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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その4)最終

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    トレールを歩くオオミチバシリ

    アンザトレール(自然探索路)を横切るオオミチバシリ ( Greater Roadrunner )

     

    アメリカでは非常に馴染み深い鳥で、アニメによく登場するし、会社や商品のロゴマークにも使われてる。体の長さは日本のハシブトガラスと同じ、背中は黒褐色で白いまだら模様、真っ直ぐな尾が特徴。頭をおっ立てて長い首を前に突き出し、長い尾で舵を取りながら速足で歩く姿は大変愛嬌があって人気者である。グラウンドを時速15キロ以上のスピードでよく走る。地上での生活が多いのと、しかも背中の模様がカモフラージュされてるので、双眼鏡で探しても中々見つからないが、トレールを歩いている時、思わぬ所で出くわすと「プルルル・・・」という警戒音を発するのでびっくりさせられる。

     

     

    トカゲを捕らえたオオミチバシリ

    草むらでトカゲを捕らえたオオミチバシリ ( Geococcyx californianus )

     

    西側の南部の乾いた暑い砂漠に生息するオオミチバシリ、南アリゾナ、ソノラ砂漠は数が最も多く、ごく普通に見られる。そして庭にエサ取りにやって来るので身近な鳥でもある。カッコウの仲間であるが、托卵は行わないで自分たちで巣を作る。昔は " Ground Cuckoo " と呼ばれていた。主なエサはトカゲ、バッタなどの昆虫、サソリ、ネズミなどの小動物、時には猛毒なガラガラヘビも捕食するが滅多に食べない。

     

     

    メグロトウヒチョウ

    南アリゾナのごく一部にしか生息してないメグロトウヒチョウ ( Abert's Towhee / Pipilo aberti )

     

    日本のムクドリと同じ大きさで、南アリゾナの一部地域でしか見られない固有種である。乾いた砂漠の水が流れる場所を好み、臆病なので暗い灌木の茂みの中で静かに止まっており、エサ取りはグラウンドで行うことが多く、見つけるのに苦労する。近づくと鋭い声で「ピーピー…」とコール(地鳴き)をするので、それで初めて居場所が判ることが多い。主に甲虫類の虫、バッタ、セミなどを食べ、時には草や木の実を両足で割りながら食べている。

     

     

    エサ取りするインカバト

    鱗模様が美しいインカバト ( Inca Dove )

     

    体の長さ21センチで、日本のキジバトよりずっと小さく、スズメより大きい。テキサス南部から南アリゾナそしてメキシコに生息する小さいハトで、ソノラ砂漠では特に数が多く、街中の公園、農耕地などでよく見られる。スズメバト ( Common Ground Dove ) によく似ているので間違われることが多い。グラウンドを歩きながら草や木の種、果実を拾って食べる。「聞きなし」の "No Hope " と言われる「クーポー」と鳴く地鳴きをよく繰り返す。

     

     

    枝に止まるインカバト

    木陰で暑い砂漠の日差しを避けるインカバト ( Columbia inca )

     

     

    エサ取りするスズメバト

    グラウンドでエサ取りするインカバトによく似てるスズメバト ( Common Ground - Dove )

     

    和名は「スズメバト」であるが、体の長さはスズメより大きくヒバリと同じ大きさである。フロリダからテキサスの南部の牧草地や水の流れがある茂った林で生活している。主にグラウンドでエサ取りし、落ちてる草や穀物の種を拾って食べる。

     

     

    枝に止まるスズメバト

    翼の赤いすじ模様が特徴のスズメバト ( Columbina passerina )

     

    トレールを歩いていると、びっくりして飛び上がりバタバタという大きな羽ばたき音を出しながら近くの木の枝に止まることがあり、この時、特徴である翼の赤い色がよく見える。雄は暑い真夏の日中でも、短くソフトな声で「クークー」とひっきりなしに鳴く。近年その数が激減してきてソノラ砂漠でも見る機会が少なくなっているが、その原因がいまだに判ってない。

     

     

    虫を探すサメズアカアメリカムシクイ

    葉についてる虫を探すサメズアカアメリカムシクイ ( Orange - crowned Warbler / Vermivora celata )

     

    体の長さは日本のメジロより少し大きく、体全体がウグイス色でアメリカムシクイの中でも最も特徴がない。英名の由来である頭の天辺がオレンジ色 " Orange-crowned " はフィールドで見るのはなかなか難しい。ほとんどのアメリカムシクイが冬を中南米で過ごすが、サメズアカアメリカムシクイはアリゾナ、テキサスなどの北米の南部で過ごす。そのため冬になると我が家の庭のフィーダーや水場によくやって来る。特にフィーダーのエサとなるスエットやピーナツバターを非常に好む。大変好奇心が強い鳥で、口で「ピシピシピシ…」(Pishing ) という音を出すと、すぐ反応して近くの枝に飛んで来る。

     

     

    羽繕いするキヅタアメリカムシクイ

    水浴びをして羽繕いするキヅタアメリカムシクイ ( Yellow - rumped Warbler / Dendroica coronata )

     

    日本のシジュウカラと同じ大きさで、一番ポピュラーなよく知られてるアメリカムシクイである。ニューヨークなど東側で見られる " Myrtle "  (マートル)種と,アリゾナなど西側で見られる " Audubon " (オーデュボン)種の2亜種に分けられてるが、昔は完全な別種として区別されていた。前者の特徴は喉が白く顔に黒いマスクがあり、後者は喉が黄色である。夏の繁殖地はカナダやアラスカの針葉樹林帯で、冬は中南米へ渡らずに多くがアリゾナなどの北米の暖かい南部地域で過ごし、我が家の庭にもやって来る。エサは主に虫を捕食するが、冬になると月桂樹やビャクシン、ヤマモモ、ツタウルシなどの実を主に食べるようになるため、長い渡りをせずに北米の南部に留まる。

     

     

    オウゴンアメリカムシクイ

    水浴びに降りてきたアリゾナでは大変珍しいオウゴンアメリカムシクイ ( Prothonotary Warbler / Protonotaria citrea )

     

    昔は " Golden Swamp Warbler " と呼ばれており、主に東側南部のよどんだ沼に生息する派手なアメリカムシクイでこの名が付けられていた。英名 " Prothonotary " の由来はカソリック教会の書記(ジャーナリストのグループ)が着ていた明るい黄色のフードから付けられた。アリゾナでは冬に中南米へ渡っていく途中でごく稀に寄って行く旅鳥である。

     

     

    群れで水浴びルーシーアメリカムシクイ

    群れで水浴びする渡り前のルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler / Vermivora luciae )

     

    日本のメジロより小さく薄い灰色で目立たないが、南アリゾナの極暑の砂漠地帯で繁殖する唯一のアメリカムシクイである。冬を過ごす中南米への渡りは早いので、8月に入るともう群れを作って南下し始める。砂漠の " Wash " 沿いに生えるマメ科の " Mesquite " メスケ)の木を特に好むので、昔は " Mesquite Warbler " と呼ばれていた。このルーシーアメリカムシクイとオウゴンアメリカムシクイの2種類のみが営巣に木の洞や巣箱を利用する。

     

     

    水浴び中のノドグロハイアメリカムシクイ

    水浴び中のノドグロハイアメリカムシクイ ( Black - throated Gray Warbler )

     

    アリゾナから西側の雨量の少ない乾燥した開けた地域で常緑針葉樹「杜松」の仲間 Pinyon Pine やセイヨウビャクシン、樫、松などの森で多く見られる。ニューヨークなど東側では見られないので、アリゾナに来るバーダーにとってはぜひ見たいターゲットにするムシクイである。白黒の大変目立つアメリカムシクイであるが、松林の中では上手くカモフラージュされて見つけ難いし、シロクロアメリカムシクイ ( Black - and - White Warbler ) によく似ていて、初心者は間違えることが多い。目の上の黄色のスポットが特徴である。

