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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その5)最終

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    雌親に甘える雛
    雛は腹が膨れると雌親に甘えるしぐさをする。
    上を見つめる雛
    上をじっと見つめて懸命に雌親を探す雛
    嘴を付け合う雛と雌親
    背中の玉虫色の青銅色が美しい雌親

    ハミングバードは巣作りから抱卵、子育て全てメス親だけで行う、オスは一切協力しない、所謂「シングルマザー」なのである。メスが巣作りを始めるとオスは巣の周りから姿を消し、庭では全く見られなくなった。
     
    雛にエサを与える雌親
    黄色い花粉がべったりついてる嘴を雛の口の中へ入れエサを与えている。
    枝から落ちそうな雌親
    エサをもらう雛が「もっとくれ!」と言わんばかりに嘴を離さない。雌親は枝から落ちそうになり慌てて翼を広げバタバタする姿を見てて思わず笑ってしまった。
     
    雛にエサを与える雌親
    広い砂漠のフィールドではほとんど見ることが出来ない雌親のエサ渡しの姿であるが、今年は庭で子育てをしてくれたので、しっかり観察することが出来た。
     
    ホバリングしながらエサ渡し1
    雌親はホバリング(空中停止)しながら雛にエサを与える。ハミングバードが得意とする業である。
    ホバリングしながらエサ渡し2
    雌親の曲芸的なエサ渡し

    ハミングバードは飛ぶことが大変上手である。尾で舵を取りながら上下、左右、前方、後方、そして宙返りなど自由自在に飛ぶことが出来る。エサ取り方法はホバリングしながら花に長い嘴を差し込んで花蜜を舐める。この時の翼の羽ばたきは八の字を描きながら一秒間に80回以上と、目に留まらぬ速さである。
     
    雛の後ろでホバリングする雌親
    メス親はじっとして動こうとしない雛の周りをホバリングしながらぐるぐる回る。まるで「じっとしてないで、飛ぶ練習をしなさい・・・」と𠮟咤激励しているようである。
     
    羽ばたく雛
    雛はまず翼を広げてゆっくり羽ばたく練習から始めている。そして、もう一段遠くへ飛ぼうと試みる。

    ほとんどのハミングバードは冬になると中南米へ渡りをするが、アンナハチドリの多くは営巣が終わると一時的に西側のカリフォルニアへ移動し、夏の終わりごろにまた南アリゾナに戻って来る。
     
    チュパロサに止まる雛
    巣立ちした雛は夕方には飛ぶ距離を少し延ばして、花蜜が良く出るチュパロサまで来た。

    巣立ちして10日もたつと、雛は自分で花蜜を舐めようと努力し始める。まだ、花の前でホバリングする「力」が弱いので、細い茎に止まったまま花に嘴を入れ花蜜を舐める。アンナハチドリの平均寿命は8.5年(飼育下だと15年)で、小さい体としては長生きをする。

    ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その4)

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      コスタハチドリ雛初飛び
      巣から隣りの木へ、いよいよ雛の巣立ちの初飛行

      孵化してから20日目の4月18日朝、2羽のうち1羽が巣の淵に上がって2メートル横隣りの小灌木へ初めての飛行をした。「飛ぶ」と言うよりも、高い巣から低い枝へ小さな翼をバタバタさせながら落ちて行く・・・といった感じである。多くの小鳥たちは親が雛を誘導しながら巣立ちさせるが、ハミングバードは雌親がエサ取りで留守の間、雛は自分で決め、勇気を奮って「エイヤ!」といった感じで初飛びをしたように思えた。
       
      初めて枝につかまるコスタ雛
      巣から飛び降りやっと枝につかまる雛

      初飛びを決行したのは良いが、「枝に止まる」という動作は彼らにとってその次にやらなくてはならない難しい行動である。何しろ、体に触れた木の枝ならどれでもよいらしく、手当たり次第に足でつかむ・・・といった感じであった。
       
      こちらを見るコスタ雛
      枝につかまってやっと体勢を立て直すことが出来た。

      雛はバタバタしながらも枝にしっかりつかまって揺れる体を抑えることが出来た。一段落したところで周りを見渡し私の存在に気が付いたらしく、本能的に少し警戒をした顔でこちらを見ていた。
       
