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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(下)

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    トレールを歩くヒラモンスター

    春の早朝、トレールに出てきたアメリカドクトカゲ ( Gila Monster ヒラモンスター)

     

    暦の上で彼岸の中日である「春分」を過ぎ、大地が暖まってくると土の中の虫やトカゲ、ヘビなどが穴を開いて地上に出て来る。普段ほとんど見ることが出来ないアメリカドクトカゲも陽気に誘われメスを求めて日中に歩くので、時々出会えることがある。英名 "Gila Monster " (ヒラモンスター)の由来はアリゾナの北のヒラ川 ( Gila River ) にあり、「ヒラ川の怪物」という意味である。

     

     

    スティックに嚙みつくヒラモンスター

    ハイキング用スティックに嚙みつくアメリカドクトカゲ ( Heloderma suspectum )

     

    アメリカドクトカゲは主にアリゾナとカリフォルニアの乾燥した砂漠や荒れ地、特に大きな岩が多い荒涼とした斜面に生息する。2亜種がいるが、南アリゾナ・ソノラ砂漠で見られるのはアミメアメリカドクトカゲである。体長は40センチ以上あり、北米では一番大きなトカゲで、丸くて太い胴体をして丸くピンク色したビーズに似た鱗に覆われていて大変美しい。唯一毒を持つトカゲで、噛まれると激しい痛みと吐き気をもようすが、大人の場合は噛まれても死に至ることは稀である。しかし下顎の力は非常に強く、指を噛まれるとちぎれてしまうので、うっかり手や足を出すと大変なことになる。

     

     

    岩場のヒラモンスター

    繁殖期なのでメスを探し求めて歩くアメリカドクトカゲ

     

    一年の90%以上を地中の穴で暮らすアメリカドクトカゲ。地上に出てきて昼間でも活発に動くのは春の繁殖期の3週間ぐらいだけである。主にトカゲやヘビなど爬虫類の卵、鳥の卵や雛、小さな鼠などの哺乳類を食べるが、太い尾に脂肪を蓄えることが出来るので、4回から5回ぐらいの捕食で一年間過ごすことが出来る。のっしのっしとゆっくり歩くことが多いが、危険を感じると突然素早く動き始め、口を開けて「ハーハー」という噴気音をあげて威嚇することがある。ペット用(日本にも輸入されてる)として乱獲されたので、その生息数が減少しており、アリゾナ州では捕獲したり殺したり、飼育したりする事は州法で厳しく禁じられてる。

     

     

    交尾中のトロピカルバックアイ蝶1

    交尾中の蝶 " Tropical Buckeye " 上がオスで下がメスと思われる。

     

    ソノラ砂漠で春一番に見る蝶が " Tropical Buckeye " ( Junonia evarete )  である。ポピーが咲き出す2月初めには花畑を乱舞する姿が見られる。タテハチョウの仲間で別名 " West Indian Buckeye " " Florida Buckeye " とも呼ばれている。南フロリダから南テキサス、南アリゾナの地域のみに生息しているので、数は多くない。特徴である大きな目玉模様は捕食者であるタイランチョウやハエトリなど空中を飛んでる虫を食べる鳥たちを驚かすので大いに役立っている。

     

     

    交尾中のトロピカルバックアイ蝶2

    トロピカルバックアイ蝶 ( Tropical Buckeye ) はウイングスパン6センチの中型の蝶で、ちょくちょくグラウンドに降りて翅を広げてくれるので双眼鏡でゆっくり観察出来るが、フィールドで交尾する姿を見るのはなかなか難しい。

     

     

    コモンバックアイ蝶

    Common Buckeye (コモンバックアイ蝶 / Junonia coenia ) はトロピカルバックアイ蝶と非常に似ている。

     

    コモンバックアイ蝶は全米の広い地域で見られるポピュラーな蝶であるが、アリゾナではトロピカルバックアイ蝶の方が数が多い。この2種は大変よく似ていて、長い間同種と思われていた。大きな違いはコモンバックアイ蝶の大きな2つの目玉模様の周りの縁どりが白で目立つ、一方トロピカルバックアイ蝶の方は茶色でボヤーとした感じに見える。

     

     

    風景 水の流れ

    春にしか見られないソノラ砂漠の水の流れ。このテンポラリーの川は春が終わってドライサマーに入ると、乾ききって水が全くない "Dry Wash " と呼ばれる小石混じりの砂地となってしまう。

     

     

    囀る姿ロードランナー

    ポピーの花が咲き出すと、オオミチバシリ ( Great Roadrunner / Geococcyx californianus ) が岩の上や高い木の枝で囀り始める。

     

    ロードランナーは砂漠地帯に生息するアリゾナでは大変ポピュラーな鳥で、大きな足でグラウンドを歩きまわったり、時速30キロ以上のスピードで走ったりする。アニメやロゴマークによく使われるアメリカでは馴染み深い鳥で人気者でもある。カッコウの仲間であるが,他のカッコウの様に托卵はしないし頻繁に囀らない。ワイルドフラワーが咲く春の繁殖期には,低い声で「クークークー・・」と最後が消えるように下がっていく短くて冴えない囀りを繰り返す。フィールドでは風向きに寄ってよく耳をそばたてないと聞こえないほど小さい声である。

     

     

    サワーロサボテンで囀るサボテンミソサザイ

    サワーロサボテン ( Saguaro ) の天辺でメスを従えて高らかにテリトリーソングを歌うサボテンミソサザイ ( Cactus Wren / Campylorhynchus brunneicapillus )

     

    南テキサスから南アリゾナにかけての砂漠地帯に生息する。特にサボテンの多いソノラ砂漠は数が多く、庭の鳥でもある。フィーダーにはあまり来ないが、グラウンドで虫探しをしたり、ちょくちょく庭のパティオに入って来て壁や窓枠、窓のスクリーンなどに居る蛾や蝶、昆虫を捕っている。頭が良いのか、パティオではテーブルに飾ってある造花の中に顔を突っ込んで丹念に虫探しをしてる姿や、壁に掛けてある装飾品や温度計を突っついて,裏側に居る虫を落として食べてる姿も見かける。体長22センチで日本のミソサザイの2倍はある大きさで、しかも囀りは「ギョギョギョ…」と悪声であり、姿と囀りといい,とてもミソサザイとは思えない。

     

     

    ルーシーアメリカムシクイ

    3月に入ると春たけなわとなり、「砂漠のアメリカムシクイ」と呼ばれるルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler / Vermivora luciae ) が中南米から戻って来て囀り始める。

     