     

     

    顔を水に浸けるノドグロハイアメリカムシクイ

    人が居ることなど丸っ切りお構いなし、思いっきり顔を水に突っ込んで大胆な水浴びするノドグロハイアメリカムシクイ ( Dendroica nigrescens )

     

     

    水に浸かって囀るノドグロハイアメリカムシクイ

    ノドグロハイアメリカムシクイ、水浴びをした後、気持ち良くなるのだろうか…鳥たちはよく囀る。しかし、水に浸かったまま、しかも、水浴びをしながら囀る姿は初めて見た。


    チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その3)

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      クロツキハエトリ横向

      水の上を飛ぶ虫を狙うクロツキヒメハエトリ ( Black Phoebe )

       

      チュマカコリ公園内には乾燥した南アリゾナの砂漠地帯では数少ない年間を通して流れる川 ( Santa Cruz River ) があり、ハエトリやタイランチョウ類の " Flycatcher " が渡りの時に多く来園してエサ取りをして行く。

       

       

      クロツキハエトリ後向

      クロツキヒメハエトリ ( Sayornis nigricans )

       

      体の長さ17センチ、日本のヒバリ ( Alauda arvensis ) と同じ大きさである。北米では唯一の黒いハエトリで、真っ黒なボディーに白い腹、小ざっぱりしたダンディーな鳥である。テキサスからアリゾナ、カリフォルニアの南でほぼ一年中見られる。川や池など水の上に張り出した低い枝に止まって、ゆっくり尾をポンプのように上げたり下げたりしながら水面上を飛ぶ虫を探す。

       

       

      クロツキハエトリ捕虫

      大きな虫を捕らえたクロツキヒメハエトリ

       

      主たるエサは虫で、川岸の低い枝にじっと止まって飛んでる虫を探し、見つけると素早く飛び出して空中でフライングキャッチする。また、時には水面に浮かんでる虫や小魚を捕ることもある。近年その数が増えてきており、人が住む所にも現れるようになったが、庭のフィーダーにはけっして来ない。数が増えてる要因の一つは、彼らが町の水再生処理場やゴルフ場、公園の池などの周りまで営巣場所を拡大していることにある。そして、最近では町のビルの庇や橋桁などに泥で作られた巣が見られるようにもなった。

       

       

      ベニタイランチョウ雄と雛

      ベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher ) の親子(雄と雛)

       

      英名は赤い色の「朱色」、" Vermilion " から付けられた。北米では " Flycatcher " の多くが茶色やウグイス色の地味な色であるが、ベニタイランチョウは鮮やかでカラフル。特に新緑の中で見る姿は大変美しく、南アリゾナでは人気の鳥の一種である。体の長さ15センチ、日本のシジュウカラと同じ大きさ。主に南テキサスから南アリゾナ、メキシコ、中南米にかけて生息しており、南アリゾナのソノラ砂漠では近年その数が増えてきている。彼らは乾燥した砂漠や草原で川の流れや人工の運河、池などがある場所を好む。比較的目立つ低い枝にじっと止まって空中を飛んでる虫を探し、見つけると飛び出して空中で飛びながら捕らえるので見つけやすい。

       

       

      雛にエサ与えるベニタイランチョウ

      雛にエサを与えるベニタイランチョウ雄 ( Pyrocephalus rubinus )

       

      主たるエサは昆虫であるが、特にミツバチを好んで捕食する。消化出来ない部分は「ペリット」の形で吐き出す。雌は年に2回繫殖するので、2回目の巣作り、産卵に入ってる間(7月・8月のモンスーン期)は雄が雛を連れてエサ与えなどの世話をする。ベニタイランチョウの雄の求愛行動は大変派手で特徴がある。木の高い所から体の羽毛、頭の羽全て膨らませ嘴を上に向けて空中を垂直に飛びながら上昇し、ホバリングしながら囀り、そして尾を広げゆっくり羽ばたきしながらメスのいる枝に降りてくる。

       

       

      Pacific-slope Flycatcher

      キノドメジロハエトリ ( Pacific-slope Flycatcher / Empidonax difficilis )

       

      体の長さは14センチでスズメと同じ大きさ。頭から背中にかけて緑掛かった薄茶色で、喉と腹から下が薄い黄色の特徴のないFlycatcher である。以前は " Cordilleran Flycatcher / Empidonax occidentalis " と同種で " Western Flycatcher " と呼ばれていたが、1989年2種類の独立種に分けられた。しかし、フィールドでの識別は大変難しく、目だけに寄る識別はほとんど不可能に近いので鳴き声のみでしか見分ける方法はない。冬はメキシコで過ごし、夏に主にカリフォルニアからカナダまでにかけての太平洋沿岸で営巣する。南アリゾナには春秋の渡りの時だけ通過する。

       

       

      Willow Flycatcher

      メジロハエトリ ( Willow Flycatcher / Empidonax traillii )

       

      北米では「メジロハエトリ」と呼ばれ、学名 " Empidonax " と言われる Flycatcher が11種類見られる。頭から背中にかけてはウグイス色から薄茶色で白いアイリングが特徴であるが、どれもこれも非常によく似ていて、鳴き声に寄る見分けが不得意のバーダーは識別に大変苦労する。そのため初心者、時には中級のバーダーでもこれらの Flycatcher を見つけると名前が判らず、学名を短くして「エンピ ( Empi ) 」を見たと報告する人が多い。所謂バーダー泣かせの鳥でもある。メジロハエトリ ( Willow Flycatcher ) は特に鳴き声に特徴があり、クリアーな囀り「フィッツビュー ( fitz-bew ) 」は一度聞くと忘れられない。この鳥も昔はキタメジロハエトリ ( Alder Flycatcher / Empidonax alnorum ) と同じ種類で " Traill's Flycatcher " と呼ばれていたが、1980年代に入ってそれぞれ2種類の独立種に分けられた。

       

       

      Swainsons Hawk

      アレチノスリ ( Swainson's Hawk / Buteo swainsoni )

       

      体の長さ53センチ、日本のノスリより少々大きい。チュマカコリ公園では秋の渡り時にハネビロノスリ ( Broad-winged Hawk / Buteo platypterus ) と群れで飛ぶ姿を見かける。毎年18000キロから27000キロの大変長い旅をするので、南米のアルゼンチンまで渡って行く個体もいる。渡りの時は、大きな群れで何日間もエサを食べないで旅が出来る。南アリゾナでは乾燥した荒れ地や草原、牧草地、農地などで見られる。主たるエサはバッタや毛虫などで、グラウンドを走りながら虫を捕らえる。また、鷹なのに空中を飛んでる虫を捕らえるのが上手い。繁殖期だけはネズミやヘビ、ウサギ、ジリス、鳥などを捕らえて雛に与える。時にジリスの巣穴に歩いて忍び寄りで近づきハントすることもある。

       

       

      オオアメリカムシクイと風景

      倒木に止まるオオアメリカムシクイ ( Yellow-breasted Chat )

       

      オオアメリカムシクイは体の長さ19センチ、日本のシメ ( Coccothraustes coccothraustes ) と同じ大きさである。ほとんどのアメリカムシクイ ( Wood Warbler ) が大きさ11センチから15センチと小さいので、オオアメリカムシクイの大きく太くて丸い体、しかも太い嘴と長い尾の特徴からして、とてもアメリカムシクイの仲間とは思えない。しかし、近年のDNA鑑定でもれっきとしたアメリカムシクイであることが証明されている。

