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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(4)

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    フスチャメジロハエトリ前向きの姿
    ウスチャメジロハエトリ ( Buff-breasted Flycatchier ) 

    ​ウスチャメジロハエトリは珍鳥フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher ) とよく似てるが、頭に冠毛がないのと少し大きい。生息地域も同じ高い山のポンデロサ松や Pine-oak の林で、今年の夏はたまたまマイフィールドの " Carr Canyon " で、しかも、この2種類が同じ場所でエサ取りをしている報告がネットに載った。一か所で同時に2種類の珍しいフライキャッチャーを見ることが出来たので連日大勢のバーダーが " Carr Canyon " に押し掛けた。
     
    ウスチャメジロハエトリ後姿
    ウスチャメジロハエトリ ( Empidonax fulvifrons ) の後ろ姿

    ​目の周りの白いアイリングが特徴のメジロハエトリ、米国で見られるこの " Empidonax " は11種類で、その中でもウスチャメジロハエトリが一番小さい。メジロハエトリはどれもこれも非常によく似ていて、鳴き声による識別が一番確実であるが、初心者はもちろんベテランのバーダーでも大変識別に苦労するフライキャッチャーである。
     
    ウスチャメジロハエトリ頭上の虫狙う
    頭上を飛ぶ虫をじーと狙っている

    ​ウスチャメジロハエトリは、南アリゾナのメキシコ国境沿いの Huachuca Mountain と Chiricahua Mountain のごく限られた地域のみに渡って来る夏鳥のメキシコ種である。営巣し雛を育て終えると、9月には冬を過ごす南メキシコへ南下して行く。
     
    ウスチャメジロハエトリ全身
    赤みがかった褐色の胸と薄い茶色の平らな頭が特徴

    ​ウスチャメジロハエトリはメジロハエトリの中では小さくて特徴があるので比較的識別し易いが、他のメジロハエトリの識別にはほとんどのバーダーが苦労する。フィールドでメジロハエトリを見つけると、そうそうと識別は諦め、ただ「エンピ (Empi) の一種を見た・・・」という報告をする人が多い。「エンピ」はメジロハエトリのラテン名 "Empidonax" から付けられたものである。
     
    ウスチャメジロハエトリ首傾げる
    ​時々首を傾げては私を見つめ,様子を伺っていた

    ​ウスチャメジロハエトリは,南アリゾナの非常に限られた地域の山の渓谷の松林でしか見られない希少種である。しかし、近年営巣する個体数が少しづつ増えてきて、今では推定30組ぐらいは南アリゾナで営巣するようだが、お目にかかるチャンスが非常に少ないメジロハエトリである。
     
    ウスチャメジロハエトリ草に止まる
    低い草の茎に止まって朝日を浴びる

    ​ほとんどのメジロハエトリは高い枝に止まって空中を飛んでる虫をフライングキャッチするが、ウスチャメジロハエトリのエサ取りのテリトリーは大変広く、高い木の枝から低い下枝まで、そして時には草むらまで下りてきて、グラウンドでエサ取りをすることもある。
     
    ウスチャメジロハエトリ草の虫を探す
    低い枝に下りてきて、草にいる虫を取ろうとしている

    ​松林の林縁をエサ取り場とするウスチャメジロハエトリとフサボウシハエトリは松林の枝の高低でテリトリーが分かれてる。低いところを好むウスチャメジロハエトリが時々高い枝へ上がっていくと、フサボウシハエトリのテリトリーに入るので猛烈な勢いで追いかけまわされる。小さいフサボウシハエトリの方が気性が激しく、いつも追い払う側であった。

    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(3)

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      フサボウシハエトリ下から見る姿
      ​フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher / Mitrephanes phaeocercsu

      主にメキシコから中央アメリカのコスタリカ、パナマそして南アメリカのエクアドールまでの広い地域に生息するフライキャッチャーである。4亜種に分かれていて、夏(3月〜10月)は3500メートル以上の高山の Pine-oak の森林に、冬は川が流れる低い森林で過ごす。
       
      フサボウシハエトリ逆光の中で
      ​特徴の粋な羽飾りのような冠毛 (Tuft ) と喉から胸にかけての赤茶色が美しいフサボウシハエトリ

      ​別名 " Small Mountain Flycatcher " と呼ばれ、体長は12センチで日本のメジロ ( Zosterops japonicus ) と同じ大きさの小さな可愛いハエトリである。
       
      フサボウシハエトリ正面
      正面から見ると、冠毛がトサカのように見えて愛嬌のある顔である。

      ​北米では1991年テキサスの Big Bend 国立公園で写真に納められて確認されたのが初めての記録。昨年(2016年)南アリゾナの Ramsey Canyon で初めて営巣してるのが確認された。今年は営巣はされなかったが、メスは Ramsey Canyon で、オスは隣接してる Carr Canyon で、別々に確認されており、これは北米で8番目の記録となった。
       
      フサボウシハエトリ左向き全身
      よく見える葉のない丸裸の枝に直立して止まり、飛んでる蛾を探す。

      ​基本的には渡りをしない鳥で、北米では南アリゾナとテキサスのメキシコとの国境に近い Canyon でしか見られない珍鳥である。
       
      フサボウシハエトリ伸びをする
      伸びをするフサボウシハエトリ

      ​今年8月9日にフサボウシハエトリがカー渓谷 (Carr Canyon) に出現というニュースがネットに流れ、翌日さっそく確認に出かけた。Carr Canyon は我が家から最も遠いフィールドで、片道224キロ南に下ったメキシコとの国境沿いの渓谷である。鳥たちには国境などがないので、こうしたメキシコ・中南米種は自由に行き来することが出来るが、人間はそうはいかない。フサボウシハエトリが見れるスポットへ行く主要道路には国境警備隊の検問所があり、すべての車一台一台止められてチェックを受ける。また、「ここはメキシコからの違法入国者や麻薬運び人が徘徊するので十分注意するように!」という看板が所ところで目につくので少々緊張する鳥見となった。
       
