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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

砂漠の夏に咲くサボテンの花 2017年 (下)

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    Ocotillo
    初夏の砂漠の開けた岩のスロープでよく目立つオカティヨ ( Ocotillo ) 

    ​巨大サボテン・サワーロの花が咲き出す頃に、オカティヨの赤い花も砂漠に色を添える。Ocotillo は木のような細長い茎にたくさんの棘がついてるのでサボテンの一種と思う人が多いが、正式にはサボテンではなく、メキシコの " Boojum Tree " と同じ仲間。茎の棘は葉柄が落ちたもともとの葉が変化したものである。一年のほとんどが灰色で枯れた棘の棒のような姿をしているが、雨が降ると直ぐに美しい緑色に変化する。
     
    Flower of Ocotillo
    オカティヨ ( Ocotillo / Fouguieria splendens ) の花

    ​赤いオレンジ色の筒状の花の房は、細くて長い茎のてっぺんに咲く。花が咲いてる形がローソクのようなので別名 " Candle wood " " Coach whip " などと呼ばれている。ハミングバードが大好きな花で、よく蜜をホバリングしながら舐めている。
     
    Pink flowered Hedgehog
    ​パロベルで ( Paroverde ) の木陰にヘッジホッグサボテン ( Pink flowered Hedgehog / Echinocereus fasciculatus ) の花が咲く

    ​別名を「ストロベリーヘッジホッグサボテン」。花は紫色の淡紅色で幅10センチ、主に南アリゾナで見られるが、ツーソン近郊のソノラ砂漠では特に人目を惹くサボテンである。花は多くのサボテンの花と同じように、朝に開いて夜には閉じてしまう。
     
    Staghorn Cholla
    スタグホーンチョーヤ・サボテン ( Staghorn Cholla / Cylindropuntia versicolor

    ​太くて頑丈な木のように茂った幹、砂漠で見ていると大きな灌木に見えるが、これも立派なサボテンである。英名 " Staghorn " の由来は、節がある円柱の茎が鹿の角のように見えるところからきている。
     
    Flower of Staghorn Cholla
    スタグホーンチョーヤ・サボテンの美しい花。

    ​4月に入ると咲き始める赤い花は、カップの形をしていて幅2.5センチ程度と小さい。主に南アリゾナでしか見られないサボテンで、棘のある灌木のような木で、砂漠の鳥たちサボテンミソサザイ ( Cactus Wren ) やマルハシツグミモドキ ( Curve-billed Thrasher ) が好んで営巣する。大きな棘が外敵から卵や雛を守る役目をしているため・・・と思われる。
     
    flower of Engelmann Prickly Pear
    エンゲルマン・プリックリーペアー・サボテン (Engelmann Prickly Pear / Opuntia engelmannii

    ​プリックリペアーサボテンは低灌木のようであるが、幹のないこんもりしていて群生するサボテンである。別名「牛たんサボテン (Cow's tongue cactus ) 」、「円形サボテン ( Discus Prickly Pear ) 」と呼ばれてる。色々な種類があるが、南アリゾナが最も多い。レモン色のカップの形をした花は幅8センチ、花一つ一つは朝8時ごろ開き始めて夜8時ごろには閉じてしまう。
     
    American Kestrel on Saguaro
    ​サワーロ ( Saguaro ) のてっぺんに止まるアメリカチョウゲンボウ雄 ( American Kestrel / Falco sparverius

    ​種から成長して50年ぐらいしか経ってない若いサワーロサボテンはまだ花が咲いていない。樹木が少ない砂漠では鳥たちの恰好の止まり木である。アメリカチョウゲンボウは米国で最も小さい鷹で、古くは " Sparrow Hawk " と呼ばれていた。日本のチョウゲンボウより小さく、キジバトよりさらに小さい。砂漠には樹洞が少ないので巨大サボテン・サワーロにサボテンキツツキ ( Gila Woodpecker ) が穴をあけて巣に使った古い巣を利用することが多い。サワーロサボテンの穴から出入りする鷹の姿はまさにソノラ砂漠ならではであろう。

    砂漠の夏に咲くサボテンの花 2017年 (上)

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      サワーロと虹
      ​早朝の雷雨、虹がかかった巨大サボテン Saguaro (サワーロ)、朝日の光に浮き上がる黄色いパロベルデの花。

