沿いに生えるマメ科の " Mesquite " メスケ)の木を特に好むので、昔は " Mesquite Warbler " と呼ばれていた。このルーシーアメリカムシクイとオウゴンアメリカムシクイの2種類のみが営巣に木の洞や巣箱を利用する。

             

             

            水浴び中のノドグロハイアメリカムシクイ

            水浴び中のノドグロハイアメリカムシクイ ( Black - throated Gray Warbler )

             

            アリゾナから西側の雨量の少ない乾燥した開けた地域で常緑針葉樹「杜松」の仲間 Pinyon Pine やセイヨウビャクシン、樫、松などの森で多く見られる。ニューヨークなど東側では見られないので、アリゾナに来るバーダーにとってはぜひ見たいターゲットにするムシクイである。白黒の大変目立つアメリカムシクイであるが、松林の中では上手くカモフラージュされて見つけ難いし、シロクロアメリカムシクイ ( Black - and - White Warbler ) によく似ていて、初心者は間違えることが多い。目の上の黄色のスポットが特徴である。

             

             

            顔を水に浸けるノドグロハイアメリカムシクイ

            人が居ることなど丸っ切りお構いなし、思いっきり顔を水に突っ込んで大胆な水浴びするノドグロハイアメリカムシクイ ( Dendroica nigrescens )

             

             

            水に浸かって囀るノドグロハイアメリカムシクイ

            ノドグロハイアメリカムシクイ、水浴びをした後、気持ち良くなるのだろうか…鳥たちはよく囀る。しかし、水に浸かったまま、しかも、水浴びをしながら囀る姿は初めて見た。


            チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その3)

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              クロツキハエトリ横向

              水の上を飛ぶ虫を狙うクロツキヒメハエトリ ( Black Phoebe )

               

              チュマカコリ公園内には乾燥した南アリゾナの砂漠地帯では数少ない年間を通して流れる川 ( Santa Cruz River ) があり、ハエトリやタイランチョウ類の " Flycatcher " が渡りの時に多く来園してエサ取りをして行く。

               

               

              クロツキハエトリ後向

              クロツキヒメハエトリ ( Sayornis nigricans )

               

              体の長さ17センチ、日本のヒバリ ( Alauda arvensis ) と同じ大きさである。北米では唯一の黒いハエトリで、真っ黒なボディーに白い腹、小ざっぱりしたダンディーな鳥である。テキサスからアリゾナ、カリフォルニアの南でほぼ一年中見られる。川や池など水の上に張り出した低い枝に止まって、ゆっくり尾をポンプのように上げたり下げたりしながら水面上を飛ぶ虫を探す。

               

               

              クロツキハエトリ捕虫

              大きな虫を捕らえたクロツキヒメハエトリ

               

              主たるエサは虫で、川岸の低い枝にじっと止まって飛んでる虫を探し、見つけると素早く飛び出して空中でフライングキャッチする。また、時には水面に浮かんでる虫や小魚を捕ることもある。近年その数が増えてきており、人が住む所にも現れるようになったが、庭のフィーダーにはけっして来ない。数が増えてる要因の一つは、彼らが町の水再生処理場やゴルフ場、公園の池などの周りまで営巣場所を拡大していることにある。そして、最近では町のビルの庇や橋桁などに泥で作られた巣が見られるようにもなった。

               

               

              ベニタイランチョウ雄と雛

              ベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher ) の親子(雄と雛)

               

              英名は赤い色の「朱色」、" Vermilion " から付けられた。北米では " Flycatcher " の多くが茶色やウグイス色の地味な色であるが、ベニタイランチョウは鮮やかでカラフル。特に新緑の中で見る姿は大変美しく、南アリゾナでは人気の鳥の一種である。体の長さ15センチ、日本のシジュウカラと同じ大きさ。主に南テキサスから南アリゾナ、メキシコ、中南米にかけて生息しており、南アリゾナのソノラ砂漠では近年その数が増えてきている。彼らは乾燥した砂漠や草原で川の流れや人工の運河、池などがある場所を好む。比較的目立つ低い枝にじっと止まって空中を飛んでる虫を探し、見つけると飛び出して空中で飛びながら捕らえるので見つけやすい。

               

               

              雛にエサ与えるベニタイランチョウ

              雛にエサを与えるベニタイランチョウ雄 ( Pyrocephalus rubinus )

               