      フサボウシハエトリとポンデロサ松
      ​五葉松の一種ポンデロサ松 (Ponderosa Pine) の林で静かに止まっていることが多いので、この小さなハエトリを見つけるのには少々苦労する。

      ​珍鳥フサボウシハエトリが出現したスポットは標高2260メートルの山頂のキャンプグラウンドで、10キロほどの未舗装の山岳道路を四輪駆動車で上がらなくてはならなかった。もともと鉱山用の道で、急斜面に造られてあり一車線の道路でスイッチバック運転をしなくてはならない。しかも、所々岩が露出してるばかりでなく、雨で土がえぐれてるので車の底を擦るのでは・・・とヒヤヒヤしながらの緊張したドライブを強いられた。
       
      フサボウシハエトリ急降下
      蛾を捕えようと枝から急降下するフサボウシハエトリ

      ​彼らのエサ捕りは高い枝に止まって飛んでる蛾や虫をフライングキャッチしては元の枝に戻るので、この時がこの小さなハエトリをじっくり見れるチャンスである。よく「ピーピーピー」というコールを繰り返すので、声を頼りに近づくと見つけやすい。
       
      フサボウシハエトリ蛾を捕える
      捕らえた蛾をくわえて元の枝に戻り食べ始める。

      ​フサボウシハエトリは Tyrant Flycatcher ( Tyrannidae ) の仲間で非常に気まぐれの鳥で、前年営巣した場所に次の年も再び営巣するとは限らない。昨年営巣した Ramsey Canyon には今年は雌一羽だけが現れ、一方、雄は一羽だけで Carr Canyon に現れた。はて!来年も現れるのか?・・・予測のつかない珍鳥である。

      マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(2)

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        巣材運ぶバラノドカザリドリモドキ雌
        巣材を運ぶバラノドカザリドリモドキ雌 ( Rose-throated Becard )

        ​6月、何十年ぶりに南アリゾナで営巣してるのが確認されたバラノドカザリドリモドキのカップルは無事ヒナを育て終えた。ところが、その後、8月8日同じ雌雄が前回の巣の近くで再び巣作りを始めた情報がメールに入り、再度出掛けて自分の目で確認し、それからほぼ連日通って観察を続けた。2回目の巣は前回の巣から200メートルほど離れた所で、丁度川を挟んで反対側の岸辺に近い森の中であった。
         
        巣材を引っ張るバラノドカザリドリモドキ雄
        長い樹皮を引っ張り出す途中で、勢い余って枝から落ちそうになるバラノドカザリドリモドキ雄 ( Pachyramphus agiaiae

        ​この鳥の巣材運びを観察してると、紐のように細長く切れたハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の樹皮を一つ一つ巣の近くの高い枝の間に運び蓄えておき、適当な量になると一本一本そこから引っ張り出して巣に持って行ってる。これにたくさんの草や葉、蜘蛛の巣などを混ぜて接合してるようである。
         
        巣の屋根作りの雄
        自分の体長の何倍もある大きな吊り巣の屋根の部分を作ってるバラノドカザリドリモドキ雄

        ​巣作りは主に雌の仕事であるが、時には雄も手伝うことがあるようで、長い樹皮を一生懸命巣の外側に差し込んでる姿を見る。大きなフットボールの形をした球形の巣を,巣材を集め出してからたった一週間で作り上げてしまうスピードであった。
         
        樹皮を巣に押し込む雄
        薄くて長い樹皮を巣に押し込んでる雄。巣は見る見るうちに高くなっていく。

        ​バラノドカザリドリモドキはたいへん静かで、しかもゆったりとした鳥で、葉の茂った大きな木の枝に直立した姿勢で止まって、長い時間ほとんど動かずじっとしていることが多いので、繁殖期以外はフィールドでは非常に見つけにくい。
         
        バラノドカザリドリモドキ雄の飛翔
        樹皮を巣に差し込んでは、忙しそうにまた巣材探しに飛び立って行く雄

        ​地元の人たちの努力でほとんど手付かずの自然のままに保たれてるこの森は、南アリゾナのメインのバーディングスポットではないが、時々こうした希少種が現れることがあり、年に何回かはチェックする必要がある場所でもある。
         
        巣の上で葉を差し込む雄
        茶色の枯れ枝や樹皮を組み合わせた巣に、所々緑の葉を差し込んでいく。

        ​巣は高さ60センチ以上、直径30センチ以上の大きなもので、ハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の高い垂れてる枝先にぶら下がってる。常緑樹の林の緑にカモフラージュさせるため、巣の外側に緑色の葉を付けていくようだ。
         
        巣の出入り口を作る雌
        ​巣穴から頭を深く突っ込んで巣の内側を丁寧に作ってる雌

        ​彼らの大きな巣はまるでごみを集めたような粗雑なものであるが、出入り口の穴は底についてる。穴に入る時はホバリングしながら下から入っていくが、出る時は真っ直ぐ下へ飛び出して、周りの枝に止まることなくそのまま一直線に遠くへ飛んで行く。
         