       

       

      私を見るオオアメリカムシクイ

      頭上の枝から覗き込むように私を見るオオアメリカムシクイ ( Icteria virens )

       

      オオアメリカムシクイはほぼ全米で見られるポピュラーなアメリカムシクイであるが、繁殖期以外は臆病でコソコソ葉の密に茂った灌木の中に隠れじっとしているので非常に見つけにくい。唇で鳥の鳴き声のような「ピシピシピシ・・・」という音を出すと、時には見える枝先に出てきてこちらをチラッと見て、すぐ葉の中に隠れてしまうことがある。このアメリカムシクイがよく見れるのは繁殖期で、開けた枝に出てきて大きな声で騒々しくテリトリーソングを歌う。また、ホバリングしながら囀ることもあり、そして嘴と頭を上に向けて尾を上下に動かしながら空中を上がって行き、ゆっくり翼を羽ばたかせて降りてくる仕草を繰り返すので大変見易い。

       

       

      オオアメリカムシクイ囀る姿

      枝先でうるさく鳴くオオアメリカムシクイ

       

      オオアメリカムシクイは姿だけでなく囀りが独特で、とてもアメリカムシクイの仲間とは思えないほど変わっている。口笛のような「フィーフィーフィー…」から始まって、「ギーギーギー・・・」という金切り声、猫のような「ニャオー」そして「キョキョキョ・・・」、「ゲッゲッゲッ・・・」などを混ぜ合わせてゆっくりけたたましく、しかも滝のように囀りを降り注ぐ。まるで不協和音の即興ジャズのようで変化に富んで単純な節まわしの歌である。英名の " Chat " は「お喋り」という意味の " Chatting " から付けられた。

       

       

      セミ

      一斉に鳴き出すセミ ( Ground Western Cicada / Tibicen dorsata )

       

      夏のモンスーン期に入ると南アリゾナは激しい雷雨の日が多くなり、チュマカコリ公園もしっとりと草木が濡れ、セミが大量に発生する。一匹が鳴き始めると一斉に全員が加わり大合唱となる。「ジー・・・」という大きな声に林が包まれ、鳥の囀りも一切聞こえなくなる。南アリゾナは春・夏と年に2回営巣する鳥が多く、このセミは彼らの雛の重要な蛋白質源となる。


      チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その2)

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        Santa Cruz River

        メキシコから国境を越えて流れてくるサンタクルーズ川 ( Santa Cruze River )

         

        チュマカコリ歴史公園のアンザトレールはサンタクルーズ川に沿って作られてるので、鳥たちが水浴びや水飲みに降りてくるスポットがいくつもある。南アリゾナでの水場は生き物にとって大変貴重で、しかも数が少ないので水辺に居ると色々な鳥たちに出会える。

         

         

        Coopers Hawk in river

        早朝、川の中にいるクーパーハイタカ ( Cooper's Hawk / Accipiter cooperii ) 雄

         

        クーパーハイタカはカラスぐらいの大きさの中型の鷹で、短く丸い翼と長くて丸い尾が特徴。アシボソハイタカ ( Sharp-chinned Hawk ) とよく似ているので、鷹の渡りのカウントする時には識別に大変苦労する。成鳥の雄は胸から腹にかけての赤茶色の縞模様と濃い灰色の頭のコントラストが美しい鷹である。南カナダから北メキシコまでのほぼ北米全域に生息しており、落葉樹の森に好んで営巣するが、1970年代以降、町の公園や庭のフィーダーにも獲物(ハトやウズラ、リスなど)を狙ってよくやって来るようになった。この鷹は狩りの仕方が変わっていて、密集して葉が茂る枝を移りながら獲物に静かに近づき、そして急に力強く飛び立って急襲する。また、時々捕らえた獲物を水辺に運んで水に浸けて殺すこともある。

         

         

        川の中のササゴイ

        水中の小魚をじっと狙うササゴイ ( Green Heron / Butorides virescens )

         

        アメリカのササゴイは日本のササゴイ ( Butorides striatus ) より小さい。しかし、首が濃い栗色で背中は緑色と色鮮やかで美しい。南アリゾナでは一年中見られる留鳥であるが、北に生息する個体は南へ渡りをし、中米パナマまで下りて冬を過ごすのもいる。

         

         

        ササゴイと赤トンボ

        ササゴイと夏の終わりを告げる赤トンボ ( Red Skimmer / Libellula saturata )

         

        ササゴイは静かにゆっくり流れる川によく一羽でいることが多い。早朝など水辺のトレールを歩いてると、突然目の前から飛び出し「キョー」という大きな声を発するのでびっくりさせられる。そして驚いて警戒すると尾をピッと動かして頭の冠を立てる。

         

         

        水辺のルリイカル

        水辺に現れたルリイカル ( blue Grosbeak / Guiraca caerulea ) 雄

         

        ルリイカルは体長17センチと日本のイカルよりずーと小さい。全身が陽に当たると目が覚めるような鮮やかなブルーで、幅の広い栗色の翼帯が大変目立つ美しい鳥である。しかし、日が照らない曇りの日に遠くから見ると、ただ全身が真っ黒にしか見えない。夏に中米から戻って来る渡り鳥で、ほぼ全米でごく普通に見られる。

         

         

        水を飲むルリイカル

        水辺で腰を下ろして静かにじっと待っていると、ルリイカルは私を気にすることなく、ゆっくり水を飲み始めた。

         

         

        川に降りてきたムラサキノジコ

        水浴びをしようと川に降りてきたムラサキノジコ ( Varied Bunting / Passerina versicolor ) 雄

         

        ムラサキノジコは首が深い紅色、頭は青紫、胸は紫に近い深紅色、そして背中と翼は黒と色の変化に富んでいる美しいノジコである。同じ仲間ではないが、日本の夏鳥ノジコ ( Emberiza sulphurata ) と同じ大きさである。この鳥も陽に当たると非常にカラフルで美しいが、日が当たらない曇りの日は全身真っ黒にしか見えない。

         

         

        水浴び後のムラサキノジコ

        水浴びが終わってプルミング中のムラサキノジコ

         

        この美しいムラサキノジコは夏鳥で、南アリゾナとテキサスのメキシコとの国境沿いの一部地域で、しかも水の流れがある棘の生い茂った雑木林でしか見られないので、南アリゾナに来るバーダーたちがぜひ見たいと探す憧れの渡り鳥である。営巣場所のテリトリーソングを囀る枝が棘のある木が多い林なので、近づくのに少々苦労する。しかし、この鳥は臆病でないので、ある程度近づければじっくり囀る姿が見れるし、主なエサは草や木の種なのでグラウンドに降りてエサ取りすることがあり、観察するチャンスはけっこう多い。

         

         

        ムラサキノジコの雌

        木の枝に止まって、下から伸びてる草の種を取って食べるムラサキノジコの雌。オスと違って茶色で地味である。

         

         

        川に降りてきたゴシキノジコ

        水浴びのため川に降りてきたゴシキノジコ ( Painted Bunting / Passerina ciris ) 雄

         

        濃いブルーの頭、緑色の背中、そして喉から腹にかけての赤、これ以上派手な鳥は居ない…と思われるほど非常に目立つ鳥である。「天下一品の無比の鳥」という意味で " Nonpareil " とも呼ばれている。東海岸沿いの南部、ジョージア、フロリダからルイジアナ、テキサスにかけて主に生息しているが、近年南アリゾナでも少数であるが見られるようになった。昔は飼い鳥として大変人気があったが、現在は国の法律で捕獲、輸入が全て禁止されてる。しかし、メキシコや中米では、いまだに飼い鳥として密売されている。

         

         

