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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) 最終

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    Pectoral Sandpiper
    アメリカウズラシギ ( Pectoral Sandpiper / Calidris melanotos ) 。

    日本で数少ない旅鳥として、たまに見られることがある。北極圏で夏を過ごし、秋に南米への渡り途中に寄って行くので保護区で見られるのは若鳥が多い。顔から喉と胸にかけて縦縞があり、腹の白さとのコントラストが明瞭。嘴の根元が黄色で先が黒いのが特徴。日本全国で旅鳥として見られるウズラシギ ( Calidris acuminata ) とほぼ同じ大きさで、アメリカウズラシギの方が赤い色が少ない。
     
    Short-billed Dowitcher
    アメリカオオハシシギ ( Short-billed Dowitcher / Limnodromus griseus ) 。

    日本では非常に稀な迷鳥であるが、秋の渡り時には大西洋沿岸でよく見られ、保護区にも数多く寄って行く。一方同じ仲間の日本で冬鳥として見られるオオハシシギ ( Limnodromus scolopaceus ) も保護区ではアメリカオオハシギに混じって見られることがあるが数は少ない。鳴き声が異なり、アメリカオオハシシギは柔らかく早口で「テュテュテュ’’’’’’’’」と繰り返すが、オオハシシギは鋭く高いピッチで「ピッピッピッ’’’’’’」と澄んだ声で鳴くので、私は地鳴きを識別のよりどころとしている。
     
    Semipalmated Sandpiper
    冬羽のヒレアシトウネン ( Semipalmated Sandpiper / Calidris pusilla ) 。

    日本ではまだ記録されてないが、保護区では大変数の多いシギの一種である。日本全国で見られるトウネン ( Calidris ruficollis ) とほぼ同じ大きさでヒレアシトウネンは赤色が少ない。
     
    Least Sandpiper
    アメリカヒバリシギ ( Least Sandpiper / Calidris minutilla ) の若鳥。

    日本では非常に稀な迷鳥であるが、この保護区では数多く見られる。世界のシギ類の中で最も小さく、たった12センチとスズメの大きさで実に可愛い。背中の白いV字線が特徴である。日本全国で見られるヒバリシギ ( Calidris subminuta ) と比べると小さく、足が少々短いためエサ取りの姿が異なる。
     
    Western Sandpiper
    アメリカオオハシシギと一緒に休むヒメハマシギ ( Western Sandpiper / Calidris mauri ) 。

    旅鳥としてまれに日本でも見られることがある。冬羽はヒレアシトウネンと非常に似ているので見慣れないとフィールドでの識別は難しいが、ヒメハマシギは嘴の先端が少し下へカーブしているのが特徴。

    ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) その7

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      Osprey
        捕りたての魚を食べながら上空のカモメを威嚇するミサゴ ( Osprey / Pandion haliaetus ) 。

      日本で留鳥として全国で見られるミサゴと同じ種類。保護区ではミサゴ営巣用のプラットフォームが作られてるので、毎年数羽の雛が育っていく。急に翼をすぼめてダイビング、しぶきをあげて水に突入、魚を射止めて近くの木に上がり美味そうに食べる動作は実に豪快である。
       
      Common Tern
      今年生まれた若鳥を連れたアジサシ ( Common Tern / Sterna hirundo ) 。

      春から夏にかけて日本で見られるアジサシと同じ仲間である。このアジサシによく似ているキョクアジサシ ( Sterna paradisaea ) は日本ではまれな旅鳥であるが、保護区では見れるチャンスは多い。アジサシとの違いは嘴全体が真っ赤で足が短く、地上に下りていると体が低く見えるのが特徴。
       
      Semipalmated Plover
      ミズカキチドリ ( Semipalmated Plover / Charadrius semipalmatus

      日本全国で見られるシロチドリ ( Charadrius alexandrinus ) とほぼ同じ大きさである。北極圏で子育てをして、秋南への渡りの途中保護区に群で寄って行く。数が多いので水辺でじっと動かずに静かに鳥を見ていると、足下をちょろちょろ歩き回る大胆な個体もいる。
       