        バラノドカザリドリモドキの巣
        地上から15メートルほどの高さにぶら下がってるバラノドカザリドリモドキの巣

        ​今年の後期サマー(モンスーンの夏)は例年以上に雨の量が多く、しかも暑い日が続いたため虫の出が良いので、この希少種バラノドカザリドリモドキは2回も営巣してくれた。そのおかげで6月中旬から8月中旬まで2か月間たっぷりこの珍しい美しいメキシコ種の巣作りを堪能することが出来た。
         
        巣の周りの風景と人物
        ​巣材を探しに低い枝に下りてきたバラノドカザリドリモドキを見るバーダーたち

        ​全米のバーダーたち憧れのこのメキシコの鳥が2回も営巣したのだから南アリゾナは大騒ぎとなった。色々な州から、又カナダやイギリスからのバーダーたちで巣の周りは連日大賑わい。多い時は10人から30人のグループもやってきた。鳥の観察だけでなく、それぞれの州の「鳥見自慢話」に花が咲き、巣の周りは賑やかであった。

        マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(1)

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          バラノドカザリドリモドキ雄
          ​今年の夏、バーダーたちを夢中にさせたバラノドカザリドリモドキ雄 ( Rose-throated Becard )

          ​昨年の珍鳥騒ぎに続いて、今年も珍しい中央アメリカの鳥たちが南アリゾナに現れ、またまた大騒ぎとなった。そのうちの一つバラノドカザリドリモドキが6月18日に何十年ぶりに南アリゾナで営巣しているのが確認され、たちまち "e-bird" "AZ Tucson Audubon" などのネットに多くの人の情報が載り、私もすぐ車を走らせて現場へ赴いた。
           
          バラノドカザリドリモドキ雌
          ​バラノドカザリドリモドキ雌 ( Pachyramphus agiaiae

          雌は翼と尾が明るい赤茶で背中は灰色。頭の薄黒い色がアクセントとなって雄のように美しくはないが表情がとても可愛らしい。
           
          風景サンタクルーズ川
          バラノドカザリドリモドキの営巣が確認されたサンタクルーズ川 ( Santa Cruz River ) 

          ​営巣場所は我が家から車で1時間15分南へ下がったメキシコとの国境に近い国定歴史公園で、バーダーたちが常時鳥見をして報告を出してる所ではない隠れたスポットである。メキシコに上流を持つサンタクルーズ川は水量が豊富なので川の両岸は大きなハヒロハコヤナギ (Cotton Wood ) やマメ科の大木メスケ (Mesquit) , Pine-oak など、常緑樹の葉がうっそうと茂っている森で、まさにバラノドカザリドリモドキが好む環境となっている。
           
          羽繕いするカザリドリモドキ雄
          水浴びをして羽繕いするバラノドカザリドリモドキの雄

          ​体長18センチ、日本の河川の葦藁でよく見られるオオヨシキリ ( Acrocephatus orientalis ) と同じ大きさ。雄は美しいバラ色の喉とずんぐりした大きな黒い頭が特徴。主にメキシコから中央アメリカに生息しており、北米では南アリゾナと南テキサスの一部の地域でたまに見られる希少種である。亜種が多く、中央アメリカのコスタリカで見た亜種は雄でも喉にバラ色がなくただ灰色であったため美しい鳥とは思わなかった。
           
          羽繕いするカザリドリモドキ雌
          ​水浴びを終えて羽繕いするバラノドカザリドリモドキの雌

          ​巣にはすでに雛が孵化してるようで、小さな声が聞こえてくる。夜明けとともに親鳥はエサ取りを開始、頻繫にエサを銜えて戻って来ては雛にエサを与えている。午前8時過ぎごろ、朝日が高くなって森に日が差し始め、空気が温まって来ると親鳥の雛へのエサ運びは一段落して、自分たちの朝食そして水浴びに出かけ、暫く巣の近くには戻ってこない。
           
          バッタを銜えたカザリドリモドキ雄
          ​雛の好きなバッタを銜えて巣の近くに戻って来たバラノドカザリドリモドキの雄

          ​バラノドカザリドリモドキのエサの捕り方はフライングキャッチはあまりせず、主に大きな木の真ん中の葉がよく茂った枝で静かに動かず隠れるように止まって虫を探すか、あるいは背丈の低い大きな野草にしがみついてるバッタを捕ることが多い。時々雄、雌でコール(口笛に似た物悲しい声)し合いながらエサ探しをしている姿を見る。
           
          バッタを銜えたカザリドリモドキ雌
          バッタを雛に運ぶバラノドカザリドリモドキの雌

          ​川と森の間の草地にはバッタが大変多い。歩いてると足元から何十匹ものバッタが一斉に飛び上がってはまた草の上に落ちていく。その時に出る「パチッパチッ・・」という音が何も聞こえない静かな草地に良く響く。昔、日本で虫捕りをしていた子供の時に耳にした懐かしい音でもある。
           
          カザリドリモドキ雌の
          捕らえたバッタを銜えて巣へ飛んで行く雌

          ​バラノドカザリドリモドキは雛へのエサ運びを主に雌が行い、時々雄が手伝うかのようにエサ運びをしている。雄は主に巣の近くの枝にじっと止まっていて他の鳥が近づくと凄い剣幕で追い払っている。巣の近くには数組のレンジャクモドキ (Phainopepla / Phainopepla nitens) も営巣しており、時々雄がバラノドカザリドリモドキの巣に近づきチョッカイをかけている。

           

          カタリナ州立公園 2017年春 その(10)

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            Ash-throated Flycatcher 1
            目の前の枝に止まってけげんそうな顔で見つめるハイノドヒタキモドキ ( Ash-throated Flycatcher ) 

