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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その3)

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    クロツキハエトリ横向

    水の上を飛ぶ虫を狙うクロツキヒメハエトリ ( Black Phoebe )

     

    チュマカコリ公園内には乾燥した南アリゾナの砂漠地帯では数少ない年間を通して流れる川 ( Santa Cruz River ) があり、ハエトリやタイランチョウ類の " Flycatcher " が渡りの時に多く来園してエサ取りをして行く。

     

     

    クロツキハエトリ後向

    クロツキヒメハエトリ ( Sayornis nigricans )

     

    体の長さ17センチ、日本のヒバリ ( Alauda arvensis ) と同じ大きさである。北米では唯一の黒いハエトリで、真っ黒なボディーに白い腹、小ざっぱりしたダンディーな鳥である。テキサスからアリゾナ、カリフォルニアの南でほぼ一年中見られる。川や池など水の上に張り出した低い枝に止まって、ゆっくり尾をポンプのように上げたり下げたりしながら水面上を飛ぶ虫を探す。

     

     

    クロツキハエトリ捕虫

    大きな虫を捕らえたクロツキヒメハエトリ

     

    主たるエサは虫で、川岸の低い枝にじっと止まって飛んでる虫を探し、見つけると素早く飛び出して空中でフライングキャッチする。また、時には水面に浮かんでる虫や小魚を捕ることもある。近年その数が増えてきており、人が住む所にも現れるようになったが、庭のフィーダーにはけっして来ない。数が増えてる要因の一つは、彼らが町の水再生処理場やゴルフ場、公園の池などの周りまで営巣場所を拡大していることにある。そして、最近では町のビルの庇や橋桁などに泥で作られた巣が見られるようにもなった。

     

     

    ベニタイランチョウ雄と雛

    ベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher ) の親子(雄と雛)

     

    英名は赤い色の「朱色」、" Vermilion " から付けられた。北米では " Flycatcher " の多くが茶色やウグイス色の地味な色であるが、ベニタイランチョウは鮮やかでカラフル。特に新緑の中で見る姿は大変美しく、南アリゾナでは人気の鳥の一種である。体の長さ15センチ、日本のシジュウカラと同じ大きさ。主に南テキサスから南アリゾナ、メキシコ、中南米にかけて生息しており、南アリゾナのソノラ砂漠では近年その数が増えてきている。彼らは乾燥した砂漠や草原で川の流れや人工の運河、池などがある場所を好む。比較的目立つ低い枝にじっと止まって空中を飛んでる虫を探し、見つけると飛び出して空中で飛びながら捕らえるので見つけやすい。

     

     

    雛にエサ与えるベニタイランチョウ

    雛にエサを与えるベニタイランチョウ雄 ( Pyrocephalus rubinus )

     

    主たるエサは昆虫であるが、特にミツバチを好んで捕食する。消化出来ない部分は「ペリット」の形で吐き出す。雌は年に2回繫殖するので、2回目の巣作り、産卵に入ってる間(7月・8月のモンスーン期)は雄が雛を連れてエサ与えなどの世話をする。ベニタイランチョウの雄の求愛行動は大変派手で特徴がある。木の高い所から体の羽毛、頭の羽全て膨らませ嘴を上に向けて空中を垂直に飛びながら上昇し、ホバリングしながら囀り、そして尾を広げゆっくり羽ばたきしながらメスのいる枝に降りてくる。

     

     

    Pacific-slope Flycatcher

    キノドメジロハエトリ ( Pacific-slope Flycatcher / Empidonax difficilis )

     

    体の長さは14センチでスズメと同じ大きさ。頭から背中にかけて緑掛かった薄茶色で、喉と腹から下が薄い黄色の特徴のないFlycatcher である。以前は " Cordilleran Flycatcher / Empidonax occidentalis " と同種で " Western Flycatcher " と呼ばれていたが、1989年2種類の独立種に分けられた。しかし、フィールドでの識別は大変難しく、目だけに寄る識別はほとんど不可能に近いので鳴き声のみでしか見分ける方法はない。冬はメキシコで過ごし、夏に主にカリフォルニアからカナダまでにかけての太平洋沿岸で営巣する。南アリゾナには春秋の渡りの時だけ通過する。

     

     

    Willow Flycatcher

    メジロハエトリ ( Willow Flycatcher / Empidonax traillii )

     

    北米では「メジロハエトリ」と呼ばれ、学名 " Empidonax " と言われる Flycatcher が11種類見られる。頭から背中にかけてはウグイス色から薄茶色で白いアイリングが特徴であるが、どれもこれも非常によく似ていて、鳴き声に寄る見分けが不得意のバーダーは識別に大変苦労する。そのため初心者、時には中級のバーダーでもこれらの Flycatcher を見つけると名前が判らず、学名を短くして「エンピ ( Empi ) 」を見たと報告する人が多い。所謂バーダー泣かせの鳥でもある。メジロハエトリ ( Willow Flycatcher ) は特に鳴き声に特徴があり、クリアーな囀り「フィッツビュー ( fitz-bew ) 」は一度聞くと忘れられない。この鳥も昔はキタメジロハエトリ ( Alder Flycatcher / Empidonax alnorum ) と同じ種類で " Traill's Flycatcher " と呼ばれていたが、1980年代に入ってそれぞれ2種類の独立種に分けられた。

     

     

    Swainsons Hawk

    アレチノスリ ( Swainson's Hawk / Buteo swainsoni )

     

    体の長さ53センチ、日本のノスリより少々大きい。チュマカコリ公園では秋の渡り時にハネビロノスリ ( Broad-winged Hawk / Buteo platypterus ) と群れで飛ぶ姿を見かける。毎年18000キロから27000キロの大変長い旅をするので、南米のアルゼンチンまで渡って行く個体もいる。渡りの時は、大きな群れで何日間もエサを食べないで旅が出来る。南アリゾナでは乾燥した荒れ地や草原、牧草地、農地などで見られる。主たるエサはバッタや毛虫などで、グラウンドを走りながら虫を捕らえる。また、鷹なのに空中を飛んでる虫を捕らえるのが上手い。繁殖期だけはネズミやヘビ、ウサギ、ジリス、鳥などを捕らえて雛に与える。時にジリスの巣穴に歩いて忍び寄りで近づきハントすることもある。

     

     

    オオアメリカムシクイと風景

    倒木に止まるオオアメリカムシクイ ( Yellow-breasted Chat )

     

    オオアメリカムシクイは体の長さ19センチ、日本のシメ ( Coccothraustes coccothraustes ) と同じ大きさである。ほとんどのアメリカムシクイ ( Wood Warbler ) が大きさ11センチから15センチと小さいので、オオアメリカムシクイの大きく太くて丸い体、しかも太い嘴と長い尾の特徴からして、とてもアメリカムシクイの仲間とは思えない。しかし、近年のDNA鑑定でもれっきとしたアメリカムシクイであることが証明されている。

     

     

    私を見るオオアメリカムシクイ

    頭上の枝から覗き込むように私を見るオオアメリカムシクイ ( Icteria virens )

     

    オオアメリカムシクイはほぼ全米で見られるポピュラーなアメリカムシクイであるが、繁殖期以外は臆病でコソコソ葉の密に茂った灌木の中に隠れじっとしているので非常に見つけにくい。唇で鳥の鳴き声のような「ピシピシピシ・・・」という音を出すと、時には見える枝先に出てきてこちらをチラッと見て、すぐ葉の中に隠れてしまうことがある。このアメリカムシクイがよく見れるのは繁殖期で、開けた枝に出てきて大きな声で騒々しくテリトリーソングを歌う。また、ホバリングしながら囀ることもあり、そして嘴と頭を上に向けて尾を上下に動かしながら空中を上がって行き、ゆっくり翼を羽ばたかせて降りてくる仕草を繰り返すので大変見易い。

     

     

    オオアメリカムシクイ囀る姿

    枝先でうるさく鳴くオオアメリカムシクイ

     

    オオアメリカムシクイは姿だけでなく囀りが独特で、とてもアメリカムシクイの仲間とは思えないほど変わっている。口笛のような「フィーフィーフィー…」から始まって、「ギーギーギー・・・」という金切り声、猫のような「ニャオー」そして「キョキョキョ・・・」、「ゲッゲッゲッ・・・」などを混ぜ合わせてゆっくりけたたましく、しかも滝のように囀りを降り注ぐ。まるで不協和音の即興ジャズのようで変化に富んで単純な節まわしの歌である。英名の " Chat " は「お喋り」という意味の " Chatting " から付けられた。

     

     

    セミ

    一斉に鳴き出すセミ ( Ground Western Cicada / Tibicen dorsata )

     

    夏のモンスーン期に入ると南アリゾナは激しい雷雨の日が多くなり、チュマカコリ公園もしっとりと草木が濡れ、セミが大量に発生する。一匹が鳴き始めると一斉に全員が加わり大合唱となる。「ジー・・・」という大きな声に林が包まれ、鳥の囀りも一切聞こえなくなる。南アリゾナは春・夏と年に2回営巣する鳥が多く、このセミは彼らの雛の重要な蛋白質源となる。


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