        水浴びのゴシキノジコ

        顔を水中に入れての豪快なゴシキノジコの水浴び

         

        ゴシキノジコは葉が密集している低灌木の低い枝に隠れるように止まっていることが多いので見にくいが、繁殖期には目立つ高い枝に止まって囀るのであまりの美しさにハッとすることがある。性格は少々激しく、特に雄はテリトリーの取り合いとなると凄い争いをすることがあり、殺し合うこともある。

         

         

        水に入るクロズキンアメリカムシクイ

        水に入る南アリゾナでは珍しいクロズキンアメリカムシクイ ( Hooded Warbler / Wilsonia citrina )

         

        クロズキンアメリカムシクイは東側の河川や湖沼のある森ではごく普通に見られる夏鳥であるが、南アリゾナを含む西側ではごく稀にしか見られない大変珍しいアメリカムシクイである。「チュマカコリ歴史公園」では年に2〜3回程度は見れるチャンスがある。しかし、近年木材の伐採などによる営巣地の縮小やアメリカムシクイの巣を主に托卵先としているコゥウチョウ ( Brown-headed Cowbird / Molothrus ater ) の増加などによりその総数は減少してきている。

         

         

        水浴びするクロズキンアメリカムシクイ

        顔を上に向けて思いっきり水浴びするクロズキンアメリカムシクイ雄

         

        クロズキンアメリカムシクイは葉の密集した小灌木の暗い低い枝に静かに居ることが多いが、私がニューヨーク在住時に郊外の営巣地で毎年観察した経験では、けっして臆病な鳥ではないように思われた。繁殖期には近くの枝でよく囀るし、グラウンドに降りてエサ取りしたり、飛び上がって空中の虫を捕らえたり、時には腰をかがめて観察している私の足元近くまで寄って来て囀ってくれたり…と非常にフレンドリーな親しみがわくアメリカムシクイであったことが思い出される。


        チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その1)

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          チュマカコリ公園のフランシスコ教会

          チュマカコリ国立歴史公園 ( Tumacacori National Historical Park ) のフランシスコ教会 ( Franciscan Churchi )

           

          メキシコとの国境に近い「マイフィールド」、チュマカコリ国立歴史公園はツーソン (Tucson) からハイウエイI−19を75キロ南へ下がった所で、メキシコ国境の町 Negales までは30キロの近さである。主要道路には中南米からの違法入国者及び麻薬運び人を取り締まるため検問所があり、身分証明書(パスポートかグリーンカード)の提示を求められるので、まさにメキシコとの国境沿いでのバーディングである。この公園は1752年メキシコを植民地にしていたスペインが北の要塞地として宣教師を送り開拓をして住み始めた場所で、もともと住んでいた " Oodham " と呼ばれる人々の生活方法を取り入れ、牧畜をしながら小麦やフルーツの木をたくさん植えて教会を建てた。公園内には当時のアドービレンガとプラスターそして木材を使って建てられた家屋や教会が保存されており、内部には当時の生活の様子などが見られるよう色々なものが展示されてる。南アリゾナの歴史そしてバーディングの両方が楽しめるスポットである。

           

           

          チュマカコリ公園のフランシスコ教会鐘楼

          フランシスコ教会 ( Franciscan Church ) の鐘楼

           

          スペインの入植者たちは原住民のインディアン、特にアパッチ族やヤキ族の襲撃に悩まされ、1800年代に入って他の地域へ移動し始めた。そして、メキシコがスペインから独立した後、米国との戦争に入り、1848年終戦と共に米国はメキシコからアリゾナを15百万ドルで取得する取引が成立、そしてアリゾナは米国の州の一つとなった。

           

           

          ミュージアム看板とツバメ及び巣

          歴史公園のミュージアム入口、ツバメの巣(赤い矢印)と看板に止まるツバメ(黄色の矢印

           

          ツバメ ( Barn Swallow / Hirundo rustica ) は夏になると南米から戻って来る渡り鳥で、市街地周辺や人家、店舗などの建造物に営巣する。日本で夏に見られるツバメ(亜種の Hirundo rustica gutturalis ) と同じ仲間である。紺碧の空、古い教会の建物、鐘楼の周りを飛ぶツバメの姿は夏の到来を感じ、見ていて嬉しくなる。

           

           

          ドアーに止まるツバメ

          ミュージアム入口ドアーで出迎えてくれるツバメ ( Barn Swalliow )

           

          ツバメは夏になると街中でもかなりの数が見られる。大きなスーパーマーケットや店舗がたくさん入ってるモールの建物に巣を作り雛を育てている。多くの人々が出入りするスーパーマーケットなどは、さすが出入り口の上などには巣が作れないよう針金を張り巡らしているが、その他のカート置き場などの天井近くには椀型の巣がたくさん作られている。巣の雛を見守る親ツバメが時々カートに止まってることがあり、身近に暮らしてる鳥の感じがして思わず " How are you? " と声を掛けたくなる。買い物客がふっと足を止めて雛にエサを与える親ツバメの姿を見てる光景は実に良いものだ。

           

           

          アンザトレール入口

          アンザ自然探索路 ( Anza Trail ) の入口

           

          チュマカコリ国立歴史公園にはサンタクルーズ川 ( Santa Cruz River ) 沿いにチュマカコリ公園からチュバック要塞州立歴史公園 ( Tuback Presidio State Historic Park ) まで7キロのアンザ自然探索路が作られあり、気楽な自然散策やバーディングが出来る。

           

           

          風景ーアンザトレール

          ポプラの仲間ハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) や Willow が密集して鬱蒼とした緑のアンザ自然探索路、ここは " Santa Cruz River Valley " と呼ばれている。

           

          近年、アンザ自然探索路 ( Anza Trail ) はメキシコ種の珍鳥バラノドカザリドリモドキが2017年夏から毎年巣作りをしており、じっくり観察出来るスポットなのでバーダーたちの間で一躍有名になった。バラノドカザリドリモドキの巣はオフィシャルな自然探索路から少し外れた所にあり、バーダーたちが下草を刈って切り開いたテンポラリーのトレール沿いで、" Social Trail " と呼ばれている。赤いリボンの目印が結ばれており、全米からこの珍鳥見たさにやって来るバーダーたちに判りやすくしてある。昨年は2組の巣が見つかり、年々少しづつ増えてるのかもしれない。

           

           

          バラノドカザリドリモドキ雄

          メキシコ種の珍鳥バラノドカザリドリモドキ ( Rose-throated Becard / Pachyramphus aglaiae ) の雄

           

          アンザ自然探索路 ( Anza Trail ) で見られる南アリゾナの夏鳥を数回に分けて紹介してゆきたい。まずトップはバラノドカザリドリモドキ。この美しいメキシコ種は近年アンザ自然探索路を有名にした鳥である。メキシコからコスタリカにかけての中米に主に生息し、雄は喉がバラ色で美しく、中米で見られる " Tityridae " 種の仲間である。そしてこのバラノドカザリドリモドキは唯一の北米で見られる " Tityridae " 種である。

           

           

          昆虫銜えて飛ぶバラノドカザリドリモドキ雌

          バッタを銜えて巣へ運ぶバラノドカザリドリモドキの雌。雄のような派手さはないが、灰色と茶色、地味で大変可愛らしい。

           

           

          草に止まるバラノドカザリドリモドキ雌

          エサ取りのため低い草に降りてきたバラノドカザリドリモドキの雌

           

          バラノドカザリドリモドキのエサの捕り方は、葉の茂った大きな木の枝でじっと虫を探し、見つけると飛びながら葉についてる虫を捕り、枝に戻って食べる。時々短くホバリングしながら空中で飛んでる虫を捕ることもある。特に繁殖期には低い草木に下りて来てエサ探しをすることもあり、この珍鳥をじっくり観察が出来るチャンスである。