            ​北米西側の中部から南部にかけての広い地域に夏になると渡って来る夏鳥である。繁殖地は乾燥してる砂漠の灌木地帯から標高2500メートルの樫の林や常緑針葉樹林帯まで非常に幅広い。巣は主に樹洞を利用するが、カタリナ州立公園のような砂漠地帯は大きな木が少ないので、キツツキ(サバクシマセゲラ / Gila Woodpecker / Melanerpes uropygialis )が巣に使った巨大サボテン(サワーロサボテン / Saguaro )の穴を利用することが多い。
             
            Ash-throated Flycatcher 2
            ​尾が長く大きくて派手な色のハイノドヒタキモドキ ( Myiarchus cinerascens

            ​日本のモズ ( Lanius bucephalus ) より大きいので飛ぶと目立つが、木の中ほどの枝に静かに止まっている時は、周りに上手く溶け込んで見つけにくい。しかし、朝早くから独特な声でいつまでも鳴くので居場所は簡単にわかる。鳴き声はまさにサッカーのレフリーの笛のようで、「プリリリリ」「ピピピ」と非常に特徴があり、鳥らしくないその変な声を一度聞くと忘れられない。
             
            Ash-throated Flycatcher 3
            頭上を飛んでる蜜蜂を狙うハイノドヒタキモドキ

            ​ハイノドヒタキモドキのエサ捕り方法は、枝に止まってじっと空中を飛ぶ虫を探し、見つけると枝から急に飛び出してフライングキャッチする。時々目の高さの枝に止まり頭を左右に振ったり傾げたりする。この動作はまるで何かを詮索しているようにも見えるので、何時も見てるとついつい笑ってしまう。この鳥は乾燥してる所が好きなので、水をあまり必要としないようだ。夕方遅く陽が沈むときによく鳴くので、この声を聞くと砂漠の夕焼を思い出す人が多い。
             
            Northern Mockingbird 1
            木の実を大事そうに銜えて飛び去っていくマネシツグミ ( Northern Mockingbird ) 

            ​もともと北米南部から中南米にかけて生息していたが、近年どんどん北へ生息地を広げており、今では全米何処でも見られ、色々な歌や詩にも出てくるポピュラーな鳥となった。灰色の地味な鳥であるが、日本のツグミ ( Turdus naumanni ) より大きく、飛ぶと太くて白い翼帯が鮮やかに目立つので識別しやすい。
             
            Northern Mockingbird 2
            朝から晩まで一日中鳴きまくるマネシツグミ ( Mimus polyglottos

            ​学名(ラテン語)の " polyglottos " は「二枚舌ならぬ沢山の色々な舌を持つ」という意味であり、何しろ「もの真似」が上手い。数十種類にも及ぶ鳥の鳴き真似や動物、虫などを器用に真似る。また、市街地に近い所に生息するマネシツグミは車の音、機械音、楽器の音色まで上手に真似るのには驚く。おまけに、この鳥は実にお喋りで、写真のような高い枝先で囀るだけでなく、時には飛びながらも囀ってる姿を見る。しかも、昼だけでなく月が明るい夜や街灯が輝いてる所では一晩中鳴き続けることもある。以前、ニューヨークに住んでいた頃、時々寝室の横の樹で夜中に大きな声で鳴かれるのには参ったことがった。
             
            Broad-billed Hummingbird
            ​北米で最も小さく、最も美しい派手なハミングバードのアカハシハチドリ ( Broad-billed Hummingbird / Cynanthus latirostris

            ​アカハシハチドリはカタリナ州立公園には特に多い。もともとメキシコ種で、夏に南アリゾナの山麓のキャニオンに渡って来る。他のハチドリにも見られるが、特にアカハシハチドリは赤い色が好きで、人の赤い服や赤いパッチなどがあると、何処からともなくやって来てホバリングしながらチェックする。時には車の赤いテールライトにも反応することがあるので面白い。
             
            Black-chinned Hummingbird
            ​南アリゾナで数多く見られるノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird / Archilochus alexandri ) のメスと2羽の雛

            ​北米では主に西側でしか見られない体長10センチほどの小さなハミングバードである。乾燥してる砂漠地帯に生息しており、中米で冬を過ごす渡り鳥であるが、南アリゾナには冬になっても南へ渡らない個体がおり、庭のフィーダーによくやって来るポピュラーなハミングバードでもある。このハミングバードはコートシップ(求愛飛翔)が大変面白い。オスは時計の振り子が揺れるような弧を描いて飛び、翼を震わせながら「ジー」という大きな音を出してメスが止まってる枝の前を急降下する。

            カタリナ州立公園 2017年春 その(9)

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              ブユムシクイ巣作り
              巣作り中のブユムシクイ ( Blue-gray Gnatcatcher ) 

              ​カタリナ州立公園では山の麓のキャニオン ( Canyon ) で写真のブユムシクイ ( Blue-gray Gnatcatcher ) 、山麓から離れたサボテン林の砂漠ではオグロブユムシクイ ( Black-tailed Gnatcatcher / Polioptila melanura ) の2種類のナットキャッチャー ( Gnatcatcher ) が見られる。南アリゾナでは総体的に西側の南部でしか見られないオグロブユムシクイの方が数多い。この2種は非常によく似ていて、初心者には識別が難しい。大きさと鳴き声、尾の裏側の模様の違いから識別する方法がベストである。
               
