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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その4)最終

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    コスタハチドリの雛眠る

    大雪が降った一週間後の3月5日(2019年)、生き残った一羽の雛は無事大きく育って、暖かい春の陽に当たり気持ち良さそうに眠っていた。

     

    コスタハチドリの成鳥は低い気温に耐えられる体の機能を持っている。夜、気温が低くなると心拍数を低く落とし、体温を下げて " torpid " と呼ばれる休眠状態となる。通常の心拍数は1分間に500回から900回であるが、休眠状態の時は1分間50回まで落ちる。そのため零下5度近くまでは耐えられる機能を持っている。それにしても、あの大雪の中を耐え忍んだこの生き残りの雛一羽、その強靭さには驚く。

     

     

    雛にエサを与えるコスタハチドリ雌親 1

    雛にエサを与えるメス親

     

    メス親が雛に与える主たるエサは花蜜と小さな虫で、ソノラ砂漠では少なくとも22種類の花に来て花蜜を舐める。その中でも特に好む花はチュパロサ ( Chuparosa ) とオカティーヨ ( Occotillo ) である。花の上でホバリングしながら嘴を花に差し込んで花蜜を舐めて喉の袋に溜め、そして空中を飛ぶ小さな虫をフライングキャッチし、それを混ぜ合わせて雛に与える。

     

     

    雛にエサを与えるコスタハチドリの雌、2

    雛の口の奥深く嘴を差し込んでエサを流し込むメス親

     

    ソノラ砂漠で繫殖する一部のコスタハチドリは、秋に砂漠を離れて太平洋沿岸沿いや花の多い地域に移動する。しかし、近年フィーダーを庭に置く家が多くなったので渡りをせずに真冬でも砂漠に残っており、我が家の庭でも一年中見られる。

     

     

    巣で休むコスタハチドリ親子

    午前10時を過ぎると、雌親は早朝のエサ与えが終りひと段落、満腹でウトウトする雛の横でゆっくりくつろぐ。

     

     

    巣立ち前日のコスタハチドリ雛

    巣立ち前日の3月11日、雛はすっかり大きくなってメス親と変わらない顔と姿である。警戒心もかなり強くなって、私が右へ左へ動くと,顔を右へ左へ回してこちらを見ている。

     

     

    巣の淵に這い上がったコスタハチドリ雛

    3月12日の早朝、雛は巣から体を乗り出して巣の淵に登り、いよいよ巣から離れる準備をし始めた。

     

     

     

    巣を離れたコスタハチドリ雛

    30分後、雛はいよいよ巣から隣の枝へ飛び移った。たった1メートルほどの移動だが、初飛びというより初ジャンプであった。

     

     

    巣立ちして最初のエサを貰う雛

    巣を離れて初めてメス親からエサを貰う雛

     

     

    雛に近づくコスタハチドリ雄 1

    雛が巣を離れて3時間後、突然どこからともなくコスタハチドリの雄が現れ、興奮して頭を紫色に輝かせて雛の周りをホバリングしながら飛び回った。

     

    雛の世話をするのは全てメス親だけで行い、しかも一夫多妻なので雄親は巣の周りからさっさと姿を消していた。巣立ちしたばかりであるが、雛はメスなので雄は Mating の相手と思い興奮して頭と喉、ジョーゼットを膨らませ紫色に輝かせて求愛行動をしたのだろう?・・・と思われた。

     

     

    雛に近づくコスタハチドリ雄 2

    5分間ぐらいの短い時間であったが、コスタハチドリの雄は何回も雛をチェックしていた。

     

    雛の周りを飛び回っていた雄は雛が知らん顔して反応がないのでやがて飛び去って行った。コスタハチドリのコートシップディスプレー(求愛飛行)は非常に激しく、メスの周りをぐるぐる回り上空へ真っ直ぐ飛び上がって広いU字型で急降下する。しかも金属光沢する紫色のジョーゼットをメスに効果的に見せられるよう陽に当たるアングルで行う。そして枝に止まってるメスの僅か2.5センチ以内の近さを猛烈な勢いで通り過ぎて、広い”U”字形を描くようにして又急上昇して行く。それと同時にハイピッチの口笛のような声で鳴く。

     

     

    チュパロサに止まるコスタハチドリ雛

    成鳥のメスとほとんど同じ大きさと色になった巣立ちして一週間後のコスタハチドリ雛

     

    雛にとって自分でホバリングしながら花の蜜を舐める動作は大変難しい。メス親の動作を見よう見まねで試みるが、すぐ疲れるらしく小さな枝に止まって休むことが多い。無事に大きくなって、庭で親と同じように彼女もまた巣を作って子育てしてほしい…と願う気持ちでシャッターを切った。飼育下でのコスタハチドリの一番長生きしたのは「14年」という記録がある。あの大雪の中、懸命に生き残った雛である、無事巣立ってくれた姿を見ると感無量である。


    コメント
    なぜか私の手元にある鳥のガイド本は
    「フィールドガイド日本の野鳥」高野伸二

    「Birds of Arizona Field Guie」by Stan Tekiela
    という二冊です
    後者はあまり開いたことがなかったのですが
    これからこれを見ながら確認していきます
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