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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その2)

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    アンナハチドリ最初の卵

    アンナハチドリの雌が巣に座り始めて3日後1月24日、まず最初の卵が産まれる。卵の大きさは長さ1.3センチ横幅77ミリでピンポン玉より小さい。雌親が体長たった10センチと小さいので卵も超小型である。

     

     

    アンナハチドリの巣の小灌木

    アンナハチドリが巣(赤丸)を作った小灌木 ( Butterfly Bush )

     

    寝室前のこの木はハミングバードがお気に入りの木で、毎年アンナハチドリ、コスタハチドリが交互に巣を作り雛を育てている。巣は地上2メートル半の高さで、冬の終りで葉はまだ茂ってないのでスカスカに見えるが、雛が育つ春にはしっかり葉も茂って巣が隠れるようになり、雛も直射日光から守られる。本能とは言え、葉が茂る日数計算をしながらしっかり巣作り子育てをしていく能力には驚く。

     

     

    アンナハチドリ2個目の卵

    最初の卵が産まれて2日後の1月26日、2個目の卵が産まれる。アンナハチドリは2個から3個の卵を産むが、我が家の庭では3個が産まれた巣は今だ見たことがない。

     

     

    抱卵中のアンナハチドリ

    巣に深々としっかり座って卵を温めるアンナハチドリの雌

     

    抱卵中のアンナハチドリは私が巣の真下でガーディニングや水撒きしようが、また横を通って巣の様子を見ようが、知らん顔でじっとしている。卵が孵化して雛が生まれるまで14日から19日は掛かる。2月初めはまだ南アリゾナの砂漠は日中は暖かくなっても朝晩は非常に冷えることがある。2月2日から4日までの3日間、早朝は2度、日中は7度と寒い日が続いたので心配したが、雌親はフィーダーで砂糖水を舐める短い時間以外はほとんど巣に座り続けていた。花が少ないこの時期にはフィーダーはハミングバードにとって貴重なエサとなる。

     

     

    アンナハチドリ生まれたての雛2羽

    生まれたての雛2羽、巣の中で二列に並んでる。抱卵してから18日目の2月13日、雛は孵化したばかりで、まだ羽もほとんど生えてない黒い体である。

     

     

    アンナハチドリ生れて6日目

    2月19日生まれて6日目の雛。だいぶ羽が生えて嘴もしっかりしている。

     

     

    アンナハチドリ生れて15日目

    生まれて15日目の2月28日の雛

     

    羽もすっかり生えそろって色も付き始め、目もしっかり開いてこちらを見ている。ハミングバードは花蜜を舐めるのに嘴を花の奥深く差し込むため、ホバリング(空中停止)する必要がある。そのため翼は最も重要な体の一部で、最初に大きくなっていく。小さな雛の体には不釣り合いな大きく長い刀のような形をしている。

     

     

    雌親からエサを貰うアンナハチドリ

    メス親からエサを貰う雛。まだ短い嘴を大きく開けて、花蜜やフィーダーの砂糖水に小さい虫を混ぜて流し込んでもらう。

     

     

    雛にエサ与えるアンナハチドリ雌

    エサ与えに忙しい雌親は休まる暇がない。早朝から夕方遅くまで巣に出たり入ったりしている。オスの協力は一切ないので、子育ては全て自分一人でやらなくてはならない、タフなシングルマザーである。

     

     

    巣の中で羽ばたくアンナハチドリ雛

    生まれて19日目の3月1日の雛

     

    すっかり大きくなり巣も手狭になってきたが、時々翼を上げたりしながら羽ばたきに似たまねごとをし始める。雛は日ごとにどんどん大きくなり小さな巣では居心地が悪くなって、自然と巣からはじき出されるように出て行くのが巣立ちなのだろう。雛が巣から離れて行く行程は意外と単純なのだろう。


    ハミングバードの巣作り、ヒナ誕生、巣立ち 2020年春 (その1)

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      アンナハチドリ、蜘の巣に近づく

      クモの巣を見つけ、ホバリングしながら少しづつ近づくアンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) の雌

       

      我が家の庭では3種類のハミングバード(ハチドリ)が毎年巣を作り雛を育てている。「砂漠のハチドリ」と呼ばれるコスタハチドリ ( Costa's Hummingbird ) とノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird ) そして、カリフォルニアの流れ者アンナハチドリである。今回の話の主人公アンナハチドリは、コスタハチドリと同様巣作りが早く、12月に入ると早くも巣作りを始めるペアーもいる。我が家の庭でも今年はまだ冬の真っ只中の1月11日、アンナハチドリが巣材集めを始め、クモの巣に近づく姿が見られるようになった。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の巣に嘴入れる

      クモの巣に嘴を突っ込み糸を取ろうとしてるアンナハチドリ ( Calypte anna )

       

