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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

南アリゾナの珍鳥さわぎ 2016年6月 (下)

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    チリカウア山林へ入る道

    米国やヨーロッパのバーダーたちがぜひ行きたい探鳥スポットがたくさんある、南アリゾナ東部の荒涼とした風景。

     

    6月末のカンカン照りの日、珍鳥を求めてさらに南下、メキシコ国境近くの州道を走る。昔はそこらじゅうで見られたこの形の風車も、今ではメキシコ国境近くの田舎道を走らないと見られなくなった。牧場の牛に水を与えるため風車で起こした電気で地下水をくみ上げてる。

     

     

    コロナド国有林入口

    アメリカムシクイの珍鳥が現れた Coronado 国有林の一部チリカウア山国有林 ( Chiricahua Mountains National Forest ) 入口

     

    チリカウア連山一帯は景色が良く「夢のパノラマ」と言われて観光客にも大変人気のある所で、西部劇映画が好きな人なら誰でも知ってるインディアン、アパッチ族の本拠地でもある。私の家から車で東南へ3時間近く走るメキシコ国境に近い所で、州道には国境検問所がいくつかあって身分証明所の提示を求められる。

     

     

    ベニイタダキアメリカムシクイ巣の場所

    珍しいベニイタダキアメリカムシクイが山岳道路の脇(真っ正面の小さい緑の灌木)で営巣している。

     

    チリカウア連山は山岳道路があり、標高2100メートルまで上がれるが、未舗装でガードレールのないカーブが多く、下りの車とすれちがえる所も少ないので少々運転には苦労する。こんな道路をがたがた揺れながら標高1500メートルぐらいまで上がったところのS字カーブの脇の小さな灌木の根元にベニイタダキアメリカムシクイは巣を作っていた。この珍鳥見たさにたくさんの人が車で上がって来るので普段は人も居ない静かなこの狭い道も、駐車する車であふれかえった日もあるぐらい人気であった。このへん一帯は数年前山火事ですっかり松が焼けてしまったため、未だに緑が少ない禿げ山に近い景色である。

     

     

    ベニイタダキアメリカムシクイ

    今夏バーダーたちを驚喜させた珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイ ( Slate-throated Redstart ) 

     

    ベニイタダキアメリカムシクイはメキシコから南米ボリビアまでの気候が温和な山岳地帯に生息している Wood Warbler ( parulidae ) の仲間である。南アリゾナでごく普通に見られるカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) によく似ているが、珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイは翼に白い帯がないのと、頭の赤い色がよく目立つのが特徴。

     

     

    虫くわえたベニイタダキアメリカムシクイ

    雛に虫を運ぶベニイタダキアメリカムシクイ ( Myioborus miniatus

     

    尾を拡げると白い部分が大きいので英名では別名 " Slate-throated Whitestart " とも呼ばれてる。日本のメジロと同じ大きさの長い尾を持った小さなアメリカムシクイで、松や樫が入り交じった深い森を好む。

     

     

    踊るベニイタダキアメリカムシクイ1

    翼と尾を拡げ木の幹や枝を踊るように歩くベニイタダキアメリカムシクイ。

     

    ベニイタダキアメリカムシクイのエサ取りする姿は大変面白い。尾と翼を拡げ枝や幹を歩き、時々飛び跳ねたりしながら樹皮の間にいる虫を払い出し、飛んだところを空中で捕る。

     

     

    踊るベニイタダキアメリカムシクイ2

    珍鳥騒ぎで集まったバーダーたちを喜ばせたベニイタダキアメリカムシクイのダンス。

     

    ベニイタダキアメリカムシクイは生息する地域によって多くの色の変化がある。全部で12亜種に分けられるが、この珍鳥は胸から下が赤いメキシコ種で、前にコスタリカで見た個体は黄色であった。ベニイタダキアメリカムシクイを大きく分けると、この写真のメキシコ種、コスタリカなどで見られる中央アメリカ種、ボリビアなどの南アメリカ種の3グループに分けられると言われてる。

     

     

    踊るベニイタダキアメリカムシクイ3

    バックから見るベニイタダキアメリカムシクイの面白いダンス。

     

    この珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイはメスで盛んに雛にエサを運んでいるが、どうも近くにオスが見られない。さっそくネット上の鳥情報でもこれが問題となり、ある人はオスを見た、別の人はオス、メス2羽でエサ運びをしているのを見た、そして、オスは居ないなどなど’’’’’’色々な報告が載っていた。私や友人たちが見る限り、やはりメス1羽が忙しく巣に出たり入ったりするだけでオスは見られなかった。そして、近くでは近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) のオスが盛んにさずっていた。

     

     

    飛ぶベニイタダキアメリカムシクイ

    拡げた羽で幹や枝をブラッシュして出て来た虫を空中で捕えた瞬間。

     

    私は営巣場所に2回行ってエサ運びの状況を観察し、また、現地でガイドをしてる人たちともディスカッションをしてみた。それらの人々の推測では、子育てをしているこのベニイタダキアメリカムシクイのメスは、一羽単独でメキシコから北上してアリゾナに入ったものの繁殖期になっても相手のオスが見つからず、仕方なく近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) のオスとつがいとなり巣を作ったようだ。そしてメスが巣に座りだした後、オスは巣を離れ同じ仲間のカタジロアメリカムシクイのメスを見つけて近くの別の木で営巣し始めている’’’’’’’’と推察された。

     

     

    カタジロアメリカムシクイ

    珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイのメスの相手と思われる、近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart / Myioborus pictus ) のオス。

     

    翼の白い大きいパッチと目の下の白い点そして頭の黒いのが特徴でその他はよく似ている。今回は珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイが現れた騒ぎだけでなく、メス1羽のシングルマザーでの子育て、生まれて来る雛がカタジロアメリカムシクイとのハイブリット種と思われる(7月20日に雛2羽ともハイブリット種と確認された。)ことなど、毎日のようにネット上で議論された話題豊富な珍鳥であった。しかし、アメリカムシクイでは、このような近似種による番いの組み合わせはよくあるようだ。キンバネアメリカムシクイ ( Golden-winged Warbler / Vermivora chrysoptera ) とアオバネアメリカムシクイ ( Blue-winged Warbler / Vermivora pinus ) の番いから生まれたハイブリット種(交配種) " Brewster's Warbler " と " Lawrence's Warbler " は有名で、近年その数も増えてきている。


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