    主にアリゾナの砂漠で水の流れがあるメスケ ( Mesquie ) の低木を好み、春一番に囀るのでワイルドフラワー畑でルーシーアメリカムシクイの初音が聞こえてくると、まさに春を感じる。渡り鳥の中でも、一番早く戻って来て一番早く去って行ってしまう。

     

     

    ベルズモズモドキ

    モズモドキの中で一番早く中南米から戻って来て囀るベルズモズモドキ ( Bell's Vireo / Vireo bellii )

     

    ベルズモズモドキは中南米から大変早く南アリゾナに戻って来て、2ヶ月近く砂漠で囀り、5月になるとやっと営巣地の北へ移動して行く。葉の茂った低い灌木の中でエサ取りをするのと、色に特別な特徴がない地味な鳥なので見つけ難いが、鳴いてくれると特徴のある歌なので直ぐに識別出来る。多くのモズモドキと同じように、囀りは単調な一本調子でただ「ジュルジュルジュル・・・」という歌で、これを延々と続ける。朝早くから炎天下の暑い日中でも繰り返すので、しまいには耳障りになってくることもある。托卵鳥であるコウウチョウ ( Cowbird ) の托卵先の鳥なので、その被害が大きく総数が減少してきている。

     

     

    ベニタイランチョウ

    タイランチョウの中では春一番に囀るベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher / Pyrocephalus rubinus

     

    主に南テキサスと南アリゾナに生息するタイランチョウで、ソノラ砂漠では営巣する数が多い。ほとんどのタイランチョウはくすんだ茶色で地味であるが、ベニタイランチョウはまさに和名「ベニ」そのもので、鮮やかな紅色なので派手で美しい。スズメより少し大きい。3月に入ると早くも求愛飛行が始まり、翼をひらひらさせながらヒバリのように上昇し、囀りながらゆっくり平行飛行する姿は見ていてウキウキする春を感じる。

     

     

    サワーロサボテンの花とハジロバト

    巨大サボテン、サワーロ ( Saguaro ) の花の蜜を吸うハジロバト ( White-winged Dove / Zenaida astiatica )

     

    ワイルドフラワーが終わりになり、草や木の芽が若葉となる4月に入ると、いよいよソノラ砂漠の象徴サワーロサボテンの天辺や枝先に白い蠟細工のような花が咲き始める。花蜜が甘いので色々な鳥や蜂が集まって来る。なかでも春の終わりに渡って来るハジロバトはこの花が大好きで、よく花に嘴を入れてるのが見られる。ハジロバトはサワーロサボテンにとっては花粉を媒介してくれる重要な鳥でもある。ハジロバトはナゲキバト ( Mourning Dove / Zenaida macroura ) と同じ仲間であるが姿は全く異なる。体長は日本のキジバトより少し小さい。よく通る声で「ポッポーポッポー」と一日中鳴いてる。聞きなしは " Who - cooks - for - you " で、「君のために誰が飯を作るの?」という意味である。


    春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(上)

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      //saguaro & Gold Poppy

      巨大サボテンサワーロ ( Saguaro ) が林立する日当たりの良い南斜面にメキシカンゴールドポピー ( Mexican Gold Poppy ) がパラパラと咲き始める。

       

      2月初め、暦の上で冬と春の境である「立春」を迎えると、春の花「ゴールドポピー」が咲き、ソノラ砂漠も春一色となっていく。「メキシカンゴールドポピー」は隣の州カリフォルニアの春の花として有名な「カリフォルニア・ポピー」( Carifornia Poppy / Eschscholtzia californica ) とよく似てるが、南アリゾナの砂漠に群生する亜種である。

       

       

      ゴールドポピーの畑 1

      トレールを歩く足元は南アリゾナ・ソノラ砂漠に春を告げるメキシカンゴールドポピー ( Eschscholtzia mexicana ) の花に一面覆われる。

       

      ソノラ砂漠の冬は12月中旬から1月末までの一ヶ月半程度と大変短い。暦の上で2月初めの「寒」が開ける頃には早くも春の兆しに包まれる。そして2月下旬ともなるとワイルドフラワーが一斉に咲き出す。ポピー畑が一面ゴールドの絨毯を敷いたようになると、まぶしいぐらい鮮やかで春の陽気に誘われ、心がウキウキしてわずらわしいコロナウイルス問題やソーシアルディスタンスなどをしばし忘れることが出来るので自然の恵みの有難さに感謝する。

       

       

      ゴールドポピー畑 2

      今年のソノラ砂漠の春はワイルドフラワーの咲が良く、3月初めには早くも野花のカーペットが楽しめた。

       

      「メキシカンゴールドポピー」は陽の光がないと花が咲かない。9時頃開き始めて午後遅くには閉じてしまう。曇りの日は咲が悪いが、ソノラ砂漠の春は曇り空の日がほとんどなく、一片の雲もない抜けるような青空の毎日なのでほとんど心配ない。この花は冬の雨量にその咲き具合が左右されるが、昨年の12月から雨の日が多かったので今春は豪華な花畑となった。

       

       

      White Tackstem

      ゴールドポピーに混じって咲くヒマワリの仲間 White Tackstem ( Calycoseris wrightii ) 白い花で花弁の裏側にピンク色のすじ模様が特徴。

       

       

      Scorpionweed

      白い White Tackstem に混じって咲くアリゾナ原産の Scorpionweed ( Phacelia crenulata ) 紫色のベルの形をした北米ハゼリソウの仲間。英名 " Scorpion " はカールしてる花の頭がサソリの尾に似てるところから付けられた。

       

       

      Blue Dicks

      砂漠のヒアシンスと呼ばれるユリの仲間 Blue Dicks ( Dichelostemma pulchellum ) アメリカインディアンはこの球根を食用としていた。

       

       

      Desert Chia

      ミントの仲間 Desert Chia ( Salvia columbariae ) 丸く密な花房の上に咲く紫色の小さいのが花で、粘液を分泌するので悪臭がある。アメリカインディアンはこの種を食用にしていた。

       

       

      Owl Clover

      Owl-clover ( Orthocarpus purpurascens ) の群生。キンギョソウの仲間で、砂漠のワイルドフラワーの根に寄生する。手で触れると、綿のようなふわふわした感触が何とも春を感じる。

       

       

      Monkey Flower

      水の流れ沿いに生える Common Monkey Flower ( Mimulus guttatus ) アメリカインディアンはこの葉をサラダにして食べていた。

       

      Fremonts Pincushiion

      ヒマワリの仲間 Fremont's Pincushion ( Chaenactis fremontii )

       

       