              ブユムシクイ雄雌
              巣作り中のメスにエサを運ぶブユムシクイ ( polioptila caerulea ) の雄

              ​日本のメジロより小さくほっそりしたブユムシクイは主に北米東側の高い広葉樹林に生息している。春に中南米から戻って来る渡り鳥であるが、南アリゾナでは夏冬一年中見られる留鳥である。落ち着きのない鳥で、枝先をくりくりしながらエサ取りするので見にくいが、雛が鳴くような高く細い声で「ジージージー」とよく鳴くので居場所を見つけるのは簡単である。
               
              ブユムシクイ巣に座る
              ​メスと交代して巣に座るブユムシクイの雄

              ​ブユムシクイの巣は蜘蛛の糸を多く用いてしっかり作られており、樹の下から見上げると樹のこぶのように見える。巣づくりしている初期の段階で邪魔されると、その巣を取り壊し別の場所に作り直す習性がある。枝先で長い尾を広げて左右に振りながらエサ探しをするが、時には蜘蛛の巣に引っかかってる虫を失敬することもある。
               
              シロハラミソサザイと巣
              ​雛にエサを運ぶシロハラミソサザイ ( Bewick's Wren ) 

              ​英名「ビューイックス ( Bewick's ) 」は人の名前(米国の鳥類学者で画家であるオージュボンの友人で英国の画家トーマス・ビューイック)に由来する。かって全米の広い地域に生息していたシロハラミソサザイは1960年以降東側では数が減少、今では地域によっては珍鳥となっている。カタリナ州立公園では毎春大きな木の樹洞に営巣している姿が見られる。雄はテリトリー内に幾つかの見せかけの巣を作り、雌がそのうちの一つを選ぶ。そして巣が決まると、雄雌共同で巣を完成させる。
               
              シロハラミソサザイ正面向き
              カタリナ州立公園では数が多いシロハラミソサザイ ( Thryomanes bewickii

              ​尾を高く上にあげ左右に振りながらオス、メスでうるさく鳴き合うのでよく目につく。また、人を恐れることがないので、しばしば目の前の枝に来てこちらをじっと見ていることがある。
               
              シロハラミソサザイ囀り
              一日中さえずるシロハラミソサザイ

              ​日本のミソサザイ ( Troglodytes troglodytes ) より大きい。他のミソサザイと同じようによく囀る。頭を後ろにのけぞり、上にあげた長い尾をゆっくり下へ押し下げながら鳴く。採餌はグラウンドが多く、時には木の枝から虫や蜘蛛を下へ落として拾って食べている。
               
              クーパーハイタカと巣
              数年使用した古巣を手直しするクーパーハイタカ ( Cooper's Hawk ) 

              ​南カナダからメキシコまで幅広く生息している中型の鷹で、日本のハイタカ ( Accipiter nisus ) より大きい。英名 " Cooper " は最初にこの鳥を捕獲して識別した " William Cooper " の名前に由来する。
               
              クーパーハイタカ獲物を食べる
              獲ったばかりの獲物を頭から食べ始めるクーパーハイタカの雌 ( Accipiter cooperii

              ​昔、クーパーハイタカは別名 " Blue Darter " (すばしっこい奴)とか " Chicken Hawk " (ニワトリを狙う鷹)とか呼ばれ、農夫には嫌われていたが、近年の調査でニワトリなどの家禽類は捕らないことが判り汚名返上をした。写真の獲物はミヤマシトド ( White-crowned Sparrow ) で、クーパーハイタカは小鳥の他に小型の動物を狙うこともある。
               
              クーパーハイタカ雄
              ​メスが獲物を食べてる間、すぐ横の枝でじっとメスをエスコートしてるクーパーハイタカのオス。

              ​クーパーハイタカの獲物捕りの方法は他の鷹たちと異なり、大きな葉が密に茂る林で、木の幹近くに寄り添うように止まり、じっと獲物が来るまで待ち伏せする。獲物の動きを察知すると素早く飛び立ち、猛烈な速さで狭い木立の間を飛び、時には上がったり下がったりしながら狙った獲物に近づき、鋭い爪で引っ掛ける。また、クーパーハイタカはテリトリー意識が非常に強く、同じ中型のアシボソハイタカ ( Sharp-shinned Hawk ) がテリトリーに入って来ると猛烈な勢いで追い払う。

              カタリナ州立公園 2017年春 その(8)

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                Saguaro & Mt.Lemon
                アリゾナ州のシンボル、大サボテン ( Saguaro ) の林とレモン連山。

                ​サワーロサボテン(和名:弁慶柱)は主にソノラ砂漠で見られる高さ10メートル以上の巨大サボテンで、両腕を上げて突っ立ってる姿は人に似ているので非常に人気がある。これだけの規模でサワーロサボテンが林立しているのは、南アリゾナ、ツーソンの町の周りのソノラ砂漠だけであり、中でも特にカタリナ州立公園は有名である。
                 
                レンジャクモドキの雄
                ​中南米で見られる " Silky Flycatcher " の仲間、レンジャクモドキ ( Phainopepla ) のオス。

                ​英名「ファイノペプラ」( Phainopepla ) はギリシャ語で「輝く外套」の意味で、オスの美しい黒い姿から付けられた。南カリフォルニアから南アリゾナの砂漠に一年中いる留鳥だが、冬と春は暖かい砂漠で過ごし、暑い夏には涼しい山の渓谷(キャニオン)へ移動して年に2回繫殖する北米で唯一の鳥である。
                 