              主たるエサは昆虫であるが、特にミツバチを好んで捕食する。消化出来ない部分は「ペリット」の形で吐き出す。雌は年に2回繫殖するので、2回目の巣作り、産卵に入ってる間(7月・8月のモンスーン期)は雄が雛を連れてエサ与えなどの世話をする。ベニタイランチョウの雄の求愛行動は大変派手で特徴がある。木の高い所から体の羽毛、頭の羽全て膨らませ嘴を上に向けて空中を垂直に飛びながら上昇し、ホバリングしながら囀り、そして尾を広げゆっくり羽ばたきしながらメスのいる枝に降りてくる。

               

               

              Pacific-slope Flycatcher

              キノドメジロハエトリ ( Pacific-slope Flycatcher / Empidonax difficilis )

               

              体の長さは14センチでスズメと同じ大きさ。頭から背中にかけて緑掛かった薄茶色で、喉と腹から下が薄い黄色の特徴のないFlycatcher である。以前は " Cordilleran Flycatcher / Empidonax occidentalis " と同種で " Western Flycatcher " と呼ばれていたが、1989年2種類の独立種に分けられた。しかし、フィールドでの識別は大変難しく、目だけに寄る識別はほとんど不可能に近いので鳴き声のみでしか見分ける方法はない。冬はメキシコで過ごし、夏に主にカリフォルニアからカナダまでにかけての太平洋沿岸で営巣する。南アリゾナには春秋の渡りの時だけ通過する。

               

               

              Willow Flycatcher

              メジロハエトリ ( Willow Flycatcher / Empidonax traillii )

               

              北米では「メジロハエトリ」と呼ばれ、学名 " Empidonax " と言われる Flycatcher が11種類見られる。頭から背中にかけてはウグイス色から薄茶色で白いアイリングが特徴であるが、どれもこれも非常によく似ていて、鳴き声に寄る見分けが不得意のバーダーは識別に大変苦労する。そのため初心者、時には中級のバーダーでもこれらの Flycatcher を見つけると名前が判らず、学名を短くして「エンピ ( Empi ) 」を見たと報告する人が多い。所謂バーダー泣かせの鳥でもある。メジロハエトリ ( Willow Flycatcher ) は特に鳴き声に特徴があり、クリアーな囀り「フィッツビュー ( fitz-bew ) 」は一度聞くと忘れられない。この鳥も昔はキタメジロハエトリ ( Alder Flycatcher / Empidonax alnorum ) と同じ種類で " Traill's Flycatcher " と呼ばれていたが、1980年代に入ってそれぞれ2種類の独立種に分けられた。

               

               

              Swainsons Hawk

              アレチノスリ ( Swainson's Hawk / Buteo swainsoni )

               

              体の長さ53センチ、日本のノスリより少々大きい。チュマカコリ公園では秋の渡り時にハネビロノスリ ( Broad-winged Hawk / Buteo platypterus ) と群れで飛ぶ姿を見かける。毎年18000キロから27000キロの大変長い旅をするので、南米のアルゼンチンまで渡って行く個体もいる。渡りの時は、大きな群れで何日間もエサを食べないで旅が出来る。南アリゾナでは乾燥した荒れ地や草原、牧草地、農地などで見られる。主たるエサはバッタや毛虫などで、グラウンドを走りながら虫を捕らえる。また、鷹なのに空中を飛んでる虫を捕らえるのが上手い。繁殖期だけはネズミやヘビ、ウサギ、ジリス、鳥などを捕らえて雛に与える。時にジリスの巣穴に歩いて忍び寄りで近づきハントすることもある。

               

               

              オオアメリカムシクイと風景

              倒木に止まるオオアメリカムシクイ ( Yellow-breasted Chat )

               

              オオアメリカムシクイは体の長さ19センチ、日本のシメ ( Coccothraustes coccothraustes ) と同じ大きさである。ほとんどのアメリカムシクイ ( Wood Warbler ) が大きさ11センチから15センチと小さいので、オオアメリカムシクイの大きく太くて丸い体、しかも太い嘴と長い尾の特徴からして、とてもアメリカムシクイの仲間とは思えない。しかし、近年のDNA鑑定でもれっきとしたアメリカムシクイであることが証明されている。

               

               

              私を見るオオアメリカムシクイ

              頭上の枝から覗き込むように私を見るオオアメリカムシクイ ( Icteria virens )

               

              オオアメリカムシクイはほぼ全米で見られるポピュラーなアメリカムシクイであるが、繁殖期以外は臆病でコソコソ葉の密に茂った灌木の中に隠れじっとしているので非常に見つけにくい。唇で鳥の鳴き声のような「ピシピシピシ・・・」という音を出すと、時には見える枝先に出てきてこちらをチラッと見て、すぐ葉の中に隠れてしまうことがある。このアメリカムシクイがよく見れるのは繁殖期で、開けた枝に出てきて大きな声で騒々しくテリトリーソングを歌う。また、ホバリングしながら囀ることもあり、そして嘴と頭を上に向けて尾を上下に動かしながら空中を上がって行き、ゆっくり翼を羽ばたかせて降りてくる仕草を繰り返すので大変見易い。