      Fleabane

      Fleabane ( Erigeron oreophilus ) 標高1300メートル以上の樫の森に群生するワイルドフラワーなので、800メートルから1000メートルのソノラ砂漠では珍しい。山からはるばる飛んで来た種から出てきたものと思われる。

       

       

      Mariposa

      ウチワサボテンの横に咲く Desert Mariposa ( Calochortus kennedy )

       

      3月末頃になるとポピーの花畑が終わり、他のワイルドフラワーの花も少なくなる。そして「4月の花」と呼ばれるマリポサ ( Desert Mariposa ) が咲き始める。色、形からして初夏の雰囲気を醸し出す花である。英名 " Mariposa " はスペイン語名をそのまま英語名にしたもので、「蝶」の意味である。

       

       

      Pincushion Cactus

      鮮やかなマゼンタ色が美しい Pincushion Cactus ( Mammillaria microcarpa )

       

      春の草花が終わると、ソノラ砂漠はいよいよサボテンの花の季節となる。別名 " Fish hook Cactus " とも呼ばれ、棘が釣り針のように先が曲がっていて刺さると非常に痛い。ラテン名 " Mammillaria " は茎の上についてる突起が乳頭に似てる所から付けられた。


      ソノラ砂漠の鮮やかな秋の彩り

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        Ramsey Canyon Trail 入口の紅葉

        ラムゼイ渓谷ハイキングトレールの紅葉

         

        南アリゾナのソノラ砂漠とチウアウア砂漠は三方向2千メートルクラスの山に囲まれており、キャニオン ( Canyon ) と称する渓谷がいくつかある。特に南アリゾナの東部はメキシコのSierra Madre とロッキー山脈、ソノラ砂漠、チウアウア砂漠などが一緒になる生態上の交差路でもあり、浅い川の湿地から針葉樹林地や熱帯地まで非常に自然が変化に富んでおり、色々な種類の植物、動物が数多く見られるので大変人気があるスポットである。

         

         

        Ramsey Canyon Nature Conservancy

        The Nature Conservancy のビジターセンター周辺の紅葉

         

        南アリゾナの東部メキシコとの国境に近いラムゼイ渓谷 ( Ramsey Canyon ) は、湧水と渓谷の高い岩壁によって砂漠にはない湿気と夏でも涼しい環境が整っている。このため、水を必要とするアリゾナ・スズカケノキやカエデなどの大きな木や松やモミなどの針葉樹も多く、しかも大きく育った砂漠のサボテンやユッカ ( Yucca ) ,リュウゼツランの仲間アガベ ( Agave )も数多く見られる。そして、ラムゼイ渓谷の一部380エーカーはアメリカの国際的な活動をしているNGO " The Nature Conservanccy " の自然保護区となっており、ハミングバード(ハチドリ)のキャピタルと言われ、14種類のハミングバード、150種類の鳥類が見られるのでバーダーにとって大変に人気のある有名なスポットでもある。

         

         

        Ramsey Canyon 岩壁と紅葉

        コロナド国立森林 ( Coronado National Forest ) のトレールから見上げるラムゼイ渓谷の大きな岩壁と紅葉

         

        ハイキングは " The Nature Conservancy " のビジターセンターから入り、澄んだきれいな湧水が流れる " Ramsey Creek " 沿いのトレール(自然探索路)を0.8キロほど歩くとやがて険しい登りとなる。そしてZ字型山岳トレールをスイッチバックしながら標高差800メートルを一気に登っていく。勾配がかなりきついので途中で息切れしてるハイカーを時々見かける。トレールはコロナド国立森林に入ると、本格的な森林ハイキングトレールとなり、松の一種 Apache Pine, スズカケノキの仲間Arizona Cycamore, 樫の木の仲間 Gambel Oak, カエデの仲間 Bigtooth Maple などの森の中を赤や黄色に色づいた秋の彩りを楽しみながら歩く。

         

         

        赤いカエデとyucca、agabeが共存

        深い森ならではの鮮やかな赤で美しいカエデと根元に生える砂漠植物ユッカ ( Yucca ) とリュウゼツランの仲間アガベ ( Agave ) が共生していて面白い。

         

         

        紅葉のコロナド森林Hamburg トレール

        山岳トレール " Hamburg Trail " を歩き、森林奥深く入って行くと、人にも会わず鳥の鳴き声もなくて大きな枯葉が落ちてくる音しか耳に入って来ない。そして秋の彩りもさらに濃くなっていく。

         

         

        Ramsey,Hambrg Trail の紅葉 1

        針葉樹の緑、カエデの赤、スズカケノキの黄が混ざり合って実に美しい。

         

         

        Ramsey,Humburg Trail の紅葉 2

        暗い森の中でも一際鮮やかな赤色のカエデ ( Bigtooth Maple ) 葉の大きさが日本のモミジの2倍以上はあるので見事である。

         

         

        Ramsay,Hamburg Trail の紅葉 3

        ラムゼイ渓谷は我が家から一番遠い「マイフィールド」であるが、美しい秋の色合いに出会えると、アリゾナの乾燥した夏の暑さをすっかり忘れてしまう。

         

         

        Ramsey,Hambrg Trail の紅葉 4

        さらに森深く入ると、トレールも細く狭くなって、紅葉した葉が体に触れカサカサ…と大きな音がするのでドキッとする。

         

         

        紅葉の赤いジュータン路

        グラウンドに落ちたカエデの葉、緑の草の中、ピンクのジュータンを敷いたような美しいトレールを歩く。

         

         

        渓流の淀みに浮かぶ枯葉

        渓流の淀みに浮かぶ緑の水草と色づいた枯葉。水が流れる小さな音が耳に心地よく響いてくる。

         

         

        水辺に降りてきた蝶2匹

        渓流の水辺に美しい蝶が2匹水を飲みに下りて来る。枯葉にカモフラージュされて見つけにくい。

         

         

        蝶Chiricahua Pine White メス

        大変珍しい蝶 Chiricahua Pine White の雄

         

        弱い秋の日差しが差す午後、蝶が水辺に集まって来る。その内の一種 " Chiricahua Pine White " ( Neophasia terlooii ) は別名 " Mexican Pine White " とも呼ばれ、標高1900メートル以上の高い山の松林で秋遅くに見られる森の蝶である。ウイングスパン(翼幅)5センチ少々の中型の大きさで、主に南アリゾナの東部の限られた地域でしか見られない珍しい蝶である。

         

         

        蝶 Chiricahua Pine White メス

        グラウンドに降りて枯葉に止まる Chiricahua Pine White のメス

         