                レンジャクモドキの飛翔
                ​白黒の美しいレンジャクモドキ ( Phainopepla nitens ) の飛翔。

                ​レンジャクモドキは主に木の実や種を食べるが、時にはハエトリのように飛びながら空中の虫を捕えることがある。オスによる「コートシップ」(求愛行動)が大変美しく、100メートル近く空高く舞い上がって、ジグザグ又は弧を描きながらテリトリー内に降りてくる。
                 
                ミドリトウヒチョウ 1 
                ​カタリナ州立公園とその周りの砂漠で冬を過ごすミドリトウヒチョウ ( Green-tailed Towhee )

                ​密に茂った灌木の根元近くでエサ取りをし、陽が当たる明るい所へなかなか出て来ないので、全身を双眼鏡に入れるのが難しい。
                 
                ミドリトウヒチョウ2採餌
                ​細かい野草の実を食べるミドリトウヒチョウ ( Pipilo chlorurus )

                ​開けたところより茂みや暗い木陰を好み、薄明薄暮の時間帯に活発にグラウンドを動き回ってエサ取りするのでゆっくり観察するのが難しい鳥である。
                 
                アメリカツリスガラ 1
                ​ハックベリーの実をついばむアメリカツリスガラ ( Verdin )

                ​砂漠では一年中ごく普通に見られ、庭にも来るポピュラーな可愛い鳥である。小さな虫や甘い花を好んで食べるが、砂漠で暮らす鳥なので、時々水分補給のため小さい木の実も食べる。
                 
                アメリカツリスガラ 2
                実を銜えるアメリカツリスガラ ( Auriparus flaviceps )

                ​日本で見られるツリスガラ ( Remiz pendulinus ) と同じ仲間ではないが、同じような袋状の吊り巣を作り、体長も同じ大きさであるが、尾が短いのでずっと小さく見える。冬鳥として日本に渡来するツリスガラは平地の葦原に生息して、葦の中に居るカイガラムシ類を食べるが、アメリカツリスガラは留鳥で、テキサスから南アリゾナ、メキシコにかけての砂漠地帯に一年中生息し渡りをしない。

                カタリナ州立公園 2017年春 その(7)

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                  プッシュリッジ連山と新緑
                  粗削りなゴツゴツした岩肌、イヌワシが営巣するプッシユリッジ連山と美しいトレールの新緑。

                  ​4月に入ると、カタリナ州立公園の新緑の樹木もみっちり若葉が茂って本格的な夏鳥の到来となる。ルーシーアメリカムシクイ、ベルズモズモドキの囀りに混じってハエトリ ( Flycatcher ) の種類も多くなり、奇妙で面白いテリトリーソングが聞こえてくる。
                   
                  メグロハエトリ囀り
                  南アリゾナの一部の狭い地域でしか見られないメグロハエトリ ( Northern Beardless Tyrannulet )

                  ​北米で見られるハエトリの仲間で英名「ティラヌレット」 ( tyrannulet ) と呼ばれるのはこのメグロハエトリ1種類である。もともとメキシコ種で、以前はメキシコとの国境を接するアリゾナ東南の Patagonia あたりまで行かないと見れなかったが、近年少しづつ数が増えてカタリナ州立公園でも毎年見られるようになった。
                   
                  メグロハエトリ左向
                  メグロハエトリ ( Camptostoma imberbe ) の Worm 型

                  ​メグロハエトリは長い英名がつけられてるが、体長は短く地味で小さな鳥である。日本で一番小さい鳥のキクイタダキ ( Regulus regulus ) にほぼ近い大きさである。よく葉が茂った木の枝に止まっていることが多く、姿や居場所を見つけるのが大変難しい。鳴き声を頼りに探すが、これまた鳴き声は口笛のようなクリアーな声だが、高くて消えるようなか細い声で「ピーピーピー」と囀るので非常に聞きづらい。
                   
                  メグロハエトリ後姿
                  メグロハエトリの Fresh 型

                  ​メグロハエトリは特徴である頭のボサボサした冠毛とハエトリの仲間では一番小さいサイズであること、また、枝に止まっている姿が直立している姿勢で尾を振ることなどを総合して識別するしか手がない。ハエトリなので空中を飛んでる虫をフライングキャッチして元の枝に戻るので、じっくり双眼鏡で追うとキャッチするチャンスはある。
                   
                  ハイイロメジロハエトリ
                  ​識別に苦労するハイイロメジロハエトリ ( Gray Flycatcher )

                  ​アメリカのバーダーの間で通称エンピ ( Empid ) と呼ばれる学名 " Empidonax " のメジロハエトリ類は全米で11種類見られるが、非常によく似ているので初心者にはフィールドでの識別が大変難しい。鳴き声による区別が一番確実性が高い。しかし、ハイイロメジロハエトリは大変臆病で、驚くとすぐ密に茂った小灌木の隠れ場所に飛び込んでじっとしているので囀りが聞こえても見つけにくい。
                   
                  ハイイロメジロハエトリ地上採餌
                  ​ハエトリの仲間では珍しいグラウンドに降りて採餌するハイイロメジロハエトリ ( Empidonax wrightii )

                  ​ハイイロメジロハエトリは低い枝に止まって低く飛びながら虫をフライングキャッチするが、時には地面に下りて虫を探すこともある。動作の特徴として、長い尾をぴくっと上げてゆっくり下へおろしてゆき、最後にまた元の位置に戻す仕草を時々する。アリゾナでは春と秋の渡りの時だけ通過していくので短い間しか見られない。
                   
                  Pacific Slope Flycatcher
                  アリゾナでは珍しいキノドメジロハエトリ ( Pacific-slope Flycatcher / Empidonax difficilis )