      Greater Yellowlegs
      オオキアシシギ ( Greater Yellowlegs / Tringa melanoleuca ) 。

      保護区のイーストポンドは8月から9月にかけてシギやチドリの数が日に日に多くなる。ジャマイカ湾が満潮となると、その数も一段と増えて、足下をちょろちょろエサ探しに歩く姿や水浴びしたり目を閉じて休んだりする姿が間近に肉眼でも観察出来る。オオキアシシギは日本ではまれな迷鳥としての記録があるだけであるが、保護区ではコキアシシギとともに数多く見られる。
       
      Lesser Yellowlegs
      コキアシシギ ( Lesser Yellowlegs / Tringa flavipes ) 。

      日本では数少ない旅鳥であるが、この保護区では数が多い。しかし、オオキアシシギと一緒にエサ取りしていることが多いので、冬羽の識別には大変苦労する。オオキアシシギより体長が10センチほど小さいが、その他はほとんど同じなのでフィールドでの大きさによる識別は難しい。私の識別は「キュッキュッキュッ」という地鳴で、コキアシシギはオオキアシシギより高い声で短くほとんど一節ないし二節しか鳴かない。一方、オオキアシシギは三節ないし四節鳴くことが多い。そして、コキアシシギの嘴は短く、長さは嘴の根元から頭の後ろまでの長さと同じかこれより短い。オオキアシシギはより長くて1.5倍ぐらいの長さがある。

      ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) その6

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        East Pond
        ジャマイカ湾野生生物保護区東側のイーストポンド ( East Pond ) 。

        「イーストポンド」はビジターセンターから大きな道路 ( Cross Bay Boulevard ) を渡った東側にある。広さは117エーカーの汽水湖で、水位が低くなると大きな干潟となり色々な種類のシギやチドリのエサ取り場となる。大西洋東海岸一帯は、水鳥たちが南へ渡って行くルートの交差点になっており、この保護区は全米に飛来する鳥の4分の一が通って行くと言われる。ところが、近年塩性湿地の縮小していく勢いが止まらない問題が浮上してきた。最近の調査で1970年代から2000までの間に年平均40エーカー以上の割合で縮小を続けていることが判明。このペースで縮小していくと20年後には消滅する可能性すらある’’’’’’’’’と言われている。私がこの保護区通いを始めた1970年代と現在を比較しても、秋の渡りのシギ、チドリの数はほぼ三分の一近くまで減少しており、保護区の今後の存続が心配である。
         
        Glossy Ibis
        美しい銅色に輝く夏羽のブロンズトキ ( Glossy Ibis / Plegadis falcinellus ) 。

        秋は鳥たちの羽根の抜け替わる時期、湖面に浮かぶ白い羽根はコブハクチョウ ( Mute Swan ) のもの。ブロンズトキは東海岸沿い(大西洋沿岸)でしか見られない朱鷺で、保護区では夏から秋にかけて見られる。
         
        American Avocet - Summer
        アメリカソリハシセイタカシギ ( American Avocet ) 夏羽。

        日本のソリハシセイタカシギ ( Pied Avocet ) より少し大きく、水の中を歩く姿は優雅で美しい。9月の " East Pond " では冬羽の群に混じって、頭から首、胸にかけてのさび色が特徴の夏羽の個体を見ることが出来る。
         
        American Avocet - Winter
        アメリカソリハシセイタカシギ ( Recurvirostra americana ) の冬羽。

        冬羽は全体が灰色になって地味であるが、白黒のパターンがすっきりしていてなかなかダンディーである。上に反り返った細くて長い嘴を左右に激しく振ってエサ取りをする姿は愛嬌がある。
         
        Red-necked Phalarope
        冬羽のアカエリヒレアシシギ ( Red-necked Phalarope / Phalaropus lobatus ) 。

        北極圏のツンドラ地帯で子育てをして、秋南への渡りの途中少数であるが保護区に寄って数日間栄養補給していく。残念ながら夏羽の美しい赤い襟は見られないが、小さくて大変可愛らしく、水面でぐるぐる回りながら泳ぎエサ取りをする姿は見ていると面白い。

        ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) その5

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          Eastern Phoebe
          飛んでいる虫をじっと見つめるツキヒメハエトリ ( Eastern Phoebe / Sayornis phoebe ) 。

