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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その3)

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    巣を見守るスズメフクロウのメス

    ロッキースズメフクロウ、メス親は午後1時を過ぎる頃からエサ捕りエサ運びを一切止め、巣の近くの枝に止まって静かに雛を見守る。そして、3時半すぎる頃から再びエサ捕りが活発になる。

     

     

    頭の後の目のような模様のスズメフクロウ

    顔を横に向けた時に見える首の後の大きな目のような模様がロッキースズメフクロウの特徴である。

     

    ロッキースズメフクロウの大きな特徴の一つである首の後ろの目によく似た白い縁取りの黒いパッチの羽毛は、天敵である鷹類やボブキャットなどの動物の目を欺くのに役立ってるようだ。また、スズメフクロウは小さいとはいえ猛禽類なので、よくハミングバードやミソサザイ、アメリカムシクイ、カケスなどにしばしば群れで追い回される。( Mobbing )  こんな時、首の後の目のような模様が彼らに「見てるぞ!」と思わせ驚かせるのに役立つようだ。

     

     

    巣から顔を出すスズメフクロウ雛

    観察し始めて12日目、巣穴から乗り出して顔を出す巣立ち間近の雛。表情もしっかりして親と変わらない顔になってきた。

     

     

    巣穴で鳴くスズメフクロウ雛

    「シリシリシリ・・・」と独特な声で盛んに鳴く雛

     

    観察し始めて13日目、メス親は早朝から巣にいる雛に向かって「早く巣から出てこい…」と呼んでるかのごとく盛んにコールしていた。巣の雛も一生懸命応えてるようだが、この日の巣立ちは見られなかった。

     

     

    巣立ちしたばかりのスズメフクロウ雛

    巣から出たばかりの雛

     

    メス親が雛に巣立ちを促すコールを盛んにしていた翌朝、ついに2羽の雛が巣立ちした。巣から一羽一羽別々に飛び出し、バタバタ落ちるように飛んで近くの葉の上に辛うじて摑まった。軟着陸成功である。大きな足で細い枝にしっかりつかまってるのが判る。

    巣穴の中にいた時と異なる初めて見る風景にびっくりしてキョロキョロしている…ような顔である。

     

     

    巣立ち後ボヤーとしてる雛

    もう一羽の雛は巣から飛び出して近くの小枝につかまった後、しばらく(10分ぐらい)ボヤーとしながらメス親が呼ぶコールに答えていた。

     

     

    太い枝の先に止まるスズメフクロウ雛

    巣から離れて30分後、雛はもう少し高い枝に移り体を安定させる。厳しい自然界に出たばかりで心細いのか…?何となくおどおどした表情をしていた。

     

     

    眠り始めたスズメフクロウ雛

    うとうと寝始めた巣立ちしたばかりの雛

     

    巣立ちの大仕事を成し遂げた雛は、どっと疲れが出たのか目を閉じて眠り始めた。この時が天敵の鷹に狙われる一番リスキーな時と思われる。ハラハラしながら雛を見ていたので、しばしシャッターを切ることを忘れてしまったぐらい緊張した。

     

     

    半分眠りながら鳴くスズメフクロウ雛

    もう一羽の雛も「巣立ち」という第一の難関を終え、眠くて目を開けるのがやっとである。それでもメス親の呼ぶコールに一生懸命応えて自分の場所を知らせていた。

     

     

    雛にバッタを与えるスズメフクロウのメス

    バッタを雛に与えるメス親。雛にとって巣立ち後初めてもらうエサである。先に巣立ちした雛2羽とまだ巣に残ってるもう2羽の雛へのエサ運びでメス親は忙しい。


    珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その2)

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      巣穴入口、眠そうな目スズメフクロウ

      エサ捕りに疲れてるのか、小さな虫を銜えたまま巣穴入口で眠そうな顔してうとうとするメス親

       

      ロッキースズメフクロウは抱卵から雛の世話まで、ほとんど全てメスだけで行う。雄は抱卵中のメスにエサを運んで与えることと、トカゲやネズミ等の大きな獲物を捕獲し、メスに渡すだけで雛の面倒は一切みない。

       

       

      巣穴に入っていくスズメフクロウ

      メス親は巣穴入口で少しナップをした後、雛にエサを与え始めた。

       

       

      虫を銜えて巣穴から出る雌親

      大きな虫を銜えて巣から出て来るメス親

       

      スズメフクロウを観察し始めてから12日目、メス親の面白い行動が見られた。大きな虫を銜えて巣に入り、雛にはその虫を与えず、しばらくして虫を銜えたまま巣穴から出て行った。これは多分大きくなった雛の早い巣立ちを促すための行動と思われた。これによって、雛は腹を空かせ、一日でも早く巣から出ようとするのだろう。また、メス親がエサを持って巣穴に出入りする間隔が長くなってきたのもこのためと思われる。

       

       

      ネズミを捕えた雄親

      雄親がネズミを捕らえて巣の近くの枝に止まり、コールしてメス親に獲物を捕って来たことを知らせる。

       

      スズメフクロウは大きな獲物捕りはもっぱら雄親が行い、獲物を捕ると巣の近くのお気に入りの枝に獲物を持って飛んでくる。そして「フーフー」という独特な声でコールしながらメス親に知らせる。メス親は繁殖期にだけ出す甘えたような声でコールし、雄親の所に飛んで来て獲物を受け取り(雄が優しく与えるのではなく、メスが激しく分捕る…といった感じ)巣へ運び、それを細かく砕いて雛に与える。雄は捕った獲物を自分で巣へはけっして運んで行かないし、直接雛に獲物を与えることすらしない。

       

       

      トカゲを捕えた雄親

      大きなトカゲを捕えた雄親

       