               

               

              オオアメリカムシクイ囀る姿

              枝先でうるさく鳴くオオアメリカムシクイ

               

              オオアメリカムシクイは姿だけでなく囀りが独特で、とてもアメリカムシクイの仲間とは思えないほど変わっている。口笛のような「フィーフィーフィー…」から始まって、「ギーギーギー・・・」という金切り声、猫のような「ニャオー」そして「キョキョキョ・・・」、「ゲッゲッゲッ・・・」などを混ぜ合わせてゆっくりけたたましく、しかも滝のように囀りを降り注ぐ。まるで不協和音の即興ジャズのようで変化に富んで単純な節まわしの歌である。英名の " Chat " は「お喋り」という意味の " Chatting " から付けられた。

               

               

              セミ

              一斉に鳴き出すセミ ( Ground Western Cicada / Tibicen dorsata )

               

              夏のモンスーン期に入ると南アリゾナは激しい雷雨の日が多くなり、チュマカコリ公園もしっとりと草木が濡れ、セミが大量に発生する。一匹が鳴き始めると一斉に全員が加わり大合唱となる。「ジー・・・」という大きな声に林が包まれ、鳥の囀りも一切聞こえなくなる。南アリゾナは春・夏と年に2回営巣する鳥が多く、このセミは彼らの雛の重要な蛋白質源となる。


              チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その2)

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                Santa Cruz River

                メキシコから国境を越えて流れてくるサンタクルーズ川 ( Santa Cruze River )

                 

                チュマカコリ歴史公園のアンザトレールはサンタクルーズ川に沿って作られてるので、鳥たちが水浴びや水飲みに降りてくるスポットがいくつもある。南アリゾナでの水場は生き物にとって大変貴重で、しかも数が少ないので水辺に居ると色々な鳥たちに出会える。

                 

                 

                Coopers Hawk in river

                早朝、川の中にいるクーパーハイタカ ( Cooper's Hawk / Accipiter cooperii ) 雄

                 

                クーパーハイタカはカラスぐらいの大きさの中型の鷹で、短く丸い翼と長くて丸い尾が特徴。アシボソハイタカ ( Sharp-chinned Hawk ) とよく似ているので、鷹の渡りのカウントする時には識別に大変苦労する。成鳥の雄は胸から腹にかけての赤茶色の縞模様と濃い灰色の頭のコントラストが美しい鷹である。南カナダから北メキシコまでのほぼ北米全域に生息しており、落葉樹の森に好んで営巣するが、1970年代以降、町の公園や庭のフィーダーにも獲物(ハトやウズラ、リスなど)を狙ってよくやって来るようになった。この鷹は狩りの仕方が変わっていて、密集して葉が茂る枝を移りながら獲物に静かに近づき、そして急に力強く飛び立って急襲する。また、時々捕らえた獲物を水辺に運んで水に浸けて殺すこともある。

                 

                 

                川の中のササゴイ

                水中の小魚をじっと狙うササゴイ ( Green Heron / Butorides virescens )

                 

                アメリカのササゴイは日本のササゴイ ( Butorides striatus ) より小さい。しかし、首が濃い栗色で背中は緑色と色鮮やかで美しい。南アリゾナでは一年中見られる留鳥であるが、北に生息する個体は南へ渡りをし、中米パナマまで下りて冬を過ごすのもいる。

                 

                 

                ササゴイと赤トンボ

                ササゴイと夏の終わりを告げる赤トンボ ( Red Skimmer / Libellula saturata )

                 

                ササゴイは静かにゆっくり流れる川によく一羽でいることが多い。早朝など水辺のトレールを歩いてると、突然目の前から飛び出し「キョー」という大きな声を発するのでびっくりさせられる。そして驚いて警戒すると尾をピッと動かして頭の冠を立てる。

                 

                 

                水辺のルリイカル

                水辺に現れたルリイカル ( blue Grosbeak / Guiraca caerulea ) 雄

                 

                ルリイカルは体長17センチと日本のイカルよりずーと小さい。全身が陽に当たると目が覚めるような鮮やかなブルーで、幅の広い栗色の翼帯が大変目立つ美しい鳥である。しかし、日が照らない曇りの日に遠くから見ると、ただ全身が真っ黒にしか見えない。夏に中米から戻って来る渡り鳥で、ほぼ全米でごく普通に見られる。

                 

                 