      雛の周りを飛ぶコスタ親
      雌親は暫くの間巣から離れた雛を探していたが、やっと細い枝にじっとしてる雛を見つけた。

      巣から出た雛を雌親はコール(地鳴き)しながら探す。雛はそれに返答するかのごとくコールするのであまり苦労せずに見つけることが出来た。巣を離れた雛と巣に残っているもう一羽の雛の2か所へのエサ運びは「シングルマザー}のメス親にとってますます忙しくなる。
       
      雛に近づくコスタ親
      雛は雌親が近づくと,鋭いきしるような声で「ジリジリ・・・」とコール(地鳴き)しながら自分の居場所を親に知らせる。
       
      嘴を付け合うコスタ雛と親
      細くて長い嘴を雛の嘴の先にくっつけて水を飲ませている。
      雛にエサ与えるコスタ親
      雛の口の中へ長い嘴を深く入れて花の蜜に小さい虫、そして水を混ぜて流し込んでいる。
      雛から離れるコスタ親
      巣立ちした雛へのエサ与えが終わると、巣に残っているもう一羽の雛へエサを与えるために飛んで行く。均等に2羽の雛にエサを与えなくてはならないので「シングルマザー」は忙しい。

      ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その3)

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        アンナハチドリの雄
        頭と喉、ジョーゼットが美しいアンナハチドリの雄

        アンナハチドリ雄のメタリックな深紅色はハッとするほど美しいが、陽に直接当たるか、興奮している時でないと輝かず、暗い日や日陰を飛んでる時は黒い色にしか見えない。雄のコートシップ(求愛行動)は猛烈で、40メートルも空中高く急上昇して、時速27メートルの凄い勢いで急降下する。最後は尾羽の外側を広げて「ジージージー)という大きな機械音を出す
         
        滝で水浴びアンナハチドリ雌
        滝の流れ落ちる水をホバリングしながら体に浴びる雌親

        ハミングバードの水浴びは、飲み水と同じく流れている水でないとダメ。ホバリング(空中停止)しながら少しづつ流れる水に近づき、しぶきを翼や体に浴びる。陽が当たって暑く成った巣の雛を濡れた体で冷やすために、雌親は体全体に水を浴びて直ぐ巣に戻って行く。日中の気温が30度を超すと、巣と滝の間を行ったり来たり何回も繰り返していた。
         
        巣に座る雌親
        雌親は翼を広げて直射日光から雛を守る

        4月中旬を過ぎると日中の陽射しは大変強く、気温も30度を超す日が多い。雌親はボディーと翼に水をたっぷり浴びて巣に戻り、翼を大きく広げて巣の上から被さって、強い日の光と高温から雛たちを守っている。
         
        巣のアンナハチドリ雛1
        翼、頭の羽が生えそろい、目もしっかり開けて上を向いてる2羽の雛

        アンナハチドリの雄はハミングバードの仲間ではめずらしくさえずりをする。声は良くないがギシギシした甲高い声で「ジージー」と鳴く。しかし、雄は巣作りはもちろん、抱卵、雛へのエサ与えなど子育てに関しては一切協力しない。雌が巣作りを始めると、その周りから姿を消し、別のメスを追い求める。
         
        巣のアンナハチドリ雛2
        左側の大きな雛はアンナハチドリメスの特徴である喉のジョーゼットの小さい部分が既にポチンと見られる。また、右側の雛の喉は既に白黒の縞模様が見られるので多分オスと思われる。
         
        巣の全体像
        雌親が雛にエサを与える時、必ず好きなスポットの枝に止まる。その枝先から、私も巣の雛たちを見てみた。

        4月は午後になると北西の強い風が吹く日が多い。時々風速80キロの突風が吹くこともあり、巣のある小灌木は大きく揺れて、巣がかなり斜めになるので雛が巣から落ちるのでは?・・・とハラハラさせられる。こんな時メス親は巣に座っておることが出来ず、近くの揺れの少ない木へ移動して、じっと風が弱まるのを待ちながら雛たちを見守っている。雛たちは姿勢を低くしてペチャンコに伏せ巣にうずもれる格好で巣から落ちないよう踏ん張っている。夜中に強風が吹く音で目が覚めることがあるが、雛たちは大丈夫かな?…と心配で眠れないこともある。

        ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その2)