        チリカウア・パイン・ホワイト ( Chiricahua Pine White ) はオスとメスで色がまったく異なる。白黒のオスと違ってメスは明るいオレンジ色で大変美しい。この蝶はのらりくらりと何処へ飛んで行くのか判らないぐらいでたらめな蝶らしくない飛び方をし、時々羽を広げて風に吹かれながら舞う。また時には弱弱しくグラウンド近くでヨタヨタ飛ぶことがあり、傷ついて弱ってるのかな‥?と思い写真を撮ろうと近づくと、パッとすごい勢いで飛んで逃げて行ってしまう。

         

         

        手に止まる蝶 Chiricahua Pine White メス

        女房の手のひらに降りて来て止まる Chiricahua Pine White のメス。

         

        この蝶はほとんど高い松の木の天辺のキャヌピーの上をヒラヒラ飛ぶことが多いので見るのに苦労するが、この朝は暖かったせいか、珍しく低い所へ降りて来て女房の手のひらに止まってくれた。5分近くも長く居てくれたので大感激。自然がくれた思わぬ秋のプレゼントに感謝。

         

         

        蝶 Satyr Comma

        水草に止まる大変珍しい蝶サターコンマ ( Satyr Comma / Polygonia satyrus )

         

        ジャノメチョウの仲間で、主にアリゾナそして米国西側の標高1000メートル近辺の渓流の水辺で見られる。ウイングスパンは5センチ前後、英名 " Comma " は後翅にある銀色のコンマ印から付けられた。大変カモフラージュが上手で、木の幹に逆さまに止まることがあり大変見つけにくい。翅の淵がギザギザの形をしてるので変わっていて人気がある。時々水を飲みに下へ’下りて来るが、警戒心が強く近づくとすぐ飛んで行ってしまうので写真を撮るには厄介な蝶であった。

         

         

        蝶 Red Admiral

        カナダから中央アメリカまで、全米広い地域で見られるホピュラーな蝶 Red Admiral ( Vanessa atalanta )

         

        ウイングスパン5センチ前後の中型の蝶で、色が鮮やかなので人気がある。夏から秋に’かけてはキャニオンの森で過ごすが、冬は砂漠に下りて来るので、我が家の庭の花にもやって来る。砂漠のキャニオンの秋は紅葉だけでなく、美しい蝶や珍しい蝶も数多く見られるのでバタフライウォッチング ( Butterfly Watching ) も楽しめる。" Thanksgiving Day " 間近の11月下旬、紅葉と蝶が楽しめた南アリゾナならではの晩秋のハイキングであった。


        珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その5)最終

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          セミを捕らえたスズメフクロウ雌親

          セミを捕らえたロッキースズメフクロウのメス。昆虫などの小さい獲物はメス親自身が捕って雛に与えている。

           

          セミ ( Grand Western Cicada / Tibicen dorsata ) はこの時期非常に数が多いので、スズメフクロウが簡単に捕れて雛に与えられる貴重なタンパク質栄養源の一つである。スズメフクロウは他のフクロウのようにゆっくりふあーふあーと飛ばず、ほとんど羽ばたきもしないで、弾丸のように真っ直ぐ早いスピードで飛ぶので、飛んでる姿を見るのは難しい。セミを見つけると、素早く飛んで来て鋭い爪で木の幹や枝につかまると同時にセミを捕らえる。また、時々木の枝から宙返りし急降下しながらグラウンドに下りて獲物を捕らえることもある。残念ながら、このダイナミックな姿は双眼鏡で見るのが精一杯で、写真に納めるチャンスはなかった。

           

           

          セミを銜えたメス親と2羽の雛

          捕らえたセミを2羽いる雛のどちらへ与えようか…と迷ってるメス親。全部で4羽いる雛へのメス親だけでのエサ与えは大変な労働である。

           

           

          雛にセミを渡す雌親

          メス親はさんざん迷ったあげく、左側の雛にセミを渡し始めた。

           

           

          セミを雛の口に与える雌親

          メス親は雛が銜えやすいようにセミを低く下して直接渡そうとしている。

           

           

          セミを足で抑えるスズメフクロウ雛

          雛はメス親から与えられたセミを一先ず足で抑えて、どうやって食べようか考えていた。先に巣立ちした2羽の雛がバッタを食べるのに苦労したのと同じように、この雛も経験がないのでやはり苦労している。

           

           

          セミを足で持ち上げる雛

          やおら足でセミを持ち上げ、又しばらく考え、困った顔をしていた。

           

           

          セミを食べる雛 1

          5分ぐらい経って、雛はいよいよセミを食べ始めた。実に旨そうに食べてる。その顔が映画「スターウォーズ」に出てくる「ヨーダ」に似ているので、思わず笑ってしまった。

           

           

          セミを食べる雛 2

          先ずはセミを小さく千切って食べ始めた。

           

           

          セミを丸かじりする雛

          いよいよセミが小さくなってきたので、丸かじりし出した。

           

           

          セミを丸ごと飲み込む雛

          雛にとってセミを丸ごと飲み込むのは難しいらしく、目をひん剥いて苦労して口の中に入れ込んでいた。

           

           

          セミが喉につっかえ苦しんでる雛

          何とか飲み込めたようだが、セミが喉にまだつかえているようで、喉を膨らませて何とか飲み込もうと寄り目になって苦労していた。

           

           

          コールしながら雛を呼ぶ雌親

          最後に見たメス親の鳴く姿。

           

          最後の2羽の雛たちが巣立ちして4時間後、エサ与えが一段落すると、メス親が盛んにコールして雛たちを呼び、先に巣立ちした2羽と一緒に森の奥へ消えて行った。翌朝にはスズメフクロウ一家の姿はまったく見られず、これが最後の姿となった。スズメフクロウは卵から孵化して23日から30日ぐらいで巣立ちし、巣の中の雛が全て巣立ちするとさっさと巣の場所から離れて森の奥深く入ってしまう。その後20日から30日ぐらいは親に守られエサを与えてもらって成長する。そして早くも5か月後には立派な成鳥となる。そもそも雛の成長は大変早く、孵化後2週間で成鳥の60%近い大きさになる。

          15日間毎朝4時に起きて現場に駆け付け、昼過ぎまでの8時間彼らが我々の存在を意識しない距離を保ちながらびったりスズメフクロウ一家と付き合った。フィールドではなかなか見られない彼らの習性、獲物の捕り方、エサ与えの方法、雄親とメス親そしてメス親と雛たちとのコミュニケーションの仕方など多くを知ることが出来た。スズメフクロウは同じ巣穴を2〜3年は使うらしいので来夏また会えるのを楽しみにしている。このスズメフクロウ一家は大変な人気者で、ニューヨークやボストン、カリフォルニアなど色々な州から又隣のカナダからもたくさんのプロカメラマンや愛鳥家たちがやって来た。観察の合間の彼らとの鳥談義や情報交換は実に楽しく、あっと言う間に過ぎてしまった2週間であった。


          珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その4)

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            風景、椅子とスズメフクロウ雛2羽

            巣立ちした最後の2羽の雛(赤い矢印

             

            6月末早朝、今日こそ最後の雛の巣立ちが見れることを期待して、15日間毎日観察を続けた定位置にこの日も簡易椅子を置いて座ったところ、頭の上から「シリシリシリ・・・」という雛の声がシャワーのように降って来るのに驚き上を見上げると、すでに夜明けとともに巣を離れたらしい2羽の雛が3メートルほどの頭上の枝に並んで止まっていた。巣穴の中が見えないので最後まで巣に雛が何羽いるのか推測出来ず、今朝メス親が巣穴に近づかなくなったことで、最初に巣立ちした2羽、そしてこの2羽の合計4羽、全て巣立ちしたことがやっと判ったぐらいであった。

             

             

            枝に並ぶスズメフクロウ雛2羽

            鋭い顔でこちらを睨む最後の2羽の巣立ち雛

             

            15日間、毎日のように観察し続けたロッキースズメフクロウの雛であるが、雛にもそれぞれ個性があり、頭の形や体格、そして性格まで違う。右の雛は体格が良くすでに鋭い猛禽類の顔をしているが、左の雛は細身であるが童顔でまさに幼い感じがする。雛全員4羽とも無事に育ってくれることを祈りながらシャッターを押し続けた。

             

             

            細身の雛アップ

            並んだ2羽の内の細身の雛、目が鋭くなくあどけない顔である。

             

            すでに体の大きさは親に近く顔も似ているので遠くから見ると間違いやすいが、白くて太い眉毛のような眉斑が短く、尾も大変短い。そして、鳴き声が雛独特な虫のような「シリシリシリ・・・」という細い声なのですぐ識別できる。

             

             

            太ってる雛のアップ

            2羽の内の体格の良い雛

             

            メス親、雄親、両方ともエサ捕りと先に巣立ちした2羽の雛へのエサ与えに忙しく、2時間近くも戻って来なかった。50メートルほど離れた所に先に巣立ちしてる2羽の雛がいるが、親の姿がまったく見られない。巣立ち直後の雛は、腹をすかしているので盛んにコールして親を呼んでいた。

             

             

            スズメフクロウ雛眠くて半目

            巣を離れて2時間を過ぎたころ、さすがに雛もくたびれて眠り始める。

             

             

            上の枝へ飛び移ろうとする雛

            巣立ちして2時間半を過ぎてから、雛たちがやっと動き始めた。メス親が盛んに呼ぶ方をみて、より高い枝へ飛び移ろうとしてる。

             

             

            高い枝に移ったスズメフクロウ雛

            ヨタヨタと苦労して枝移りしながらメス親が見える高い枝先まで飛び移って来た。

             

             

            雌親からバッタを貰う雛

            巣立ちして3時間後になって、やっとメス親(右)からバッタを貰って食べ始めた雛

             

             

            バッタを食べだしたスズメフクロウ雛

            巣立ちして初めて食べるエサのバッタ、巣の中にいる時はメス親が細かくちぎって与えてくれてたが、丸ごと渡されたのは初めての経験、食べるのに苦労している。

             

             

            バッタを飲み込むスズメフクロウ雛

            バッタを丸ごと飲み込もうとしてる雛


            珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その3)

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              巣を見守るスズメフクロウのメス

              ロッキースズメフクロウ、メス親は午後1時を過ぎる頃からエサ捕りエサ運びを一切止め、巣の近くの枝に止まって静かに雛を見守る。そして、3時半すぎる頃から再びエサ捕りが活発になる。

               

               

              頭の後の目のような模様のスズメフクロウ

              顔を横に向けた時に見える首の後の大きな目のような模様がロッキースズメフクロウの特徴である。

               

              ロッキースズメフクロウの大きな特徴の一つである首の後ろの目によく似た白い縁取りの黒いパッチの羽毛は、天敵である鷹類やボブキャットなどの動物の目を欺くのに役立ってるようだ。また、スズメフクロウは小さいとはいえ猛禽類なので、よくハミングバードやミソサザイ、アメリカムシクイ、カケスなどにしばしば群れで追い回される。( Mobbing )  こんな時、首の後の目のような模様が彼らに「見てるぞ!」と思わせ驚かせるのに役立つようだ。

               

               

              巣から顔を出すスズメフクロウ雛

              観察し始めて12日目、巣穴から乗り出して顔を出す巣立ち間近の雛。表情もしっかりして親と変わらない顔になってきた。

               

               

              巣穴で鳴くスズメフクロウ雛

              「シリシリシリ・・・」と独特な声で盛んに鳴く雛

               

              観察し始めて13日目、メス親は早朝から巣にいる雛に向かって「早く巣から出てこい…」と呼んでるかのごとく盛んにコールしていた。巣の雛も一生懸命応えてるようだが、この日の巣立ちは見られなかった。

               

               

              巣立ちしたばかりのスズメフクロウ雛

              巣から出たばかりの雛

               

              メス親が雛に巣立ちを促すコールを盛んにしていた翌朝、ついに2羽の雛が巣立ちした。巣から一羽一羽別々に飛び出し、バタバタ落ちるように飛んで近くの葉の上に辛うじて摑まった。軟着陸成功である。大きな足で細い枝にしっかりつかまってるのが判る。

              巣穴の中にいた時と異なる初めて見る風景にびっくりしてキョロキョロしている…ような顔である。

               

               

              巣立ち後ボヤーとしてる雛

              もう一羽の雛は巣から飛び出して近くの小枝につかまった後、しばらく(10分ぐらい)ボヤーとしながらメス親が呼ぶコールに答えていた。

               

               

              太い枝の先に止まるスズメフクロウ雛

              巣から離れて30分後、雛はもう少し高い枝に移り体を安定させる。厳しい自然界に出たばかりで心細いのか…?何となくおどおどした表情をしていた。

               

               

              眠り始めたスズメフクロウ雛

              うとうと寝始めた巣立ちしたばかりの雛

               

              巣立ちの大仕事を成し遂げた雛は、どっと疲れが出たのか目を閉じて眠り始めた。この時が天敵の鷹に狙われる一番リスキーな時と思われる。ハラハラしながら雛を見ていたので、しばしシャッターを切ることを忘れてしまったぐらい緊張した。

               

               

