title





米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

大変身近な我々の生活圏で暮らすフクロウたち (その2)

0

    サワーロの巣に座るワシミミズク雌

    巨大サボテン Saguaro (サワーロ)の天辺の巣に座るアメリカワシミミズクの雌 ( Great Horned Owl )

     

    アメリカワシミミズクの営巣は大きな木から小さな灌木、サワーロサボテン、時にはグラウンド、そして巣箱も利用する。南アリゾナ・ソノラ砂漠は大きな木が少ないのでサワーロサボテンに営巣する例が多い。幹から大きな枝が何本も枝分かれしてる根元に枯れ枝を敷いて作られるが、写真の巣は先が折れて無くなった平らな天辺にあり、砂漠の強い太陽の光を遮る陰が全く無い少々お粗末な巣である。

     

     

    風景ーワシミミズクの巣がある環境

    並んでる家のすぐ前、ワシミミズクの巣(赤矢印)があるサワーロサボテン

     

    私が住んでるコミュニティの中にある小さな野生生物保護区のサワーロサボテンの巣に、アメリカワシミミズクが座ってるのを4月9日に見つけ、家から歩いて10分ぐらいの近場なのでさっそく観察、撮影を開始した。この保護区はメキシコ種のアカスズメフクロウ ( Ferruginous Pygmy Owl )の保護のため自然の形で家の周りに残されている。一般には解放されてないのでコミュニティに住む人々が管理費を支払い、一切人工物を設置しないソノラ砂漠の自然そのままを維持している。トレールは整備されてるが住人だけに自然探索が許されてるので、動物や鳥が豊富な静かな保護区となってる。

     

     

    サワーロ花と眠るワシミミズク

    5月初旬サワーロサボテンの白い花が咲き出し、初夏の爽やかな風を受けて気持ち良さそうに眠るアメリカワシミミズクの雌 ( Bubo virginianus )

     

    アメリカワシミミズクは1月から3月ぐらいまでの寒い時期に卵を産み雛を育てるので、この巣は季節的に非常に遅い。昨年、この同じコミュニティ内でしかも家の玄関前の木で雛3羽を育てたワシミミズクを観察、撮影したが、彼らは人の動きなどあまり気にしないようだ。大型フクロウには珍しく、人家近くで営巣したり庭でエサ捕りや昼寝をすることがある。

     

     

    サワーロ満開の花とワシミミズク

    サワーロサボテンの満開の花とフクロウの組合せ、実はなかなか見られない珍しい構図である。

     

    サワーロサボテンの花が咲く初夏に、フクロウがまだ巣に座って抱卵してるのは非常に珍しい。推測するに昨年生まれたまだ若い初めて繫殖行動を経験する雌と思われる。ワシミミズクは大変ソフトな羽に全身包まれていて非常に寒い冬にも耐えられるようになっており、音もなく静かに飛んで獲物に近づくことが出来る。その代り暑さにはあまり強くなく、雛にとっての夏の日差しは堪えると思う。

     

     

    尾が巣からはみ出てるワシミミズク

    巣が少々小さすぎるらしく、尾が外へはみ出してしまう

     

    アメリカワシミミズクは立っていると身長は64センチ近くもある。彼らの大きな耳のような羽角はボディーランゲージを伝えるのに使うことがある。イライラしてる時は平らになってる、そして警戒して何かを知ろうとしている時は真っ直ぐに立っている。

     

     

    親の胸から顔を出すワシミミズク雛

    5月21日雌親の胸からやっと顔を出した雛。観察し始めて丁度6週間、やっと雛の姿を見ること出来た。

     

     

    親の尾の下から顔を出すワシミミズク雛

    雌親の尾の下から顔を出す雛、暑いので口を開けてハーハーしている。既に5月下旬に近いドライサマーの日々、日中の気温は35度近い暑さである。

     

     

    親と並んで私を見るワシミミズク雛

    大分大きくなった雛、雌親と並んでこちらをじっと見つめている。

     

    アメリカワシミミズクの雛に与えるエサはワタオウサギやネズミ、カエル、昆虫などである。彼らは大変気性が荒々しく、獲物捕りは非常にパワフルで、自分より大きいスカンクやボブキャットなども狙う。時には猛禽類のミサゴやハヤブサ、他のフクロウなども襲ってエサとすることもある。又大変小さいサソリや虫なども食べる。短くて幅の広い翼は、森や林の中の木々の間を巧みに飛ぶことが出来る。獲物を掴む時は背骨も切り裂いてしまう程の鋭く強力な爪を使い、11キログラムに近い大きな獲物を持ち上げることが出来る。

