title





米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(下)

0
    ルーシーアメリカムシクイ逆さま姿
    逆さまになって葉の裏にいる虫を探すルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler )

    ソノラ砂漠の「春告鳥」であるルーシーアメリカムシクイは冬をメキシコや中米で過ごし、春になると南アリゾナに戻って来る渡り鳥である。野花が一面に広がり、木々の緑も深みを増して、明るい陽射しとそよ風に誘われるようにルーシーアメリカムシクイの春を告げる囀りがあちらこちらから聞こえてくると、まさに春の訪れを実感する。
     
    ルーシーアメリカムシクイジャンプ
    ジャンプして虫を捕えるルーシーアメリカムシクイ ( Vermivora luciae )

    ルーシーアメリカムシクイは体長11センチ(メジロより小さい)と大変小さい。身軽のせいか、常に飛び上がったり枝先をくるくる回ったり、ちょこまか枝移りしたり落ち着きなくじっとしてくれない鳥で、南アリゾナの砂漠で営巣する唯一のアメリカムシクイである。英名ルーシー ( Lucy ) はスミソニアン協会長官の娘さんの名前からとったもの。囀りは「チェチェチェ・・・」とせわしなく聞こえ、ソングスポットを持たないで枝移りしながら忙しく鳴く。
     
    Cream Cups
    ポピーの仲間 Cream Cups ( Platystemoa californicus )

    「立春」を過ぎると空気が緩み冬とは違う気配があり、気分が晴れて明るくなる。そしてソノラ砂漠の長閑な明るい春の昼は、ハイキングをしていても心がウキウキしてくる。
     
    Baby Aster
    Baby Aster ( Leucelene ericoides )

    枯草の下から草の芽が生え出る「下萌」を南アリゾナソノラ砂漠でも、見ることは出来る。まだ寒気が残っていても大地はもう春の準備に動き出している。
     
    Trailing Four Oclock
    Trailing Four O/clock ( Allionia incernata )

    春の野花の中でも数少ない珍しい種類である。春を知らせる陽射しの中であでやかに咲く野花、肌に触れる空気が柔らかくなっていて、春の近づくのを感じさせられる。
     
    Fairy Duster
    ハミングバードが大好きな Fairy Dustar ( Calliandra eriophylla )

    日本で春彼岸の頃に吹く西風、これは冬の名残の寒い風であるが、ソノラ砂漠に春に吹く西風は、南カリフォルニアの太平洋から吹く風で、柔らかな春の風である。
     
    Ocotillo
    「砂漠のローソク」と呼ばれる Ocotillo (オコティーオ / Fouquieria splendens )

    9メートルから10メートルの高さの細い茎に小さい緑の葉をつけ、突端に赤い色の花が咲くので別の英名で " Candle wood " とも呼ばれる。茎は棘に覆われているがサボテンではなく、メキシコ Bajacalifornia " の木 " Boojum " の仲間である。花蜜がよく出るので春の渡りのハミングバードの貴重なエサとなる。
     
    Pincushion Cactus
    サボテンの中で春一番に咲く Pincushion Cactus ( Mammillaria microcarpa )

    長いカギ型の棘が特徴で、魚を釣る釣針に似てるので別名 " Fishhook Cactas " と呼ばれている。このサボテンが咲き始めると春の野花も終わりに近づき、代わって色々なサボテンの花が咲き始めてソノラ砂漠は初夏に入って来る。
     
    Desert Mariposa
    紙の造花のような Desert Mariposa ( Calochortus kennedyi )

    ユリ科の仲間で、葉がほとんどない細くて長い茎の先に派手な色の花が咲くので遠くからでも非常に目立つ。英名 " Mariposa " (マリポサ)はスペイン語で「蝶」の意味で、チューリップの花の形に似てるので「マリポサチューリップ」ともよばれている。
     
    新緑のカタリナ公園
    新緑に包まれたソノラ砂漠、巨大サボテン「サワーロ」 ( Saguaro ) の林がひときわ目立つ

    カリフォルニアから飛行機で南アリゾナのツーソン空港に入って来る時、上空から見る地上は茶色一色の広大な荒野に見え、まさに殺伐とした砂漠を想像するが、ツーソン空港に降り立って車で走り出すと、大きな木や低灌木がたくさんあって緑と美しい自然が豊かで砂漠とは思えない光景にほとんどの人がびっくりする。

    ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(上)

    0
      Catalina State Park
      下草が枯れ茶色の土肌が見える、春直前(2月)のソノラ砂漠

      今年のイースター(キリスト教の復活祭)は4月一日。ヨーロッパの暦では4連休。日本のゴールデンウイークのようなもので、特に北ヨーロッパの人々は厳しい長い冬から解放されて、南ヨーロッパの暖かい春の陽気を求めて民族の大移動をする。しかし、北米は連休ではないので人々の大移動はないが、春の挨拶として顔が合えば「ハッピーイースター」と言い合い、待ちに待った春の喜びを分かち合う。
       
      Mexican Gold Popy & Bee
      春一番に咲くポピーの仲間 Mexican Gold Popy と蜜を集める蜜蜂そして、背後はソノラ砂漠の象徴サワーロサボテン (Saguaro) の斜面林

      多くの日本の人々にとって「砂漠」というイメージは砂と砂丘だけの広大な平地であるが、南アリゾナのソノラ砂漠は緑が豊富で春には色々な野花が咲き美し変化に富んでいて、アフリカや中国の「砂漠」とは大きく異なる。
       
      Texas Toadflax
      冬枯れの灌木の根元から春の野花 Texas Toadflax ( Nuttallanthus texanus ) が顔を出す。