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          卵2個アンナハチドリ
          巣に雌が座りだしてから3日目、2個の卵を確認

          3月21日雌親がエサ取りで巣を留守にしている間、失敬して産まれたばかりの卵2個を撮影。斑点模様などが全くない真っ白な卵である。楕円形をした卵は縦1.27センチ、横0.76センチの小ささであった。
           
          雛の誕生
          卵が割れて中からヒナが現れる

          卵から出たての雛は全く毛が生えておらず、体の色は茶色である。しかし、半日も経つと体の色は全身黒く変色した。卵の手前の黒い物体は先に生まれた雛で、すでに体色は全身が黒く変わっている。
           
          アンナハチドリの雛
          巣の底にべったりへばりついてる2羽の雛

          卵から出てきて4日目、翼の翅の白い軸になる部分が見られる。まだ翅らしきものは生えておらず、目も開いていない。巣の中で足を延ばすことも出来ないので、巣の底でペチャンコになっている。
           
          アンナハチドリの雛2
          孵化後10日目、やっと顔と嘴が上に向いて巣から出ているのが分かる

          雛はハミングバードにしては大変嘴が短い。雌親がエサを与えやすいような形をしているのである。しかし、独り立ちする頃には、花の奥深く嘴を差し込めるよう親と同じ細く長い形になる
           
          花蜜を舐めるアンナハチドリ
          雌親はサルビア ( Salvia ) の花に長い嘴を入れて花蜜を集め、喉の奥の袋に貯める

          庭にはハミングバードの好きな花が咲く Desert Willow の木、サルビア、チュパロサ ( Chuparosa ), ハニーサックル ( Honeysuckle ), バイオレットセイジ ( Sage ), レッドジャスティシア ( Justicia ) などいろいろな種類の植物が植えられてるが、特に花蜜が濃い赤いサルビアの Red Velvet を好み、雛に与える時は花の蜜に虫を混ぜて水と一緒に与えている。
           
          空高く飛ぶアンナハチドリ
          空中高く舞い上がり、飛んでる虫を長い嘴を開いて捕える

          多くのハミングバードの主なるエサは花蜜であるが、アンナハチドリは虫や蜘蛛類が多く、時には蜘蛛の巣に引っかかってる虫を引っ張って捕ることもある。虫の中でも、雛に与えるエサは主にユスリカやヨコバエで、何と一日に2000匹以上捕るようだ。
           
          滝の水を舐めるアンナハチドリ
          鳥や動物の水飲み場用の滝、流れる水を長い舌で舐めている雌親

          ハミングバードは溜まってる水はあまり好まず、水を飲む時や水浴びをする時も流れる水を好む。繁殖期には雌親は水を一旦喉の袋に入れて雛に与えている。雛を育てる間は通常よりも花蜜、虫などを捕る量が多くなるためか、いつもより頻繫にやって来る。

          ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その1)

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            フィーダーに止まるアンナハチドリ
            フィーダーに止って休むアンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) 雌

            アンナハチドリは20世紀初め頃まで、メキシコのバハカリフォルニア半島と南カリフォルニアの太平洋沿岸にしか生息していなかった。近年になって北はカナダそして内陸の南アリゾナまで生息地域を広げ、数も増えてきている。特に町の公園や郊外の住宅街に外国種の観賞植物を植えたり、ハミングバード用のフィーダーを掛ける所が増え、しかもアンナハチドリの外来植物の花蜜やフィーダーの砂糖水への適用性が高いこともあって、今では南アリゾナでも一年間見られ、毎日の生活でも大変身近な庭の鳥の一種となった。
             
            砂糖水を舐めるアンナハチドリ
            吸い口に長い嘴を入れ長い舌でフィーダーの砂糖水を舐めるアンナハチドリ ( Calypte anna ) の雌

            英名 " Anna's " の由来は19世紀のイタリア侯爵夫人の名前。ハミングバードは蜜を吸うことが出来ないので、長い嘴を花やフィーダーの吸い口に差し込んで、長い舌の先にある薄い膜で蜜を捉えて舐める。舐める速さは大変早く、一秒間に13回という早業である。
             