      スズメフクロウは獲物を捕らえると、まず頭を自分で食べてしまうので残りの部分をメス親に渡していた。彼らの獲物の食べ方は、骨や翅の部分を食べないで肉の部分のみ食べる。そのため、他のフクロウたちが口から出す白いペリット状の塊をスズメフクロウはほとんど吐き出さないので、「ペリット」は非常に小さく巣の近くでもあまり見られない。

       

       

      トカゲを巣に運ぶ雌親

      雄親から受け取ったトカゲを巣へ運ぶメス親

       

       

      2匹目のネズミを捕えた雄親

      2匹目のネズミを捕った雄親

       

      先ほどネズミを捕ってから30分後、又しても大きなネズミを捕らえて巣の近くの枝に飛んで来た。こうして短時間の内に、雛が食べ応えある大きい獲物を次から次に捕って来ることは稀である。今日はきっと雛も満腹になってよく眠れるだろう…と思い、少しホッとした気持ちになった。

       

       

      欠伸をする雌親

      早朝からのエサ運びも一段落した昼頃、好みの枝に止まって片足上げて大きな欠伸をするメス親

       

       

      目を閉じて眠る雌親

      ついには目を閉じて眠ってしまったメス親、初夏の日差しが心地よさそうである。

       

       

      枝に止まって雛に声を掛ける雌親

      午後に入ると,メス親のエサ運びもしばし休憩。巣が良く見える近くの枝に止まって雛を見守り、時々雛に声を掛けてる。


      珍しいスズメフクロウの子育て マデラ渓谷 2019年夏 (その1)

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        スズメフクロウ雌正面

        日本のキジバトの大きさしかない小型のロッキースズメフクロウ

         

        和名:ロッキースズメフクロウ 英名: Northern Pygmy - Owl  学名:Glaucidium californicum

        スズメフクロウは北米には4種類の亜種がいる。その内アリゾナで見られるのは写真の別名 " Californian Pygmy-owl " と呼ばれる " californicum " と、別名 " Rocky Mountain Pygmy-owl " と呼ばれる " ponicola " の2種類である。ほとんどのフクロウ類は夜行性であるが、スズメフクロウは昼間も活発に獲物を捕る。特に繁殖期は日中の活動が多くなる。フクロウ類の多くは左右の耳の位置が上下にづれているため非常に優れた耳を持っているが、スズメフクロウの耳は左右が同じ位置のため聴力はあまり良くない。その代わり素晴らしい視力を持っているので、日中の活動には適してるのだろう。

         

         

        スズメフクロウ右向き

        昼間でも活発に獲物探しをするロッキースズメフクロウ

         

        スズメフクロウは南アラスカからカナダのバンクーバーがある British Columbia, カリフォルニア、アリゾナ、北メキシコにかけて西側の幅広い地域に生息しているが、山の渓谷深い森の林縁を好み、葉の茂った大きな木の中で人目に付かないよう静かに枝に止まっていることが多いので、見るのがなかなか難しい。フクロウ類は多くが夜ないし明け方に鳴くことが多いが、スズメフクロウは日中でも特に早い朝はよく鳴く。口笛のような高い音色のよく透る声で「フーフー」と単純な調子で鳴く。

         

         

        風景スズメフクロウと巣の木

        ロッキースズメフクロウの巣穴(黄色の丸印)と雛を見張ってる雌親(赤い丸印

         

        6月、鳥ヤ仲間の友人から稀にしか見れないスズメフクロウの巣と雌親がエサ運びをしてるのを見たという情報を受け、さっそくマデラ渓谷 ( Madera Canyon ) へ探鳥に出かける。ここは我が家から車で1時間南へ下った「マイフィールド」の一つで、年間よく通うスポットなので巣の場所を見つけるのには苦労しなかった。巣穴は細い渓流沿いに生えてる大きなスズカケノキ ( Arizona Sycamore ) のキツツキが開けた穴を利用していた。縦に穴が二か所あって中でつながっているが、雌親の出入りは下の穴だけであった。巣は地上から6メートルぐらいの高さで、雛が穴の入口近くまで出て来る様子や雌親がエサを持って巣へ出入りする姿は双眼鏡で十分見られる距離であった。

         

         

        スズメフクロウ巣穴入口雌親

        小さな獲物をくわえて巣穴に入ろうとしてる雌親

         

        スズメフクロウが捕らえる獲物は小さい動物から小鳥、トカゲ、ヘビ、大きい昆虫などで、特にネズミや小鳥類、大きな虫を好む。小さなフクロウでありながら非常に大胆で、自分の体の3倍近い大きな獲物(例えば鶏など)を捕食することもある。腹が膨れてくると捕獲した獲物の残りを枝に刺したり、木の洞に貯蔵しておく、所謂モズ類がよくやる「ハヤ二エ」と同じようなことをする面白い習性を持っている。

         

         

        スズメフクロウ雌親雛にエサ与え

        巣穴の中の雛にエサを与える雌親

         

        巣穴が深いので雛がエサを貰う姿は見えなかったのと、穴の中に何羽の雛が居るのかも判らなかった。「シリ、シリ、シリ・・・」という雛独特のよく響く声が複数穴の中から聞こえて来るので、2羽以上は居るのだろうと推測していた。

         

         

        スズメフクロウ雛眠ってる

        巣穴入口近くまで出てきて暖かい日に当たって心地よさそうに眠る雛。この時初めて雛の姿を見る。

         

        スズメフクロウを観察し始めて5日目、最初に生まれたと思われる大きくなった雛が巣穴の入口近くまで上がって来て眠ってる姿を初めて見ることが出来た。大きさから巣立ちはそんなに遠くないだろうと思った。

         

         

        スズメフクロウ雛巣の中で2羽重なってる

        2羽の雛が重なって巣穴からこちらを見ている。

         