           

           

          バラノドカザリドリモドキの吊り巣

          高い木の枝先(地上15メートルの高さ)にぶら下がるように作られてるバラノドカザリドリモドキの吊り巣(赤い矢印

           

          巣は大きなフットボールの形をしていて、垂れ下がってる枝の先にぶら下がってる。遠くから見てもよく目立つ巣なので、巣を見て初めて今夏もバラノドカザリドリモドキが現れた…と判ることが多い。巣の大きさは高さ65センチから75センチ、幅は25センチから30センチである。巣の出入り口の穴は最初上横と底の二か所に作られており、巣が出来上がって来ると上の穴を塞ぎ下の底の穴を修理して一か所の出入り口にする。

           

           

          巣から飛ぶバラノドカザリドリモドキ雌

          大きな巣から飛び立つバラノドカザリドリモドキの雄

           

          バラノドカザリドリモドキの雄は体長18センチで日本の夏鳥オオヨシキリと同じ大きさであるが、黒い頭とピンクの喉が目立つダンディーな鳥である。しかし、高い木の天辺キャノピーの近くに静かに止まってることが多いので人目につかず少々見るのが難しい。しかし、繁殖期には巣材運びをしたり、巣の近くの枝で葉についてる虫をバタバタと羽ばたきしながら捕ることがあるので見れるチャンスが多い。私が中米コスタリカで何回も見たバラノドカザリドリモドキの雄は喉がピンクでなくて黒であった。たしか図鑑も黒であり、たぶんコスタリカで冬を過ごすのは冬羽に換羽した成鳥か幼鳥が多いのかもしれない。

           

           

          ウタイモズモドキ

          ウタイモズモドキ ( Warbling Vireo / Vireo gilvus )

           

          英名 " Vireo " 学名も同じ " Vireo " 和名「モズモドキ」。モズの仲間ではないが、短くて頑丈で先が曲がった嘴がモズに似ていて近い種類である。大きさは日本の冬鳥のジョウビタキと同じである。英名 " Warbling " は囀りが早いリズムでアップアンドダウンがあり陽気で明るいアメリカムシクイ ( Wood Warbler ) に似ているところから付けられた。中南米で冬を過ごし、北米には夏鳥として到来する。営巣地域は大変広く、ほぼ全米にわたっており大変コモンであるが、南アリゾナでは数が少ない。背中は灰色のウグイス色で、胸から腹にかけて白い地味な鳥で、鳴き声はよく聞こえて来るが、カモフラージュされてるので、姿を見つけるのに少々苦労する。このため少々鳥を知ってる人や初心者のバーダーにもほとんど名前を知られてない鳥でもある。主に虫を食べ、大きな落葉樹が好きで、高い所で静かに動きながら虫を丹念に探して捕まえる。

           

           

          ナツフウキンチョウ雄

          ナツフウキンチョウ ( Summer Tanager / Piranga rubra )

           

          体長20センチで日本のコムクドリの大きさ。雄は全身が大変目立つ輝くような赤色であり、川が流れる水辺の森を好む。冬は主に南米で過ごし、ブラジルまで遠くへ行くのもいる。そして夏には北米に戻って来て広い地域で営巣する。派手な赤色で識別に苦労しないが、大きな木の高い所でゆっくり動き,しばしば葉に隠れるようにじっとしてるので見つけるには忍耐が必要である。主に蜜蜂や大きなスズメバチを好み、空中を飛んでる蜂を飛びながら捕ることがあるので、この時が見れるチャンスでもある。スズメバチを狙う時はしばしば巣に載ってスズメバチを捕らえ、それを枝でこすって毒針を取り除いて食べる。また、養蜂家の蜜蜂箱の幼虫も狙うこともあり、養蜂家には嫌われてる鳥である。


          ソノラ砂漠のオアシス・スイートウオーター水再生処理場 2018年春(その4)最終

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            ロードランナー蜥蜴を銜える

            トカゲを銜えて目の前に現れたオオミチバシリ ( Greater Roadrunner / Geococcyx californianus )

             

            南アリゾナの人気者ロードランナー、テキサスからアリゾナ、カリフォルニア、そしてメキシコの乾燥した砂漠地帯に生息するポピュラーなジカッコウの仲間である。めったに飛ばないでグラウンドを歩き大きな木の陰に入ってじっと休んでたりすると、体色が地面の色に近くてカモフラージュされてるので以外と見つけ難い。スイートウオーターにいる個体は割と人馴れしていて、ちょくちょく人前に出て来るので見やすく写真も撮りやすい。

             

             

            ロードランナー後ろ姿

            獲物を見せてくれた後、後ろを向いて得意げに長い尾を左右に振りながら去って行った。

             

            ロードランナーは可愛くて愛嬌のある鳥であり、獲物を捕ると得意げに見せに近寄って来ることがある。主な食べ物はトカゲ、ヘビ(特に猛毒なガラガラヘビを好む)小鳥、ネズミ、リスなどの動物食である。尾が長くキジ ( Phasianus versicolor ) のように歩くが、大きさはキジの三分の二程度しかない。囀りは冴えない低い声でハトのように「クークークー」と最後が消えるように下がるので、フィールドでは聞きなれてないとほとんど耳に入って来ない。

             

             

            Aberts Towhee

            南アリゾナのごく一部の地域でしか見られないメグロトウヒチョウ ( Abert's Towhee / Pipilo aberti )

             

            この希少種のトウヒチョウは、スイートウオーターでは毎年繁殖をしてるので写真を撮れる機会が多い。しかし、非常に臆病な鳥で、何時もこそこそしていて、ちょっとでも外敵の気配がすると驚いて直ぐ近くの藪の隠れ場所へ走り去ってしまうので見るのに苦労する。日本のツグミ ( Turdus naumanni ) と同じ大きさで、地面ををかいたり落ち葉をひっくり返して種や草の実、虫などを取り出して食べる。

             

             

            Western Kingbird

            北米の西側で主に見られる最もポピュラーなタイランチョウのニシタイランチョウ ( Western Kingbird / Tyrannus verticalis )

             

            スイートウオーターでは春に中米から戻てくる夏鳥である。大変環境の変化への順応性が高く、郊外の住宅街や公園でも目にすることがある。町ではエサ取りのために止まる高い木の枝に代わって高い塀や電線に止まってることが多々あり、しかも、電柱や他の人工物を巣作りの場所に利用している。エサ取り方法は木の枝や電線にじっと止まり虫の動きを見て、見つけると飛び出して空中で捕まえ、またもとの枝に戻る。又、しばしばグラウンドの上でホバリングして虫を掬い上げる芸当もする。求愛行動が大変大袈裟で、矢のように上空へ飛んで行き、翼を震わせながら鳴く。

             

             

            Yellow-rumped Warbler

            水浴びをするキヅタアメリカムシクイ ( Yellow-rumped Warbler / Dendroica coronata )

             

            スイートウオーターには幾つかの水の流れがあり、砂漠の鳥たちにとっても貴重な水場となっている。腰を下ろしてじっとしてると、次から次へと色々な鳥たちが水飲みにまた水浴びにやって来る。キヅタアメリカムシクイは写真のように喉が黄色い " Audubon's Warbler " と喉が白い " Myrtle Warbler " の2種類が居る。以前は別々に分けられていたが、今は " Yellow-rumped Warbler " 一種となった。 " Myrtle Warbler " は主にニューヨークなどの東側で見られ、アリゾナには大変少ない。日本のウグイス( Cettia diphone ) とほゞ同じ大きさか少し小さい。

             

             