            アンナハチドリの巣作り
            アンナハチドリの雌が綿のような植物の繊維と蜘蛛の糸を混ぜて巣作りをする。

            3月10日、アンナハチドリの雌が巣材を運んで巣作りを始めたのを確認。巣の周りの淵を作る時は、こうして座ってぐるぐる回りながら作っていく。巣の高さは3センチほどしかない小さなものであるが、一週間で完成させる。
             
            アンナハチドリの巣作り2
            丁寧に嘴で巣の外側を抑え込んでいく

            巣作りは雌だけで行い、雄は一切協力しない。木の繊維、鳥の羽毛、動物の毛、小さい枝の欠片、時にはペンキの剝がれた欠片や煙草の紙などを蜘蛛の糸でくっつけていく。巣は地面から2メートルほどの高さで、直径5センチの楕円形をしている。苔の生えた枝のこぶのように見えるので、よくカモフラージュされている。
             
            巣から飛び立つ姿
            誰も手助けしてくれない巣作り、朝から夕方まで何回も巣材集めに巣から飛び出しては戻ってくる忙しい一日である。
             
            寝室の窓と巣の木
            巣は寝室の窓の前の小さな灌木 ( Butterfly Bush ) に作られた。赤い矢印が巣の場所。

            春のこの時期は気候も素晴らしいので、巣のすぐ右側のポーチで朝のコーヒーを飲んだり、昼食を取ったり、夕方には友人たちとワインを飲んだりするのでガヤガヤと騒々しい所であるが、アンナハチドリは一向に気にすることなく、巣作りに励んでいた。
             
            上から見る出来上がった巣
            雑だがほぼ巣は出来上がった。しかし、卵はまだ見られない。
            巣に座るアンナハチドリ
            3月19日アンナハチドリの雌は卵を産むため巣に座り始めた

            ハミングバードは世界で最も小さい鳥のグループで、体長は7.5センチから13センチ程度(アンナハチドリは10センチ)、重さも2グラムから20グラムほどしかない。新世界(アメリカ大陸)のみに生息する鳥で、341種類おり、その内北米で見られるのは21種類である。翼を羽ばたいてる時に「ブーン、ブーン・・・・」と蜂に似た羽音を出すので和名は「ハチドリ」、そして、人がハミングするような音なので英名は「ハミングバード ( Hummingbird ) 」と呼ばれる。

            庭で生れた野ウサギ 2018年春 (下)

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              靴に寄り添うワタオウサギの子
              靴にピッタリ寄り添うサバクワタオウサギの子

              まだ外敵の恐ろしさを知らない子ウサギ、写真を撮る私の足元に寄りかかって眠っている。巣立ち直前の子ウサギは体も大きくなって巣穴が小さすぎるのか、居心地が悪いらしく巣の外へ出たがって歩き回る。
               
              手に登るワタオウサギの子
              両手を差し伸べると、すぐ手のひらにのって来る子ウサギたち

              庭の作業用の手袋をはめた手をひろげると、匂いを嗅ぎながら登って来る。サバクワタオウサギは多産で、生まれて3ヶ月も経つと繫殖を始め、1回に2匹から4匹を産み、しかも一年中繁殖を続ける。子ウサギの生まれて一年間の生存率が非常に低いために、たくさん産まないと子孫を残すことが出来ないのだろう。
               
              手のひらで眠るワタオウサギの子2匹
              手のひらの温もりを楽しむ子ウサギ

              毛がまだ完全に生えてない子ウサギにとって、大きく開けた巣穴では北風が吹く早朝は寒いらしく、手のひらで丸く包んでやると直ぐ眠ってしまう。
               
              手のひらで眠る子ウサギ一匹
              一番体の大きな兄き格の子ウサギも手のひらに載って来る

              ワタオウサギは日中はあまり活動的でなく、早朝や夕方に活発に動き回る。また、風の強い日にはエサ探しをすることはまれである。それは彼らの敵が近づいてくる音や気配を聞き取る能力が鈍るからである。
               
              ワタオウサギの巣と子ウサギ
              巣立ちして庭を出て行く前日、巣に収まらないぐらい大きくなった子ウサギたち

              この写真を撮った翌日、まだ私が寝ている夜明け前に子ウサギたちは巣穴を離れ雌親と一緒に庭から出て行った。ワタオウサギは捕食動物から身を守る方法は持っておらず、非常に良い目と良い耳そして素早い逃げ足しかない。そのため生まれて一年間の死亡率は特に高く、3匹生まれても生き残れるのはラッキーで一匹だけと言われている。
               
