マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(2)

巣材を運ぶバラノドカザリドリモドキ雌 ( Rose-throated Becard )
6月、何十年ぶりに南アリゾナで営巣してるのが確認されたバラノドカザリドリモドキのカップルは無事ヒナを育て終えた。ところが、その後、8月8日同じ雌雄が前回の巣の近くで再び巣作りを始めた情報がメールに入り、再度出掛けて自分の目で確認し、それからほぼ連日通って観察を続けた。2回目の巣は前回の巣から200メートルほど離れた所で、丁度川を挟んで反対側の岸辺に近い森の中であった。

この鳥の巣材運びを観察してると、紐のように細長く切れたハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の樹皮を一つ一つ巣の近くの高い枝の間に運び蓄えておき、適当な量になると一本一本そこから引っ張り出して巣に持って行ってる。これにたくさんの草や葉、蜘蛛の巣などを混ぜて接合してるようである。

自分の体長の何倍もある大きな吊り巣の屋根の部分を作ってるバラノドカザリドリモドキ雄
巣作りは主に雌の仕事であるが、時には雄も手伝うことがあるようで、長い樹皮を一生懸命巣の外側に差し込んでる姿を見る。大きなフットボールの形をした球形の巣を,巣材を集め出してからたった一週間で作り上げてしまうスピードであった。

薄くて長い樹皮を巣に押し込んでる雄。巣は見る見るうちに高くなっていく。
バラノドカザリドリモドキはたいへん静かで、しかもゆったりとした鳥で、葉の茂った大きな木の枝に直立した姿勢で止まって、長い時間ほとんど動かずじっとしていることが多いので、繁殖期以外はフィールドでは非常に見つけにくい。

樹皮を巣に差し込んでは、忙しそうにまた巣材探しに飛び立って行く雄
地元の人たちの努力でほとんど手付かずの自然のままに保たれてるこの森は、南アリゾナのメインのバーディングスポットではないが、時々こうした希少種が現れることがあり、年に何回かはチェックする必要がある場所でもある。

茶色の枯れ枝や樹皮を組み合わせた巣に、所々緑の葉を差し込んでいく。
巣は高さ60センチ以上、直径30センチ以上の大きなもので、ハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の高い垂れてる枝先にぶら下がってる。常緑樹の林の緑にカモフラージュさせるため、巣の外側に緑色の葉を付けていくようだ。

巣穴から頭を深く突っ込んで巣の内側を丁寧に作ってる雌
彼らの大きな巣はまるでごみを集めたような粗雑なものであるが、出入り口の穴は底についてる。穴に入る時はホバリングしながら下から入っていくが、出る時は真っ直ぐ下へ飛び出して、周りの枝に止まることなくそのまま一直線に遠くへ飛んで行く。

地上から15メートルほどの高さにぶら下がってるバラノドカザリドリモドキの巣
今年の後期サマー(モンスーンの夏)は例年以上に雨の量が多く、しかも暑い日が続いたため虫の出が良いので、この希少種バラノドカザリドリモドキは2回も営巣してくれた。そのおかげで6月中旬から8月中旬まで2か月間たっぷりこの珍しい美しいメキシコ種の巣作りを堪能することが出来た。

巣材を探しに低い枝に下りてきたバラノドカザリドリモドキを見るバーダーたち
全米のバーダーたち憧れのこのメキシコの鳥が2回も営巣したのだから南アリゾナは大騒ぎとなった。色々な州から、又カナダやイギリスからのバーダーたちで巣の周りは連日大賑わい。多い時は10人から30人のグループもやってきた。鳥の観察だけでなく、それぞれの州の「鳥見自慢話」に花が咲き、巣の周りは賑やかであった。
- 2017.10.29 Sunday
- マイフィールド自然ノート
- 12:34
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- by シンラン