      ​春雷が激しくなりだすと、南アリゾナ・ソノラ砂漠の短い春は終わって夏となる。砂漠の夏は巨大サボテン・サワーロの花に囲まれる。そして、周りにはアリゾナの州の木である " Foothill Palo Verde " (パロベルデ / Cercidium microphyllum ) の小さな花が樹全体に咲く。葉が大変小さく幹や枝が緑色なので樹全部が黄色に輝いて見える。
       
      サワーロとマリーゴールド
      キンセンカの仲間マリーゴールドの花とサワーロ

      ​サワーロの花が咲くころに明るく黄色い花をつける野草 Desert Marigold ( Baileya multiradiata ) 。背丈の高い茎のてっぺんに咲く菊に似た花である。トレールの両側にこの花が咲くと、まさに砂漠の夏の到来を感じる。
       
      サワーロの蕾
      ​巨大サボテン・サワーロの枝、たくさんの蕾が大きく膨らんでいる。

      ​サワーロ(和名:弁慶柱、英名: Saguaro 学名: Cereus gigantea )はアリゾナ州からカリフォルニア州の南西部からメキシコ北部まで広がるソノラ砂漠、主にそこだけでしか見ることが出来ない巨大サボテンである。奇妙な人間に似た外観や野生的で想像的なイメージを持っているので大変人気がある。
       
      サワーロ、サバクシマセゲラ
      ​サワーロの蕾が開き始めると砂漠のキツツキ・サバクシマセゲラ (Gila Woodpecker / Melanerpes uropygialis) が蜜を吸いに来る

      ​サワーロは非常に成長が遅く、砂漠の花や木がほとんどそうであるように、主に夏の「モンスーン期」(6月中旬から9月中旬)の3か月間に成長する。15年経過するとやっと30センチの高さとなるぐらいスローで、何と、花が咲くには75年以上経たなくてはならない。200年近く生存するが、150年以上経った立派なサワーロは、高さ15メートル以上になり重さは8トンもの大きさに成長する。
       
      サワーロ全体に花
      大きなサワーロサボテンの全体に花がついて、まさに満開である。

      ​今年の冬と春は例年より少々雨が多く、サワーロや砂漠の木や花にとって大変ハッピーだったようだ。サワーロの頂上から枝先全部に花がびっしり咲くのも珍しい。ソノラ砂漠はアメリカ大陸において最も乾燥した土地の一つだと言える。真夏の気温は35度から40度、年間の降雨量は30センチ以下、しかも冬場は朝方零下5度以下という日もあって実に厳しい。サワーロはそんな環境に置かれてるので成長が非常に遅い。
       
      サワーロ5つの花
      アリゾナの「州の花」サワーロ、蝋細工の花のようである。

      ​サワーロの花は大きさ(幅)9センチほどの白い蝋質の花弁で、中央部にはぎっしりと花粉がついている。花は午後遅く咲き始め翌日の午後早く終わってしまう、たった24時間の命である。花が咲き終わり赤い果実がなる頃には、乾燥した「ドライサマー」も終わって激しい雷雨をともなう「モンスーンサマー」に入る。
       
      サワーロ、下に向いた花
      サワーロには珍しい、低くグラウンドに向かって咲いてる花。

      ​サワーロは樹木のような大きなサボテンであるが、根は浅く横に広く張っている。そして互いに水分の奪い合いをしないようにするため、一本一本の間隔が均等でしかも遠く離れている。「モンスーン期」の砂漠で荒れ狂う夏の嵐は、雷雨をともなった大量の雨を降らせる。この雨は砂漠の「生きもの」にとってまさに天の恵みで、サワーロも巨大な幹のゼラチン質の細胞で750リットルもの水分を吸収し、翌年の乾期に備える。
       

      巨大なサボテン「サワーロ」の四季とその一生 (最終)

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        道路脇のサワーロ
        新しく造られた車道脇に立つ「サワーロ」 ( Saguaro ) 。他所へ移されるため青いリボンが巻かれてる。

        ソノラ砂漠も近年の宅地造成それにともなう道路造りで「サワーロ」が他の場所へ移転されていく光景をよく見る。かっては牧場の増加により「サワーロ」の生育に適した場所が少なくなってその数が減少してしまったが、近年はそれに加えて新しく建てられる家が増えて庭造りが盛んとなり、それに使うための「サワーロ」を盗む「サボテン泥棒」が増加。いよいよ「サワーロ」の存続が問題視されその再生に向けて州政府も力を入れ始め、厳しい法律が作られて守られるようになって来ている。
         