            Common Yellowthroat

            臆病な鳥で、周りを気にしながら少しづつ水辺に近づいて来るカオグロアメリカムシクイ ( Common Yellowthroat / Geothlypis trichas )

             

            水辺の低灌木を好むので、スイートウオーターには数組のペアーが営巣している。地域による亜種が多く、南アリゾナで見られるのは

            " chryseola " 種である。大きい草や灌木の幹を垂直に登りながら虫やクモなどを探す。また、時には空中を飛んでる虫をフライングキャッチすることもある。

             

             

            Orange-crowned Warbler

            水浴びするサメズアカアメリカムシクイ ( Orange-crowned Warbler / Vermivora celata )

             

            南アリゾナでは主に冬の間だけ見られる渡り鳥で、夏には繁殖のためカナダ、アラスカへ北上して行く。南アリゾナで見られるのは明るい黄色の亜種 " lutescens " である。アメリカムシクイの多くは高い木のキャヌピーでエサ取りするが、サメズアカアメリカムシクイは低い枝を好み、時にはグラウンドでエサ取りすることもある。

             

             

            Coopers Hawk

            日本のキジバトより小さいクーパーハイタカ ( Cooper's Hawk / Accipiter cooperii )

             

            スイートウオーターでは猛禽類も近くで見ることが出来る。留鳥のクーパーハイタカは町の公園や人家近くでもごく普通に見られる鷹で、庭のフィーダーに集まって来る鳥(特にナゲキバト)を狙ってちょくちょく庭でハンティングすることがある。多くの鷹は空をソワリングしながら獲物を探すが、クーパーハイタカはソワリングはほとんどせず、鬱蒼と葉の茂った木の枝のしかも幹に近い所に止まり、じっと静かに待ちながら獲物の動きを見る所謂待ち伏せスタイルで、獲物を見つけると、素早くダッシュして木と木の間を低く曲芸飛行のように凄いスピードで獲物に襲い、足の爪で捕獲する。

             

             

            ワシミミズクの巣と雛

            大きなユーカリの木、鷹の古巣を利用したアメリカワシミミズク ( Great Horned Owl / Bubo virginianus ) の巣と雛

             

            アメリカワシミミズクは大きな木が少ない南アリゾナソノラ砂漠では巨大サボテン " Saguaro " に造られたモモアカノスリ

            ( Harris's Hawk / Parabuteo unicinctus ) やワタリガラス ( Common Raven / Corvus lorax ) の古巣を利用することが多い。人家の庭の低灌木でも見られるポピュラーなフクロウであり、秋から冬にかけては特に雄・雌で夜ごと屋根の上で鳴き合うので大変身近な鳥でもある。

             

             

            ワシミミズクの親

            雛の頭上の枝でじーと私を見ているアメリカワシミミズクの雌親

             

            全米の広い地域で見られるポピュラーな大型のフクロウで、日本で迷鳥として記録があるワシミミズク ( Bubo bubo ) より小さい。主たる獲物はスカンクなど大きな動物からリス、ネズミまで幅広く食べる。秋になると庭の灌木の豆が下に落ち、野ネズミの Cacutus Mouse がそれを食べに庭に現れるので,それを狙ってアメリカワシミミズクが夜頻繁に庭に来てくれる。


            ソノラ砂漠のオアシス・スイートウオーター水再生処理場 2018年春(その3)

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              風景トレール

              よく整備されてるトレールの一部は舗装されてるので車椅子でのバーディングも可能。

               

              砂漠のウエットランド「スイートウオーター」は大小10以上の池があり、それらを取り巻くように全長2キロ近いトレールが造られてる。池には「ガマ」が密生しており、水辺には大きなユーカリの木やポプラの仲間「ハヒロハコヤナギ」そして低灌木も点在してるので水鳥だけでなく小鳥たちの絶好のエサ場となっている。

               

               

              killdeer

              水辺のグラウンドに営巣するフタオビチドリ ( Killdeer / Charadrius vociferus )

               

              北はアラスカのツンドラ地帯から南はアリゾナまでの全米広い地域でごく普通に見られるチドリで、草原や海岸の砂浜、河川、湖沼、町の公園など、どこでも見られるポピュラーな鳥である。和名の由来である二本の太い黒い帯が特徴で、英名 " Killdeer " (キルディア)はその甲高い声からつけられた。日本全国広く分布しているシロチドリ ( Charadrius alexandrinus ) よりずーと大きい。小走りしては止まって私を見たり、私の歩く音を聞いたりして突然嘴でトントンとグラウンドを突っついていた。

               

               

              Chick of Killdeer

              生まれたばかりのフタオビチドリの雛

               

              巣は開けたグラウンドで、砂礫の上に直に卵を産む。孵化した雛はすぐ歩き始めてよく走る。主な食べ物は虫で、親から直に与えられていた。雛に近づくと、親は翼が傷ついたような擬態をして、尾を広げ足を引き摺ってヨタヨタ歩き出した。私を雛から遠ざけるためのようなので、一枚だけ写真を撮らせてもらって直ぐその場を退散した。

               

               

              Red-winged Blackbird

              両肩の赤い羽を大きく膨らませて囀るハゴロモガラス ( Red-winged Blackbird / Agelaius phoeniceus )

               

              ハゴロモガラスは全米で一番数の多い鳥の一種で、全米各地の湿地帯、水辺でごく普通に見られる。「スイートウオーター」では群れを成して営巣している。日本のツグミ ( Turdus naumann ) より小さいが、囀りはよく通る大きな声で「コンコリーン」となくので大変目立つ。繁殖期に雄は雌の前で肩の赤いパッチを膨らませるが、この赤い面積が大きいほど雌にもてるようである。

               

               

              Great-tailed Grackle - Male

              英名の由来である、非常に大きな尾を持つオナガクロムクドリモドキ ( Great-tailed Grackle / Quiscalus mexicanus ) の雄

               

              北米のテキサスから西側の南部地域でごく普通に見られる鳥種で、南アリゾナではスーパーマーケットの大きな駐車場にもおり、腰を振りながら地面を歩き、人々が落としていく食べ物を拾って食べている。主なエサは虫、カタツムリ、小魚、カエル、果実など、時々他の小鳥が捕った獲物を盗むのが得意である。

               

               

              Great-tailed Grackle - Female

              雄と異なり全身薄い茶色一色のオナガクロムクドリモドキの雌

               

              開けたグラウンドを好んで歩き回るが、風が強い日など、大きな尾に風が当たって「風見鶏」のように左右に体を回すことがあり、見ていて思わず笑ってしまう。群れで行動してることが多く、大きな通る声で「キーキーキー」と鳴き合うので非常に騒々しい。繁殖期に雌を観察してると、ちょくちょく他の鳥の巣材を盛んに盗んでいるのが見られる。

               

               

              Ladder-backed Woodpecker

              砂漠のキツツキと言われるシマアカゲラ ( Ladder-backed Woodpecker / Picoides scalaris ) 雄

               

              美しい白黒の縞模様の背中と可愛らしい赤い帽子を被ったキツツキで、サボテンが生えていて低灌木が点在する乾燥した砂漠を好む。テキサスからアリゾナ、カリフォルニアの南部地域で年中見られる留鳥である。日本のコゲラ ( Dendrocopos kizuki ) より大きい。雄と雌でエサ取りするスポットが異なる面白い習性を持っている。雄は木の低い枝や時にはグラウンドに下りてきて虫(特に蟻)を食べるが、雌は高い枝で他のキツツキと同様、樹皮を突っついて虫を拾い集める。また、雄と雌両方ともサボテンの実をよく食べ水分の補給をしているので、庭の水場にはほとんど姿を現さない。

               

               