        狭い巣穴の中で大きくなった雛が窮屈そうに動き回ってるのが想像出来たが、ついに巣穴の入口近くまで2羽が出てきて、仲良く重なり合うようにして大きな目でこちらを見ていた。

         

         

        スズメフクロウ雛巣穴から顔出す

        巣穴から思いっきり顔を出して外の景色を見る最初に生まれたと思われる雛。

         

         

        スズメフクロウ雛巣穴入口の虫を見る

        巣穴の入口下に止まる蜂を見つめる雛。旨そうだなーと見てるのか?、本能的に何だろう…と見てるのか?蜂が飛んで行くまで5分間ぐらい寄り目になるほどじーと見つめていた。

         

         

        スズメフクロウ雛首を回して上を見る

        首をぐるっと大きくまわして青い空を眺める雛。フクロウならではの仕草である。

         

         

        スズメフクロウの巣穴を覗くドングリキツツキ

        巣穴の元の持ち主と思われるドングリキツツキ ( Acorn Woodpecker / Melanerpes formicivorus )

         

        スズメフクロウは主にキツツキの古巣を利用する。今回観察してる巣は、ドングリキツツキが作り上げた巣をスズメフクロウが横取りして、底に敷いてある鳥の羽根のクッションを全部外へ出してしまい、自分で新たに集めたクッションを敷いて巣をリニューアルしたようだ。巣穴を観察中に2回ほど巣の元の持ち主と思われるドングリキツツキの雄が飛んで来て、巣穴の中や周りを盛んにチェックしていた。丁度スズメフクロウはエサ捕りに出かけて留守中、巣の中の雛はきっと底で小さくなってうずくまって静かにしているのだろう。争いもなくドングリキツツキは静かに飛び去って行った。


        ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(下)

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          ルーシーアメリカムシクイ逆さま姿
          逆さまになって葉の裏にいる虫を探すルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler )

          ソノラ砂漠の「春告鳥」であるルーシーアメリカムシクイは冬をメキシコや中米で過ごし、春になると南アリゾナに戻って来る渡り鳥である。野花が一面に広がり、木々の緑も深みを増して、明るい陽射しとそよ風に誘われるようにルーシーアメリカムシクイの春を告げる囀りがあちらこちらから聞こえてくると、まさに春の訪れを実感する。
           
          ルーシーアメリカムシクイジャンプ
          ジャンプして虫を捕えるルーシーアメリカムシクイ ( Vermivora luciae )

          ルーシーアメリカムシクイは体長11センチ(メジロより小さい)と大変小さい。身軽のせいか、常に飛び上がったり枝先をくるくる回ったり、ちょこまか枝移りしたり落ち着きなくじっとしてくれない鳥で、南アリゾナの砂漠で営巣する唯一のアメリカムシクイである。英名ルーシー ( Lucy ) はスミソニアン協会長官の娘さんの名前からとったもの。囀りは「チェチェチェ・・・」とせわしなく聞こえ、ソングスポットを持たないで枝移りしながら忙しく鳴く。
           
          Cream Cups
          ポピーの仲間 Cream Cups ( Platystemoa californicus )

          「立春」を過ぎると空気が緩み冬とは違う気配があり、気分が晴れて明るくなる。そしてソノラ砂漠の長閑な明るい春の昼は、ハイキングをしていても心がウキウキしてくる。
           
          Baby Aster
          Baby Aster ( Leucelene ericoides )

          枯草の下から草の芽が生え出る「下萌」を南アリゾナソノラ砂漠でも、見ることは出来る。まだ寒気が残っていても大地はもう春の準備に動き出している。
           
          Trailing Four Oclock
          Trailing Four O/clock ( Allionia incernata )

          春の野花の中でも数少ない珍しい種類である。春を知らせる陽射しの中であでやかに咲く野花、肌に触れる空気が柔らかくなっていて、春の近づくのを感じさせられる。
           
          Fairy Duster
          ハミングバードが大好きな Fairy Dustar ( Calliandra eriophylla )

          日本で春彼岸の頃に吹く西風、これは冬の名残の寒い風であるが、ソノラ砂漠に春に吹く西風は、南カリフォルニアの太平洋から吹く風で、柔らかな春の風である。
           
          Ocotillo
          「砂漠のローソク」と呼ばれる Ocotillo (オコティーオ / Fouquieria splendens )

          9メートルから10メートルの高さの細い茎に小さい緑の葉をつけ、突端に赤い色の花が咲くので別の英名で " Candle wood " とも呼ばれる。茎は棘に覆われているがサボテンではなく、メキシコ Bajacalifornia " の木 " Boojum " の仲間である。花蜜がよく出るので春の渡りのハミングバードの貴重なエサとなる。
           
          Pincushion Cactus
          サボテンの中で春一番に咲く Pincushion Cactus ( Mammillaria microcarpa )

          長いカギ型の棘が特徴で、魚を釣る釣針に似てるので別名 " Fishhook Cactas " と呼ばれている。このサボテンが咲き始めると春の野花も終わりに近づき、代わって色々なサボテンの花が咲き始めてソノラ砂漠は初夏に入って来る。
           
          Desert Mariposa
          紙の造花のような Desert Mariposa ( Calochortus kennedyi )

          ユリ科の仲間で、葉がほとんどない細くて長い茎の先に派手な色の花が咲くので遠くからでも非常に目立つ。英名 " Mariposa " (マリポサ)はスペイン語で「蝶」の意味で、チューリップの花の形に似てるので「マリポサチューリップ」ともよばれている。
           
          新緑のカタリナ公園
          新緑に包まれたソノラ砂漠、巨大サボテン「サワーロ」 ( Saguaro ) の林がひときわ目立つ

          カリフォルニアから飛行機で南アリゾナのツーソン空港に入って来る時、上空から見る地上は茶色一色の広大な荒野に見え、まさに殺伐とした砂漠を想像するが、ツーソン空港に降り立って車で走り出すと、大きな木や低灌木がたくさんあって緑と美しい自然が豊かで砂漠とは思えない光景にほとんどの人がびっくりする。

          ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(上)

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            Catalina State Park
            下草が枯れ茶色の土肌が見える、春直前(2月)のソノラ砂漠

            今年のイースター(キリスト教の復活祭)は4月一日。ヨーロッパの暦では4連休。日本のゴールデンウイークのようなもので、特に北ヨーロッパの人々は厳しい長い冬から解放されて、南ヨーロッパの暖かい春の陽気を求めて民族の大移動をする。しかし、北米は連休ではないので人々の大移動はないが、春の挨拶として顔が合えば「ハッピーイースター」と言い合い、待ちに待った春の喜びを分かち合う。
             
            Mexican Gold Popy & Bee
            春一番に咲くポピーの仲間 Mexican Gold Popy と蜜を集める蜜蜂そして、背後はソノラ砂漠の象徴サワーロサボテン (Saguaro) の斜面林

            多くの日本の人々にとって「砂漠」というイメージは砂と砂丘だけの広大な平地であるが、南アリゾナのソノラ砂漠は緑が豊富で春には色々な野花が咲き美し変化に富んでいて、アフリカや中国の「砂漠」とは大きく異なる。
             
            Texas Toadflax
            冬枯れの灌木の根元から春の野花 Texas Toadflax ( Nuttallanthus texanus ) が顔を出す。

            メキシコと国境を接する砂漠の南アリゾナでも少々あいまいであるが四季がある。12月から2月初旬にかけては肌寒く、日中15度以下で朝晩は時には零下になることもあり、2日ないし3日ぐらいは雪が降ることも珍しくない。しかし、2月末ごろから日中は徐々に暖かくなり20度を超して木の新しい芽が出始め野の花が一斉に咲き始める。そんな砂漠の春の美しい野花をたっぷりと紹介しましょう。
             
            Desert Honeysuckle
            スイカズラの仲間 Desert Honeysuckle ( Anisacanthus thurberi )

            春の早い時期は、花蜜を出す野花が少ないのでハミングバードがエサ探しに苦労する。3月初めに早くも花が咲くハニーサックル (Honeysuckle) はハミングバードにとって大変貴重な花である。そのため、花蜜の取り合いが起こり、ハミングバードの間で空中での激しい戦いがちょくちょく見られる。
             
            Tiny Checker Spot
            春一番に舞う小さな蝶 Tiny Checker Spot ( Dymasia dymas )

            野花が咲き出すと蝶も舞い始める。ウイングスパンがたったの22ミリの大変小さな蝶で、陽気が春らしくなるとたくさん出てくる。グラウンドに近い低い所を飛ぶことが多く、時々地面に下りてゆっくり翅を開いてくれる。色とりどりの春の野花が開いて蝶が舞うと、のんびりした春の「アリゾナ時間」を楽しむことが出来る。
             
            Mexican Gold Popy & Trail
            トレールの両側に群生する Mexican Gold Popy ( Eschscholtzia mexicana )

            秋から冬にかけてのソノラ砂漠のトレールは、巨大サボテン・サワーロ (Saguaro) 以外はほぼ茶色一色の世界で、緑のないごつごつした岩肌と、下草も枯れてほとんど土肌が見える殺風景な自然歩道で歩いていてもあまり楽しくない。しかし、春の温かい風が吹き始めると、今まで茶色の土しか見えなかった足元がパッと明るくなって足取りも軽くなってくる。
             
            Mat of Mexcan Gold Popy
            黄色のマットを敷いたような美しい Mexican Gold Popy と California Popy

            日本の春は梅の花が散ると桜が咲きじわじわとゆっくりやって来るが、ソノラ砂漠の春は突然やって来る。3月に入ると、灌木の枯れ枝は瞬く間に新緑の葉に包まれ、歩く足元には野花が一斉に咲く。しかし、春はさーと短く終わってしまう。4月の終わり頃には日中の気温が30度を超すドライな初夏となる。そして、人々は短パン(ショートパンツ)とTシャツに衣替え、9月いっぱいまでの半年近くは買い物、レストラン、カフェーなど、どこへ行くのにもこの格好で闊歩する。
             
            Purple Mat
            Purple Mat ( Nama demissum )

            ソノラ砂漠は、冬の間に降る雨の量によって野草の花の咲き具合が変化する。今年の冬は、例年より雨の量が少なくドライウインターだったので野花の咲き具合もあまり良くない。写真の Purple Mat は、雨の量が多いとグラウンドは紫色のマットを敷いたようにたくさんの花が咲いて見事な光景となる。
             
            Miniature Wool Star
            Miniature Wool Star ( Eriastrum diffusum )

            アリゾナを代表する野草の花の一つで、赤茶の長い茎の先に咲く小さい花で、花が出て来る頂生の房は,毛糸のような柔毛に覆われる。
             
            Blue Dicks
            倒木の横に何げなく咲く Blue Dicks ( Dichelostemma pulchellum )

            「砂漠のヒヤシンス」の愛称で呼ばれる可憐な春の花。ねぎのような球根は,原住民インディアンや開拓移民のスペイン人たちが好んで食していた。

            マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(最終)

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              ムラサキノジコ囀り1
              メキシコ種のムラサキノジコ ( Varied Bunting )

              主たる生息地はメキシコ全域であるが、モンスーン期の8月にメキシコ国境に近い南アリゾナ、南テキサスに営巣のため渡って来る。真夏の雷雨が降り始めると巣作りが始まるので、北米ではモンスーン期のごく短い間しか見ることが出来ない。
               
              ムラサキノジコ囀り2
              ムラサキノジコ ( Passerina versicolor )