                水を飲むルリイカル

                水辺で腰を下ろして静かにじっと待っていると、ルリイカルは私を気にすることなく、ゆっくり水を飲み始めた。

                 

                 

                川に降りてきたムラサキノジコ

                水浴びをしようと川に降りてきたムラサキノジコ ( Varied Bunting / Passerina versicolor ) 雄

                 

                ムラサキノジコは首が深い紅色、頭は青紫、胸は紫に近い深紅色、そして背中と翼は黒と色の変化に富んでいる美しいノジコである。同じ仲間ではないが、日本の夏鳥ノジコ ( Emberiza sulphurata ) と同じ大きさである。この鳥も陽に当たると非常にカラフルで美しいが、日が当たらない曇りの日は全身真っ黒にしか見えない。

                 

                 

                水浴び後のムラサキノジコ

                水浴びが終わってプルミング中のムラサキノジコ

                 

                この美しいムラサキノジコは夏鳥で、南アリゾナとテキサスのメキシコとの国境沿いの一部地域で、しかも水の流れがある棘の生い茂った雑木林でしか見られないので、南アリゾナに来るバーダーたちがぜひ見たいと探す憧れの渡り鳥である。営巣場所のテリトリーソングを囀る枝が棘のある木が多い林なので、近づくのに少々苦労する。しかし、この鳥は臆病でないので、ある程度近づければじっくり囀る姿が見れるし、主なエサは草や木の種なのでグラウンドに降りてエサ取りすることがあり、観察するチャンスはけっこう多い。

                 

                 

                ムラサキノジコの雌

                木の枝に止まって、下から伸びてる草の種を取って食べるムラサキノジコの雌。オスと違って茶色で地味である。

                 

                 

                川に降りてきたゴシキノジコ

                水浴びのため川に降りてきたゴシキノジコ ( Painted Bunting / Passerina ciris ) 雄

                 

                濃いブルーの頭、緑色の背中、そして喉から腹にかけての赤、これ以上派手な鳥は居ない…と思われるほど非常に目立つ鳥である。「天下一品の無比の鳥」という意味で " Nonpareil " とも呼ばれている。東海岸沿いの南部、ジョージア、フロリダからルイジアナ、テキサスにかけて主に生息しているが、近年南アリゾナでも少数であるが見られるようになった。昔は飼い鳥として大変人気があったが、現在は国の法律で捕獲、輸入が全て禁止されてる。しかし、メキシコや中米では、いまだに飼い鳥として密売されている。

                 

                 

                水浴びのゴシキノジコ

                顔を水中に入れての豪快なゴシキノジコの水浴び

                 

                ゴシキノジコは葉が密集している低灌木の低い枝に隠れるように止まっていることが多いので見にくいが、繁殖期には目立つ高い枝に止まって囀るのであまりの美しさにハッとすることがある。性格は少々激しく、特に雄はテリトリーの取り合いとなると凄い争いをすることがあり、殺し合うこともある。

                 

                 

                水に入るクロズキンアメリカムシクイ

                水に入る南アリゾナでは珍しいクロズキンアメリカムシクイ ( Hooded Warbler / Wilsonia citrina )

                 

                クロズキンアメリカムシクイは東側の河川や湖沼のある森ではごく普通に見られる夏鳥であるが、南アリゾナを含む西側ではごく稀にしか見られない大変珍しいアメリカムシクイである。「チュマカコリ歴史公園」では年に2〜3回程度は見れるチャンスがある。しかし、近年木材の伐採などによる営巣地の縮小やアメリカムシクイの巣を主に托卵先としているコゥウチョウ ( Brown-headed Cowbird / Molothrus ater ) の増加などによりその総数は減少してきている。

                 

                 

                水浴びするクロズキンアメリカムシクイ

                顔を上に向けて思いっきり水浴びするクロズキンアメリカムシクイ雄

                 

                クロズキンアメリカムシクイは葉の密集した小灌木の暗い低い枝に静かに居ることが多いが、私がニューヨーク在住時に郊外の営巣地で毎年観察した経験では、けっして臆病な鳥ではないように思われた。繁殖期には近くの枝でよく囀るし、グラウンドに降りてエサ取りしたり、飛び上がって空中の虫を捕らえたり、時には腰をかがめて観察している私の足元近くまで寄って来て囀ってくれたり…と非常にフレンドリーな親しみがわくアメリカムシクイであったことが思い出される。


                チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その1)

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                  チュマカコリ公園のフランシスコ教会

                  チュマカコリ国立歴史公園 ( Tumacacori National Historical Park ) のフランシスコ教会 ( Franciscan Churchi )

                   