      メキシコと国境を接する砂漠の南アリゾナでも少々あいまいであるが四季がある。12月から2月初旬にかけては肌寒く、日中15度以下で朝晩は時には零下になることもあり、2日ないし3日ぐらいは雪が降ることも珍しくない。しかし、2月末ごろから日中は徐々に暖かくなり20度を超して木の新しい芽が出始め野の花が一斉に咲き始める。そんな砂漠の春の美しい野花をたっぷりと紹介しましょう。
       
      Desert Honeysuckle
      スイカズラの仲間 Desert Honeysuckle ( Anisacanthus thurberi )

      春の早い時期は、花蜜を出す野花が少ないのでハミングバードがエサ探しに苦労する。3月初めに早くも花が咲くハニーサックル (Honeysuckle) はハミングバードにとって大変貴重な花である。そのため、花蜜の取り合いが起こり、ハミングバードの間で空中での激しい戦いがちょくちょく見られる。
       
      Tiny Checker Spot
      春一番に舞う小さな蝶 Tiny Checker Spot ( Dymasia dymas )

      野花が咲き出すと蝶も舞い始める。ウイングスパンがたったの22ミリの大変小さな蝶で、陽気が春らしくなるとたくさん出てくる。グラウンドに近い低い所を飛ぶことが多く、時々地面に下りてゆっくり翅を開いてくれる。色とりどりの春の野花が開いて蝶が舞うと、のんびりした春の「アリゾナ時間」を楽しむことが出来る。
       
      Mexican Gold Popy & Trail
      トレールの両側に群生する Mexican Gold Popy ( Eschscholtzia mexicana )

      秋から冬にかけてのソノラ砂漠のトレールは、巨大サボテン・サワーロ (Saguaro) 以外はほぼ茶色一色の世界で、緑のないごつごつした岩肌と、下草も枯れてほとんど土肌が見える殺風景な自然歩道で歩いていてもあまり楽しくない。しかし、春の温かい風が吹き始めると、今まで茶色の土しか見えなかった足元がパッと明るくなって足取りも軽くなってくる。
       
      Mat of Mexcan Gold Popy
      黄色のマットを敷いたような美しい Mexican Gold Popy と California Popy

      日本の春は梅の花が散ると桜が咲きじわじわとゆっくりやって来るが、ソノラ砂漠の春は突然やって来る。3月に入ると、灌木の枯れ枝は瞬く間に新緑の葉に包まれ、歩く足元には野花が一斉に咲く。しかし、春はさーと短く終わってしまう。4月の終わり頃には日中の気温が30度を超すドライな初夏となる。そして、人々は短パン(ショートパンツ)とTシャツに衣替え、9月いっぱいまでの半年近くは買い物、レストラン、カフェーなど、どこへ行くのにもこの格好で闊歩する。
       
      Purple Mat
      Purple Mat ( Nama demissum )

      ソノラ砂漠は、冬の間に降る雨の量によって野草の花の咲き具合が変化する。今年の冬は、例年より雨の量が少なくドライウインターだったので野花の咲き具合もあまり良くない。写真の Purple Mat は、雨の量が多いとグラウンドは紫色のマットを敷いたようにたくさんの花が咲いて見事な光景となる。
       
      Miniature Wool Star
      Miniature Wool Star ( Eriastrum diffusum )

      アリゾナを代表する野草の花の一つで、赤茶の長い茎の先に咲く小さい花で、花が出て来る頂生の房は,毛糸のような柔毛に覆われる。
       
      Blue Dicks
      倒木の横に何げなく咲く Blue Dicks ( Dichelostemma pulchellum )

      「砂漠のヒヤシンス」の愛称で呼ばれる可憐な春の花。ねぎのような球根は,原住民インディアンや開拓移民のスペイン人たちが好んで食していた。

      マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(最終)

      0
        ムラサキノジコ囀り1
        メキシコ種のムラサキノジコ ( Varied Bunting )

        主たる生息地はメキシコ全域であるが、モンスーン期の8月にメキシコ国境に近い南アリゾナ、南テキサスに営巣のため渡って来る。真夏の雷雨が降り始めると巣作りが始まるので、北米ではモンスーン期のごく短い間しか見ることが出来ない。
         
        ムラサキノジコ囀り2
        ムラサキノジコ ( Passerina versicolor )

        英名の " Varied Bunting " はいろいろな色の混じった変化に富んでる美しいノジコという意味からきている。繁殖期の美しい雄も秋の換羽期となると雌と同じ全体的に冴えない茶色になるが、尾の根元のランプの美しいブルーが残る。
         
        風景 Montosa Canyon
        モンスーンの8月には、ほぼ確実にムラサキノジコが見られる営巣地のモントサ渓谷 ( Montosa Canyon )

        ムラサキノジコは水が流れる山麓の低灌木地帯を好み、毎夏、繁殖期になるとメキシコから渡って来る。秋になるとほとんどがメキシコへ帰ってしまうので、観察できる期間はモンスーン期の8月だけで大変短い。
         
        ムラサキノジコ全身1
        全身に陽の光が当たると、美しい複雑な色に輝く繁殖期のムラサキノジコの雄

        この鳥は遠距離から見たり、暗い場所や曇りの日などに見ると、全体が黒く見えるだけの地味な鳥である。一方、昼間の明るい太陽のもとで見ると、ハッとするほど大変美しい色に耀き人目を引きつける。同じ鳥とは思えないほど色鮮やかなのに驚かされる。
         
        ムラサキノジコ後姿
        頭の赤と尾の根元のブルーが一際目に付くムラサキノジコの後ろ姿

        主たる食べ物は草や木の種であり、密に茂った低い木の根元のグラウンド近くでエサ取りをするため見つけるのに苦労する。しかし、雌が巣に座り始めると、巣の近くの目立つ高い枝のソングスポットでテリトリーソングを歌うので、早朝の雄が活発に鳴く短い時間がよく観察出来るチャンスである。
         