              英名の " Varied Bunting " はいろいろな色の混じった変化に富んでる美しいノジコという意味からきている。繁殖期の美しい雄も秋の換羽期となると雌と同じ全体的に冴えない茶色になるが、尾の根元のランプの美しいブルーが残る。
               
              風景 Montosa Canyon
              モンスーンの8月には、ほぼ確実にムラサキノジコが見られる営巣地のモントサ渓谷 ( Montosa Canyon )

              ムラサキノジコは水が流れる山麓の低灌木地帯を好み、毎夏、繁殖期になるとメキシコから渡って来る。秋になるとほとんどがメキシコへ帰ってしまうので、観察できる期間はモンスーン期の8月だけで大変短い。
               
              ムラサキノジコ全身1
              全身に陽の光が当たると、美しい複雑な色に輝く繁殖期のムラサキノジコの雄

              この鳥は遠距離から見たり、暗い場所や曇りの日などに見ると、全体が黒く見えるだけの地味な鳥である。一方、昼間の明るい太陽のもとで見ると、ハッとするほど大変美しい色に耀き人目を引きつける。同じ鳥とは思えないほど色鮮やかなのに驚かされる。
               
              ムラサキノジコ後姿
              頭の赤と尾の根元のブルーが一際目に付くムラサキノジコの後ろ姿

              主たる食べ物は草や木の種であり、密に茂った低い木の根元のグラウンド近くでエサ取りをするため見つけるのに苦労する。しかし、雌が巣に座り始めると、巣の近くの目立つ高い枝のソングスポットでテリトリーソングを歌うので、早朝の雄が活発に鳴く短い時間がよく観察出来るチャンスである。
               
              ムラサキノジコ全身2
              赤い色、青紫色、濃い紫色、そして黒い色と繁殖期の雄は複雑な美しさである。

              ムラサキノジコはフィールドで簡単に見れる鳥ではなく、ましてや写真に撮るのは非常に難しい。町の公園や人間が住んでる場所の近くにはほとんど現れない。夏の激しい雷雨が降るモンスーン期の短い間だけしかゆっくり観察出来るチャンスがないので、一般のバーダーにはなじみが薄い。

              マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(8)

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                ズグロブユムシクイ1左向

                北米では南アリゾナの限られた数か所でしか見られないメキシコ種ズグロブユムシクイ ( Black-capped Gnatcatcher )

                ブユムシクイ、英名 " Gnatcatcher " (ナットキャッチャー)、学名 " Polioptila " は新世界(アメリカ大陸)のみに生息する鳥で、ヨーロッパやアジアでは見られない。北米には4種類生息していて、南アリゾナではこのうち全米広い地域で見られる最もポピュラーなブユムシクイ ( Blue-gray Gnatcatcher / Polioptila caerulea ) , そして、主に西側の砂漠(南アリゾナはこの種が多い)で見られるオグロブユムシクイ ( Black-tailed Gnatcatcher / polioptila melenura ) それと写真の珍しいメキシコ種ズグロブユムシクイの3種類を見ることが出来る。3種類とも大変良く似てるので、フィールドでの識別が難しい。
                 

                ズグロブユムシクイ2正面
                頭の黒い部分が目の下まで被さってるのが特徴のズグロブユムシクイ ( Polioptila nigriceps )


                ズグロブユムシクイの主たる営巣地は北メキシコの西側の水が豊かに流れる森林で、しかも渡りをしない留鳥である。しかし、近年メキシコ国境に近い南アリゾナまで北上しながら生息地域を広げてきている。まさに鳥には国境がないので、いとも簡単に新天地を求めて越境して米国に入って来ることが出来る。
                 

                風景 Montosa Canyon
                南アリゾナでの営巣地の一つ Montosa Canyon


                ズグロブユムシクイの北米での初確認は1971年(アリゾナ)で、2002年にペアーで営巣しているのがやはりアリゾナで
                確認さるまで、ごく稀にしか見られない大変な珍鳥であった。現在でも、写真の Montosa Canyon, 北隣の Madera Canyon, Patagonia Lake の3ヶ所のみで毎年営巣しているのが確認される程度で、相変わらずごく限られたスポットでしか見られない希少種である。ABC ( Arizona Bird Commitee ) でも、このズグロブユムシクイの情報が不足してるため、ネットで観察記録の提供を求めている。
                 

                ズグロブユムシクイ3囀り

                モンスーンの真夏(8月)の早朝にはズグロブユムシクイのテリトリーソングがよく聞けるので識別が楽で助かる。

                南アリゾナでは、砂漠でごく普通に見られるオグロブユムシクイとこのズグロブユムシクイは営巣地が重なるので初心者にとっては識別が厄介であるが、中級以上のバーダーにとってはこの希少種を見つけるのが腕の見せ所で、バーディングが一段と面白くなるので非常に人気の高い鳥でもある。そのため、真夏の珍鳥情報 " ebird " には毎日のようにズグロブユムシクイを見つけた報告が載せられてる。
                 

                ズグロブユムシクイ4羽繕い

                モンスーン期はしばしば激しい雷雨に見舞われるので鳥たちはよく羽繕いをしている。


                ズグロブユムシクイは川が流れる水辺の密に茂った低灌木に営巣しているので巣に座ってる姿はなかなか見れないが、雨がやんで陽が差すとゆっくり羽繕いしてる姿に出会える。人をあまり恐れないのと、好奇心が強いので唇で「ピシピシ・・・」という音(アメリカのバーダーが鳥寄せによくやる)を出すと、灌木の中から目の高さのよく見える枝先に出て来ることが多い。
                 

                ズグロブユムシクイ5警戒

                他の鳥がテリトリーに入って来ると、凄い警戒音を出しながら枝移りして威嚇する。


                体が小さく尾が長いのでフィールドで見ていると日本のエナガに似ているが、体は丸くなく体長11センチとエナガよりずーと小さい。餌取は非常にアクティブで、密生した灌木の中で虫を探す、また、時にはホバリングしながら虫を嘴で掴むこともある。
                 