                  メキシコとの国境に近い「マイフィールド」、チュマカコリ国立歴史公園はツーソン (Tucson) からハイウエイI−19を75キロ南へ下がった所で、メキシコ国境の町 Negales までは30キロの近さである。主要道路には中南米からの違法入国者及び麻薬運び人を取り締まるため検問所があり、身分証明書(パスポートかグリーンカード)の提示を求められるので、まさにメキシコとの国境沿いでのバーディングである。この公園は1752年メキシコを植民地にしていたスペインが北の要塞地として宣教師を送り開拓をして住み始めた場所で、もともと住んでいた " Oodham " と呼ばれる人々の生活方法を取り入れ、牧畜をしながら小麦やフルーツの木をたくさん植えて教会を建てた。公園内には当時のアドービレンガとプラスターそして木材を使って建てられた家屋や教会が保存されており、内部には当時の生活の様子などが見られるよう色々なものが展示されてる。南アリゾナの歴史そしてバーディングの両方が楽しめるスポットである。

                   

                   

                  チュマカコリ公園のフランシスコ教会鐘楼

                  フランシスコ教会 ( Franciscan Church ) の鐘楼

                   

                  スペインの入植者たちは原住民のインディアン、特にアパッチ族やヤキ族の襲撃に悩まされ、1800年代に入って他の地域へ移動し始めた。そして、メキシコがスペインから独立した後、米国との戦争に入り、1848年終戦と共に米国はメキシコからアリゾナを15百万ドルで取得する取引が成立、そしてアリゾナは米国の州の一つとなった。

                   

                   

                  ミュージアム看板とツバメ及び巣

                  歴史公園のミュージアム入口、ツバメの巣(赤い矢印)と看板に止まるツバメ(黄色の矢印

                   

                  ツバメ ( Barn Swallow / Hirundo rustica ) は夏になると南米から戻って来る渡り鳥で、市街地周辺や人家、店舗などの建造物に営巣する。日本で夏に見られるツバメ(亜種の Hirundo rustica gutturalis ) と同じ仲間である。紺碧の空、古い教会の建物、鐘楼の周りを飛ぶツバメの姿は夏の到来を感じ、見ていて嬉しくなる。

                   

                   

                  ドアーに止まるツバメ

                  ミュージアム入口ドアーで出迎えてくれるツバメ ( Barn Swalliow )

                   

                  ツバメは夏になると街中でもかなりの数が見られる。大きなスーパーマーケットや店舗がたくさん入ってるモールの建物に巣を作り雛を育てている。多くの人々が出入りするスーパーマーケットなどは、さすが出入り口の上などには巣が作れないよう針金を張り巡らしているが、その他のカート置き場などの天井近くには椀型の巣がたくさん作られている。巣の雛を見守る親ツバメが時々カートに止まってることがあり、身近に暮らしてる鳥の感じがして思わず " How are you? " と声を掛けたくなる。買い物客がふっと足を止めて雛にエサを与える親ツバメの姿を見てる光景は実に良いものだ。

                   

                   

                  アンザトレール入口

                  アンザ自然探索路 ( Anza Trail ) の入口

                   

                  チュマカコリ国立歴史公園にはサンタクルーズ川 ( Santa Cruz River ) 沿いにチュマカコリ公園からチュバック要塞州立歴史公園 ( Tuback Presidio State Historic Park ) まで7キロのアンザ自然探索路が作られあり、気楽な自然散策やバーディングが出来る。

                   

                   

                  風景ーアンザトレール

                  ポプラの仲間ハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) や Willow が密集して鬱蒼とした緑のアンザ自然探索路、ここは " Santa Cruz River Valley " と呼ばれている。

                   

                  近年、アンザ自然探索路 ( Anza Trail ) はメキシコ種の珍鳥バラノドカザリドリモドキが2017年夏から毎年巣作りをしており、じっくり観察出来るスポットなのでバーダーたちの間で一躍有名になった。バラノドカザリドリモドキの巣はオフィシャルな自然探索路から少し外れた所にあり、バーダーたちが下草を刈って切り開いたテンポラリーのトレール沿いで、" Social Trail " と呼ばれている。赤いリボンの目印が結ばれており、全米からこの珍鳥見たさにやって来るバーダーたちに判りやすくしてある。昨年は2組の巣が見つかり、年々少しづつ増えてるのかもしれない。

                   

                   

                  バラノドカザリドリモドキ雄

                  メキシコ種の珍鳥バラノドカザリドリモドキ ( Rose-throated Becard / Pachyramphus aglaiae ) の雄

                   

                  アンザ自然探索路 ( Anza Trail ) で見られる南アリゾナの夏鳥を数回に分けて紹介してゆきたい。まずトップはバラノドカザリドリモドキ。この美しいメキシコ種は近年アンザ自然探索路を有名にした鳥である。メキシコからコスタリカにかけての中米に主に生息し、雄は喉がバラ色で美しく、中米で見られる " Tityridae " 種の仲間である。そしてこのバラノドカザリドリモドキは唯一の北米で見られる " Tityridae " 種である。

                   

                   

                  昆虫銜えて飛ぶバラノドカザリドリモドキ雌

                  バッタを銜えて巣へ運ぶバラノドカザリドリモドキの雌。雄のような派手さはないが、灰色と茶色、地味で大変可愛らしい。

                   

                   

                  草に止まるバラノドカザリドリモドキ雌

                  エサ取りのため低い草に降りてきたバラノドカザリドリモドキの雌

                   

                  バラノドカザリドリモドキのエサの捕り方は、葉の茂った大きな木の枝でじっと虫を探し、見つけると飛びながら葉についてる虫を捕り、枝に戻って食べる。時々短くホバリングしながら空中で飛んでる虫を捕ることもある。特に繁殖期には低い草木に下りて来てエサ探しをすることもあり、この珍鳥をじっくり観察が出来るチャンスである。

                   

                   

                  バラノドカザリドリモドキの吊り巣

                  高い木の枝先(地上15メートルの高さ)にぶら下がるように作られてるバラノドカザリドリモドキの吊り巣(赤い矢印

                   

                  巣は大きなフットボールの形をしていて、垂れ下がってる枝の先にぶら下がってる。遠くから見てもよく目立つ巣なので、巣を見て初めて今夏もバラノドカザリドリモドキが現れた…と判ることが多い。巣の大きさは高さ65センチから75センチ、幅は25センチから30センチである。巣の出入り口の穴は最初上横と底の二か所に作られており、巣が出来上がって来ると上の穴を塞ぎ下の底の穴を修理して一か所の出入り口にする。

                   

                   

                  巣から飛ぶバラノドカザリドリモドキ雌

                  大きな巣から飛び立つバラノドカザリドリモドキの雄

                   

                  バラノドカザリドリモドキの雄は体長18センチで日本の夏鳥オオヨシキリと同じ大きさであるが、黒い頭とピンクの喉が目立つダンディーな鳥である。しかし、高い木の天辺キャノピーの近くに静かに止まってることが多いので人目につかず少々見るのが難しい。しかし、繁殖期には巣材運びをしたり、巣の近くの枝で葉についてる虫をバタバタと羽ばたきしながら捕ることがあるので見れるチャンスが多い。私が中米コスタリカで何回も見たバラノドカザリドリモドキの雄は喉がピンクでなくて黒であった。たしか図鑑も黒であり、たぶんコスタリカで冬を過ごすのは冬羽に換羽した成鳥か幼鳥が多いのかもしれない。

                   

                   

                  ウタイモズモドキ

                  ウタイモズモドキ ( Warbling Vireo / Vireo gilvus )

                   

                  英名 " Vireo " 学名も同じ " Vireo " 和名「モズモドキ」。モズの仲間ではないが、短くて頑丈で先が曲がった嘴がモズに似ていて近い種類である。大きさは日本の冬鳥のジョウビタキと同じである。英名 " Warbling " は囀りが早いリズムでアップアンドダウンがあり陽気で明るいアメリカムシクイ ( Wood Warbler ) に似ているところから付けられた。中南米で冬を過ごし、北米には夏鳥として到来する。営巣地域は大変広く、ほぼ全米にわたっており大変コモンであるが、南アリゾナでは数が少ない。背中は灰色のウグイス色で、胸から腹にかけて白い地味な鳥で、鳴き声はよく聞こえて来るが、カモフラージュされてるので、姿を見つけるのに少々苦労する。このため少々鳥を知ってる人や初心者のバーダーにもほとんど名前を知られてない鳥でもある。主に虫を食べ、大きな落葉樹が好きで、高い所で静かに動きながら虫を丹念に探して捕まえる。

                   

                   

                  ナツフウキンチョウ雄

                  ナツフウキンチョウ ( Summer Tanager / Piranga rubra )

                   

                  体長20センチで日本のコムクドリの大きさ。雄は全身が大変目立つ輝くような赤色であり、川が流れる水辺の森を好む。冬は主に南米で過ごし、ブラジルまで遠くへ行くのもいる。そして夏には北米に戻って来て広い地域で営巣する。派手な赤色で識別に苦労しないが、大きな木の高い所でゆっくり動き,しばしば葉に隠れるようにじっとしてるので見つけるには忍耐が必要である。主に蜜蜂や大きなスズメバチを好み、空中を飛んでる蜂を飛びながら捕ることがあるので、この時が見れるチャンスでもある。スズメバチを狙う時はしばしば巣に載ってスズメバチを捕らえ、それを枝でこすって毒針を取り除いて食べる。また、養蜂家の蜜蜂箱の幼虫も狙うこともあり、養蜂家には嫌われてる鳥である。