                  ​昔は " Western Flycatcher " と呼ばれていたが、近年写真の " Pacific-slope Flycatcher " とアリゾナの森林渓谷でごく普通に見られる " Cordilleran Flycatcher / Empidonax occidentalis ) の2種類に分けられた。この2種のフィールドでの識別は大変難しく、鳴き声で区別するしか方法がない。 " Pacific-slope Flycatcher " はアリゾナではごく少数が春の渡りの時に通過して行き、繁殖地は英名の由来である太平洋沿岸の森林で営巣する。動作の特徴として枝に止まる時にしばしば尾と翼を同時に震わせることがあるが、常時ではないので残念ながらあまり識別の手助けとはならない。

                  カタリナ州立公園 2017年春 その(6)

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                    ベニタイランチョウ正面
                    ​赤黒の派手なベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher ) のオス


                    ​ベニタイランチョウはタイランチョウの中でも最も美しいと言われ、春の新緑の林の中ではその姿がひときわ目立つ。南アリゾナから南テキサスにかけての狭い地域でしか見られないハエトリの仲間である。
                     
                    ベニタイランチョウ横向
                    ​陽に当たると美しい金色に輝くベニタイランチョウ ( Pyrocephalus rubinus )

                    ​体長15センチ、日本のシジュウカラ ( Parus major ) と同じ大きさの小さなタイランチョウであるが、毎春、全米から南アリゾナに集まって来るバーダーたちが「ぜひ見たい」と思う人気ある鳥でもある。

                     
                    ベニタイランチョウ羽繕い
                    羽繕いするベニタイランチョウ、赤い頭がひときわ美しい。

                    ​ベニタイランチョウは水が大変好きで、自然の水流はもちろん、人工の用水路や牧場の水槽、池などの近くでよく見かける。
                    ゴルフをプレーしてると、池の周りの低い枝に止まっている姿をちょくちょく見る。砂漠の春から初夏にかけての気候は非常に乾いているので(湿度10%前後)、鳥たちの水浴びする姿が見れるチャンスが多い。
                     
                    ベニタイランチョウ飛ぶ姿
                    頭上の蜂をフライングキャッチしようとするベニタイランチョウ。

                    ​ベニタイランチョウは低い灌木の枝先に止まってじーと飛んでいる虫や蝶を探し、見つけると瞬発的に追いかけ空中でフライングキャッチする。ところが、蝶は上下、左右に飛ぶので捕まえるのが難しいらしくよく失敗している。
                     
                    ベニタイランチョウ蜜蜂くわえる
                    見事に蜂を捕らえて近くの枝に止まるベニタイランチョウ。

                    ​ベニタイランチョウは蜜蜂が特に好きで、空中でうまくキャッチすると近くの枝先に止まって美味しそうに食べる。蜜蜂は袋にたっぷり蜜を蓄えているので栄養価が大変高く、彼らにとって一番のご馳走であろう。
                     
                    ベニタイランチョウ雌正面
                    ​地味な色をしてるが可愛らしいベニタイランチョウの雌。

                    ​砂漠の鳥たちの繁殖期は大変早い。まだうすら寒い日が時々ある3月後半、ベニタイランチョウは雄と雌でヒラヒラ舞いながら空高く上がっていくコートシップを始める。そして4月に入ると巣作りに忙しくなり、巣材を運ぶ雄・雌の姿を見ることが出来る。
                     
                    ベニタイランチョウ巣に座る
                    巣に座るベニタイランチョウの雌。

                    ​ベニタイランチョウの雌は雄のような派手な赤い色はないが、尻の薄い赤色がアクセントとなってなかなか可愛らしい。巣に座るのは主に雌で、雄が時々雌にエサ運びをしているのを見かける。カタリナ州立公園には、毎春3組から5組ほどのベニタイランチョウのカップルが戻って来て営巣するので、ほぼ確実にこの美しい姿を堪能することが出来る。
                     
                    ベニタイランチョウ雛2羽
                    ​強風で折れた枝の巣にうずくまってるベニタイランチョウの雛2羽。

                    ​砂漠でも時々「春雷」に見舞われることがあり、強風で古い木が倒れたり枝が折れたりする。夜中から朝方まで続いた激しい雷雨で起こされ、眠い目をこすりながらカタリナ州立公園へ行ってみると、ベニタイランチョウの巣の枝が折れて下へ垂れ下がり、斜めになった巣に2羽の雛がうずくまってしがみついていた。
                     
                    ベニタイランチョウ空の巣
                    ​ついに巣は垂直に立ってしまい、雛は外へ放り出されたようで、巣の中は空っぽであった。

                    ​強風を伴う春の嵐が3日間続いたため、ベニタイランチョウの巣を支えていた枝もついに折れて下へ落ちてしまった。そのため、巣は垂直になって雛は放り出されたようだ。周りを探しても雛の形をしたものは見つからず、推測するに、夜行性のボブキャットやコヨーテ、ガラガラヘビの獲物になってしまったとおもわれる。
                     
                    ベニタイランチョウ朝日浴びる
                    雛を失って寂しそうなベニタイランチョウの雄親。

                    ​雛を失った親鳥はしばらく巣の周りの枝に止まったり、巣のあった木の周りを雛を探しているかのように飛び回っていた。砂漠の天候の激しさ、自然界の厳しさをつくづく感じた日々である。砂漠の鳥たちは年2回営巣する種類が多く、たくましい彼らはまた新しい巣作りを始めるだろう。

                    カタリナ州立公園 2017年春 その(5)