                ズグロブユムシクイ6後姿

                特徴の黒い頭が朝日に当たってよく目立つズグロブユムシクイの後ろ姿。


                他のブユムシクイ、特によく似ているオグロブユムシクイとの違いは、ズグロブユムシクイは嘴が細く長い、しかも先端がだんだん細くなっていく。一番の特徴と言われる尾の裏側の模様と尾の外側の白色は、夏の羽毛が抜け替わる Molt シーズンには残念ながら全体的に色が変わるので識別はさらに難しくなる。矢張り事前に囀りや地鳴きを耳に叩きこんで覚え、フィールドでは声をよく聞き識別するのがベストで確実性が高い。日中40度近くまで気温が上がる真夏の南アリゾナのバーディングは早朝(日の出)の3時間から4時間が勝負、事前の予習と突然一転にわかに掻き曇りの雷雨にも負けないチャレンジ精神が必要かもしれない。


                マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(7)

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                  チャバネスズメモドキ囀る後姿
                  アリゾナの「スペシャルバード」と呼ばれるチャバネスズメモドキ ( Botteri's Sparrow )

                  チャバネスズメモドキは、北米では南アリゾナのメキシコ国境に近い非常に限られた地域のごく一部のスポットでしか見られない希少な渡り鳥である。アリゾナに来る多くのバーダーがどうしても見たい・・・と思う鳥種は、ウツクシキヌバネドリ ( Elegant Trogon ) やハミングバードのような派手な鳥であるが、色が地味でしかも見つけにくいチャバネスズメモドキは、一般のバーダー(特に初心者)にとっては馴染みの薄い鳥となっている。
                   
                  チャバネスズメモドキ左向
                  日中はほとんどグラウンドで過ごすチャバネスズメモドキ ( Aimophila botterii )

                  この大きなスズメモドキは主なる営巣地が中央メキシコで短い距離の渡りをするメキシコ種である。背丈の高い草に覆われた草原を好み、主にグラウンドでエサ取りをし、危険が迫っても飛び出さず地上を走って逃げるぐらいの隠密行動が得意な鳥である。学名 " Aimophila " の「スズメモドキ」の類はどれも同じような習性なので非常に見つけにくいのと,識別に苦労するため初心者のバーダーには馴染みが薄く、中級以上のバーダーが好んで探し求める鳥種である。
                   
                  風景Box Canyon への道
                  英名 " Sparrow " 学名 " Aimophila " のスズメモドキ類が多種見られる Santa Rita 連山の麓の山岳道路 Greaterville Road


                  時には前の車が見えなくなる土煙の中、車の窓を開けてスズメモドキの声を聞きながらゆっくり車を走らせ、鳴き声が聞こえてくると車を停めて識別をして行く。中級以上のバーダーが好んで競い合うバーディングに " Sparrow Challenge " というのがある。南アリゾナで見られるスズメモドキの4種、チャバネスズメモドキ、サメスズメモドキ ( Cassin's Sparrow / Aimophila cassinii ), フタスジスズメモドキ ( Rufous-winged Sparrow / Aimophila carpalis ), ズアカスズメモドキ ( Rufous-crowned Sparrow / Aimophila ruficeps ) の識別をフィールドで競い合う楽しい探鳥方法で、囀りを聞く以外の形や色で識別するのは、やはりある程度の技術がいるので腕の見せ所である。
                   
                  風景草原
                  チャバネスズメモドキが好む背丈の高い草が一面覆っていて、マメ科の低木メスケ ( Mesquit ) とオカティヨ ( Ocotillo ) が点在する広大な草地

                  チャバネスズメモドキは南アリゾナの砂漠に多いイネ科のヒゲシバ類が密生している牧草地を好むようなので、。近年、夏に渡って来る個体数が少しづつであるが増えている。写真の牧草地はチャバネスズメモドキのリサーチフィールドで、1960年に立てられた古いほとんど字が読めない看板が立っていた。風の音しか聞こえてこない草原に立っていると、チャバネスズメモドキとサメスズメモドキの囀る声が交互に混じって聞こえてくる。
                   
                  チャバネスズメモドキ正面顔
                  全身茶色でしかも特徴のない顔をしているが、太くて白い眉毛はよく目立つ

                  チャバネスズメモドキは6月に南アリゾナに現れ、9月にはメキシコへ去ってしまう。営巣は真夏のモンスーン期(8月)で、激しい雷雨が降り始めないと卵を産まない。観察が難しい鳥なので、営巣状況の詳しいことは今だに判っていない。
                   
                  チャバネスズメモドキ囀り
                  夏のモンスーン期の短い間だけ Ocotillo の高い枝先のソングスポットで囀る

                  チャバネスズメモドキがしっかり見れるのは、モンスーンに入り雌が巣に座り始めると雄がソングスポットでテリトリーソングを歌うので、チャンスはその時だけである。車の中で夜明けを待ち、朝日が上がって来て鳥たちが鳴き始めると、車の窓を開けて鳴き声に耳を立てチャバネスズメモドキの居場所を探す。ソングスポットが見つかれば写真を撮るのもそれほど難しくないが、雄がテリトリーソングを歌うのがモンスーン期の短い期間で、しかも日中は40度を超す暑さと、時々激しい雷雨に見舞われることもあるので少々撮影は難儀である。
                   
                  花、アリゾナポピー
                  撮影をしている足元に咲いていたハナビシソウの仲間アリゾナポピー ( Arizona Poppy / Kallstroemia grandiflora )