        トラックで運ばれるサワーロ
        「サワーロ」を傷つけないように運ぶ特殊なトラック。

        「サワーロ」は州法によって勝手に処分したり移動することが禁じられている。道路新設にともなう移動も州から許可を受け、「サワーロ」運搬の専用業者によって丁寧に柔らかいマットで包まれクレーンで持ち上げられ寝かせられて運ばれる。
         
        コートヤードのサワーロ
        家のコートヤード(前庭)に植えられてる大きな「サワーロ」。

        造園業者から「サワーロ」を購入して裏庭や玄関前に植えてる家が結構多い。もちろん業者から購入証明書を受けて植える場所を指定して州に届け許可をもらう必要がある、しかも、専門業者に運んでもらわなくてはならないので非常に高価である。ちなみに、この写真の大きさ(120年から150年ぐらい経っている)で2百万円以上はすると思われる。
         
        夕空のサワーロとコアメリカヨタカ
        ソノラ砂漠の夏風景。

        夕日に染まる赤い空に浮かぶ「サワーロ」の黒い影と夏鳥コアメリカヨタカ ( Lesser Nighthawak ) が飛ぶ姿は砂漠の風物詩の一つである。
         
        夕焼け空とサワーロ
        夕焼け空と「サワーロ」。

        ソノラ砂漠の夏のモンスーン期(7月から9月)は毎日午後になると激しい雷雨があるが、夕方になると雷雨も去って気温が下がり涼しくなる。沈みかけた太陽の光が、まだ雨雲の残ってる灰色の空を赤く染める。そこにスクッとそびえる「サワーロ」は実に美しく。私の好きな夏の夕方の光景である。
         
        満月とサワーロ
        満月と「サワーロ」。

        ソノラ砂漠は非常に乾燥していて空気が大変澄んでいる。また、道路や住宅街は夜行性動物保護のため街灯をつけることが禁止されているので大変に暗い。そのため、夜に見る月や星が大変低く大きくひときわ明るく感じる。虫の音を聞き、コヨーテの遠吠えを聞きながら見る「サワーロ」と月はソノラ砂漠ならではの秋の一日の終わりを感じる光景である。

        巨大なサボテン「サワーロ」の四季とその一生 (4)

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          ハジロバトとサワーロの花
          サワーロ ( Saguaro ) の花の蜜を吸うハジロバト ( White-winged Dove / Zenaida asiatica ) 。

          「サワーロ」の花粉を媒介する重要な「生き物」の一つにハジロバトがいる。ハジロバトは渡り鳥で、寒い冬を中南米で過ごし「サワーロ」の花が咲く頃にソノラ砂漠に戻って来る。
           
          サボテンミソサザイとサワーロの花
          「サワーロ」の花に顔を突っ込んで蜜を吸うサボテンミソサザイ ( Cactus Wren / Campylorhynchus brunneicapillus ) 。

          一年中ソノラ砂漠で暮らすサボテンミソサザイも「サワーロ」の花蜜が大好きで、一日中サボテンのまわりを飛び回っては花にしがみついて蜜を吸っている。水が少ない砂漠では、「サワーロ」の花蜜は彼らにとって重要な水分の補給源となる。
           
          サバクシマセゲラ巣の前
          サバクシマセゲラ ( Gila Woodpecker ) と「サワーロ」に作られた巣。

          5月になるとサバクシマセゲラが「サワーロ」の幹を穿って巣を作り子育てを始める。彼らは毎年新しい巣を作るので、ほとんどの「サワーロ」は穴だらけである。
           
          サバクシマセゲラ巣から飛び立つ
          巣穴からエサ探しに飛び立つサバクシマセゲラ ( Melanerpes uropygialis ) 。

          サバクシマセゲラは「サワーロ」に毎年新しい穴をあけて巣を作り、古い巣は使用しない。しかし、使わなくなった古い巣の穴はフクロウや小さな動物などが再利用するので自然界のリサイクルとしてうまく役立っている。
           
          サバクシマセゲラの雛
          巣穴から外を覗くサバクシマセゲラの雛。

          サバクシマセゲラはソノラ砂漠のみに生息するキツツキであり、巣は「サワーロ」だけに作る。巣穴の中は昼間涼しく夜は温かく、断熱効果に優れている、また穴の入口の周りはたくさんの棘に覆われているので外敵に襲われる心配もない。
           