              サバクワタオウサギの親
              庭の欄干をくぐって保護区へ出て行った雌親

              ボディサイズの14%にもなる大きな耳は、敵の気配を素早く察知するのに役立つばかりでなく、極暑の砂漠で生きるための体温調整にも役立っている。彼らは危険が迫るとフリーズしてじっとしている。危険が去ったと思うと猛烈な勢いでジグザグに飛びながら時速30キロ以上で走り去る。面白いことに、自分より小さい生き物に対しては花で小突いて前足でピタッとパンチを食わせることもある。

              庭で生れた野ウサギ 2018年春 (上)

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                ワタオウサギ後姿
                白くて丸い綿のような尾と長い耳が特徴のサバクワタオウサギ ( Desert Cottontail / Sylvilagus audubonii )

                北米西側、南部の砂漠に生息するサバクワタオウサギはトレールを歩いていると一番よく目につく動物で、しかも時々庭にも現れる大変身近な「生きもの」でもある。体長40センチでヨーロッパのウサギとよく似ているが、耳が大変大きく時々直立することがある。北米には2種類のワタオウサギが生息している。もう一種のヒガシワタオウサギ ( Eastern Cottontail / Sylvilagus floridanus ) は大西洋側の東海岸から内陸中央にかけての全米広い地域で見られる。
                 
                ワタオウサギの巣穴
                庭の小山に作られたサバクワタオウサギの巣穴

                4月に入って、庭のあちらこちらにウサギが掘ったと思われる穴が見られるようになった。彼らは前足を鍬の様に使って浅い窪地を作り、捕食動物から逃れるための避難所に使うことが多く、まさか狭い庭に巣まで作るとは思ってもいなかった。(実はこれが二回目であるが、ねずみが掘った穴を利用している)
                 
                ワタオウサギの子3匹
                巣穴で眠っている3匹のサバクワタオウサギの子

                ワタオウサギの雌親は夜暗くなってから巣に戻って来て子ウサギに乳を与え、夜が明けると、エサ取りのため砂漠へ帰ってゆき、夜まで戻ってこない。子ウサギがまだ小さくて目が開いてない時は雌親が巣穴を離れる時に入口を土でカバーして判らないように巣穴をふさいで行くが、子ウサギが大きくなると写真のように3分の一ぐらい開けて雌親は出て行くので、子ウサギをよく観察出来る。
                 
                ワタオウサギの子穴から出る
                巣穴から身を乗り出して暖かい陽射しに当たる子ウサギ

                子ウサギは生まれたては毛が無く目が見えない。2週間で離乳して3周間で巣穴を出て行くので、写真の子ウサギたちは巣立ち直前と思われる。平均寿命はたった2年であるから非常に短い。
                 
                ワタオウサギの子歩く1
                初めて巣から出た子ウサギ

                4月の砂漠の昼夜の気温差は激しくて、北から寒気が下りて来ると、早朝は3度から5度まで下がることがある。まだ完全に毛が生えそろっていない子ウサギにとっては、この早朝の寒さは堪えるだろう。
                 
                ワタオウサギの子歩く2
                時々転びながらヨタヨタ歩く子ウサギ

                巣穴から出てきての初歩き、小石に躓いては転んでいる。サバクワタオウサギにとって砂漠に生息するほとんどの「生きもの」は敵である。ヘビ、コヨーテ、ボブキャット、キツネなどの動物、そして鷹やフクロウなどの猛禽類まで全てが捕食者である。
                 
                ワタオウサギの子花食べる
                甘いサルビアの花を食べる子ウサギ

                離乳食として最適な柔らかく甘いサルビアの花をさっそく見つけて食べていた。サバクワタオウサギの主食は80%草の葉や茎、そしてサボテン類である。庭の野菜畑は彼らにとって大好物で、一夜で丸坊主になるぐらいきれいに食べられてしまう。ワタオウサギは菜園を持ってる人にとってはまさに憎き害獣でる。
                 