                  雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その4)最終

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                    コスタハチドリの雛眠る

                    大雪が降った一週間後の3月5日(2019年)、生き残った一羽の雛は無事大きく育って、暖かい春の陽に当たり気持ち良さそうに眠っていた。

                     

                    コスタハチドリの成鳥は低い気温に耐えられる体の機能を持っている。夜、気温が低くなると心拍数を低く落とし、体温を下げて " torpid " と呼ばれる休眠状態となる。通常の心拍数は1分間に500回から900回であるが、休眠状態の時は1分間50回まで落ちる。そのため零下5度近くまでは耐えられる機能を持っている。それにしても、あの大雪の中を耐え忍んだこの生き残りの雛一羽、その強靭さには驚く。

                     

                     

                    雛にエサを与えるコスタハチドリ雌親 1

                    雛にエサを与えるメス親

                     

                    メス親が雛に与える主たるエサは花蜜と小さな虫で、ソノラ砂漠では少なくとも22種類の花に来て花蜜を舐める。その中でも特に好む花はチュパロサ ( Chuparosa ) とオカティーヨ ( Occotillo ) である。花の上でホバリングしながら嘴を花に差し込んで花蜜を舐めて喉の袋に溜め、そして空中を飛ぶ小さな虫をフライングキャッチし、それを混ぜ合わせて雛に与える。

                     

                     

                    雛にエサを与えるコスタハチドリの雌、2

                    雛の口の奥深く嘴を差し込んでエサを流し込むメス親

                     

                    ソノラ砂漠で繫殖する一部のコスタハチドリは、秋に砂漠を離れて太平洋沿岸沿いや花の多い地域に移動する。しかし、近年フィーダーを庭に置く家が多くなったので渡りをせずに真冬でも砂漠に残っており、我が家の庭でも一年中見られる。

                     

                     

                    巣で休むコスタハチドリ親子

                    午前10時を過ぎると、雌親は早朝のエサ与えが終りひと段落、満腹でウトウトする雛の横でゆっくりくつろぐ。

                     

                     

                    巣立ち前日のコスタハチドリ雛

                    巣立ち前日の3月11日、雛はすっかり大きくなってメス親と変わらない顔と姿である。警戒心もかなり強くなって、私が右へ左へ動くと,顔を右へ左へ回してこちらを見ている。

                     

                     

                    巣の淵に這い上がったコスタハチドリ雛

                    3月12日の早朝、雛は巣から体を乗り出して巣の淵に登り、いよいよ巣から離れる準備をし始めた。

                     

                     

                     

                    巣を離れたコスタハチドリ雛

                    30分後、雛はいよいよ巣から隣の枝へ飛び移った。たった1メートルほどの移動だが、初飛びというより初ジャンプであった。

                     

                     

                    巣立ちして最初のエサを貰う雛

                    巣を離れて初めてメス親からエサを貰う雛

                     

                     

                    雛に近づくコスタハチドリ雄 1

                    雛が巣を離れて3時間後、突然どこからともなくコスタハチドリの雄が現れ、興奮して頭を紫色に輝かせて雛の周りをホバリングしながら飛び回った。

                     

                    雛の世話をするのは全てメス親だけで行い、しかも一夫多妻なので雄親は巣の周りからさっさと姿を消していた。巣立ちしたばかりであるが、雛はメスなので雄は Mating の相手と思い興奮して頭と喉、ジョーゼットを膨らませ紫色に輝かせて求愛行動をしたのだろう?・・・と思われた。

                     

                     

                    雛に近づくコスタハチドリ雄 2

                    5分間ぐらいの短い時間であったが、コスタハチドリの雄は何回も雛をチェックしていた。

                     

                    雛の周りを飛び回っていた雄は雛が知らん顔して反応がないのでやがて飛び去って行った。コスタハチドリのコートシップディスプレー(求愛飛行)は非常に激しく、メスの周りをぐるぐる回り上空へ真っ直ぐ飛び上がって広いU字型で急降下する。しかも金属光沢する紫色のジョーゼットをメスに効果的に見せられるよう陽に当たるアングルで行う。そして枝に止まってるメスの僅か2.5センチ以内の近さを猛烈な勢いで通り過ぎて、広い”U”字形を描くようにして又急上昇して行く。それと同時にハイピッチの口笛のような声で鳴く。