              Song Sparrow

              名前の通り美しい歌を聞かせてくれるウタスズメ ( Song Sparrow / Melospiza melodia )

               

              大変数が多く、全米ほとんどの地域で見られるポピュラーな鳥である。また、31種類と亜種が多いが、南アリゾナの砂漠で見られる亜種は " Saltonis " で全体が薄い茶色。日本のホオジロ ( Emberiza cioides ) と同じ大きさ。クリアーな口笛のような音色で囀るので遠くに居てもよく聞こえてくる。

               

               

              Cottontail

              カメラを気にしながらものんびりと草を食べるサバクワタオウサギ ( Desert Cottontail / Sylvilagus audubonii )

               

              早朝のスイートウオーターは色々な動物に会える。コヨーテ、ボブキャット、キツネなどが時々目の前をチラッと横切って灌木の中へ入ってしまい、なかなかシャッターチャンスを与えてくれない。砂漠の動物は夜行性が多いので、いつも彼らの朝帰りの姿を見るだけであるから、ゆっくり写真が撮れないのは仕方ないのかもしれない。


              ソノラ砂漠のオアシス・スイートウオーター水再生処理場 2018年春(その2)

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                スイートウオーターの池

                ハシビロガモ ( Northern Shoveler / Anas clypeata ) が泳ぐスイートウオーターの池

                 

                ガマ ( Cattails ) が鬱蒼と茂る池は水鳥達の隠れ場がであり、トンボなど水辺の昆虫が豊富である。水鳥を驚かさないようトレールがよく整備されており、幾つかの観察プラットホームが池に張り出していて、鳥たちがのんびりエサ取りや水浴びする姿をゆっくり撮影することが出来る。

                 

                 

                アカオタテガモ羽繕い

                羽繕いするアカオタテガモの雄 ( Ruddy Dack )

                 

                全米各地で見られるポピュラーなカモで、南アリゾナでは冬の間群れで見られる。日本のコガモ ( Anas crecca ) より少し大きい。丸っこくて大きな頭、青くて広い嘴、ピンと真っ直ぐ上に立てる長い尾が特徴の愛嬌のある美しいカモである。

                 

                 

                アカオタテガモ水浴び

                水浴びを始めようと立ち上がるアカオタテガモ雄 ( Oxyura jamaicensis )

                 

                主な食べ物は水草類や植物で、カイツブリのようにゆっくり潜ってエサ取りをする。驚くと、飛ばないで潜って水中を泳いで逃げる。可愛らしい灰色の足は体の真下についてるので地上を直立して歩けない。

                 

                 

                アカオタテガモ雌

                アカオタテガモの雌

                 

                雄のような色の派手さはないが、縫いぐるみのようで実に可愛らしい。雌は雄よりフレンドリーで、こちらが動かないでじっとしてると、近くまで寄って来ることがしばしばある。

                 

                 

                アカシマアジ雄と雌

                アカシマアジ ( Cinnamon Teal ) の雄と雌

                 

                雄は頭と首、体の下部が赤みがかった褐色で、遠くからでも目立つ。北米では主に西側の湖沼、池などでごく普通に見られる。日本のコガモとカルガモ ( Anas poecilorhyncha ) との中間ぐらいの大きさである。

                 

                 

                アカシマアジ雄

                陽に当たると赤みが増すアカシマアジ雄 ( Anas cyanoptera )

                 

                アカシマアジとアカオタテガモは唯一北アメリカと南アメリカ両方で繫殖するカモである。主な食べ物は水草の種、虫、エビ、カニ類で、泳ぎながら嘴で水を掬うようにしてエサ取りを行う。驚いて水から飛び立つ時は、水面から助走なしで直接一気に飛び上がる。

                 

                 

                コスズガモ雄と雌

                コスズガモ ( Lesser Scaup ) の雄と雌

                 

                南アリゾナではほとんど見ることが稀なスズガモ ( Greater Scaup / Aythya marila ) と非常に似ているので慣れないと識別に苦労するが、コスズガモは体が小さいのと頭の後が尖って盛り上がってるのが特徴。

                 

                 

                コスズガモ雄

                日本では迷鳥として記録があるミカズキシマアジ雄 ( Blue-winged Teal / Anas discors ) 

                 

                夏は全米の広い地域の湖沼や池、河川、内湾で見られ、冬には南テキサスから南アリゾナで越冬する。日本で冬鳥として全国に渡来するコガモ ( Anas crecca) とほぼ同じ大きさ。和名の「ミカズキシマアジ」の由来である三日月形の白斑が嘴の付け根から眼先にかけてあり,よく目立つので見つけやすい。


                ソノラ砂漠のオアシス、スイートウオーター水再生処理場 2018年春(その1)

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                  スイートウオーター案内板

                  「ようこそ!スイートウオーター湿地へ」の入口看板

                   

                  " Sweetwater Wetlands " はツーソン市の西、サンタクルーズ川沿いにある人造湖である。ここは1996年ツーソン市によって造られた水再生処理場で、色々な野生生物が生息できるようにデザインされてるので、南アリゾナの冬から春の「ベストバーディングスポット」の一つと言われている。南アリゾナは年間平均降雨量がたった30センチと低いので、水は非常に貴重である。そこで、一度使われた水をリサイクルして不純物をろ過して取り除き、きれいな水に再生した上で主にツーソンのゴルフ場や公園、学校などに配水され、飲み水以外の水として使用されている。ここは幾つかの池の周りを中心に緑が豊富な自然公園に造られていて、学校の郊外授業に利用され、環境と生態学を子供たちに教える場所も提供している。

                   

                   

                  トレールマップ案内図

                   

                  湿地に生息する色々な生き物が観察出来るトレールのマップ

                   

                  南アリゾナ・ソノラ砂漠には大きな湖や池などがほとんどないので、何百羽の渡りの水鳥達が冬になるとスイートウオーターに集まる。ここでは年間250種類の鳥が見られ、鳥と人間の距離が大変近いので写真撮影も存分楽しめる。しかも、日本の町中の公園のように、大きな三脚とカメラを持って鳥を追い回すカメラマンはほとんど見たことがない。ここはツーソンの町から最も近い有名なバーディングスポットであるが、ウイークデーは人が少なくゆっくり「生きもの」を観察出来るのがありがたい。今回は、この魅力あふれる町中の公園「スイートウオーター」の鳥たちを紹介したい。

                   

                   

                  ササゴイ

                  スイートウオーター・ウエットランドで越冬するササゴイ ( Green Heron /  Butorides virescens )

                   

                  日本に夏鳥とでして渡来するササゴイ( Butorides striatus ) と同じ仲間であるが、それより小さく、頭と首が濃い栗色で美しい。獲物を捕る時の仕草が大変おもしろい。ゆっくり歩きそして水の中で静かに動かずに獲物が近づくのを待ち、近づいたら素早く一突きで捕る。時々水面に張り出してる枝にじっと止まって水面を見つめながら獲物を待っている姿も見うけられる。

                   

                   

                  ユキコサギ

                  毎年冬にメキシコへ渡って行く途中「スイートウオーターウエットランド」に寄るユキコサギ ( Snowy Egret / Egretta thula )

                   

                  全米の沿岸でごく普通に見られる鷺であり、よく似ている日本のコサギ ( Egretta garzetta ) とほぼ同じ大きさである。北米で一番美しい鷺と言われ、繁殖期の飾り羽は特に美しく歩く姿は実に優雅である。19世紀後半から20世紀にかけて,そのソフトでレースのような美しい飾り羽が装飾品となり、ハンターに狙われてその数が激減したことがあった。主なエサはエビやカニ、小魚、昆虫類で、水の中を走るように活発に動いては止まり、水中の獲物を鋭い嘴で突き,それを振りながら飲み込んでいく。