                ワタオウサギの子岩陰で眠る
                歩き疲れて花の根元で眠る子ウサギ

                巣穴を出て初めての歩きはすぐ疲れてしまうのだろう・・・?ものの3メートルも歩くとサルビアの根元の岩に寄りかかってじっとしてしまう。サバクワタオウサギが外敵から身を守る方法は木の下や岩陰に隠れてフリーズするか、思いっきりジャンプして速足でジグザグに走るしかない。しかし、まだ子ウサギに走ることは無理なので、こうして岩に隠れるようにじっとしているのが安全であることを本能的に判っているようだ。

                ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(下)

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                  ルーシーアメリカムシクイ逆さま姿
                  逆さまになって葉の裏にいる虫を探すルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler )

                  ソノラ砂漠の「春告鳥」であるルーシーアメリカムシクイは冬をメキシコや中米で過ごし、春になると南アリゾナに戻って来る渡り鳥である。野花が一面に広がり、木々の緑も深みを増して、明るい陽射しとそよ風に誘われるようにルーシーアメリカムシクイの春を告げる囀りがあちらこちらから聞こえてくると、まさに春の訪れを実感する。
                   
                  ルーシーアメリカムシクイジャンプ
                  ジャンプして虫を捕えるルーシーアメリカムシクイ ( Vermivora luciae )

                  ルーシーアメリカムシクイは体長11センチ(メジロより小さい)と大変小さい。身軽のせいか、常に飛び上がったり枝先をくるくる回ったり、ちょこまか枝移りしたり落ち着きなくじっとしてくれない鳥で、南アリゾナの砂漠で営巣する唯一のアメリカムシクイである。英名ルーシー ( Lucy ) はスミソニアン協会長官の娘さんの名前からとったもの。囀りは「チェチェチェ・・・」とせわしなく聞こえ、ソングスポットを持たないで枝移りしながら忙しく鳴く。
                   
                  Cream Cups
                  ポピーの仲間 Cream Cups ( Platystemoa californicus )

                  「立春」を過ぎると空気が緩み冬とは違う気配があり、気分が晴れて明るくなる。そしてソノラ砂漠の長閑な明るい春の昼は、ハイキングをしていても心がウキウキしてくる。
                   
                  Baby Aster
                  Baby Aster ( Leucelene ericoides )

                  枯草の下から草の芽が生え出る「下萌」を南アリゾナソノラ砂漠でも、見ることは出来る。まだ寒気が残っていても大地はもう春の準備に動き出している。
                   
                  Trailing Four Oclock
                  Trailing Four O/clock ( Allionia incernata )

                  春の野花の中でも数少ない珍しい種類である。春を知らせる陽射しの中であでやかに咲く野花、肌に触れる空気が柔らかくなっていて、春の近づくのを感じさせられる。
                   
                  Fairy Duster
                  ハミングバードが大好きな Fairy Dustar ( Calliandra eriophylla )

                  日本で春彼岸の頃に吹く西風、これは冬の名残の寒い風であるが、ソノラ砂漠に春に吹く西風は、南カリフォルニアの太平洋から吹く風で、柔らかな春の風である。
                   
                  Ocotillo
                  「砂漠のローソク」と呼ばれる Ocotillo (オコティーオ / Fouquieria splendens )

                  9メートルから10メートルの高さの細い茎に小さい緑の葉をつけ、突端に赤い色の花が咲くので別の英名で " Candle wood " とも呼ばれる。茎は棘に覆われているがサボテンではなく、メキシコ Bajacalifornia " の木 " Boojum " の仲間である。花蜜がよく出るので春の渡りのハミングバードの貴重なエサとなる。
                   
                  Pincushion Cactus
                  サボテンの中で春一番に咲く Pincushion Cactus ( Mammillaria microcarpa )

                  長いカギ型の棘が特徴で、魚を釣る釣針に似てるので別名 " Fishhook Cactas " と呼ばれている。このサボテンが咲き始めると春の野花も終わりに近づき、代わって色々なサボテンの花が咲き始めてソノラ砂漠は初夏に入って来る。
                   
                  Desert Mariposa
                  紙の造花のような Desert Mariposa ( Calochortus kennedyi )

                  ユリ科の仲間で、葉がほとんどない細くて長い茎の先に派手な色の花が咲くので遠くからでも非常に目立つ。英名 " Mariposa " (マリポサ)はスペイン語で「蝶」の意味で、チューリップの花の形に似てるので「マリポサチューリップ」ともよばれている。
                   