          シロハラオオヒタキモドキと巣
          キツツキが穿った空洞を巣に利用するシロハラオオヒタキモドキ ( Brown-crested Flycatcher / Myiarchus tyrannulus ) 。

          夏になると中南米からソノラ砂漠に戻って来るシロハラオオヒタキモドキはサバクシマセゲラが使った古い巣穴を再利用する。サッカーのレフリーが吹く笛のような「ピリリリ’’’’」という地鳴きは「サワーロ」の林によく響く。
           
          モモアカノスリとサワーロ
          「サワーロ」とモモアカノスリ ( Harris's Hawk / Parabuteo unicinctus ) 。

          「砂漠の鷹」と呼ばれるモモアカノスリは、獲物のウサギやリスを探すために高い「サワーロ」に止まっていることが多い。また、大きな「サワーロ」のアームの形をした太い枝の又に枯れ枝を積み上げて巣を作ることもある。

          巨大なサボテン「サワーロ」の四季とその一生 (3)

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            横倒しのサワーロ
            雷雨による強風と集中豪雨で根こそぎ倒れてしまった「サワーロ」 ( Saguaro ) 。

            ソノラ砂漠のモンスーン(7月〜9月)は常に激しい雷雨をともなう。南のメキシコ湾から砂漠に向かって熱い湿った空気が流れて来てこれが上昇気流となっって積乱雲を作り、ほとんど毎日午後になると雷雨を起こす。この時期は砂漠の荒れ狂う夏の嵐に倒れてしまった哀れな「サワーロ」の姿を時々見かける。それにしても、20メートルを超す巨大なサボテンにしては根が小さくて貧弱なのには驚く。効率良く地中の栄養分を吸い取るため根は浅く横に広がっている。
             
            頭がすっ飛んでるサワーロ
            落雷で天辺の部分がすっ飛んだ「サワーロ」。

            まわりに高い木がないソノラ砂漠では、よく「サワーロ」に落雷することがある。頭の部分が落ち、残った本体は黒く焼けこげてる。しかし、モンスーン期に降る大量の雨こそまさに天の恵みで、雨が降ると茎にある無数のひだが膨らみ、幹の内側にあるスポンジ状のゼラチン質の細胞部分に水分を吸い込む。一度に最大760リットルもの水を吸い上げ、次に来る乾期に備える。
             
            吹雪の中のサワーロ
            猛吹雪の中の「サワーロ」、まさに砂漠に雪が降る幻想的な世界となる。

            「サワーロ」はその生存期間中、常に砂漠の厳しい環境に置かれている。南アリゾナのソノラ砂漠は「サワーロ」の生育範囲の最北端なので冬の1月、2月には雪が降る日も何日間かあり、そんな時はこの巨大サボテンもすっぽり雪に包まれてしまう。
             
            雪に埋もれるサワーロ
            雪が積もって一面真っ白なソノラ砂漠にスクッとそびえる「サワーロ」。

            ソノラ砂漠はアメリカ大陸においては最も暑く乾燥した土地の一つである。真夏は気温が40度ちかくにもなり、雨が降る夏のモンスーン期と冬の軽い雨期以外は何ヶ月間も一滴の雨も降らず、湿度が5%以下のカラカラの日も珍しくない。そして冬には夜になると凍りつくほどの気温にまで下がることもあり、このような厳しい気候のソノラ砂漠で生きるための特別な適応力を「サワーロ」は持っているので厳しい環境の下でも生き延びている。
             
            黄金色に輝くサワーロ
            朝日に輝く美しい「サワーロ」

            夜中降り続いた雪が朝方には止み、雲間から朝日が出て来て「サワーロ」を照らす、ほんの10分間ほどの珍しいソノラ砂漠の光景であり、日が昇るにつれて積もった雪はどんどん融けてしまう。
             
            寿命つきたサワーロ
            寿命つきて死んだ「サワーロ」の立ち姿。

            「サワーロ」の寿命は170年から200年と長い。最後は外側の棘に覆われた緑色の樹皮を落として、内側の茶色の心棒のような幹と枝が残って突っ立っている。この枯れた「サワーロ」にサボテンミソサザイ ( Cactus Wren ) は好んで巣を作る。つまり「サワーロ」は死んでも自然界の中で役にたってるのである。

            巨大なサボテン「サワーロ」の四季とその一生 (2)

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              サワーロ天辺に咲く花
              たくさんの白い花をつける「サワーロ」 ( Saguaro ) 。