                   

                   

                  アメリカオオバン

                  水浴び中のアメリカオオバン ( American Coot / Fulica americana )

                   

                  全米の湖、沼、河川などの淡水域でごく普通に見られ、南アリゾナでも年間を通して見られる。日本のオオバン ( Fulica atra ) と同じ大きさである。泳いだり歩いたりする時、小さな頭を鶏のように前後に動かす。主なるエサは水草の葉や種、根などで時には昆虫、小魚、両生類なども食べる。浅瀬の水に頭と首を突っ込んで尾の先を上にあげてエサ取りするが、時には3メートルから7メートル近く潜ることもある。

                   

                   

                  オビハシカイツブリ

                  オビハシカイツブリ ( Pied-billed Grebe / Podilymbus podiceps )

                   

                  全米で見られるポピュラーなカイツブリで、南アリゾナでは冬に公園の池やゴルフ場の池などに群れでいることが多い。日本のカイツブリ ( Tachybaptus ruficollis ) よりずっと小さい。英名、和名の由来である嘴の黒い帯が特徴。水草や小魚、カニ、エビなどを主に食べ、水中に潜って足をプロペラのように動かして進みながらエサ取りをする。鷹や人に驚くと、頭だけ水面上に出して体を水面下に沈めながら逃げて行く。

                   

                   

                  オビハシカイツブリ2

                  水浴びを始めるオビハシカイツブリ

                   

                  冬に群れでいる時はとてもフレンドリーで、カメラを構えて静かに待っていると、驚くほど近くまで寄って来てくれる。そんな可愛い仕草に、ついつい撮影を忘れて長時間見とれてしまうことがある。


                  プッシュリッジ山トレールの自然 (冬シリーズ 6)

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                    Pusch Ridge & Phainopepla
                    鳥を見ながらの3時間ほどの登り、プッシュリッジ山の山肌が目の前に迫ってくる。レンジャクモドキ (Phainopepla) が枝先で「ホイホイホイ・・」と囀るのんびりした声を聞きながら下り始める。冬の砂漠は寒暖の差が激しいので、自然歩きも大変である。まず、早朝の歩き始めは気温が零下からせいぜい5度ほどの寒さ、防寒ジャケットにマフラー、膝をカバーする脚巻き、それに手袋の完全装備のいでたちである。しかし、10時ごろには気温は15度以上となって身体が熱くなってくる。そしてマフラー、手袋、脚巻きを外しリュックにしまう。12時近くにもなると、気温は20度以上になって汗が出てくる。最後はいよいよジャケットも脱いでリュックに入れるので、出発時は空のリュックも帰りの道では大きく膨らんで重くなってくる。
                     
                    Gray Fox
                    誰も居ない冬の早朝のトレール歩きは、時々珍しい動物たちに会えることがある。ハイイロギツネの一種 Common Gray Fox (Urocyon cinereoargenteus ) 。夜行性なのでめったに出会えないが、この日はヒョッコリ目の前の陽の当たる岩の上にほんの数秒だけ現れ、こちらを向いてくれた。獲物にありつけた後の満足した朝帰りの途中かもしれない。
                     
                    Javelina
                    1メートル近い大きな ハベリナ (Javelina / Tayassu tajacu) 。主に南アリゾナのソノラ砂漠に生息するペッカリー(Peccary) の一種で、夜行性であるが時々朝早いと家族で並んで歩いている可愛い姿を見かけることがある。ハベリナは南アリゾナでは身近な動物で、時には住宅街にも現れ、ゴミをあさったり庭木や花を食べたりするので嫌われ者でもある。
                     
                    Desert Cotton Tail
                    ワタオウサギの一種、砂漠コットンテイル (Desert Cotton tail / Sylvilagus audubonii ) は白い尾と大きな耳が特徴で、砂漠に数多くいるノウサギである。昼も夜もともに活発に動き回る。大変可愛く人気のあるこのウサギは時々人家の庭にも現れ、花や園芸野菜を根こそぎきれいに食べつくしてしまうので、我々にとっては実に厄介な生きものでもある。
                     
                    Filaree
                    プッシュリッジ山トレールは2月に入ると早くも春の兆しが見られる。足元の石の間から小さな(高さ5センチ)紫色の花 (Filaree / Erodium cicutarium) が咲き始め、春が間近なことを感じる。もともと南スペインから持ち込まれたもので、今ではすっかり現地化し、アメリカの花となって図鑑にも載っている。
                     
                    Bottle Evening Primrose
                    レモン色したマツヨイグサ(俗に宵待草)の一種 Bottle Evening Primrose (Oenothera primiveris) 。この花も春一番に咲く野草で、薄日が射す曇りの日によく咲いて、陽が高く明るくなると花を閉じてしまう。
                     
                    Desert Orange tip
                    2月中旬にもなると、暖かな雨に土が潤って春の匂いがしてくる。そして一番早く出て来るツマキチョウの一種 Desert Orangetip (Anthocharis cetbura) が舞い始める。3センチぐらいの小さい蝶で、飛んでいる姿は白一色であるが、止まって翅を広げると美しいオレンジ色が目立つ。南アリゾナの砂漠は野花が咲き、蝶が出始めると春となるが、その期間は大変短く、4月にはすぐ初夏となってしまう。

                    プッシュリッジ山トレールの自然 (冬シリーズ 5)

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                      風景プッシュリッジ山トレール
                      標高950メートルまで登ると360度の視界が開け、間近に2800メートルのレモン山を見ることが出来る。トレールはここから下りとなってカタリナ州立公園へ入っていくので、いつもこの見晴らしの良い所で弁当を食べ、ゆっくり休んでから引き返すことにしている。南アリゾナは冬でもぬけるような青空の日が多く、しかも日中は20度近い暖かさなので、ほぼ毎日がバーディング日和なのがありがたい。
                       
                      Golden Eagle
                      南アリゾナは冬でも陽射しは強く、直接当たっていると身体がすぐ温まってくる。ぬけるような青空の下で、雪解けの水が岩伝いに流れ下りてくる水音を聞きながら飲む暖かいコーヒーの味はまた格別である。1月・2月はイヌワシ (Golden Eagle / Aquila chrysaetos ) がオス・メスでちょくちょく現れるので、時々上空を見渡すことを忘れない。
                       
                      Black-tailed Gnatcatcher
                      ソノラ砂漠で一年中暮らす オグロブユムシクイ (Black-tailed Gnatcatcher / Polioptila melanura ) 。体長10センチと小さく、活発に動き回り枝移りしながらエサ取りするので、カメラのファインダーの中に入れるのにいつもひと苦労する。しかし、寒い朝はぶっくり体を膨らませてじっと動かない。ちょくちょく零下まで下がる冬の砂漠の夜が続くこの季節は、彼らにとってヤハリ辛いだろうな・・・と思う。
                       
                      Carve-billed Thrasher
                      体をまん丸に膨らませて寒さを凌ぐ マルハシツグミモドキ (Curve-billed Thrasher) 。日本のヒヨドリと同じぐらいの大きさで、ソノラ砂漠では一年中ごく普通に見られ、我家の庭にもやって来る身近な鳥でもある。
                       
                      Black-tailed Gnatcatcher singing
                      Saguaro サボテンで高らかに囀るマルハシツグミモドキ (Toxostoma curvirostre) 。この鳥は砂漠でも一番早く鳴き始める。1月に入ると、寒い早朝でも日が照り始めるとよーくとおる声で「キルキルキル・・・ピーピーピー・・・ジュクジュクジュク・・・・」と色々な小鳥の歌を真似て長々と歌う。その歌声は静かな冬の砂漠に響き渡る。


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