        ムラサキノジコ全身2
        赤い色、青紫色、濃い紫色、そして黒い色と繁殖期の雄は複雑な美しさである。

        ムラサキノジコはフィールドで簡単に見れる鳥ではなく、ましてや写真に撮るのは非常に難しい。町の公園や人間が住んでる場所の近くにはほとんど現れない。夏の激しい雷雨が降るモンスーン期の短い間だけしかゆっくり観察出来るチャンスがないので、一般のバーダーにはなじみが薄い。

        マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(8)

        0
          ズグロブユムシクイ1左向

          北米では南アリゾナの限られた数か所でしか見られないメキシコ種ズグロブユムシクイ ( Black-capped Gnatcatcher )

          ブユムシクイ、英名 " Gnatcatcher " (ナットキャッチャー)、学名 " Polioptila " は新世界(アメリカ大陸)のみに生息する鳥で、ヨーロッパやアジアでは見られない。北米には4種類生息していて、南アリゾナではこのうち全米広い地域で見られる最もポピュラーなブユムシクイ ( Blue-gray Gnatcatcher / Polioptila caerulea ) , そして、主に西側の砂漠(南アリゾナはこの種が多い)で見られるオグロブユムシクイ ( Black-tailed Gnatcatcher / polioptila melenura ) それと写真の珍しいメキシコ種ズグロブユムシクイの3種類を見ることが出来る。3種類とも大変良く似てるので、フィールドでの識別が難しい。
           

          ズグロブユムシクイ2正面
          頭の黒い部分が目の下まで被さってるのが特徴のズグロブユムシクイ ( Polioptila nigriceps )


          ズグロブユムシクイの主たる営巣地は北メキシコの西側の水が豊かに流れる森林で、しかも渡りをしない留鳥である。しかし、近年メキシコ国境に近い南アリゾナまで北上しながら生息地域を広げてきている。まさに鳥には国境がないので、いとも簡単に新天地を求めて越境して米国に入って来ることが出来る。
           

          風景 Montosa Canyon
          南アリゾナでの営巣地の一つ Montosa Canyon


          ズグロブユムシクイの北米での初確認は1971年(アリゾナ)で、2002年にペアーで営巣しているのがやはりアリゾナで
          確認さるまで、ごく稀にしか見られない大変な珍鳥であった。現在でも、写真の Montosa Canyon, 北隣の Madera Canyon, Patagonia Lake の3ヶ所のみで毎年営巣しているのが確認される程度で、相変わらずごく限られたスポットでしか見られない希少種である。ABC ( Arizona Bird Commitee ) でも、このズグロブユムシクイの情報が不足してるため、ネットで観察記録の提供を求めている。
           

          ズグロブユムシクイ3囀り

          モンスーンの真夏(8月)の早朝にはズグロブユムシクイのテリトリーソングがよく聞けるので識別が楽で助かる。

          南アリゾナでは、砂漠でごく普通に見られるオグロブユムシクイとこのズグロブユムシクイは営巣地が重なるので初心者にとっては識別が厄介であるが、中級以上のバーダーにとってはこの希少種を見つけるのが腕の見せ所で、バーディングが一段と面白くなるので非常に人気の高い鳥でもある。そのため、真夏の珍鳥情報 " ebird " には毎日のようにズグロブユムシクイを見つけた報告が載せられてる。
           

          ズグロブユムシクイ4羽繕い

          モンスーン期はしばしば激しい雷雨に見舞われるので鳥たちはよく羽繕いをしている。


          ズグロブユムシクイは川が流れる水辺の密に茂った低灌木に営巣しているので巣に座ってる姿はなかなか見れないが、雨がやんで陽が差すとゆっくり羽繕いしてる姿に出会える。人をあまり恐れないのと、好奇心が強いので唇で「ピシピシ・・・」という音(アメリカのバーダーが鳥寄せによくやる)を出すと、灌木の中から目の高さのよく見える枝先に出て来ることが多い。
           

          ズグロブユムシクイ5警戒

          他の鳥がテリトリーに入って来ると、凄い警戒音を出しながら枝移りして威嚇する。


          体が小さく尾が長いのでフィールドで見ていると日本のエナガに似ているが、体は丸くなく体長11センチとエナガよりずーと小さい。餌取は非常にアクティブで、密生した灌木の中で虫を探す、また、時にはホバリングしながら虫を嘴で掴むこともある。
           

          ズグロブユムシクイ6後姿

          特徴の黒い頭が朝日に当たってよく目立つズグロブユムシクイの後ろ姿。


          他のブユムシクイ、特によく似ているオグロブユムシクイとの違いは、ズグロブユムシクイは嘴が細く長い、しかも先端がだんだん細くなっていく。一番の特徴と言われる尾の裏側の模様と尾の外側の白色は、夏の羽毛が抜け替わる Molt シーズンには残念ながら全体的に色が変わるので識別はさらに難しくなる。矢張り事前に囀りや地鳴きを耳に叩きこんで覚え、フィールドでは声をよく聞き識別するのがベストで確実性が高い。日中40度近くまで気温が上がる真夏の南アリゾナのバーディングは早朝(日の出)の3時間から4時間が勝負、事前の予習と突然一転にわかに掻き曇りの雷雨にも負けないチャレンジ精神が必要かもしれない。


          マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(7)

          0
            チャバネスズメモドキ囀る後姿
            アリゾナの「スペシャルバード」と呼ばれるチャバネスズメモドキ ( Botteri's Sparrow )

            チャバネスズメモドキは、北米では南アリゾナのメキシコ国境に近い非常に限られた地域のごく一部のスポットでしか見られない希少な渡り鳥である。アリゾナに来る多くのバーダーがどうしても見たい・・・と思う鳥種は、ウツクシキヌバネドリ ( Elegant Trogon ) やハミングバードのような派手な鳥であるが、色が地味でしかも見つけにくいチャバネスズメモドキは、一般のバーダー(特に初心者)にとっては馴染みの薄い鳥となっている。
             