          遅い渡りのハエトリが水場に現れると、シギやチドリの数もぐーんと少なくなって保護区はまさに秋の深まりを感じる。越冬地の中南米へ下りて行くつかの間のエネルギー補給。空中を飛ぶ虫をフライングキャッチしては元の枝に戻って来る。
           
          Ash-throated Flycatcher 1
          迷鳥ハイノドヒタキモドキ ( Ash-throated Flycatcher ) 。

          秋の渡りの時期は、ハリケーンや強い低気圧の影響で鳥たちが南へ下りて行く途中コースを外れてしまうことがある。そのため、この保護区でも時々思わぬ珍鳥が現れる。北米中央を流れるミシシッピー川の西側で主に見られるハイノドヒタキモドキも渡り途中コースを間違えたようで、晩秋の2日間ジャマイカ湾保護区に現れ大騒ぎとなった。
           
          Ash-throated Flycatcher 2
          保護区案内板の上に止まるハイノドヒタキモドキ ( Myiarchus cinerascens ) 。

          ハイノドヒタキモドキは私が住んでる南アリゾナのソノラ砂漠ではごく普通に見られる夏鳥であるが、東海岸のしかも北のニューヨークで見られるのはまさに稀で、たくさんのバーダーたちがやって来て興奮していた。長旅と寒さで疲れているのか動作が鈍く、時々空中で虫を捕えては元の場所に戻って秋の弱い日に当たりながら目を閉じていた。
           
          Indigo Bunting
          スズメと同じ大きさの美しいルリノジコ ( Indigo Bunting / Passerina cyanea ) 。

          秋も深まって肌寒い日であるが、まだ夏羽の美しいブルーが残っているルリノジコのオスを見ると何となく温かい気持ちになる。冬になるとこのブルーがまったくなくなってただの茶色の小鳥となり、中南米で冬を過ごした後、春には再びブルーの羽に換わって戻って来る。
           
          Eastern Chipmunk
          樹洞から顔を出してこちらを見ているシマリス ( Eastern Chipmunk / Tamias striatus ) 。

          秋深くなるとシマリスは冬眠のための寝場所探しに忙しい。樹洞や岩の割れ目に出入りしながらねぐらをチェックしている姿をよく見かける。雪が降り積もる寒い冬、家屋の地下の天窓の隙間に枯れ葉を敷いて寝ている姿を家の中からガラス越しに見れることがある。
           
          Dogday Hervestfly
          秋風が吹き始めても最後の「力」を振り絞って鳴いているアメリカエゾゼミ ( Dogday Hervestfly / Tibicen canicularis ) 。

          秋のポカポカする日には、ジャマイカ湾の波の音にまじって聞こえてくる蝉の声が耳に心地よく響く。そしてまもなくカナダの北から冷たい空気が下りて来ると " West Pond " にも薄い氷が張る。ニューヨークの東海岸沿いでは、このアメリカエゾゼミとジューシチネンゼミ ( Periodical Cicada ) の2種類が見られる。ジューシチネンゼミは17年周期で地上へ出て来る面白い習性があり、何年かに1回ある蝉がまとまっって現れる夏は、短期間に大量に発生するので木の幹や枝、道路までが蝉だらけのすごい光景となって、新聞やTVで大騒ぎとなる。

          ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) その4

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            South Garden Trail
            秋の保護区の " South Garden " トレール。

            冬を中南米のコーヒー園で過ごすアメリカムシクイ ( Wood Warbler ) やソングバード ( Songbird ) たちは秋風が吹き始めると一斉に大西洋の海岸線を南下して行く。保護区のビジターセンター横の " South Garden " トレールは、そんな秋の渡りの小鳥たちが見られるスポットである。
             
            Louisiana Waterthrush
            アメリカムシクイのミナミミズツグミ ( Louisiana Waterthrush / Seiurus motacilla ) 。

            秋雨が降った翌日の早朝には大きな水たまりができ、水浴びをする渡り鳥を見ることが出来る。英名は " Waterthrush " (ミズツグミ)、水辺を好みツグミに似ていることからこの名がついてるが、アメリカムシクイ ( Wood Warbler ) の仲間である。これとよく似たキタミズツグミ ( Northern Waterthrush ) もこの保護区では見られるが、この両種の秋のフィールドでの識別は「さえずり」が聞けないので初心者には大変難しい。
             
            Black-throated Blue Warbler
            秋になっても美しいブルーのノドグロルリアメリカムシクイ ( Black-throated Blue Warbler / Dendroica caerulescens ) 。

            秋の渡り時も美しいブルーが変わらないのでアメリカムシクイの中でも大変人気がある一種。春と異なり、さえずりがなくせいぜい地鳴きの「チッチッ’’’’’’’’’」という声しか出さない。懸命に探しても簡単には見つからないが、彼らが好む水辺や木、エサ取り場をあらかじめ調べておくと見れるチャンスはある。
             
            Yellow-rumped Warbler
            主に東側で見られ、マートルワーブラー ( Myrtle Warbler ) と呼ばれてるキヅタアメリカムシクイ ( Yellow-rumped Warbler / Dendroica coronata ) 。

            すっかり秋羽となってオス、メスの区別がつきにくい。腰と脇が黄色いのがキヅタアメリカムシクイの特徴。西側で見られるオージュボンズワーブラー ( Audubon's Warbler ) と呼ばれるキヅタアメリカムシクイは喉が黄色である以外はまったく同じである。
            それにしても、秋のアメリカムシクイの識別は大変難しい。「さえずり」による識別が出来ないのと、ほとんどの種類が春の派手な色が落ちてしまってグリーンや茶色系の色が多く、初心者には特にメスの若鳥の識別は不可能に近い。ベテランは形の違い、尾の長さや尾の裏の色、嘴の長さなどで識別をするが、これも相当なフィールドでの経験が必要となる。
             
            Gray Catbird
            秋の肌寒い北風が吹いても元気に水浴びをするネコマネドリ ( Gray Catbird / Dumetella carolinensis ) 。

            夏の間はほぼ全米でごく普通に見られる鳥であるが、冬は南へ下りてしまう。英名のキャットバード ( Catbird ) は地鳴きが猫の鳴き声のように「ニャーオ」と聞こえるので付けられたもの。全身灰色の地味な鳥であるが、黒いボタンのような目が実に可愛い。

            ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) その3

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              ハクガン、ビルの上を飛ぶ
              保護区近くのアパートビルの上を飛ぶハクガン ( Snow Goose ) 。

              晩秋、" West Pond " の水面を渡って来る北風が冷たく頬に感じる頃になると、北カナダの北極圏ツンドラ地帯で子育てをすませたハクガンが下りて来る。ぼたん雪が舞うように空から湖面に下りて来る群、晩秋の澄んだ青空を一列にVになったり流れてYになったりして飛ぶ姿は実に美しい。
               
              2羽で飛ぶハクガン
              秋空の中、頭上低くオス、メスと思われる2羽のハクガン ( Chen caerulescens ) が飛ぶ。

              ハクガンは " West Pond " とジャマイカ湾を行ったり来たりしながらエサ取りをする。青空をバックに力強く飛ぶ姿は秋の深まりを感じる私の好きな風物詩の一つである。近年数が増えて、少なくとも700羽以上は保護区で毎年越冬するようである。
               
              子連れのハクガン
              今年生まれた若鳥を連れた群でくつろぐハクガン。

              くすんだ灰色のハクガンの幼鳥と親鳥が、秋の陽射しを浴びてのんびりとくつろいでいる。" West Pond " の湖畔には所々ベンチが置いてあり、座って持参の温かいコーヒーを飲みながらこうしてハクガンを見ていると、時々自然好き、鳥好きのアメリカ人が声を掛けて来る。色々彼らと話をしていると、面白く思われることが幾つかある。その一つにアメリカ人が自然を見る感覚は私たち日本人が持つ感覚とだいぶ異なる。我々は目、耳、鼻などで感じる五感による自然観、季節感を持っているが、彼らは主に目で見ることによって秋を感じるだけである。日本人が持っている自然に対する繊細な感受性を私は誇りとして彼らに説明するがなかなか理解してもらえない。
               
              Blue Goose & Snow Goose
              昔は英名 " Blue Goose " と呼ばれ別種であった雁とハクガンが並ぶ。

              昔は別種の " Blue Goose " と呼ばれていたが、現在はハクガンの亜種 " Dark Morph " と分類さている。立冬を前に冬の到来を感じさせる晩秋の季語「冬隣」、こうしてじっくりハクガンを見ていると季節の移ろいを感じる。
               