                     

                     

                    チュパロサに止まるコスタハチドリ雛

                    成鳥のメスとほとんど同じ大きさと色になった巣立ちして一週間後のコスタハチドリ雛

                     

                    雛にとって自分でホバリングしながら花の蜜を舐める動作は大変難しい。メス親の動作を見よう見まねで試みるが、すぐ疲れるらしく小さな枝に止まって休むことが多い。無事に大きくなって、庭で親と同じように彼女もまた巣を作って子育てしてほしい…と願う気持ちでシャッターを切った。飼育下でのコスタハチドリの一番長生きしたのは「14年」という記録がある。あの大雪の中、懸命に生き残った雛である、無事巣立ってくれた姿を見ると感無量である。


                    雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その3)

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                      コスタハチドリ雛孵化

                      2月19日(2019年)コスタハチドリの雛2羽が孵化する。全身真っ黒な塊で羽もなく、ハミングバードとはとても思えない。

                       

                       

                      Saguaro と降る雪

                      ソノラ砂漠に春の大雪が降る

                       

                      2月「立春」が過ぎると、ソノラ砂漠は初夏をを思わせる暖かい日が続いたが、2月22日明け方から雪が降り始め一日降り続いてこの時期には珍しい何十年ぶりの大雪となった。ソノラ砂漠を象徴するサワーロサボテン ( Saguaro ) に雪が降り積もる光景は珍しくて美しいが、ハミングバードにとっては厳しい天気で、死活問題となる。

                       

                       

                      雪降るなか巣の雛

                      2羽いる雛の巣の上にもドンドン雪が積もっていく。雌親は巣に座るのを諦め、近くの大きな木の茂みに入ってじっとしていた。

                       

                       

                      雪で倒れた枝と巣

                      雪は午後になっても降りやまず、ついに雪の重さで巣のある枝が斜めに倒れた。しかも、巣が横向きになってしまったので雛は巣から落ちそうになり、それでも懸命に巣にしがみついていた。

                       

                       

                      雪の中のフィーダーとハチドリ

                      積雪で花蜜が取れない雌親は、しんしんと降る雪に中、フィーダーに来て盛んに砂糖水を舐めて体を温めていた。花が少なく花蜜の出が悪い冬は、ハミングバードにとってフィーダーの砂糖水は命綱である。

                       

                       

                      雪降る庭の風景

                      夕方近くになっても雪は降り続き、庭木もすっぽり雪に包まれてしまった。

                       

                       

                      庭から見るプリザーブ雪景色

                      2月末としては何十年ぶりの大雪も、夕が遅くにはやっと止み、ソノラ砂漠は白一色となった。

                       

                       

                      雪の庭木に止まるハチドリ

                      雪が止んだ夕方遅く、巣の近くの枯れ枝に止まりボー然としているコスタハチドリの雌親。

                       

                       

                      雪搔きする留見子

                      夕方、雪が小やみになったので巣のある Butterfly Bush の木に積もった雪を払い落とし、横向きになった巣の枝を真っ直ぐ元の位置に戻す。巣の横で「助けてくれ!」と言わんばかりに,じっと我々を見ていたコスタハチドリの雌の姿がとても印象的だった。

                       

                       

                      残ったハチドリ雛一羽

                      翌日2月23日、雪はすっかり融けてなくなり、巣は乾いて元の形に戻ったが、残念ながら雛1羽は寒さで死んでしまった。

                       

                       

                      巣に座るコスタハチドリ

                      何事もなかったかのように巣に戻って雛を温める雌親

                       

                      大雪が降った翌日は暖かい春の日差しが戻ってすっかり雪は融けてなくなり、昨日の積雪がウソのような感じがした。寒さで死んでしまった一羽の雛はそのまま巣の底に横たわって、その上に生き残った雛一羽と雌親が座っていた。小さいコスタハチドリには死んだ雛を巣の外へ出すのは不可能なので仕方ないことなのだろう。幸いに冬の乾期なので蠅のような虫はおらず、乾いて巣の底の一部となってしまった。



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                        藤波
                      • 春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(上)
                        imakarayarou
                      • チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その4)最終
                        imakarayarou
                      • チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その1)
                        藤波
                      • チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その1)
                        imakarayarou
                      • 雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その4)最終
                        imakarayarou
                      • 雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その3)
                        藤波
                      • 雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その3)
                        imakarayarou
                      • 豪華なワイルドフラワーに沸く2019年春のソノラ砂漠 (上)
                        藤波
                      • 謹賀新年 2020年南アリゾナ・ソノラ砂漠の元旦
                        藤波

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