            チャバネスズメモドキ左向
            日中はほとんどグラウンドで過ごすチャバネスズメモドキ ( Aimophila botterii )

            この大きなスズメモドキは主なる営巣地が中央メキシコで短い距離の渡りをするメキシコ種である。背丈の高い草に覆われた草原を好み、主にグラウンドでエサ取りをし、危険が迫っても飛び出さず地上を走って逃げるぐらいの隠密行動が得意な鳥である。学名 " Aimophila " の「スズメモドキ」の類はどれも同じような習性なので非常に見つけにくいのと,識別に苦労するため初心者のバーダーには馴染みが薄く、中級以上のバーダーが好んで探し求める鳥種である。
             
            風景Box Canyon への道
            英名 " Sparrow " 学名 " Aimophila " のスズメモドキ類が多種見られる Santa Rita 連山の麓の山岳道路 Greaterville Road


            時には前の車が見えなくなる土煙の中、車の窓を開けてスズメモドキの声を聞きながらゆっくり車を走らせ、鳴き声が聞こえてくると車を停めて識別をして行く。中級以上のバーダーが好んで競い合うバーディングに " Sparrow Challenge " というのがある。南アリゾナで見られるスズメモドキの4種、チャバネスズメモドキ、サメスズメモドキ ( Cassin's Sparrow / Aimophila cassinii ), フタスジスズメモドキ ( Rufous-winged Sparrow / Aimophila carpalis ), ズアカスズメモドキ ( Rufous-crowned Sparrow / Aimophila ruficeps ) の識別をフィールドで競い合う楽しい探鳥方法で、囀りを聞く以外の形や色で識別するのは、やはりある程度の技術がいるので腕の見せ所である。
             
            風景草原
            チャバネスズメモドキが好む背丈の高い草が一面覆っていて、マメ科の低木メスケ ( Mesquit ) とオカティヨ ( Ocotillo ) が点在する広大な草地

            チャバネスズメモドキは南アリゾナの砂漠に多いイネ科のヒゲシバ類が密生している牧草地を好むようなので、。近年、夏に渡って来る個体数が少しづつであるが増えている。写真の牧草地はチャバネスズメモドキのリサーチフィールドで、1960年に立てられた古いほとんど字が読めない看板が立っていた。風の音しか聞こえてこない草原に立っていると、チャバネスズメモドキとサメスズメモドキの囀る声が交互に混じって聞こえてくる。
             
            チャバネスズメモドキ正面顔
            全身茶色でしかも特徴のない顔をしているが、太くて白い眉毛はよく目立つ

            チャバネスズメモドキは6月に南アリゾナに現れ、9月にはメキシコへ去ってしまう。営巣は真夏のモンスーン期(8月)で、激しい雷雨が降り始めないと卵を産まない。観察が難しい鳥なので、営巣状況の詳しいことは今だに判っていない。
             
            チャバネスズメモドキ囀り
            夏のモンスーン期の短い間だけ Ocotillo の高い枝先のソングスポットで囀る

            チャバネスズメモドキがしっかり見れるのは、モンスーンに入り雌が巣に座り始めると雄がソングスポットでテリトリーソングを歌うので、チャンスはその時だけである。車の中で夜明けを待ち、朝日が上がって来て鳥たちが鳴き始めると、車の窓を開けて鳴き声に耳を立てチャバネスズメモドキの居場所を探す。ソングスポットが見つかれば写真を撮るのもそれほど難しくないが、雄がテリトリーソングを歌うのがモンスーン期の短い期間で、しかも日中は40度を超す暑さと、時々激しい雷雨に見舞われることもあるので少々撮影は難儀である。
             
            花、アリゾナポピー
            撮影をしている足元に咲いていたハナビシソウの仲間アリゾナポピー ( Arizona Poppy / Kallstroemia grandiflora )

            チャバネスズメモドキが盛んに囀る頃に咲く砂漠の真夏の花で、ポピーに似ているところからアリゾナポピーの愛称で親しまれている。 " Caltrop " の仲間で、正式英名は " Arizona Caltrop " 。また、春先に山の麓のスロープ一面に花畑となって咲く "Mexican Gold Poppy / Eschscholtzia mexicana ) とよく似ているが、こちらはポピーの仲間である。どちらも主に南アリゾナで見られる人気のある野花である。

            マイフィールドに珍鳥及び希少種 2017年夏 その(6)

            0
              シロスジヒメドリ枝に止まる
              アリゾナでは過去2回しか記録されてないシロスジヒメドリ ( Le Conte's Sparrow )

              9月下旬、インターネット上の Rare Bird (珍鳥)情報 " ebird " にアリゾナでは3回目の記録(これまで2004年と2005年の2回のみ)としてシロスジヒメドリのニュースが流れた。この鳥は珍種ではなく、北カナダで営巣し冬にはガルフ湾沿いのテキサス、ルイジアナの湿地帯の一部で過ごす渡り鳥である。短距離であるが渡りをするコモン ( common ) なヒメドリであるが、不思議なことに多くのバーダーにとって非常になじみが薄く、しかも近くでしっかりと観察できたバーダーが少ない。そのため多くのバーダーにとってぜひ見たい鳥の一種となっている。
               
              シロスジヒメドリ芝生の上
              エサ取りのため芝生に下りてきたシロスジヒメドリ ( Ammodramus leconteii )

              何故シロスジヒメドリがバーダーたちに馴染みが薄いのか?・・・その理由はまず、営巣場所がカナダのあまり人が行けない草が密に茂った湿地や沼地なので、巣を見つけるのが大変難しい。又、秋の渡りで南へ下る時も、丈の高い草に覆われてしっとりとした草原や浅瀬の沼地の淵の草を好み、しかも主にグラウンドを歩きながらエサ取りをする。そして、草が密生した地面をこそこそと隠れるように忍び歩き、驚くと鼠のようにチョコチョコ走るだけで飛ぶことは極めて珍しい。他のヒメドリのようにびっくりして草からパッと飛び出してくることはほとんどなく、飛び出しても、ほんの1メートルから3メートルぐらいの距離を飛ぶだけで、すぐ草の下に下りて見えなくなってしまう。このように見れるチャンスが非常に少ないので、この鳥に関する情報や知識も少なく、主に何を常食としているのか、又どんな営巣状況なのかに関しても記録報告が少ないので、いまだにあまり判ってない部分が多い鳥でもある。
               
              風景ゴルフ場
              2日間シロスジヒメドリが現れ大騒ぎとなった名門ゴルフ場リッツカールトンゴルフコースの5番フェアーウエイ。赤円がエサ取りをしていたスポット。

              今回シロスジヒメドリが現れた場所は、オープンな誰にでも行き易いゴルフコースのフェアウエーだったので、バーダーたちにとって、この見つけるのが困難なヒメドリをじっくり観察出来るまたとないチャンスとなって大騒ぎになった。これほど人目に付かないこそこそしている鳥がこんなオープンな場所にどうして現れたのか?・・・たぶん渡りの途中で十分にエサ取りが出来なかったのと、毎日早朝と夕方のゴルファーがプレーをしていない時間帯にフェアウエーのスプリンクラーから水が散布され、この鳥が好きな草の種が水分を含んで柔らかくなったのを彼は偶然にも見つけたのだろう・・・と多くのバーダーが推測していた。
               
              シロスジヒメドリとヒメウタスズメ
              シロスジヒメドリ(左)と付かず離れず一緒にエサ取りをしているヒメウタスズメ(右)

              9月27日夕方4時頃報告に出ていたゴルフコースの5番に行き、すでにフェアウエーの周りでシロスジヒメドリを探している10人ほどのバーダーのグループに合流し、プレーヤーがいなくなったフェアウエーとラフを1時間ほど歩いて一緒に探す。ラフ横の低灌木からまずヒメウタスズメが芝生に下りてエサ取りを始めだしたので、数分間しゃがんで静かに待っているとお目当てのシロスジヒメドリが同じ灌木の中から出てきた。めったに見れないこの鳥が目の前に現れた姿を見た時の息を吞む驚きは今でも忘れられない。
               
              ヒメウタスズメ餌取
              ヒメウタスズメ ( Lincoln Sparrow / Melospiza lincolnii )

              ヒメウタスズメは営巣場所がシロスジヒメドリと同じような草が茂った湿地や沼地であるが、アラスカからカナダ全域にかけての幅広い地域で見られるポピュラーな鳥である。秋に南下して越冬する場所も太平洋側のカリフォルニアから大西洋側のフロリダまで暖かい北米南部の幅広い地域であり、しかもシロスジヒメドリのような隠密行動を取らず人目につきやすい所に出て来るので、比較的普通に見られる鳥である。
               
              シロスジヒメドリ芝生に嘴入れる
              芝生の根元に嘴を深く入れ夢中でエサ取りするシロスジヒメドリ

              エサ取りに忙しいシロスジヒメドリを10メートルほど離れたところで、半円状に囲むようにフェアーウエー上にバーダーたちが並んで観察しているが、エサ取りに夢中になっているらしく我々のことなど一向に気にすることなくどんどん我々の方に近づいて来て、ついに2メートルぐらいまで寄って来られたのには皆口を開けてポカーンとするほど驚いた。臆病で人目に付きにくいシロスジヒメドリをたっぷり観察出来た珍しいチャンスに遭遇した喜びに大いに沸き、帰り際に皆で握手をし笑顔でこの幸運を祝いあった。
               
              シロスジヒメドリ種食べる
              美味しそうに草の種を食べるシロスジヒメドリ。丁度夕陽が顔に当たってさらに美しく見えた。

              シロスジヒメドリはヒメドリの中でも最も小さい種で、日本のコガラ ( Parus montanus ) と同じ大きさである。和名(シロスジ)にあるように頭のてっぺんの白いすじが目立つ。そしてオレンジ色に近い黄色の額、襟首の茶色のすじ、太くて赤茶の眉、背中の淡黄褐色の線などが特徴で、小さくて人目に付かないが美しいヒメドリである。短くて高い声で虫のようにブジーという地鳴きを時々繰り返していた。ラッキーなことに、このゴルフコースの同じ場所で2日間エサ取りする姿が見られたが、3日目以降には "ebird " 上に「見た!」という報告が出なくなったのでさらに西へ移動して行ったのだろう。

              マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(5)

              0
                Five Atriped Sparrow 1
                メキシコ種のムナフスズメモドキ ( Five Striped Sparrow )

                主たる生息地は西メキシコで、近年ごく少数が南アリゾナの小さな限られた地域で営巣している。1950年代までは米国では見られなかった鳥種で、1957年南アリゾナの Santa Rita Mountains で初めて1羽発見されたのが米国での初確認である。
                 
                Five Striped Sparrow 2
                顔と喉の白い5本線が特徴のムナフスズメモドキ ( Aimophila quinquestriata )

                英名の " Five Striped " は眉毛とひげ、喉にくっくり目立つ白い5本の線があることからつけられた。なお、和名の「ムナフ」の由来は胸の黒い斑点であろう。南アリゾナのメキシコとの国境沿いにある、限られた Canyon (渓谷)に5月に渡って来て9月にはメキシコへ戻っていく。
                 
                Five Striped Sparrow 3
                バーダーたちの目につく所にはなかなか現れてくれないムナフスズメモドキ

                1969年南アリゾナでの営巣が初確認されて以来、1991年までほとんどのバーダーが行けない Chino Canyon でごく少数が毎年見られたが、托卵鳥(他の鳥の巣に卵を産み、自分ではヒナを育てない。日本ではカッコウ類が該当種)のコウウチョウ ( Cowbird / Molothrus ) の犠牲になったのと、熱心すぎるバーダーによるしつっこいテープ音に嫌がってすっかり姿を消してしまった。しかし、2000年に入ってごく少数(1羽から2羽)が南アリゾナに戻って来て限られたスポットで見られるようになってきた。
                 
                Five Striped Sparrow 4
                Ocotillo の棘だらけの茎をソングスポットとして好むムナフスズメモドキ

                ムナフスズメモドキは米国では南アリゾナのごく限られた狭い地域でしか見られない、そして数が大変少ない夏鳥の珍種である。しかもその営巣地(見れるスポット)はメキシコ国境沿いのアクセスが難しい Canyon の奥深い岩だらけの所で、しかもいばらの生い茂った Hackberry や Mexquite の藪の中で目立たないように静かに虫を探していることが多いので見つけるのが大変難しい鳥でもある。囀りは特徴ある金属的な声であるが、色々バラエテイーに富んでいて、200以上の異なったバージョーンで歌うこともあるので鳴き声による識別も注意が必要である。
                 
                Five Striped Sparrow 5
                後姿や飛んでる姿はただシンプルな赤茶に見えるムナフスズメモドキ

                この鳥は大変臆病で、フレンドリーに近くの枝に来て全身を見せることは非常に少ない。枝先近くに出てきてもほんの数秒いるだけで、直ぐに葉の茂る灌木の中へ入ってしまう。再度見える枝に出てくるのをじっと待つぐらいの辛抱が必要なので、見るのが難しくましてや写真を撮るのは大変忍耐のいる鳥でもある。
                 
                風景ムナフスズメモドキ営巣場所
                ムナフスズメモドキが好んで営巣する渓谷の急こう配の崖といばらの生い茂った藪

                ムナフスズメモドキはなかなか見るのが難しく、多くのバーダーたちが一度は見たいと思う憧れの鳥であるが、何と8月中旬に我が家から1時間で行ける近場で、しかも簡単に車で行ける Montosa Canyon と Box Canyon の2か所に出現のニュースがネットに流れ大騒ぎとなる。何しろ今までこの鳥を見るためには地元のガイドを雇ってアクセスが非常に困難なメキシコ国境沿いの California Gulch でしか見られなかった珍鳥が、有名な探鳥スポットがいくつもある Santa Rita Mountains で見つかったこともあって、米国の色々な州からバーダーが殺到して連日大賑わいであった。
                 
                風景車道のガラガラヘビ
                ムナフスズメモドキの早朝撮影を終えての帰り道、車の前をゆっくりと猛毒のヒシモンガラガラヘビ ( Western Diamond-back Rattlesnake / Crotalus atrox ) が 横ぎって行く。

                ムナフスズメモドキが最も人目を引いて目につくのは激しい雷雨が降るモンスーン期の夏の短い間だけで、谷底の灌木の茂るぐちゃぐちゃした所で営巣し始めて雌が座りだすと、雄はテリトリーソングを歌い始める。雄は早朝と夕方、谷底から灌木の枝伝いに鳴きながら移動し、見晴らしの良い崖の上に上がって来る。大きな Ocotillo の茎に止まって囀るのが特に好きなようで、数日通ってソングスポットをやっと見つけることが出来た。谷の上の山岳道路で朝日が山から出始めると、やがて雄が下から上がって来る。囀りながら近づいてくる雄を山岳道路で待つのだが、狭い道路なので車と人で溢れることもあり、こんな時は彼はけっして上まで上がって来ず、双眼鏡で見なくてはならないぐらい距離は遠くなる。早朝5時半ぐらいから11時ぐらいまで5時間から6時間、人の動きを見ながら数日間シャッターチャンスを待った。
                 

                マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(4)

                0
                  フスチャメジロハエトリ前向きの姿
                  ウスチャメジロハエトリ ( Buff-breasted Flycatchier ) 

                  ​ウスチャメジロハエトリは珍鳥フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher ) とよく似てるが、頭に冠毛がないのと少し大きい。生息地域も同じ高い山のポンデロサ松や Pine-oak の林で、今年の夏はたまたまマイフィールドの " Carr Canyon " で、しかも、この2種類が同じ場所でエサ取りをしている報告がネットに載った。一か所で同時に2種類の珍しいフライキャッチャーを見ることが出来たので連日大勢のバーダーが " Carr Canyon " に押し掛けた。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ後姿
                  ウスチャメジロハエトリ ( Empidonax fulvifrons ) の後ろ姿

                  ​目の周りの白いアイリングが特徴のメジロハエトリ、米国で見られるこの " Empidonax " は11種類で、その中でもウスチャメジロハエトリが一番小さい。メジロハエトリはどれもこれも非常によく似ていて、鳴き声による識別が一番確実であるが、初心者はもちろんベテランのバーダーでも大変識別に苦労するフライキャッチャーである。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ頭上の虫狙う
                  頭上を飛ぶ虫をじーと狙っている

                  ​ウスチャメジロハエトリは、南アリゾナのメキシコ国境沿いの Huachuca Mountain と Chiricahua Mountain のごく限られた地域のみに渡って来る夏鳥のメキシコ種である。営巣し雛を育て終えると、9月には冬を過ごす南メキシコへ南下して行く。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ全身
                  赤みがかった褐色の胸と薄い茶色の平らな頭が特徴

                  ​ウスチャメジロハエトリはメジロハエトリの中では小さくて特徴があるので比較的識別し易いが、他のメジロハエトリの識別にはほとんどのバーダーが苦労する。フィールドでメジロハエトリを見つけると、そうそうと識別は諦め、ただ「エンピ (Empi) の一種を見た・・・」という報告をする人が多い。「エンピ」はメジロハエトリのラテン名 "Empidonax" から付けられたものである。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ首傾げる
                  ​時々首を傾げては私を見つめ,様子を伺っていた

                  ​ウスチャメジロハエトリは,南アリゾナの非常に限られた地域の山の渓谷の松林でしか見られない希少種である。しかし、近年営巣する個体数が少しづつ増えてきて、今では推定30組ぐらいは南アリゾナで営巣するようだが、お目にかかるチャンスが非常に少ないメジロハエトリである。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ草に止まる
                  低い草の茎に止まって朝日を浴びる

                  ​ほとんどのメジロハエトリは高い枝に止まって空中を飛んでる虫をフライングキャッチするが、ウスチャメジロハエトリのエサ取りのテリトリーは大変広く、高い木の枝から低い下枝まで、そして時には草むらまで下りてきて、グラウンドでエサ取りをすることもある。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ草の虫を探す
                  低い枝に下りてきて、草にいる虫を取ろうとしている

                  ​松林の林縁をエサ取り場とするウスチャメジロハエトリとフサボウシハエトリは松林の枝の高低でテリトリーが分かれてる。低いところを好むウスチャメジロハエトリが時々高い枝へ上がっていくと、フサボウシハエトリのテリトリーに入るので猛烈な勢いで追いかけまわされる。小さいフサボウシハエトリの方が気性が激しく、いつも追い払う側であった。

                  マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(3)

                  0
                    フサボウシハエトリ下から見る姿
                    ​フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher / Mitrephanes phaeocercsu

                    主にメキシコから中央アメリカのコスタリカ、パナマそして南アメリカのエクアドールまでの広い地域に生息するフライキャッチャーである。4亜種に分かれていて、夏(3月〜10月)は3500メートル以上の高山の Pine-oak の森林に、冬は川が流れる低い森林で過ごす。
                     
                    フサボウシハエトリ逆光の中で
                    ​特徴の粋な羽飾りのような冠毛 (Tuft ) と喉から胸にかけての赤茶色が美しいフサボウシハエトリ

                    ​別名 " Small Mountain Flycatcher " と呼ばれ、体長は12センチで日本のメジロ ( Zosterops japonicus ) と同じ大きさの小さな可愛いハエトリである。
                     
                    フサボウシハエトリ正面
                    正面から見ると、冠毛がトサカのように見えて愛嬌のある顔である。

                    ​北米では1991年テキサスの Big Bend 国立公園で写真に納められて確認されたのが初めての記録。昨年(2016年)南アリゾナの Ramsey Canyon で初めて営巣してるのが確認された。今年は営巣はされなかったが、メスは Ramsey Canyon で、オスは隣接してる Carr Canyon で、別々に確認されており、これは北米で8番目の記録となった。
                     
                    フサボウシハエトリ左向き全身
                    よく見える葉のない丸裸の枝に直立して止まり、飛んでる蛾を探す。

                    ​基本的には渡りをしない鳥で、北米では南アリゾナとテキサスのメキシコとの国境に近い Canyon でしか見られない珍鳥である。
                     
                    フサボウシハエトリ伸びをする
                    伸びをするフサボウシハエトリ

                    ​今年8月9日にフサボウシハエトリがカー渓谷 (Carr Canyon) に出現というニュースがネットに流れ、翌日さっそく確認に出かけた。Carr Canyon は我が家から最も遠いフィールドで、片道224キロ南に下ったメキシコとの国境沿いの渓谷である。鳥たちには国境などがないので、こうしたメキシコ・中南米種は自由に行き来することが出来るが、人間はそうはいかない。フサボウシハエトリが見れるスポットへ行く主要道路には国境警備隊の検問所があり、すべての車一台一台止められてチェックを受ける。また、「ここはメキシコからの違法入国者や麻薬運び人が徘徊するので十分注意するように!」という看板が所ところで目につくので少々緊張する鳥見となった。
                     
                    フサボウシハエトリとポンデロサ松
                    ​五葉松の一種ポンデロサ松 (Ponderosa Pine) の林で静かに止まっていることが多いので、この小さなハエトリを見つけるのには少々苦労する。

                    ​珍鳥フサボウシハエトリが出現したスポットは標高2260メートルの山頂のキャンプグラウンドで、10キロほどの未舗装の山岳道路を四輪駆動車で上がらなくてはならなかった。もともと鉱山用の道で、急斜面に造られてあり一車線の道路でスイッチバック運転をしなくてはならない。しかも、所々岩が露出してるばかりでなく、雨で土がえぐれてるので車の底を擦るのでは・・・とヒヤヒヤしながらの緊張したドライブを強いられた。
                     
                    フサボウシハエトリ急降下
                    蛾を捕えようと枝から急降下するフサボウシハエトリ

                    ​彼らのエサ捕りは高い枝に止まって飛んでる蛾や虫をフライングキャッチしては元の枝に戻るので、この時がこの小さなハエトリをじっくり見れるチャンスである。よく「ピーピーピー」というコールを繰り返すので、声を頼りに近づくと見つけやすい。
                     
                    フサボウシハエトリ蛾を捕える
                    捕らえた蛾をくわえて元の枝に戻り食べ始める。

                    ​フサボウシハエトリは Tyrant Flycatcher ( Tyrannidae ) の仲間で非常に気まぐれの鳥で、前年営巣した場所に次の年も再び営巣するとは限らない。昨年営巣した Ramsey Canyon には今年は雌一羽だけが現れ、一方、雄は一羽だけで Carr Canyon に現れた。はて!来年も現れるのか?・・・予測のつかない珍鳥である。

                    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(2)

                    0
                      巣材運ぶバラノドカザリドリモドキ雌
                      巣材を運ぶバラノドカザリドリモドキ雌 ( Rose-throated Becard )

                      ​6月、何十年ぶりに南アリゾナで営巣してるのが確認されたバラノドカザリドリモドキのカップルは無事ヒナを育て終えた。ところが、その後、8月8日同じ雌雄が前回の巣の近くで再び巣作りを始めた情報がメールに入り、再度出掛けて自分の目で確認し、それからほぼ連日通って観察を続けた。2回目の巣は前回の巣から200メートルほど離れた所で、丁度川を挟んで反対側の岸辺に近い森の中であった。
                       
                      巣材を引っ張るバラノドカザリドリモドキ雄
                      長い樹皮を引っ張り出す途中で、勢い余って枝から落ちそうになるバラノドカザリドリモドキ雄 ( Pachyramphus agiaiae

                      ​この鳥の巣材運びを観察してると、紐のように細長く切れたハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の樹皮を一つ一つ巣の近くの高い枝の間に運び蓄えておき、適当な量になると一本一本そこから引っ張り出して巣に持って行ってる。これにたくさんの草や葉、蜘蛛の巣などを混ぜて接合してるようである。
                       
                      巣の屋根作りの雄
                      自分の体長の何倍もある大きな吊り巣の屋根の部分を作ってるバラノドカザリドリモドキ雄

                      ​巣作りは主に雌の仕事であるが、時には雄も手伝うことがあるようで、長い樹皮を一生懸命巣の外側に差し込んでる姿を見る。大きなフットボールの形をした球形の巣を,巣材を集め出してからたった一週間で作り上げてしまうスピードであった。
                       
                      樹皮を巣に押し込む雄
                      薄くて長い樹皮を巣に押し込んでる雄。巣は見る見るうちに高くなっていく。

                      ​バラノドカザリドリモドキはたいへん静かで、しかもゆったりとした鳥で、葉の茂った大きな木の枝に直立した姿勢で止まって、長い時間ほとんど動かずじっとしていることが多いので、繁殖期以外はフィールドでは非常に見つけにくい。
                       
                      バラノドカザリドリモドキ雄の飛翔
                      樹皮を巣に差し込んでは、忙しそうにまた巣材探しに飛び立って行く雄

                      ​地元の人たちの努力でほとんど手付かずの自然のままに保たれてるこの森は、南アリゾナのメインのバーディングスポットではないが、時々こうした希少種が現れることがあり、年に何回かはチェックする必要がある場所でもある。
                       
                      巣の上で葉を差し込む雄
                      茶色の枯れ枝や樹皮を組み合わせた巣に、所々緑の葉を差し込んでいく。

                      ​巣は高さ60センチ以上、直径30センチ以上の大きなもので、ハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の高い垂れてる枝先にぶら下がってる。常緑樹の林の緑にカモフラージュさせるため、巣の外側に緑色の葉を付けていくようだ。
                       
                      巣の出入り口を作る雌
                      ​巣穴から頭を深く突っ込んで巣の内側を丁寧に作ってる雌

                      ​彼らの大きな巣はまるでごみを集めたような粗雑なものであるが、出入り口の穴は底についてる。穴に入る時はホバリングしながら下から入っていくが、出る時は真っ直ぐ下へ飛び出して、周りの枝に止まることなくそのまま一直線に遠くへ飛んで行く。
                       
                      バラノドカザリドリモドキの巣
                      地上から15メートルほどの高さにぶら下がってるバラノドカザリドリモドキの巣

                      ​今年の後期サマー(モンスーンの夏)は例年以上に雨の量が多く、しかも暑い日が続いたため虫の出が良いので、この希少種バラノドカザリドリモドキは2回も営巣してくれた。そのおかげで6月中旬から8月中旬まで2か月間たっぷりこの珍しい美しいメキシコ種の巣作りを堪能することが出来た。
                       
                      巣の周りの風景と人物
                      ​巣材を探しに低い枝に下りてきたバラノドカザリドリモドキを見るバーダーたち

                      ​全米のバーダーたち憧れのこのメキシコの鳥が2回も営巣したのだから南アリゾナは大騒ぎとなった。色々な州から、又カナダやイギリスからのバーダーたちで巣の周りは連日大賑わい。多い時は10人から30人のグループもやってきた。鳥の観察だけでなく、それぞれの州の「鳥見自慢話」に花が咲き、巣の周りは賑やかであった。


                      calendar

                      S M T W T F S
                            1
                      2345678
                      9101112131415
                      16171819202122
                      23242526272829
                      30      
                      << September 2018 >>

                      selected entries

                      categories

                      archives

                      recent comment

                      • ソノラ砂漠の秋の話題 ガラガラヘビ住宅街に現れる 2016年
                        藤波
                      • ソノラ砂漠の秋の話題 ガラガラヘビ住宅街に現れる 2016年
                        Yuko
                      • アリゾナ・ソノラ砂漠のオアシスで見る冬鳥たち(2012年3月 その3)
                        Fujinami
                      • アリゾナ・ソノラ砂漠のオアシスで見る冬鳥たち(2012年3月 その3)
                        Kumiko
                      • 艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (前編)
                        Fujinami
                      • 艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (前編)
                        Chel
                      • 艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (前編)
                        藤波
                      • 艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (前編)
                        徳光弥生
                      • 艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (前編)
                        藤波
                      • 艶やかなサボテンの花咲くソノラ砂漠 (前編)
                        徳光弥生

                      links

                      profile

                      search this site.

                      others

                      mobile

                      qrcode