              Wrinkled Rose
              ハマナスの仲間 Wrinkled Rose ( Rosa rugosa ) 。

              ジャマイカ湾野生生物保護区には年間190種類以上の野生の花が咲く。夏から秋にかけて " West Pond " のまわりにはこのハマナスがたくさん咲いていて鳥見で疲れた目がなごむ。
               
              Monarch Butterfly
              カラマツ草の仲間 " Tall Meadow Rue " の白い花に止まる南への渡り途中の蝶オオカバマダラ ( Monarch / Danaus plexippus

              " West Pond " では10月になると、何十匹という数のオオカバマダラが秋風に吹かれてひらひら舞う光景が見られる。カナダからメキシコまで3200キロの距離を4世代かけて渡りをする蝶である。日本で見られるアサギマダラと同じ仲間の蝶で、何十万という数が越冬するメキシコ、ミチョアカン州の山地の森は有名である。

              ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) その2

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                クロハサミアジサシ1群で休む
                若鳥を連れ、旅の疲れを癒すクロハサミアジサシ ( Black Skimmer ) 。

                クロハサミアジサシは夏の終わり頃、今年生まれた幼鳥を連れて南へ下りて行く途中 " West Pond " に群で立ち寄って行く。カラスぐらいの大きさで、しかも翼が長いので飛んでいても非常によく目立つ白黒の派手な鳥である。

                 
                クロハサミアジサシ2エサ取り
                クロハサミアジサシ ( Rynchops niger ) の独特なエサ取り姿。

                このアジサシは非常に変わっていて、上の嘴と下の嘴の長さが異なり、水面すれすれを飛びながら下の長い嘴で水面を掬うようにして小魚を捕る。
                 
                コクガン1飛ぶ姿
                秋空を飛ぶコクガン ( Brant ) 。

                朝の空気がひときわ寒く感じる晩秋になると、いよいよ「雁」が北極圏で子育てを終えて下りて来る。まさに暦の上の七十二候「鴻雁来」(こうがんきたる)を思い出し、懐かしく日本の秋を感じる。
                 
                コクガン2湖面で休む
                湖面いっぱいのコクガン ( Branta bernicla ) の群。

                秋も深まり冬を感じる頃になると、コクガンが群で低く不揃いの編隊飛行をしながら " West Pond " の湖面に次から次と舞い降りて来る。その数は日に日に増え湖いっぱいとなる。冬鳥として北日本で見られるのと同じ種類である。主に海で生活する雁で、他の雁のように内陸には入って来ないので湾と隣接する汽水湖で冬を過ごす。
                 
                コクガン3水飲む姿
                秋の陽射しを受けのんびり水を飲むコクガン。

                昼過ぎの " West Pond " 、温かい陽射しを浴びて水を飲んだり水浴びをしたりしてのんびりとくつろいでいる。太陽が傾く夕方近くになると、エサ取りのためジャマイカ湾へ向かって一斉に飛び出して行く。

                ジャマイカ湾野生生物保護区(ニューヨーク) その1

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                  Jamaica Bay WLF-RFG Entrance
                  ジャマイカ湾野生生物保護区入口及びビジターセンター。

                  ジャマイカ湾野生生物保護区( The Jamaica Bay Wildlife Refuge ) はニューヨークケネディー国際空港のすぐ側にあり、広さは3705ヘクタールで、沼沢地、塩水池、真水池、高地のフィールド、森林など大変自然の変化に富んだ保護区である。しかも、ニューヨーク中心街のマンハッタンから地下鉄 " A " トレインでも行ける旅行者にとっても便利な所にある。
                   
                  Trail to W.Pond
                  ビジターセンターから最初に歩く " West Pond " 及び " Blackwall Channel " へのトレール。

                  ジャマイカ湾野生生物保護区は国立公園に所属、管理されてるたった一つの保護区である。年間300種(この内70種近くが営巣している)以上の鳥、そして60種類以上の蝶が見られる。ここはニューヨーク市でも渡り鳥を観察出来る最もベストなスポットの一つと言われている。
                   
                  West Pond
                  遠くにマンハッタンの摩天楼が見える " West Pond " 。

                  トレールを歩いて最初に出て来るのが " West Pond " 。18ヘクタールの広さで、 Pond を一周出来る2.5キロのトレールがあり、大変景色が良く特に秋から冬にかけての水鳥を見るのには素晴らしい場所である。
                   