                  チャバネスズメモドキが盛んに囀る頃に咲く砂漠の真夏の花で、ポピーに似ているところからアリゾナポピーの愛称で親しまれている。 " Caltrop " の仲間で、正式英名は " Arizona Caltrop " 。また、春先に山の麓のスロープ一面に花畑となって咲く "Mexican Gold Poppy / Eschscholtzia mexicana ) とよく似ているが、こちらはポピーの仲間である。どちらも主に南アリゾナで見られる人気のある野花である。

                  マイフィールドに珍鳥及び希少種 2017年夏 その(6)

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                    シロスジヒメドリ枝に止まる
                    アリゾナでは過去2回しか記録されてないシロスジヒメドリ ( Le Conte's Sparrow )

                    9月下旬、インターネット上の Rare Bird (珍鳥)情報 " ebird " にアリゾナでは3回目の記録(これまで2004年と2005年の2回のみ)としてシロスジヒメドリのニュースが流れた。この鳥は珍種ではなく、北カナダで営巣し冬にはガルフ湾沿いのテキサス、ルイジアナの湿地帯の一部で過ごす渡り鳥である。短距離であるが渡りをするコモン ( common ) なヒメドリであるが、不思議なことに多くのバーダーにとって非常になじみが薄く、しかも近くでしっかりと観察できたバーダーが少ない。そのため多くのバーダーにとってぜひ見たい鳥の一種となっている。
                     
                    シロスジヒメドリ芝生の上
                    エサ取りのため芝生に下りてきたシロスジヒメドリ ( Ammodramus leconteii )

                    何故シロスジヒメドリがバーダーたちに馴染みが薄いのか?・・・その理由はまず、営巣場所がカナダのあまり人が行けない草が密に茂った湿地や沼地なので、巣を見つけるのが大変難しい。又、秋の渡りで南へ下る時も、丈の高い草に覆われてしっとりとした草原や浅瀬の沼地の淵の草を好み、しかも主にグラウンドを歩きながらエサ取りをする。そして、草が密生した地面をこそこそと隠れるように忍び歩き、驚くと鼠のようにチョコチョコ走るだけで飛ぶことは極めて珍しい。他のヒメドリのようにびっくりして草からパッと飛び出してくることはほとんどなく、飛び出しても、ほんの1メートルから3メートルぐらいの距離を飛ぶだけで、すぐ草の下に下りて見えなくなってしまう。このように見れるチャンスが非常に少ないので、この鳥に関する情報や知識も少なく、主に何を常食としているのか、又どんな営巣状況なのかに関しても記録報告が少ないので、いまだにあまり判ってない部分が多い鳥でもある。
                     
                    風景ゴルフ場
                    2日間シロスジヒメドリが現れ大騒ぎとなった名門ゴルフ場リッツカールトンゴルフコースの5番フェアーウエイ。赤円がエサ取りをしていたスポット。

                    今回シロスジヒメドリが現れた場所は、オープンな誰にでも行き易いゴルフコースのフェアウエーだったので、バーダーたちにとって、この見つけるのが困難なヒメドリをじっくり観察出来るまたとないチャンスとなって大騒ぎになった。これほど人目に付かないこそこそしている鳥がこんなオープンな場所にどうして現れたのか?・・・たぶん渡りの途中で十分にエサ取りが出来なかったのと、毎日早朝と夕方のゴルファーがプレーをしていない時間帯にフェアウエーのスプリンクラーから水が散布され、この鳥が好きな草の種が水分を含んで柔らかくなったのを彼は偶然にも見つけたのだろう・・・と多くのバーダーが推測していた。
                     
                    シロスジヒメドリとヒメウタスズメ
                    シロスジヒメドリ(左)と付かず離れず一緒にエサ取りをしているヒメウタスズメ(右)

                    9月27日夕方4時頃報告に出ていたゴルフコースの5番に行き、すでにフェアウエーの周りでシロスジヒメドリを探している10人ほどのバーダーのグループに合流し、プレーヤーがいなくなったフェアウエーとラフを1時間ほど歩いて一緒に探す。ラフ横の低灌木からまずヒメウタスズメが芝生に下りてエサ取りを始めだしたので、数分間しゃがんで静かに待っているとお目当てのシロスジヒメドリが同じ灌木の中から出てきた。めったに見れないこの鳥が目の前に現れた姿を見た時の息を吞む驚きは今でも忘れられない。
                     
                    ヒメウタスズメ餌取
                    ヒメウタスズメ ( Lincoln Sparrow / Melospiza lincolnii )

                    ヒメウタスズメは営巣場所がシロスジヒメドリと同じような草が茂った湿地や沼地であるが、アラスカからカナダ全域にかけての幅広い地域で見られるポピュラーな鳥である。秋に南下して越冬する場所も太平洋側のカリフォルニアから大西洋側のフロリダまで暖かい北米南部の幅広い地域であり、しかもシロスジヒメドリのような隠密行動を取らず人目につきやすい所に出て来るので、比較的普通に見られる鳥である。
                     
                    シロスジヒメドリ芝生に嘴入れる
                    芝生の根元に嘴を深く入れ夢中でエサ取りするシロスジヒメドリ

                    エサ取りに忙しいシロスジヒメドリを10メートルほど離れたところで、半円状に囲むようにフェアーウエー上にバーダーたちが並んで観察しているが、エサ取りに夢中になっているらしく我々のことなど一向に気にすることなくどんどん我々の方に近づいて来て、ついに2メートルぐらいまで寄って来られたのには皆口を開けてポカーンとするほど驚いた。臆病で人目に付きにくいシロスジヒメドリをたっぷり観察出来た珍しいチャンスに遭遇した喜びに大いに沸き、帰り際に皆で握手をし笑顔でこの幸運を祝いあった。
                     