              半分眠りながら鳴くスズメフクロウ雛

              もう一羽の雛も「巣立ち」という第一の難関を終え、眠くて目を開けるのがやっとである。それでもメス親の呼ぶコールに一生懸命応えて自分の場所を知らせていた。

               

               

              雛にバッタを与えるスズメフクロウのメス

              バッタを雛に与えるメス親。雛にとって巣立ち後初めてもらうエサである。先に巣立ちした雛2羽とまだ巣に残ってるもう2羽の雛へのエサ運びでメス親は忙しい。


              珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その2)

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                巣穴入口、眠そうな目スズメフクロウ

                エサ捕りに疲れてるのか、小さな虫を銜えたまま巣穴入口で眠そうな顔してうとうとするメス親

                 

                ロッキースズメフクロウは抱卵から雛の世話まで、ほとんど全てメスだけで行う。雄は抱卵中のメスにエサを運んで与えることと、トカゲやネズミ等の大きな獲物を捕獲し、メスに渡すだけで雛の面倒は一切みない。

                 

                 

                巣穴に入っていくスズメフクロウ

                メス親は巣穴入口で少しナップをした後、雛にエサを与え始めた。

                 

                 

                虫を銜えて巣穴から出る雌親

                大きな虫を銜えて巣から出て来るメス親

                 

                スズメフクロウを観察し始めてから12日目、メス親の面白い行動が見られた。大きな虫を銜えて巣に入り、雛にはその虫を与えず、しばらくして虫を銜えたまま巣穴から出て行った。これは多分大きくなった雛の早い巣立ちを促すための行動と思われた。これによって、雛は腹を空かせ、一日でも早く巣から出ようとするのだろう。また、メス親がエサを持って巣穴に出入りする間隔が長くなってきたのもこのためと思われる。

                 

                 

                ネズミを捕えた雄親

                雄親がネズミを捕らえて巣の近くの枝に止まり、コールしてメス親に獲物を捕って来たことを知らせる。

                 

                スズメフクロウは大きな獲物捕りはもっぱら雄親が行い、獲物を捕ると巣の近くのお気に入りの枝に獲物を持って飛んでくる。そして「フーフー」という独特な声でコールしながらメス親に知らせる。メス親は繁殖期にだけ出す甘えたような声でコールし、雄親の所に飛んで来て獲物を受け取り(雄が優しく与えるのではなく、メスが激しく分捕る…といった感じ)巣へ運び、それを細かく砕いて雛に与える。雄は捕った獲物を自分で巣へはけっして運んで行かないし、直接雛に獲物を与えることすらしない。

                 

                 

                トカゲを捕えた雄親

                大きなトカゲを捕えた雄親

                 

                スズメフクロウは獲物を捕らえると、まず頭を自分で食べてしまうので残りの部分をメス親に渡していた。彼らの獲物の食べ方は、骨や翅の部分を食べないで肉の部分のみ食べる。そのため、他のフクロウたちが口から出す白いペリット状の塊をスズメフクロウはほとんど吐き出さないので、「ペリット」は非常に小さく巣の近くでもあまり見られない。

                 

                 

                トカゲを巣に運ぶ雌親

                雄親から受け取ったトカゲを巣へ運ぶメス親

                 

                 

                2匹目のネズミを捕えた雄親

                2匹目のネズミを捕った雄親

                 

                先ほどネズミを捕ってから30分後、又しても大きなネズミを捕らえて巣の近くの枝に飛んで来た。こうして短時間の内に、雛が食べ応えある大きい獲物を次から次に捕って来ることは稀である。今日はきっと雛も満腹になってよく眠れるだろう…と思い、少しホッとした気持ちになった。

                 

                 

                欠伸をする雌親

                早朝からのエサ運びも一段落した昼頃、好みの枝に止まって片足上げて大きな欠伸をするメス親

                 

                 

                目を閉じて眠る雌親

                ついには目を閉じて眠ってしまったメス親、初夏の日差しが心地よさそうである。

                 

                 

                枝に止まって雛に声を掛ける雌親

                午後に入ると,メス親のエサ運びもしばし休憩。巣が良く見える近くの枝に止まって雛を見守り、時々雛に声を掛けてる。


                珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その1)

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                  スズメフクロウ雌正面

                  日本のキジバトの大きさしかない小型のロッキースズメフクロウ

                   

                  和名:ロッキースズメフクロウ 英名: Northern Pygmy - Owl  学名:Glaucidium californicum

                  スズメフクロウは北米には4種類の亜種がいる。その内アリゾナで見られるのは写真の別名 " Californian Pygmy-owl " と呼ばれる " californicum " と、別名 " Rocky Mountain Pygmy-owl " と呼ばれる " ponicola " の2種類である。ほとんどのフクロウ類は夜行性であるが、スズメフクロウは昼間も活発に獲物を捕る。特に繁殖期は日中の活動が多くなる。フクロウ類の多くは左右の耳の位置が上下にづれているため非常に優れた耳を持っているが、スズメフクロウの耳は左右が同じ位置のため聴力はあまり良くない。その代わり素晴らしい視力を持っているので、日中の活動には適してるのだろう。

                   

                   

                  スズメフクロウ右向き

                  昼間でも活発に獲物探しをするロッキースズメフクロウ

                   

                  スズメフクロウは南アラスカからカナダのバンクーバーがある British Columbia, カリフォルニア、アリゾナ、北メキシコにかけて西側の幅広い地域に生息しているが、山の渓谷深い森の林縁を好み、葉の茂った大きな木の中で人目に付かないよう静かに枝に止まっていることが多いので、見るのがなかなか難しい。フクロウ類は多くが夜ないし明け方に鳴くことが多いが、スズメフクロウは日中でも特に早い朝はよく鳴く。口笛のような高い音色のよく透る声で「フーフー」と単純な調子で鳴く。

                   

                   

                  風景スズメフクロウと巣の木

                  ロッキースズメフクロウの巣穴(黄色の丸印)と雛を見張ってる雌親(赤い丸印

                   

                  6月、鳥ヤ仲間の友人から稀にしか見れないスズメフクロウの巣と雌親がエサ運びをしてるのを見たという情報を受け、さっそくマデラ渓谷 ( Madera Canyon ) へ探鳥に出かける。ここは我が家から車で1時間南へ下った「マイフィールド」の一つで、年間よく通うスポットなので巣の場所を見つけるのには苦労しなかった。巣穴は細い渓流沿いに生えてる大きなスズカケノキ ( Arizona Sycamore ) のキツツキが開けた穴を利用していた。縦に穴が二か所あって中でつながっているが、雌親の出入りは下の穴だけであった。巣は地上から6メートルぐらいの高さで、雛が穴の入口近くまで出て来る様子や雌親がエサを持って巣へ出入りする姿は双眼鏡で十分見られる距離であった。