     

     

    親にくっついて欠伸するワシミミズク雛

    眠ってる雌親にぴったりくっついて大欠伸をする雛。夜行性なので昼はほとんど眠っている。

     

     

    親に話しかけてるワシミミズク雛

    雛が一生懸命雌親に語り掛けてるように見える。

     

     

    スナップ巣の写真を撮る友人

    巣上のアメリカワシミミズク親子(赤矢印)の写真を撮る同じコミュニティに住む友人

     

    巣が家の近くでしかも人々が朝夕散策するトレールの横にあり、まさに我々の生活圏の中で彼らも暮らしている。この巣に座ってる雌親は、1月ごろから毎夜明け方によく我が家の屋根上でオスと鳴き合っていたので非常に親しみがわく。オスは太い声で、、雌は高い少し細い声で「ホッホ・ホーホー」と鳴き合う。時には寝室の真上で夜明け直前の5時頃から30分近くも鳴き合あうこともあり、起こされて寝不足となりふらふらするが、何となく彼らと一緒に暮らしてる喜びの方が大きいので満足感に浸れる。

     

     

    目を大きく開けて私を見るワシミミズク親子

    巣の真下に散歩の犬が近づいたので雌親、雛共に大きく目を開けて少し警戒し始める。

     

    彼らは雛の時から大きな目を持っている。暗くなると更に大きく開ける。しかしこの大きな目は眼窩の中に固定されてるので左右、上下とも動かせない。その代り首の特殊な脊椎のおかげで頭をぐるりと270度回すことが出来る。そして非常に音に敏感で鋭い。顔面に音波をダイレクトに捉えるディスクがあり、夜の暗闇の中でもちょっとした小動物の動きをキャッチすることが出来る。

     

     

    欠伸するワシミミズク親子

    昼近くになってくると、雌親、雛共に眠くなり大欠伸をする。

     

     

    頭を垂れて眠るワシミミズク雛

    5月28日雛が少々弱って来てる様子、しかも頭を垂れて眠ってる姿が見られたので心配になる。

     

    5月末ともなると、爽やかな初夏も終わって日中は真夏に近い気候となり気温も高くなる。そして今年の夏は記録的な暑さで5月に入って35度近い日が続くこともあり、密な羽毛に全身覆われてる雛にとっては大変厳しい毎日となった。そもそも雌親の産卵が4月中旬と砂漠では非常に遅すぎたので、雛が育つには厳しすぎる状況となってしまった。雛は5週間程で巣立ちするが。飛べるまでは9週間から10週間掛かり、オス親と雌親からエサを貰うのは数か月間続く。しかし、雛はよく巣から落ちることがあり、落ちても親鳥はグラウンドに居る雛にエサを与えて安全な場所へ誘導することが多いらしい。翌々日5月30日巣のチェックへ行くと、巣は空っぽで雛の姿、雌親の姿も全く見られなかった。想像するに雛は連日の猛暑に耐えられず弱ってしまい巣から落ちてしまって他の動物のエサとなったかもしれない。一か月半観察した雛の死は大変ショックだった。自然の中で生きていく厳しさをまたまた強く感じることになった。


    コメント
    こんにちは。
    サボテンの上での子育て!初めて見ました。
    とても不思議な気分です。
    貴重なお写真ありがとうございます。
    日本もだいぶ涼しくなりましたよ。
    • せき
    • 2020/10/15 3:18 PM
    せきさん コメントありがとうございます。サボテンに巣を作るフクロウはワシミミズクとサボテンフクロウ(Elf Owl)ですが、サボテンフクロウは完全な夜行性とサバクシマセゲラ(Gila Woodpecker)の巣穴を利用しますので、産卵、育雛を見るのは難しいです。
    • 藤波
    • 2020/10/24 2:59 AM
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
    << October 2020 >>

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    • 大変身近な我々の生活圏で暮らすフクロウたち (その2)
      藤波
    • 大変身近な我々の生活圏で暮らすフクロウたち (その2)
      せき
    • チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その4)最終
      藤波
    • 春のワイルドフラワーと生き物たち カタリナ州立公園 2020年(上)
      imakarayarou
    • チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その4)最終
      imakarayarou
    • チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その1)
      藤波
    • チュマカコリ国立歴史公園 南アリゾナ (その1)
      imakarayarou
    • 雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その4)最終
      imakarayarou
    • 雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その3)
      藤波
    • 雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その3)
      imakarayarou

    links

             

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode