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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(下)

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    トレールを歩くヒラモンスター

    春の早朝、トレールに出てきたアメリカドクトカゲ ( Gila Monster ヒラモンスター)

     

    暦の上で彼岸の中日である「春分」を過ぎ、大地が暖まってくると土の中の虫やトカゲ、ヘビなどが穴を開いて地上に出て来る。普段ほとんど見ることが出来ないアメリカドクトカゲも陽気に誘われメスを求めて日中に歩くので、時々出会えることがある。英名 "Gila Monster " (ヒラモンスター)の由来はアリゾナの北のヒラ川 ( Gila River ) にあり、「ヒラ川の怪物」という意味である。

     

     

    スティックに嚙みつくヒラモンスター

    ハイキング用スティックに嚙みつくアメリカドクトカゲ ( Heloderma suspectum )

     

    アメリカドクトカゲは主にアリゾナとカリフォルニアの乾燥した砂漠や荒れ地、特に大きな岩が多い荒涼とした斜面に生息する。2亜種がいるが、南アリゾナ・ソノラ砂漠で見られるのはアミメアメリカドクトカゲである。体長は40センチ以上あり、北米では一番大きなトカゲで、丸くて太い胴体をして丸くピンク色したビーズに似た鱗に覆われていて大変美しい。唯一毒を持つトカゲで、噛まれると激しい痛みと吐き気をもようすが、大人の場合は噛まれても死に至ることは稀である。しかし下顎の力は非常に強く、指を噛まれるとちぎれてしまうので、うっかり手や足を出すと大変なことになる。

     

     

    岩場のヒラモンスター

    繁殖期なのでメスを探し求めて歩くアメリカドクトカゲ

     

    一年の90%以上を地中の穴で暮らすアメリカドクトカゲ。地上に出てきて昼間でも活発に動くのは春の繁殖期の3週間ぐらいだけである。主にトカゲやヘビなど爬虫類の卵、鳥の卵や雛、小さな鼠などの哺乳類を食べるが、太い尾に脂肪を蓄えることが出来るので、4回から5回ぐらいの捕食で一年間過ごすことが出来る。のっしのっしとゆっくり歩くことが多いが、危険を感じると突然素早く動き始め、口を開けて「ハーハー」という噴気音をあげて威嚇することがある。ペット用(日本にも輸入されてる)として乱獲されたので、その生息数が減少しており、アリゾナ州では捕獲したり殺したり、飼育したりする事は州法で厳しく禁じられてる。

     

     

    交尾中のトロピカルバックアイ蝶1

    交尾中の蝶 " Tropical Buckeye " 上がオスで下がメスと思われる。

     

    ソノラ砂漠で春一番に見る蝶が " Tropical Buckeye " ( Junonia evarete )  である。ポピーが咲き出す2月初めには花畑を乱舞する姿が見られる。タテハチョウの仲間で別名 " West Indian Buckeye " " Florida Buckeye " とも呼ばれている。南フロリダから南テキサス、南アリゾナの地域のみに生息しているので、数は多くない。特徴である大きな目玉模様は捕食者であるタイランチョウやハエトリなど空中を飛んでる虫を食べる鳥たちを驚かすので大いに役立っている。

     

     

    交尾中のトロピカルバックアイ蝶2

    トロピカルバックアイ蝶 ( Tropical Buckeye ) はウイングスパン6センチの中型の蝶で、ちょくちょくグラウンドに降りて翅を広げてくれるので双眼鏡でゆっくり観察出来るが、フィールドで交尾する姿を見るのはなかなか難しい。

     

     

    コモンバックアイ蝶

    Common Buckeye (コモンバックアイ蝶 / Junonia coenia ) はトロピカルバックアイ蝶と非常に似ている。

     

    コモンバックアイ蝶は全米の広い地域で見られるポピュラーな蝶であるが、アリゾナではトロピカルバックアイ蝶の方が数が多い。この2種は大変よく似ていて、長い間同種と思われていた。大きな違いはコモンバックアイ蝶の大きな2つの目玉模様の周りの縁どりが白で目立つ、一方トロピカルバックアイ蝶の方は茶色でボヤーとした感じに見える。

     

     

    風景 水の流れ

    春にしか見られないソノラ砂漠の水の流れ。このテンポラリーの川は春が終わってドライサマーに入ると、乾ききって水が全くない "Dry Wash " と呼ばれる小石混じりの砂地となってしまう。

     

     

    囀る姿ロードランナー

    ポピーの花が咲き出すと、オオミチバシリ ( Great Roadrunner / Geococcyx californianus ) が岩の上や高い木の枝で囀り始める。

     

    ロードランナーは砂漠地帯に生息するアリゾナでは大変ポピュラーな鳥で、大きな足でグラウンドを歩きまわったり、時速30キロ以上のスピードで走ったりする。アニメやロゴマークによく使われるアメリカでは馴染み深い鳥で人気者でもある。カッコウの仲間であるが,他のカッコウの様に托卵はしないし頻繁に囀らない。ワイルドフラワーが咲く春の繁殖期には,低い声で「クークークー・・」と最後が消えるように下がっていく短くて冴えない囀りを繰り返す。フィールドでは風向きに寄ってよく耳をそばたてないと聞こえないほど小さい声である。

     

     

    サワーロサボテンで囀るサボテンミソサザイ

    サワーロサボテン ( Saguaro ) の天辺でメスを従えて高らかにテリトリーソングを歌うサボテンミソサザイ ( Cactus Wren / Campylorhynchus brunneicapillus )

     

    南テキサスから南アリゾナにかけての砂漠地帯に生息する。特にサボテンの多いソノラ砂漠は数が多く、庭の鳥でもある。フィーダーにはあまり来ないが、グラウンドで虫探しをしたり、ちょくちょく庭のパティオに入って来て壁や窓枠、窓のスクリーンなどに居る蛾や蝶、昆虫を捕っている。頭が良いのか、パティオではテーブルに飾ってある造花の中に顔を突っ込んで丹念に虫探しをしてる姿や、壁に掛けてある装飾品や温度計を突っついて,裏側に居る虫を落として食べてる姿も見かける。体長22センチで日本のミソサザイの2倍はある大きさで、しかも囀りは「ギョギョギョ…」と悪声であり、姿と囀りといい,とてもミソサザイとは思えない。

     

     

    ルーシーアメリカムシクイ

    3月に入ると春たけなわとなり、「砂漠のアメリカムシクイ」と呼ばれるルーシーアメリカムシクイ ( Lucy's Warbler / Vermivora luciae ) が中南米から戻って来て囀り始める。

     

    主にアリゾナの砂漠で水の流れがあるメスケ ( Mesquie ) の低木を好み、春一番に囀るのでワイルドフラワー畑でルーシーアメリカムシクイの初音が聞こえてくると、まさに春を感じる。渡り鳥の中でも、一番早く戻って来て一番早く去って行ってしまう。

     

     

    ベルズモズモドキ

    モズモドキの中で一番早く中南米から戻って来て囀るベルズモズモドキ ( Bell's Vireo / Vireo bellii )

     

    ベルズモズモドキは中南米から大変早く南アリゾナに戻って来て、2ヶ月近く砂漠で囀り、5月になるとやっと営巣地の北へ移動して行く。葉の茂った低い灌木の中でエサ取りをするのと、色に特別な特徴がない地味な鳥なので見つけ難いが、鳴いてくれると特徴のある歌なので直ぐに識別出来る。多くのモズモドキと同じように、囀りは単調な一本調子でただ「ジュルジュルジュル・・・」という歌で、これを延々と続ける。朝早くから炎天下の暑い日中でも繰り返すので、しまいには耳障りになってくることもある。托卵鳥であるコウウチョウ ( Cowbird ) の托卵先の鳥なので、その被害が大きく総数が減少してきている。

     

     

    ベニタイランチョウ

    タイランチョウの中では春一番に囀るベニタイランチョウ ( Vermilion Flycatcher / Pyrocephalus rubinus

     

    主に南テキサスと南アリゾナに生息するタイランチョウで、ソノラ砂漠では営巣する数が多い。ほとんどのタイランチョウはくすんだ茶色で地味であるが、ベニタイランチョウはまさに和名「ベニ」そのもので、鮮やかな紅色なので派手で美しい。スズメより少し大きい。3月に入ると早くも求愛飛行が始まり、翼をひらひらさせながらヒバリのように上昇し、囀りながらゆっくり平行飛行する姿は見ていてウキウキする春を感じる。

     

     

    サワーロサボテンの花とハジロバト

    巨大サボテン、サワーロ ( Saguaro ) の花の蜜を吸うハジロバト ( White-winged Dove / Zenaida astiatica )

     

    ワイルドフラワーが終わりになり、草や木の芽が若葉となる4月に入ると、いよいよソノラ砂漠の象徴サワーロサボテンの天辺や枝先に白い蠟細工のような花が咲き始める。花蜜が甘いので色々な鳥や蜂が集まって来る。なかでも春の終わりに渡って来るハジロバトはこの花が大好きで、よく花に嘴を入れてるのが見られる。ハジロバトはサワーロサボテンにとっては花粉を媒介してくれる重要な鳥でもある。ハジロバトはナゲキバト ( Mourning Dove / Zenaida macroura ) と同じ仲間であるが姿は全く異なる。体長は日本のキジバトより少し小さい。よく通る声で「ポッポーポッポー」と一日中鳴いてる。聞きなしは " Who - cooks - for - you " で、「君のために誰が飯を作るの?」という意味である。


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