                   

                   

                  スズメフクロウ巣穴入口雌親

                  小さな獲物をくわえて巣穴に入ろうとしてる雌親

                   

                  スズメフクロウが捕らえる獲物は小さい動物から小鳥、トカゲ、ヘビ、大きい昆虫などで、特にネズミや小鳥類、大きな虫を好む。小さなフクロウでありながら非常に大胆で、自分の体の3倍近い大きな獲物(例えば鶏など)を捕食することもある。腹が膨れてくると捕獲した獲物の残りを枝に刺したり、木の洞に貯蔵しておく、所謂モズ類がよくやる「ハヤ二エ」と同じようなことをする面白い習性を持っている。

                   

                   

                  スズメフクロウ雌親雛にエサ与え

                  巣穴の中の雛にエサを与える雌親

                   

                  巣穴が深いので雛がエサを貰う姿は見えなかったのと、穴の中に何羽の雛が居るのかも判らなかった。「シリ、シリ、シリ・・・」という雛独特のよく響く声が複数穴の中から聞こえて来るので、2羽以上は居るのだろうと推測していた。

                   

                   

                  スズメフクロウ雛眠ってる

                  巣穴入口近くまで出てきて暖かい日に当たって心地よさそうに眠る雛。この時初めて雛の姿を見る。

                   

                  スズメフクロウを観察し始めて5日目、最初に生まれたと思われる大きくなった雛が巣穴の入口近くまで上がって来て眠ってる姿を初めて見ることが出来た。大きさから巣立ちはそんなに遠くないだろうと思った。

                   

                   

                  スズメフクロウ雛巣の中で2羽重なってる

                  2羽の雛が重なって巣穴からこちらを見ている。

                   

                  狭い巣穴の中で大きくなった雛が窮屈そうに動き回ってるのが想像出来たが、ついに巣穴の入口近くまで2羽が出てきて、仲良く重なり合うようにして大きな目でこちらを見ていた。

                   

                   

                  スズメフクロウ雛巣穴から顔出す

                  巣穴から思いっきり顔を出して外の景色を見る最初に生まれたと思われる雛。

                   

                   

                  スズメフクロウ雛巣穴入口の虫を見る

                  巣穴の入口下に止まる蜂を見つめる雛。旨そうだなーと見てるのか?、本能的に何だろう…と見てるのか?蜂が飛んで行くまで5分間ぐらい寄り目になるほどじーと見つめていた。

                   

                   

                  スズメフクロウ雛首を回して上を見る

                  首をぐるっと大きくまわして青い空を眺める雛。フクロウならではの仕草である。

                   

                   

                  スズメフクロウの巣穴を覗くドングリキツツキ

                  巣穴の元の持ち主と思われるドングリキツツキ ( Acorn Woodpecker / Melanerpes formicivorus )

                   

                  スズメフクロウは主にキツツキの古巣を利用する。今回観察してる巣は、ドングリキツツキが作り上げた巣をスズメフクロウが横取りして、底に敷いてある鳥の羽根のクッションを全部外へ出してしまい、自分で新たに集めたクッションを敷いて巣をリニューアルしたようだ。巣穴を観察中に2回ほど巣の元の持ち主と思われるドングリキツツキの雄が飛んで来て、巣穴の中や周りを盛んにチェックしていた。丁度スズメフクロウはエサ捕りに出かけて留守中、巣の中の雛はきっと底で小さくなってうずくまって静かにしているのだろう。争いもなくドングリキツツキは静かに飛び去って行った。


                  ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(下)

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                    ルーシーアメリカムシクイ逆さま姿
                    逆さまになって葉の裏にいる虫を探すルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler )

                    ソノラ砂漠の「春告鳥」であるルーシーアメリカムシクイは冬をメキシコや中米で過ごし、春になると南アリゾナに戻って来る渡り鳥である。野花が一面に広がり、木々の緑も深みを増して、明るい陽射しとそよ風に誘われるようにルーシーアメリカムシクイの春を告げる囀りがあちらこちらから聞こえてくると、まさに春の訪れを実感する。
                     
                    ルーシーアメリカムシクイジャンプ
                    ジャンプして虫を捕えるルーシーアメリカムシクイ ( Vermivora luciae )

                    ルーシーアメリカムシクイは体長11センチ(メジロより小さい)と大変小さい。身軽のせいか、常に飛び上がったり枝先をくるくる回ったり、ちょこまか枝移りしたり落ち着きなくじっとしてくれない鳥で、南アリゾナの砂漠で営巣する唯一のアメリカムシクイである。英名ルーシー ( Lucy ) はスミソニアン協会長官の娘さんの名前からとったもの。囀りは「チェチェチェ・・・」とせわしなく聞こえ、ソングスポットを持たないで枝移りしながら忙しく鳴く。
                     
                    Cream Cups
                    ポピーの仲間 Cream Cups ( Platystemoa californicus )

                    「立春」を過ぎると空気が緩み冬とは違う気配があり、気分が晴れて明るくなる。そしてソノラ砂漠の長閑な明るい春の昼は、ハイキングをしていても心がウキウキしてくる。
                     
                    Baby Aster
                    Baby Aster ( Leucelene ericoides )

                    枯草の下から草の芽が生え出る「下萌」を南アリゾナソノラ砂漠でも、見ることは出来る。まだ寒気が残っていても大地はもう春の準備に動き出している。
                     
                    Trailing Four Oclock
                    Trailing Four O/clock ( Allionia incernata )

                    春の野花の中でも数少ない珍しい種類である。春を知らせる陽射しの中であでやかに咲く野花、肌に触れる空気が柔らかくなっていて、春の近づくのを感じさせられる。
                     
                    Fairy Duster
                    ハミングバードが大好きな Fairy Dustar ( Calliandra eriophylla )

                    日本で春彼岸の頃に吹く西風、これは冬の名残の寒い風であるが、ソノラ砂漠に春に吹く西風は、南カリフォルニアの太平洋から吹く風で、柔らかな春の風である。
                     
                    Ocotillo
                    「砂漠のローソク」と呼ばれる Ocotillo (オコティーオ / Fouquieria splendens )

                    9メートルから10メートルの高さの細い茎に小さい緑の葉をつけ、突端に赤い色の花が咲くので別の英名で " Candle wood " とも呼ばれる。茎は棘に覆われているがサボテンではなく、メキシコ Bajacalifornia " の木 " Boojum " の仲間である。花蜜がよく出るので春の渡りのハミングバードの貴重なエサとなる。
                     