                  新緑のカタリナ公園
                  新緑に包まれたソノラ砂漠、巨大サボテン「サワーロ」 ( Saguaro ) の林がひときわ目立つ

                  カリフォルニアから飛行機で南アリゾナのツーソン空港に入って来る時、上空から見る地上は茶色一色の広大な荒野に見え、まさに殺伐とした砂漠を想像するが、ツーソン空港に降り立って車で走り出すと、大きな木や低灌木がたくさんあって緑と美しい自然が豊かで砂漠とは思えない光景にほとんどの人がびっくりする。

                  ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(上)

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                    Catalina State Park
                    下草が枯れ茶色の土肌が見える、春直前(2月)のソノラ砂漠

                    今年のイースター(キリスト教の復活祭)は4月一日。ヨーロッパの暦では4連休。日本のゴールデンウイークのようなもので、特に北ヨーロッパの人々は厳しい長い冬から解放されて、南ヨーロッパの暖かい春の陽気を求めて民族の大移動をする。しかし、北米は連休ではないので人々の大移動はないが、春の挨拶として顔が合えば「ハッピーイースター」と言い合い、待ちに待った春の喜びを分かち合う。
                     
                    Mexican Gold Popy & Bee
                    春一番に咲くポピーの仲間 Mexican Gold Popy と蜜を集める蜜蜂そして、背後はソノラ砂漠の象徴サワーロサボテン (Saguaro) の斜面林

                    多くの日本の人々にとって「砂漠」というイメージは砂と砂丘だけの広大な平地であるが、南アリゾナのソノラ砂漠は緑が豊富で春には色々な野花が咲き美し変化に富んでいて、アフリカや中国の「砂漠」とは大きく異なる。
                     
                    Texas Toadflax
                    冬枯れの灌木の根元から春の野花 Texas Toadflax ( Nuttallanthus texanus ) が顔を出す。

                    メキシコと国境を接する砂漠の南アリゾナでも少々あいまいであるが四季がある。12月から2月初旬にかけては肌寒く、日中15度以下で朝晩は時には零下になることもあり、2日ないし3日ぐらいは雪が降ることも珍しくない。しかし、2月末ごろから日中は徐々に暖かくなり20度を超して木の新しい芽が出始め野の花が一斉に咲き始める。そんな砂漠の春の美しい野花をたっぷりと紹介しましょう。
                     
                    Desert Honeysuckle
                    スイカズラの仲間 Desert Honeysuckle ( Anisacanthus thurberi )

                    春の早い時期は、花蜜を出す野花が少ないのでハミングバードがエサ探しに苦労する。3月初めに早くも花が咲くハニーサックル (Honeysuckle) はハミングバードにとって大変貴重な花である。そのため、花蜜の取り合いが起こり、ハミングバードの間で空中での激しい戦いがちょくちょく見られる。
                     
                    Tiny Checker Spot
                    春一番に舞う小さな蝶 Tiny Checker Spot ( Dymasia dymas )

                    野花が咲き出すと蝶も舞い始める。ウイングスパンがたったの22ミリの大変小さな蝶で、陽気が春らしくなるとたくさん出てくる。グラウンドに近い低い所を飛ぶことが多く、時々地面に下りてゆっくり翅を開いてくれる。色とりどりの春の野花が開いて蝶が舞うと、のんびりした春の「アリゾナ時間」を楽しむことが出来る。
                     
                    Mexican Gold Popy & Trail
                    トレールの両側に群生する Mexican Gold Popy ( Eschscholtzia mexicana )

                    秋から冬にかけてのソノラ砂漠のトレールは、巨大サボテン・サワーロ (Saguaro) 以外はほぼ茶色一色の世界で、緑のないごつごつした岩肌と、下草も枯れてほとんど土肌が見える殺風景な自然歩道で歩いていてもあまり楽しくない。しかし、春の温かい風が吹き始めると、今まで茶色の土しか見えなかった足元がパッと明るくなって足取りも軽くなってくる。
                     
                    Mat of Mexcan Gold Popy
                    黄色のマットを敷いたような美しい Mexican Gold Popy と California Popy