              4月に入ると、太い幹の天辺や横から伸びたアームのような枝の先に白い花をつける。今年は冬と春に例年にないほどまとまった雨が降ったので花の咲きぐあいが立派である。
               
              青空に向かって咲く花
              アリゾナならではのドライサマーの青空の下、太陽に向かって咲く「サワーロ」の花。

              「サワーロ」の花の受粉はミツバチや蜜を好む鳥たち、そして夜にはナガバナコウモリなどが花粉を媒介することによって行われるが、近年ナガバナコウモリの数が減少してきてるので、将来の「サワーロ」の数に影響してくるのでは’’’’’’’?と心配されている。
               
              4つの花
              4つの花が同時に咲いてる豪華な「サワーロ」。

              「サワーロ」の花は蝋質の花弁を持ち、花の中央部にぎっしりと花粉がついている。花の命は大変短く24時間しか咲かないので、ほとんどの花が夕刻に咲き始めて翌日の午後遅くにはしぼんでしまう。「サワーロ」の花はアリゾナの「州の花」である。
               
              下がってる枝に咲く花
              下へ向いて下がってる枝にも花が咲いてる珍しい「サワーロ」。

              「サワーロ」の枝は大きく上を向いているのがほとんどで、白い花はその先端に咲くのでなかなか真っ正面から見るのが難しい。たまたま見つけたこの「サワーロ」はひねくれてるのか、アームのような大きな枝が下へ向かって下がっており、嬉しいことにそこにも花が咲いていたので目の高さで見ることが出来た。
               
              サワーロとハミングバード
              枝先の花の上を飛び回るアンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) 。

              「サワーロ」の花は蜜がよく出るので、色々な鳥たちが集まって来る。花の蜜を主食とするハミングバード(ハチドリ)も花蜜を舐めに飛んで来る。しかし、花弁が大きく上を向いて開いているのでどうしてもミツバチが多く、ミツバチを好まないハミングバードはあまり頻繁に飛んで来ない。ハミングバードが好む花は、花弁がトランペットのような形をして下を向いてるのが多く、この形だとミツバチが入り難いので、ハミングバードも邪魔されずにゆっくり蜜を舐められるのだろう。
               
              サワーロの実
              「サワーロ」の赤い実。

              花が終わって6月に入ると、「サワーロ」は赤い果実をつける。昔、インディアンたちはこの実をそのまま食べたり、煮詰めてシロップやゼリーを作ったり、熟成させて果実酒にしていた。また、鳥たちにとっては水が少ない砂漠での水分補給源でもある。

              巨大なサボテン「サワーロ」の四季とその一生 (1)

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                サワーロとサンタカタリナ山
                満開の花が咲く " Saguaro " サボテンとサンタカタリナ連山。

                今週から北米大陸南西部の砂漠に生育する巨大なサボテン ( Saguaro ) の話を連載しましょう。 " Saguaro " は棘のある恐ろしい姿、ソノラ砂漠の王者、北米南西部の最高のシンボル、ユーモラスな人間に似た外観、野性的で想像的なイメージなどなど、色々な言葉で表現されてますが、何しろ砂漠の樹木と言われるほど存在感がある大きなサボテンです。
                 
                岩場のサワーロ
                ソノラ砂漠の岩場に林立する Saguaro 。

                英名 " Saguaro " (”ワ”にアクセントをつけて「サワーロ」と発音する)。和名は柱のように背が高いので「弁慶柱」(ベンケイチュウ)と呼ばれ、学名は " Carnegiea gigantea " である。" Saguaro " という名前はもともとマヨ語で、それがスペイン語となって英語となったものである。
                 
                サワーロと春の野花
                青空にそびえ立つ「サワーロ」( Saguaro ) と春の野花アオイの仲間 Desert Glovemallow ( Sphaeralcea ambigua ) 。

                野生の「サワーロ」はアリゾナ州からカリフォルニア州の南西部、さらにメキシコ北部まで広がるソノラ砂漠だけで見られる高さ20メートル重さ10トンもある巨大サボテンである。
                 
                サワーロと小生
                背丈が私の腰ぐらいまでしかない小さなベビー「サワーロ」。

                「サワーロ」の成長は極端に遅く、ほとんどが夏のモンスーン期の間に一時的に成長するだけで、その他の季節には大きくならない。最初はごま粒より小さなピカピカ光る黒い種子から育ち、この写真の高さ(90センチほど)までになるには25年から30年以上掛かる。
                 