                  Hooded Merganser
                  アメリカオオバン、アメリカヒドリ、ハシビロガモ、マガモなどの群に一羽のオウギアイサ ( Hooded Merganser / Lophodytes cucullatus ) 。

                  秋の " West Pond " は大変プロダクティブで、色々な種類のカモたちが集まって来る。中でも日本では迷鳥であるオウギアイサが簡単に見られる。春のコートシップ時に頭の白い部分を扇のように開いて泳ぐ帆掛け船を思わせる姿は実に美しい。オウギアイサは大変ポピュラーで人気があり、秋が深まる頃には町の公園の池でも見られる。
                   
                  Ruddy Duck
                  まだ夏羽のアカオタテガモ ( Ruddy Duck / Oxyura jamaicensis ) 。

                  秋とともに群で現れ、この保護区で冬を超すカモの中でも一番数が多い。9月頃はまだ夏羽のオスが混じっていることがあり、美しいその姿を間近に見ることが出来る。
                   
                  American Wigeon
                  アメリカヒドリ ( American Wigeon / Anas americana ) 。

                  日本に冬鳥として全国に渡来するおなじみのカモである。 " Wast Pond " にも秋から冬にかけて大きな群で北から下りて来る。日本でごく普通に見られるヒドリガモ ( Eurasian Wigeon ) は北米では数が少ないが、この保護区では時々見れるチャンスがある。
                   
                  Wood Duck
                  アメリカオシ ( Wood Duck / Aix sponsa ) 。

                  日本のオシドリ ( Mandarin Duck ) に負けないぐらい美しく派手なカモである。夏は森林地帯の水辺で子育てをし、冬には町の公園の池やサンクチュアリに戻って来る。 " West Pond " には秋の移動時期に立ち寄って行くので、こうしてひっそりと岸辺の草むらに隠れるようにしゃがんでいることが多い。

                  ジョーンズビーチ州立公園の厳冬と初春 (最終)

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                    ミヤコドリ
                    派手な色合いでマンガチックな姿のミヤコドリ ( American Oystercatcher / Haematopus palliatus ) 。

                    ミヤコドリがジョーンズビーチに現れると、冬の寒い浜辺は日に日に暖かくなって春の海となる。そしてミヤコドリの笛を吹くような甲高い「クイープ、クイープ」という春の声が浜辺を包む。日本のミヤコドリ ( 英名 Euracian Oystercatcher ) とは別種で少し大きい。
                     
                    フエコチドリの群
                    絶滅危惧種のフエコチドリ ( Piping Plover ) 。

                    3月も中旬を過ぎると、南から春の使者フエコチドリが戻って来る。着いたばかりの彼らは大変警戒心が強く、なかなか近寄らせてもらえない。英名 " Piping " の由来は笛の音色に似た高い「ピープ」という鳴き声からきている。
                     
                    フエコチドリのエサ捕り
                    ゴカイを’引っ張り出して食べるフエコチドリ ( Charadrius melodus ) 。

                    長旅で腹を空かしているのだろう、扇状に開いた泥浜で小走りを繰り返しながら忙しなくエサ取りをする。この時がこの小さなコチドリ(日本のコチドリより大きいが)をじっくりと見れるチャンスでもある。
                     
                    フエコチドリ上を見る姿
                    鷹の襲来を警戒してか、ちょくちょく上空を見上げるフエコチドリ。

                    近年、大西洋沿岸は宅地造成が盛んになって、フエコチドリが安心して子育て出来る砂浜が少なくなって来た。その影響でフエコチドリの数も年々減少してきている。絶滅危惧種で見れる機会が少ないが、それでも春から夏にかけてのジョーンズビーチは営巣地として保護されるので比較的楽に見ることが出来る。
                     