                    日本の春は梅の花が散ると桜が咲きじわじわとゆっくりやって来るが、ソノラ砂漠の春は突然やって来る。3月に入ると、灌木の枯れ枝は瞬く間に新緑の葉に包まれ、歩く足元には野花が一斉に咲く。しかし、春はさーと短く終わってしまう。4月の終わり頃には日中の気温が30度を超すドライな初夏となる。そして、人々は短パン(ショートパンツ)とTシャツに衣替え、9月いっぱいまでの半年近くは買い物、レストラン、カフェーなど、どこへ行くのにもこの格好で闊歩する。
                     
                    Purple Mat
                    Purple Mat ( Nama demissum )

                    ソノラ砂漠は、冬の間に降る雨の量によって野草の花の咲き具合が変化する。今年の冬は、例年より雨の量が少なくドライウインターだったので野花の咲き具合もあまり良くない。写真の Purple Mat は、雨の量が多いとグラウンドは紫色のマットを敷いたようにたくさんの花が咲いて見事な光景となる。
                     
                    Miniature Wool Star
                    Miniature Wool Star ( Eriastrum diffusum )

                    アリゾナを代表する野草の花の一つで、赤茶の長い茎の先に咲く小さい花で、花が出て来る頂生の房は,毛糸のような柔毛に覆われる。
                     
                    Blue Dicks
                    倒木の横に何げなく咲く Blue Dicks ( Dichelostemma pulchellum )

                    「砂漠のヒヤシンス」の愛称で呼ばれる可憐な春の花。ねぎのような球根は,原住民インディアンや開拓移民のスペイン人たちが好んで食していた。

                    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(最終)

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                      ムラサキノジコ囀り1
                      メキシコ種のムラサキノジコ ( Varied Bunting )

                      主たる生息地はメキシコ全域であるが、モンスーン期の8月にメキシコ国境に近い南アリゾナ、南テキサスに営巣のため渡って来る。真夏の雷雨が降り始めると巣作りが始まるので、北米ではモンスーン期のごく短い間しか見ることが出来ない。
                       
                      ムラサキノジコ囀り2
                      ムラサキノジコ ( Passerina versicolor )

                      英名の " Varied Bunting " はいろいろな色の混じった変化に富んでる美しいノジコという意味からきている。繁殖期の美しい雄も秋の換羽期となると雌と同じ全体的に冴えない茶色になるが、尾の根元のランプの美しいブルーが残る。
                       
                      風景 Montosa Canyon
                      モンスーンの8月には、ほぼ確実にムラサキノジコが見られる営巣地のモントサ渓谷 ( Montosa Canyon )

                      ムラサキノジコは水が流れる山麓の低灌木地帯を好み、毎夏、繁殖期になるとメキシコから渡って来る。秋になるとほとんどがメキシコへ帰ってしまうので、観察できる期間はモンスーン期の8月だけで大変短い。
                       
                      ムラサキノジコ全身1
                      全身に陽の光が当たると、美しい複雑な色に輝く繁殖期のムラサキノジコの雄

                      この鳥は遠距離から見たり、暗い場所や曇りの日などに見ると、全体が黒く見えるだけの地味な鳥である。一方、昼間の明るい太陽のもとで見ると、ハッとするほど大変美しい色に耀き人目を引きつける。同じ鳥とは思えないほど色鮮やかなのに驚かされる。
                       
                      ムラサキノジコ後姿
                      頭の赤と尾の根元のブルーが一際目に付くムラサキノジコの後ろ姿

                      主たる食べ物は草や木の種であり、密に茂った低い木の根元のグラウンド近くでエサ取りをするため見つけるのに苦労する。しかし、雌が巣に座り始めると、巣の近くの目立つ高い枝のソングスポットでテリトリーソングを歌うので、早朝の雄が活発に鳴く短い時間がよく観察出来るチャンスである。
                       
                      ムラサキノジコ全身2
                      赤い色、青紫色、濃い紫色、そして黒い色と繁殖期の雄は複雑な美しさである。

                      ムラサキノジコはフィールドで簡単に見れる鳥ではなく、ましてや写真に撮るのは非常に難しい。町の公園や人間が住んでる場所の近くにはほとんど現れない。夏の激しい雷雨が降るモンスーン期の短い間だけしかゆっくり観察出来るチャンスがないので、一般のバーダーにはなじみが薄い。


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