                若サワーロ5本
                30年から50年ほど経ったまだ小さな「サワーロ」が同じ場所に5本も立っているのは珍しい。

                「サワーロ」の種子は1年経ってわずか60ミリほどしか成長しない。15年後にやっと30センチ、50年後にやっと2メートル以上とその成長は極めて遅く、寿命は170年から200年で、実にのんびりした一生である。
                 
                パロベルデとサワーロ
                アリゾナの州の木、パロベルデ ( Foothill Palo Verde ) に寄り添って成長する「サワーロ」。

                若くて小さな「サワーロ」は、全身に生えてる棘がまだ小さく少ないので砂漠の強烈な太陽の熱に焼けてしまうことがある。そこで、写真のようなパロベルデやメスキートのような木が保護樹となってその陰で生育することが多く、それによって砂漠の厳しい暑さや冬の寒さから逃れ、ネズミや他の動物に食べられないよう身を守ることも出来る。
                 
                枯れた保護樹とサワーロ
                保護樹のお陰で大きく無事育った「サワーロ」。一方、疲れはてたのか保護樹は死んでしまった。

                小さな「サワーロ」を砂漠の極暑や冬の凍り付くような寒さから守ってきた保護樹のパロベルデの木がついに「力」つきて枯れてしまった姿を砂漠ではよく見かける。
                 
                サワーロの丸いコブ枝
                やがて枝となる最初の段階のコブにも花が咲く。

                種子から成長した「サワーロ」は75年ぐらい経って初めてのアームのような枝をつける。最初は棘のある丸いコブのような形をしているが、これがその後上方に伸びて写真の左のような太い枝となっていく。

                真夏のソノラ砂漠に咲く不思議な花

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                  Queen of the Night 1
                  " Arizona Queen of the Night " 正式名は " Desert Night-Blooming Cereus " (Peniocereus greggii ) 。
                  7月8月は南アリゾナは「モンスーン季」となって、気温や湿度が高くなっり雷雨が毎日のようにある。そしてこの時期、ソノラ砂漠では一般に「夜の女王」(Queen of the Night) と呼ばれる不思議なサボテンの仲間の花が咲く。何しろ花が一夜数時間だけ一斉に同時に咲き、翌朝には全部散ってしまうから見るのが大変である。見逃してしまうと来年まで見れない貴重な美しい花でもある。
                   
                  Queen of the Night 2
                  このサボテンは一年のほとんどを貧弱な角張った灰色の小枝がたくさんついてる見た目には死んで枯れてしまったような茎だけの姿で過ごす。しかも砂漠の低い灌木の枝に支えられているから目立たないのでトレールを歩いていても見つけるのが大変難しい。
                   
                  Queen of the Night 3
                  貧弱で目立たない " Arizona Queen of the Night " も夏の「モンスーン季」が来ると、一夜だけ大変優雅な美しい花を咲かせる。夕方日が落ち暮れて来ると咲き始め、翌朝には散ってしまう一晩だけ数時間の短い花の命である。しかもほとんどの花がその夜だけほぼ同時に一斉に咲いてしまうので、この美しい花を愛でれるのは一夜だけである。(今でもこのミステリーな現象は判らないらしい)蝋で作られたような白い花は直径30センチほどの大きさで、バニラのような甘い香りがする。
                   
                  Queen of the Night 4
                  この一晩限りの貴重な花を見るため私はここ数年地元の「砂漠トレールを歩く会」に参加している。そしていよいよ待ちに待った花が咲きそうな当日の朝、「歩く会」からメール連絡を受けると、どんなに忙しくてもその夜には出かけて見なくてはならない忙しい花の観賞歩きとなる。でも、砂漠の月明かりに照らされて咲く清楚な白い花を足下近くにいる夜行性のガラガラヘビやサソリを気にし、コヨーテ(オオカミの一種)の遠吠えを聞きながら楽しむのはソノラ砂漠ならではの醍醐味であろう。

                  艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (後編)

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                     Saguaro
                    花が咲き始めた Saguaro

                    ユーモラスな姿をした巨大なソノラ砂漠を象徴するサボテン Saguaro (サワーロと発音、和名ベンケイチュウ)は15メートル近い高さで、重さは10トンにもなる。 5月・6月には頭頂部に小さく可愛らしい白い花がたくさん咲く。