                    フエコチドリの営巣保護区ワイヤー付き
                    4月が近づくと営巣するフエコチドリを保護するため浜辺にはワイヤーが張られる。

                    ジョーンズビーチは絶滅危惧種フエコチドリの重要な営巣地である。春になると浜辺の一部が特別保護区域となって、人の出入りが制限され厳重な監視下に置かれる。
                     
                    フエコチドリの営巣保護の看板
                    ジョーンズビーチを散策する人々に、フエコチドリ営巣保護の協力をうったえる看板。

                    州及び国の法律で、4月1日から9月1日までの間はフエコチドリの営巣のためジョーンズビーチの浜辺の一部は厳重に規制され、立ち入り禁止となる。これだけ手厚い保護をされても、大西洋沿岸一帯に春に戻って来るフエコチドリの数は年々減少しているのは実に悲しいことである。
                     
                    ハマシギのエサ取り
                    北への渡りの直前で、エサ取りに忙しいハマシギ ( Dunlin / Callidris alpina ) 。

                    冬の間、群で固まって寒風を凌いでいたハマシギも、春の訪れとともに暖かい陽射しを浴びながら岩場を活発に歩きまわり、渡りのための体力作りに十分な栄養補給をする。まもなく彼らは北へ渡ってしまうので、ジョーンズビーチではその姿が全く見られなくなる。

                    ジョーンズビーチ州立公園の厳冬と初春 (その4)

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                      ホンケワタガモ群で泳ぐ
                      上下に大きく揺れる荒波の Jones Inlet を群で泳ぐホンケワタガモ ( Common Eider ) 。

                      砂丘を歩いて Jones Inlet (ジョーンズ湾入江)に出ると、色々な水鳥が目に入ってくる。特に朝から北風が吹く波のあらい日は、ホンケワタガモは群で入江深く入ってエサ採りするのでよく見れる。水に浮かんでいる筏のように、波で上がったり下がったりしながらプカプカと流されて行く。
                       
                      ホンケワタガモの採餌
                      荒波をものともせず、潜ってはカラス貝を食べるホンケワタガモ ( Somateria mollissima ) 。

                      ホンケワタガモは日本ではきわめて稀な迷鳥で、なかなか見れる機会がない。くさび形の嘴と、うしろへ引いたおでこは独特なシルエットである。
                       
                      アビ2羽
                      アビ ( Red-throated Loon / Gavia stellata ) の冬羽。

                      アビ類では最も小さく、日本で冬鳥として全国の沿岸で見られるのと同じ種類。北米も冬の海岸ではごく普通に見られるポピュラーな鳥である。ジョーンズビーチで見られるのも冬だけなので、美しい夏羽はなかなか見れないのが残念である。
                       
                      シノリガモ
                      シノリガモ ( Harlequin Duck / Histrionicus histrionicus ) のオスとメス。

                      冬に北日本で見られるのと同じ種類。近年その数が減少しているのか、ジョーンズビーチの岩礁の多い Inlet でも見れる機会が少なくなった。色合いが派手なので大変人気があり、写真を撮っていても楽しくなるカモである。
                       
                      シロカツオドリ
                      大変美しく優雅なシロカツオドリ ( Northern Gannet / Morus bassanus ) 。

                      はるか沖合で飛んでる姿を双眼鏡で見ることが多いが、寒くて海が荒れている時は浜辺近くまで寄って来るのでエサ捕りにダイビングする姿を肉眼でも見れるチャンスがある。
                       
                      シロフクロウ浜辺で休む
                      浜辺に突き刺さった枯れ枝に止まるシロフクロウ ( Snowy Owl ) 。

                      シロフクロウはマサチューセッツの海岸まで行くと毎冬見られるが、ジョーンズビーチの浜辺では数年に一回程度と機会が少ないが見れることがある。こうして浜辺にじっとしていると保護色でほとんど判らないので、気がつかずにすぐ横を通り過ぎることがある。こちらがシロフクロウに気がつかずに歩き続けるとじっとしているが、気がついて立ち止まるとすぐ飛んでしまう。
                       
                      砂丘のシロフクロウ
                      砂丘に下りてうす目を開けるシロフクロウ ( Nyctea scandiaca ) 。

                      シロフクロウは北極圏のツンドラ地帯に生息する人気者で、レミング ( Lemming / タビネズミ)を主食としている。レミングは数年に一度、繁殖が極に達しその数が非常に増加することがある。こんな年はシロフクロウも餌が豊富となって雛の生存率も高まり、その数も増加するので冬にはかなりの数が南下して来る。そのためジョーンズビーチでも見れるチャンスがある。


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