ハミングバード(アンナハチドリ)の子育て 2018年春(その1)

フィーダーに止って休むアンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) 雌
アンナハチドリは20世紀初め頃まで、メキシコのバハカリフォルニア半島と南カリフォルニアの太平洋沿岸にしか生息していなかった。近年になって北はカナダそして内陸の南アリゾナまで生息地域を広げ、数も増えてきている。特に町の公園や郊外の住宅街に外国種の観賞植物を植えたり、ハミングバード用のフィーダーを掛ける所が増え、しかもアンナハチドリの外来植物の花蜜やフィーダーの砂糖水への適用性が高いこともあって、今では南アリゾナでも一年間見られ、毎日の生活でも大変身近な庭の鳥の一種となった。

吸い口に長い嘴を入れ長い舌でフィーダーの砂糖水を舐めるアンナハチドリ ( Calypte anna ) の雌
英名 " Anna's " の由来は19世紀のイタリア侯爵夫人の名前。ハミングバードは蜜を吸うことが出来ないので、長い嘴を花やフィーダーの吸い口に差し込んで、長い舌の先にある薄い膜で蜜を捉えて舐める。舐める速さは大変早く、一秒間に13回という早業である。

アンナハチドリの雌が綿のような植物の繊維と蜘蛛の糸を混ぜて巣作りをする。
3月10日、アンナハチドリの雌が巣材を運んで巣作りを始めたのを確認。巣の周りの淵を作る時は、こうして座ってぐるぐる回りながら作っていく。巣の高さは3センチほどしかない小さなものであるが、一週間で完成させる。

丁寧に嘴で巣の外側を抑え込んでいく
巣作りは雌だけで行い、雄は一切協力しない。木の繊維、鳥の羽毛、動物の毛、小さい枝の欠片、時にはペンキの剝がれた欠片や煙草の紙などを蜘蛛の糸でくっつけていく。巣は地面から2メートルほどの高さで、直径5センチの楕円形をしている。苔の生えた枝のこぶのように見えるので、よくカモフラージュされている。


巣は寝室の窓の前の小さな灌木 ( Butterfly Bush ) に作られた。赤い矢印が巣の場所。
春のこの時期は気候も素晴らしいので、巣のすぐ右側のポーチで朝のコーヒーを飲んだり、昼食を取ったり、夕方には友人たちとワインを飲んだりするのでガヤガヤと騒々しい所であるが、アンナハチドリは一向に気にすることなく、巣作りに励んでいた。

雑だがほぼ巣は出来上がった。しかし、卵はまだ見られない。

3月19日アンナハチドリの雌は卵を産むため巣に座り始めた
ハミングバードは世界で最も小さい鳥のグループで、体長は7.5センチから13センチ程度(アンナハチドリは10センチ)、重さも2グラムから20グラムほどしかない。新世界(アメリカ大陸)のみに生息する鳥で、341種類おり、その内北米で見られるのは21種類である。翼を羽ばたいてる時に「ブーン、ブーン・・・・」と蜂に似た羽音を出すので和名は「ハチドリ」、そして、人がハミングするような音なので英名は「ハミングバード ( Hummingbird ) 」と呼ばれる。
- 2018.06.08 Friday
- ハチドリ(ハミングバード / Hummingbird
- 04:47
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- by シンラン