                    シロスジヒメドリ種食べる
                    美味しそうに草の種を食べるシロスジヒメドリ。丁度夕陽が顔に当たってさらに美しく見えた。

                    シロスジヒメドリはヒメドリの中でも最も小さい種で、日本のコガラ ( Parus montanus ) と同じ大きさである。和名(シロスジ)にあるように頭のてっぺんの白いすじが目立つ。そしてオレンジ色に近い黄色の額、襟首の茶色のすじ、太くて赤茶の眉、背中の淡黄褐色の線などが特徴で、小さくて人目に付かないが美しいヒメドリである。短くて高い声で虫のようにブジーという地鳴きを時々繰り返していた。ラッキーなことに、このゴルフコースの同じ場所で2日間エサ取りする姿が見られたが、3日目以降には "ebird " 上に「見た!」という報告が出なくなったのでさらに西へ移動して行ったのだろう。

                    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(5)

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                      Five Atriped Sparrow 1
                      メキシコ種のムナフスズメモドキ ( Five Striped Sparrow )

                      主たる生息地は西メキシコで、近年ごく少数が南アリゾナの小さな限られた地域で営巣している。1950年代までは米国では見られなかった鳥種で、1957年南アリゾナの Santa Rita Mountains で初めて1羽発見されたのが米国での初確認である。
                       
                      Five Striped Sparrow 2
                      顔と喉の白い5本線が特徴のムナフスズメモドキ ( Aimophila quinquestriata )

                      英名の " Five Striped " は眉毛とひげ、喉にくっくり目立つ白い5本の線があることからつけられた。なお、和名の「ムナフ」の由来は胸の黒い斑点であろう。南アリゾナのメキシコとの国境沿いにある、限られた Canyon (渓谷)に5月に渡って来て9月にはメキシコへ戻っていく。
                       
                      Five Striped Sparrow 3
                      バーダーたちの目につく所にはなかなか現れてくれないムナフスズメモドキ

                      1969年南アリゾナでの営巣が初確認されて以来、1991年までほとんどのバーダーが行けない Chino Canyon でごく少数が毎年見られたが、托卵鳥(他の鳥の巣に卵を産み、自分ではヒナを育てない。日本ではカッコウ類が該当種)のコウウチョウ ( Cowbird / Molothrus ) の犠牲になったのと、熱心すぎるバーダーによるしつっこいテープ音に嫌がってすっかり姿を消してしまった。しかし、2000年に入ってごく少数(1羽から2羽)が南アリゾナに戻って来て限られたスポットで見られるようになってきた。
                       
                      Five Striped Sparrow 4
                      Ocotillo の棘だらけの茎をソングスポットとして好むムナフスズメモドキ

                      ムナフスズメモドキは米国では南アリゾナのごく限られた狭い地域でしか見られない、そして数が大変少ない夏鳥の珍種である。しかもその営巣地(見れるスポット)はメキシコ国境沿いのアクセスが難しい Canyon の奥深い岩だらけの所で、しかもいばらの生い茂った Hackberry や Mexquite の藪の中で目立たないように静かに虫を探していることが多いので見つけるのが大変難しい鳥でもある。囀りは特徴ある金属的な声であるが、色々バラエテイーに富んでいて、200以上の異なったバージョーンで歌うこともあるので鳴き声による識別も注意が必要である。
                       
                      Five Striped Sparrow 5
                      後姿や飛んでる姿はただシンプルな赤茶に見えるムナフスズメモドキ

                      この鳥は大変臆病で、フレンドリーに近くの枝に来て全身を見せることは非常に少ない。枝先近くに出てきてもほんの数秒いるだけで、直ぐに葉の茂る灌木の中へ入ってしまう。再度見える枝に出てくるのをじっと待つぐらいの辛抱が必要なので、見るのが難しくましてや写真を撮るのは大変忍耐のいる鳥でもある。
                       
                      風景ムナフスズメモドキ営巣場所
                      ムナフスズメモドキが好んで営巣する渓谷の急こう配の崖といばらの生い茂った藪

                      ムナフスズメモドキはなかなか見るのが難しく、多くのバーダーたちが一度は見たいと思う憧れの鳥であるが、何と8月中旬に我が家から1時間で行ける近場で、しかも簡単に車で行ける Montosa Canyon と Box Canyon の2か所に出現のニュースがネットに流れ大騒ぎとなる。何しろ今までこの鳥を見るためには地元のガイドを雇ってアクセスが非常に困難なメキシコ国境沿いの California Gulch でしか見られなかった珍鳥が、有名な探鳥スポットがいくつもある Santa Rita Mountains で見つかったこともあって、米国の色々な州からバーダーが殺到して連日大賑わいであった。
                       
                      風景車道のガラガラヘビ
                      ムナフスズメモドキの早朝撮影を終えての帰り道、車の前をゆっくりと猛毒のヒシモンガラガラヘビ ( Western Diamond-back Rattlesnake / Crotalus atrox ) が 横ぎって行く。

                      ムナフスズメモドキが最も人目を引いて目につくのは激しい雷雨が降るモンスーン期の夏の短い間だけで、谷底の灌木の茂るぐちゃぐちゃした所で営巣し始めて雌が座りだすと、雄はテリトリーソングを歌い始める。雄は早朝と夕方、谷底から灌木の枝伝いに鳴きながら移動し、見晴らしの良い崖の上に上がって来る。大きな Ocotillo の茎に止まって囀るのが特に好きなようで、数日通ってソングスポットをやっと見つけることが出来た。谷の上の山岳道路で朝日が山から出始めると、やがて雄が下から上がって来る。囀りながら近づいてくる雄を山岳道路で待つのだが、狭い道路なので車と人で溢れることもあり、こんな時は彼はけっして上まで上がって来ず、双眼鏡で見なくてはならないぐらい距離は遠くなる。早朝5時半ぐらいから11時ぐらいまで5時間から6時間、人の動きを見ながら数日間シャッターチャンスを待った。
                       


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                        藤波
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                        Yuko

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