パティオの花のポットにズアカカンムリウズラの巣 2018年夏 (その1)

ズアカカンムリウズラは南アリゾナ、南カリフォルニアなどアメリカ南西部からメキシコ北部にかけての乾燥した荒地や草原に生息する、新世界(アメリカ大陸)のウズラの仲間である。全長28センチ、日本のウズラ ( Coturnix japonica ) よりずっと大きく、コジュケイ ( Bambusicola thoracica ) よりもさらに大きい。翼は丸くて短いので飛ぶより歩くのが得意である。しかし、危険が迫った場合は翼を素早く羽ばたかせその「力」で思いっきり飛び、ゆっくりと滑空してグラウンドへ下りて逃げて行く。

庭の高い塀の上を歩くズアカカンムリウズラ雄
繁殖期になると、群れを離れた雄と雌がペアーとなって行動する仲睦まじい姿が見られる。雄は庭でエサ取りする雌を常にエスコートするために高い所から見守っていることが多い。雄は頭が鮮やかな赤茶色で黒い顔、そして頭から突き出した「涙」の形をした羽毛が大変愛嬌がある。雄のコールの良く響く「コケッコー」は " Sound of the Desert " と言われ親しまれている。古い映画、西部劇の背景音には必ずこの鳴き声が入っていたのを思い出す。英名 " Gambel " (ギャンベル)は19世紀の博物学者の名前からとられた。

屋根の上から庭を見下ろすズアカカンムリウズラの雌
4月に入ると、雄と雌のペアーが一緒に二羽でテリトリーの家の周りや庭をよく歩き回り、時には高い屋根に上がって巣を作るのに適した場所を探したり、周りの安全性、外敵(鷹、ボブキャット、コヨーテ、ヘビ)の動きを何日間も掛けてよーく観察している。

ズアカカンムリウズラが巣を作ったパティオのポット(赤い矢印)
ズアカカンムリウズラは小さな灌木の根元やよく茂った大きな草の根元に巣を作るが、時には人家の庭の大きい花のポットに巣を作ることが結構ポピュラーなようである。今夏、我が家のパティオのエレファントツリーが植えられてる大きなポットの中に巣を見つけ大変驚いた。しかもその場所は家の中から出入りするドアーの真横で、夜はランプの光に照らされる明るい所だから、なおさら信じられなかった。

パティオで談笑してる我々を横目で見ながら少しづつ巣に近づいて来るメス
パティオは朝コーヒーを飲んだり、時には昼食を取ることもあり、夕方には友人達と大声で歓談することもちょくちょくある我が家の生活圏であるが、雌親は一向に気にせずびくともしないで近くまで寄って来る。雌が巣に座り始めた最初の頃、巣があることに気が付かずじょうろで上から水を撒いた時はさすがびっくりしてバサバサ・・・と飛び上がって一気に庭の外へ飛んで行ったが、数分後には巣に戻って来て何事もなかったかのように再び座り始めていた。

巣のあるポットに飛び上がった雌
雌がエサ取りのため巣から離れる動作が面白い。エサ取りに巣を離れる時は、巣から一気に飛び立ち真っ直ぐ100メートルぐらい平行に飛んで大きな木の高い枝にダイレクトに止まる。エサ取りが終わって巣に戻って来る時は、周りを警戒しながらゆっくり歩いて巣に近づき、安全を確かめた上でヒョイッとポットに上がって座り始める。

巣に座り始めた雌
ズアカカンムリウズラの巣は非常にシンプルで、ポットの土を少し掘って窪地を作り、そこへダイレクトに卵を産んでいた。雌が巣に座ってる時間は、最初のまだ卵がない間は昼の短い時間だけで、夜は巣を離れ庭から出て行って近くの大きな木の根元で寐ているようだった。卵が産まれるとさすが夜はずっと座っていた。エサ取りは朝、午前中、午後、夕方の寝る前の4回で、それぞれ1時間ぐらい巣を留守にする。
- 2018.09.17 Monday
- 庭を訪れる鳥たち(南アリゾナ)
- 05:49
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- by シンラン