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                      Birding Trail
                      ​春の使者 " Songbird " たちが戻って来て賑やかになった " Birding Trail "

                      ​3月も中旬が過ぎて「春分」近くになると、新緑が目につき " Songbird " (ソングバード)と呼ばれる歌のうまい春を告げる渡り鳥アメリカムシクイ ( Wood Warbler ) たちが中南米から戻って来る。そして私のカタリナ州立公園通いが忙しくなってくる。    " Birding Trail " は前が拓けた大きな " Wash " があり、背後は雑木と岩の斜面林となっているので、春の鳥たちにとっては素晴らしいエサ取り場となる。トレールからちょっと外れた林に入ると、半分枯れてる下草に悩まされる。草の丈がくるぶしまでかかり、しかも草の先が棘のように尖ってるので、これが靴下に着いたり靴の中へ入ったりすると非常に痛いのには参る。
                       
                      ベルモズモドキ
                      " Songbird " と呼ばれる春の渡り鳥の内、一番早く公園に現れるベルモズモドキ ( Bell's Vireo / Vireo bellii )

                      ​色が地味で特別特徴のない小さな鳥であるが、テリトリー意識が大変強く、短く単調な鳴き声で「ジュジュジュ・・」と一日中囀ってる。縄張りの境界は厳格で、オス同士が出会うと激しく争う。葉が密に茂ってる低灌木の中で囀ることが多く、落ち着きなく一声、二声囀るとすぐ枝移りするので、大きな鳴き声は聞こえるものの、双眼鏡で姿を捉えるのが難しい。
                       
                      Plumbeous Vireo
                      ​フタスジモズモドキ ( Plumbeous Vireo / Vireo plumbeous )

                      ​和名フタスジモズモドキは1990年代までは英名 " Solitary Vireo " と呼ばれる一種類であったが、繁殖地が3か所に分かれて、オーバーラップする地域が少ないので近年3種類の別種に分けられて、それぞれ異なる英名と学名がつけられた。写真の " Plumbeous Vireo " はアリゾナから北へかけての中西部の内陸に生息している。その他の2種類は渡りの時期にニューヨークでも数多く見られる " Blue headed Vireo / Vireo solitarius " と西太平洋側の北で主に繁殖する " Cassin's Vireo / Vireo cassinii " である。カタリナ州立公園で営巣が見られるのは写真の " Plumbeous Vireo " だけである。
                       
                      ルーシーアメリカムシクイ
                      ​「砂漠のアメリカムシクイ」と言われるルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler )

                      ​主にアリゾナで見られるルーシーアメリカムシクイ、女性の名前からつけた鳥名で、日本のメジロ ( Zosterops japonicus ) より小さい。この " Songbird " も春一番に中南米から戻って来ると、単純な短いハイピッチな「チェ、チェ、チェ・・」という春の歌を聞かせてくれる。特別ソングスポットを決めずにせわしく枝移りしながら囀るため、落ち着いてじっくり観察するのが難しい。3月も終わりに近づくと砂漠はルーシーアメリカムシクイの囀りに包まれる。
                       
                      ルーシーアメリカの巣
                      2羽のヒナにエサを与えるルーシーアメリカムシクイ ( Vermivora luciae )

                      ​ルーシーアメリカムシクイはアリゾナの砂漠で繁殖する唯一のアメリカムシクイで、西側では唯一大きな木の割れ目や洞に営巣するアメリカムシクイである。大西洋側の東には唯一木の洞に営巣するオウゴンアメリカムシクイ ( Prothonotary Warbler ) がいるが、アメリカムシクイの仲間ではこの2種だけである。この写真のルーシーアメリカムシクイの巣はアメリカツリスガラ ( Verdin ) の古い巣を利用している珍しいケースで、巣穴の入り口が横についてる袋の形をしてる。丁度木の洞のような感じなので、チャッカリ巣に使用したものと思われる。
                       
                      ウイルソンアメリカムシクイ
                      西側で多く見られるウイルソンアメリカムシクイ ( Wilson's Warbler / Wilsonia pusilla ) の Pacific 型。

                      ​冬を中南米で過ごし、主に北カナダの大西洋沿岸から太平洋沿岸の針葉樹林帯で繁殖するウイルソンアメリカムシクイは、春と秋の渡りの時期にはほぼ全米で見られる。東側で多く見られるのは Taiga 型であるが、カタリナ州立公園で見られるのは Pacific 型である。顔から胸にかけて明るい黄色が特徴で、あまり人を怖がらず、しかも好奇心が強いのでバーダーのピッシング(口でピシピシピシという音を出す)によく反応して目の前の枝に現れる。非常に活発で尾を上げ下げしながら枝移りし、葉の裏についてる虫を拾い集める。黒いベレーボーのような頭と黒いボタンのような目が可愛いので人気者である。
                       
                      キイロアメリカムシクイ
                      全米ほとんどの地域でごく普通に見られるキイロアメリカムシクイ ( Yellow Warbler / Dendroica petechia )

                      ​キイロアメリカムシクイはアメリカムシクイの中でも一番繁殖地域が広く、北から南のカナダからメキシコまで、そして東から西への大西洋沿岸から太平洋沿岸までと,ほぼ全米どこでも見られるポピュラーな " Songbird " である。冬、中南米で過ごした後,
                      カタリナ州立公園に戻って来るキイロアメリカムシクイは " Southwest " 型で、胸の赤い筋が細くて薄くしかも少ない。灌木やよく茂った大きな木の中でエサ取りすることが多いが、あまり人を恐れず,高い枝のよく見える所をソングスポットにするので、大変見やすい。
                       


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