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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(8)

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    ズグロブユムシクイ1左向

    北米では南アリゾナの限られた数か所でしか見られないメキシコ種ズグロブユムシクイ ( Black-capped Gnatcatcher )

    ブユムシクイ、英名 " Gnatcatcher " (ナットキャッチャー)、学名 " Polioptila " は新世界(アメリカ大陸)のみに生息する鳥で、ヨーロッパやアジアでは見られない。北米には4種類生息していて、南アリゾナではこのうち全米広い地域で見られる最もポピュラーなブユムシクイ ( Blue-gray Gnatcatcher / Polioptila caerulea ) , そして、主に西側の砂漠(南アリゾナはこの種が多い)で見られるオグロブユムシクイ ( Black-tailed Gnatcatcher / polioptila melenura ) それと写真の珍しいメキシコ種ズグロブユムシクイの3種類を見ることが出来る。3種類とも大変良く似てるので、フィールドでの識別が難しい。
     

    ズグロブユムシクイ2正面
    頭の黒い部分が目の下まで被さってるのが特徴のズグロブユムシクイ ( Polioptila nigriceps )


    ズグロブユムシクイの主たる営巣地は北メキシコの西側の水が豊かに流れる森林で、しかも渡りをしない留鳥である。しかし、近年メキシコ国境に近い南アリゾナまで北上しながら生息地域を広げてきている。まさに鳥には国境がないので、いとも簡単に新天地を求めて越境して米国に入って来ることが出来る。
     

    風景 Montosa Canyon
    南アリゾナでの営巣地の一つ Montosa Canyon


    ズグロブユムシクイの北米での初確認は1971年(アリゾナ)で、2002年にペアーで営巣しているのがやはりアリゾナで
    確認さるまで、ごく稀にしか見られない大変な珍鳥であった。現在でも、写真の Montosa Canyon, 北隣の Madera Canyon, Patagonia Lake の3ヶ所のみで毎年営巣しているのが確認される程度で、相変わらずごく限られたスポットでしか見られない希少種である。ABC ( Arizona Bird Commitee ) でも、このズグロブユムシクイの情報が不足してるため、ネットで観察記録の提供を求めている。
     

    ズグロブユムシクイ3囀り

    モンスーンの真夏(8月)の早朝にはズグロブユムシクイのテリトリーソングがよく聞けるので識別が楽で助かる。

    南アリゾナでは、砂漠でごく普通に見られるオグロブユムシクイとこのズグロブユムシクイは営巣地が重なるので初心者にとっては識別が厄介であるが、中級以上のバーダーにとってはこの希少種を見つけるのが腕の見せ所で、バーディングが一段と面白くなるので非常に人気の高い鳥でもある。そのため、真夏の珍鳥情報 " ebird " には毎日のようにズグロブユムシクイを見つけた報告が載せられてる。
     

    ズグロブユムシクイ4羽繕い

    モンスーン期はしばしば激しい雷雨に見舞われるので鳥たちはよく羽繕いをしている。


    ズグロブユムシクイは川が流れる水辺の密に茂った低灌木に営巣しているので巣に座ってる姿はなかなか見れないが、雨がやんで陽が差すとゆっくり羽繕いしてる姿に出会える。人をあまり恐れないのと、好奇心が強いので唇で「ピシピシ・・・」という音(アメリカのバーダーが鳥寄せによくやる)を出すと、灌木の中から目の高さのよく見える枝先に出て来ることが多い。
     

    ズグロブユムシクイ5警戒

    他の鳥がテリトリーに入って来ると、凄い警戒音を出しながら枝移りして威嚇する。


    体が小さく尾が長いのでフィールドで見ていると日本のエナガに似ているが、体は丸くなく体長11センチとエナガよりずーと小さい。餌取は非常にアクティブで、密生した灌木の中で虫を探す、また、時にはホバリングしながら虫を嘴で掴むこともある。
     

    ズグロブユムシクイ6後姿

    特徴の黒い頭が朝日に当たってよく目立つズグロブユムシクイの後ろ姿。


    他のブユムシクイ、特によく似ているオグロブユムシクイとの違いは、ズグロブユムシクイは嘴が細く長い、しかも先端がだんだん細くなっていく。一番の特徴と言われる尾の裏側の模様と尾の外側の白色は、夏の羽毛が抜け替わる Molt シーズンには残念ながら全体的に色が変わるので識別はさらに難しくなる。矢張り事前に囀りや地鳴きを耳に叩きこんで覚え、フィールドでは声をよく聞き識別するのがベストで確実性が高い。日中40度近くまで気温が上がる真夏の南アリゾナのバーディングは早朝(日の出)の3時間から4時間が勝負、事前の予習と突然一転にわかに掻き曇りの雷雨にも負けないチャレンジ精神が必要かもしれない。


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