                    Pincushion Cactus
                    サボテンの中で春一番に咲く Pincushion Cactus ( Mammillaria microcarpa )

                    長いカギ型の棘が特徴で、魚を釣る釣針に似てるので別名 " Fishhook Cactas " と呼ばれている。このサボテンが咲き始めると春の野花も終わりに近づき、代わって色々なサボテンの花が咲き始めてソノラ砂漠は初夏に入って来る。
                     
                    Desert Mariposa
                    紙の造花のような Desert Mariposa ( Calochortus kennedyi )

                    ユリ科の仲間で、葉がほとんどない細くて長い茎の先に派手な色の花が咲くので遠くからでも非常に目立つ。英名 " Mariposa " (マリポサ)はスペイン語で「蝶」の意味で、チューリップの花の形に似てるので「マリポサチューリップ」ともよばれている。
                     
                    新緑のカタリナ公園
                    新緑に包まれたソノラ砂漠、巨大サボテン「サワーロ」 ( Saguaro ) の林がひときわ目立つ

                    カリフォルニアから飛行機で南アリゾナのツーソン空港に入って来る時、上空から見る地上は茶色一色の広大な荒野に見え、まさに殺伐とした砂漠を想像するが、ツーソン空港に降り立って車で走り出すと、大きな木や低灌木がたくさんあって緑と美しい自然が豊かで砂漠とは思えない光景にほとんどの人がびっくりする。

                    ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(上)

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                      Catalina State Park
                      下草が枯れ茶色の土肌が見える、春直前(2月)のソノラ砂漠

                      今年のイースター(キリスト教の復活祭)は4月一日。ヨーロッパの暦では4連休。日本のゴールデンウイークのようなもので、特に北ヨーロッパの人々は厳しい長い冬から解放されて、南ヨーロッパの暖かい春の陽気を求めて民族の大移動をする。しかし、北米は連休ではないので人々の大移動はないが、春の挨拶として顔が合えば「ハッピーイースター」と言い合い、待ちに待った春の喜びを分かち合う。
                       
                      Mexican Gold Popy & Bee
                      春一番に咲くポピーの仲間 Mexican Gold Popy と蜜を集める蜜蜂そして、背後はソノラ砂漠の象徴サワーロサボテン (Saguaro) の斜面林

                      多くの日本の人々にとって「砂漠」というイメージは砂と砂丘だけの広大な平地であるが、南アリゾナのソノラ砂漠は緑が豊富で春には色々な野花が咲き美し変化に富んでいて、アフリカや中国の「砂漠」とは大きく異なる。
                       
                      Texas Toadflax
                      冬枯れの灌木の根元から春の野花 Texas Toadflax ( Nuttallanthus texanus ) が顔を出す。

                      メキシコと国境を接する砂漠の南アリゾナでも少々あいまいであるが四季がある。12月から2月初旬にかけては肌寒く、日中15度以下で朝晩は時には零下になることもあり、2日ないし3日ぐらいは雪が降ることも珍しくない。しかし、2月末ごろから日中は徐々に暖かくなり20度を超して木の新しい芽が出始め野の花が一斉に咲き始める。そんな砂漠の春の美しい野花をたっぷりと紹介しましょう。
                       
                      Desert Honeysuckle
                      スイカズラの仲間 Desert Honeysuckle ( Anisacanthus thurberi )

                      春の早い時期は、花蜜を出す野花が少ないのでハミングバードがエサ探しに苦労する。3月初めに早くも花が咲くハニーサックル (Honeysuckle) はハミングバードにとって大変貴重な花である。そのため、花蜜の取り合いが起こり、ハミングバードの間で空中での激しい戦いがちょくちょく見られる。
                       
                      Tiny Checker Spot
                      春一番に舞う小さな蝶 Tiny Checker Spot ( Dymasia dymas )

                      野花が咲き出すと蝶も舞い始める。ウイングスパンがたったの22ミリの大変小さな蝶で、陽気が春らしくなるとたくさん出てくる。グラウンドに近い低い所を飛ぶことが多く、時々地面に下りてゆっくり翅を開いてくれる。色とりどりの春の野花が開いて蝶が舞うと、のんびりした春の「アリゾナ時間」を楽しむことが出来る。
                       
                      Mexican Gold Popy & Trail
                      トレールの両側に群生する Mexican Gold Popy ( Eschscholtzia mexicana )

                      秋から冬にかけてのソノラ砂漠のトレールは、巨大サボテン・サワーロ (Saguaro) 以外はほぼ茶色一色の世界で、緑のないごつごつした岩肌と、下草も枯れてほとんど土肌が見える殺風景な自然歩道で歩いていてもあまり楽しくない。しかし、春の温かい風が吹き始めると、今まで茶色の土しか見えなかった足元がパッと明るくなって足取りも軽くなってくる。
                       
                      Mat of Mexcan Gold Popy
                      黄色のマットを敷いたような美しい Mexican Gold Popy と California Popy

                      日本の春は梅の花が散ると桜が咲きじわじわとゆっくりやって来るが、ソノラ砂漠の春は突然やって来る。3月に入ると、灌木の枯れ枝は瞬く間に新緑の葉に包まれ、歩く足元には野花が一斉に咲く。しかし、春はさーと短く終わってしまう。4月の終わり頃には日中の気温が30度を超すドライな初夏となる。そして、人々は短パン(ショートパンツ)とTシャツに衣替え、9月いっぱいまでの半年近くは買い物、レストラン、カフェーなど、どこへ行くのにもこの格好で闊歩する。
                       
                      Purple Mat
                      Purple Mat ( Nama demissum )

                      ソノラ砂漠は、冬の間に降る雨の量によって野草の花の咲き具合が変化する。今年の冬は、例年より雨の量が少なくドライウインターだったので野花の咲き具合もあまり良くない。写真の Purple Mat は、雨の量が多いとグラウンドは紫色のマットを敷いたようにたくさんの花が咲いて見事な光景となる。
                       
                      Miniature Wool Star
                      Miniature Wool Star ( Eriastrum diffusum )

                      アリゾナを代表する野草の花の一つで、赤茶の長い茎の先に咲く小さい花で、花が出て来る頂生の房は,毛糸のような柔毛に覆われる。
                       
                      Blue Dicks
                      倒木の横に何げなく咲く Blue Dicks ( Dichelostemma pulchellum )

                      「砂漠のヒヤシンス」の愛称で呼ばれる可憐な春の花。ねぎのような球根は,原住民インディアンや開拓移民のスペイン人たちが好んで食していた。


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