                    Saguaro & White-winged Dove
                    Saguaro の蜜を吸うハジロバト

                    砂漠に自生する Saguaro は急斜面に立っているのが多く、高い所に咲いてる花をじっくり見るのがなかなか難しい。 花蜜は濃くて甘いので、ハジロバト(White-winged Dove) のような砂漠の鳥たちが大好物である。

                    Saguaro Flower
                    蝋で作られたようなSaguaroの白い花は7センチから9センチの大きさで、アリゾナの「州の花」である。

                    Queen of the Night 1
                    Desert Night-blooming Cereus (Penio cereus greggii )

                    南アリゾナの一部の地域でしか自生していない大変貴重なサボテンで、近年コレクター(サボテン収集家)の乱獲によりその数が激減、今ではその群生を見るのは大変難しい。 サボテン保護区で毎年この花を見るウオークが行われるのであらかじめ名前を登録しておく。 そして花が咲くと思われる2日〜3日前に連絡が入りウオークの日が決まるので、それに参加して毎年この花を楽しんでいる。 何しろ一夜しか咲かない大変貴重な花なので、こうしたウオークも大変人気がある。

                    Queen of the Night 2
                    ライトアップされた Desert Night-blooming Cereus

                    5センチから10センチほどの香りの良い白い花で、夕暮れになると開き始め、翌朝、太陽が出るとつぼんで枯れてしまう。 白くて清楚な花はとてもサボテンの花とは思えないほど美しく、しかも、たった一夜だけの花なので別名 " Arizona Queen of the Night " (アリゾナ夜の女王)と呼ばれ、大変人気がある。

                    Fishhook Barrel
                    Fishhook Barrel (Ferocactus wislizeni )

                    別名 "Arizona Barrel Cactus" (アリゾナ樽サボテン)は3メートルから4メートルの大きさで、丸くてでっぷりした樽のような形をしていて、特に南アリゾナでは大変ポピュラーである。 5センチから9センチほどのオレンジ色の花は7月・8月のスコール(激しい雷雨)が降るモンスーン季に咲き始める。

                    艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (前編)

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                       Prickly Pear
                      エンゲルマン・プリックリー・ペアー (Engelmann Prickly Pear )

                      冬の間のソノラ砂漠は裸の低潅木だけのモノトーンに近い世界であるが、4月に入り、サボテンの艶やかな花が咲き始めると、砂漠はいっぺんに明るくなる。ソノラ砂漠には約150種類のサボテンが自生している。「プリックリーペアー」はウチワサボテンの仲間で約200種類ほどあり、初夏一番に咲くサボテンの花である。

                      Prickly Pear Flower
                      プリックリーペアーの花 (Opuntia engelmannii )

                      この美しい花の棘は大変恐ろしい。 芝刺(ぼうし)と呼ばれる細かい棘が密生していて、手足や指が触れるとこの棘が束になって枝から抜け、ゴボッとくっつくので取り出すのに非常に苦労する。 しかも毛抜きで一本一本取らなくてはならないぐらい小さくて細い棘の束なので大変厄介である。 私の経験でもこの束になった棘はズボンの上からでも布を突き通って肌に直接刺さるので始末に悪い。

                      Staghorn Cholla
                      スタグホーン・チョーヤ (Staghorn Cholla )

                      メキシコ産のウチワサボテンの一種で特に南アリゾナに多く、木のようにがっしりしているのでサボテンとは思えない形である。

                      Staghorn Cholla Flower
                      スタグホーン・チョーヤ (Cylindropuntia versicolor ) の花

                      砂漠の鳥、サボテンミソサザイやマルハシツグミモドキなどはこのサボテンによく巣を作る。

                      Pink-flowered Hedgehog
                      Pink-flowered Hedgehog (Echinocereus fasciculatus )

                      「ピンクフラワード・ヘッジホッグ」はアリゾナでしか見られない固有種である。 サボテンの一つ一つは小さいが、いくつも一緒にくっついて一度にパッと咲くので、そのマジェンタ色の花はソノラ砂漠でもひときわ目立つ。

                      Fishhook Pincushion
                      Arizona Fish Hook Pincushion (Mammillaria grahamii )

                      15センチほどのこの小さなサボテン「フィッシュフック・ピンクッション」は低潅木の下に隠れるように生えていることが多く、トレールを歩いていてもうっかりしていると見逃してしまう。 大きな棘の先がカギ形で、釣針に似ていることから "Fish hook "の愛称で呼ばれている。


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