      庭の身近な鳥として見慣れてるハミングバードが、家の壁沿いのグラウンドからたった10センチぐらいの低さの所で、ホバリングしながら何かを探してる姿を最初に見た時は「何をしてるのだろう?」と不思議に思った。双眼鏡で姿をじっくり追って見ると、初めてクモの巣を探していることが判った。クモの糸は多くの鳥が巣作りに使用する重要な材料の一つであることは知っていたが…。まさか小さいハミングバードまでが巣材にクモの糸を使うとは思ってなかった。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の糸引っ張る

      嘴でクモの糸を挟み引っ張ってちぎろうとしてるアンナハチドリ

       

      グラウンドから5センチほどまでの低さまで少しづつ降りて行き、ホバリングしながら空中停止し、クモの糸を嘴で掴んで引っ張る動作はまさに曲芸的な技である。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の糸運ぶ

      クモの糸を好みの長さに切ることはアンナハチドリにとって大変苦労する作業である。ホバリングしながら後ろへバックして糸がほぐれるまで引っ張るので、時には長い糸をそのまま不自由そうに運んで行くこともある。

       

       

      アンナハチドリ、蜘の糸織り込む

      運んできたクモの糸をどんどん巣に織り込んでいき、巣を木の枝に固定していく。

       

       

      アンナハチドリ、巣の底補強

      巣の底まで丁寧にクモの糸を織り込んで補強していく。

       

       

      アンナハチドリ、綿を銜える

      次は小さく軟らかい綿のような物を巣の底に敷いていく。

       

       

      アンナハチドリ、巣の縁を作る

      小さな枯葉を巣の淵に積み上げてクモの糸を絡ませ最後の仕上げに入っていく。

       

       

      アンナハチドリ、座り心地チェック

      巣に座りぐるぐる回りながら巣の中を平らにし、座り心地をチェックしている。

       

       

      アンナハチドリの巣

      ほぼ完成した巣、オスの協力は一切なく、雌一羽で一週間で作り上げた。巣は地上から2メートル半ぐらいの高さにあり、地衣や小さい枯葉と枯れ枝、鳥の羽根をクモの糸で織り込んで作られてる。

       

       

      アンナハチドリ雌

      巣を作り上げ、これから産卵に入る前の一休みするアンナハチドリ雌

       

      アンナハチドリは耐寒性のある小さな鳥(体長10センチ、キクイタダキと同じ)で、太平洋沿岸のカリフォルニアからカナダまでの海岸沿いの狭い地域で年間を通して冬でも見られ、多くのハチドリの様に中南米への渡りはしない。1950年代から繁殖地を北と東へ広げてきており、特に内陸の南アリゾナで数が増えてきている。郊外の公園や住宅地の庭に花や’フィーダーを掛ける所が多くなったのが数が増えた主な理由に挙げられてる。アリゾナで年間を通して見られるアンナハチドリは渡りはしないが、繁殖期が終わる晩春には暑い砂漠の夏を避けるためカリフォルニアの太平洋沿岸へ移動し、夏の終わり頃になると戻って来る。


      雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その4)最終

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        コスタハチドリの雛眠る

        大雪が降った一週間後の3月5日(2019年)、生き残った一羽の雛は無事大きく育って、暖かい春の陽に当たり気持ち良さそうに眠っていた。

         

        コスタハチドリの成鳥は低い気温に耐えられる体の機能を持っている。夜、気温が低くなると心拍数を低く落とし、体温を下げて " torpid " と呼ばれる休眠状態となる。通常の心拍数は1分間に500回から900回であるが、休眠状態の時は1分間50回まで落ちる。そのため零下5度近くまでは耐えられる機能を持っている。それにしても、あの大雪の中を耐え忍んだこの生き残りの雛一羽、その強靭さには驚く。

         

         

        雛にエサを与えるコスタハチドリ雌親 1

        雛にエサを与えるメス親

         

        メス親が雛に与える主たるエサは花蜜と小さな虫で、ソノラ砂漠では少なくとも22種類の花に来て花蜜を舐める。その中でも特に好む花はチュパロサ ( Chuparosa ) とオカティーヨ ( Occotillo ) である。花の上でホバリングしながら嘴を花に差し込んで花蜜を舐めて喉の袋に溜め、そして空中を飛ぶ小さな虫をフライングキャッチし、それを混ぜ合わせて雛に与える。

         

         

        雛にエサを与えるコスタハチドリの雌、2

        雛の口の奥深く嘴を差し込んでエサを流し込むメス親

         

        ソノラ砂漠で繫殖する一部のコスタハチドリは、秋に砂漠を離れて太平洋沿岸沿いや花の多い地域に移動する。しかし、近年フィーダーを庭に置く家が多くなったので渡りをせずに真冬でも砂漠に残っており、我が家の庭でも一年中見られる。

         

         

        巣で休むコスタハチドリ親子

        午前10時を過ぎると、雌親は早朝のエサ与えが終りひと段落、満腹でウトウトする雛の横でゆっくりくつろぐ。

         

         

        巣立ち前日のコスタハチドリ雛

        巣立ち前日の3月11日、雛はすっかり大きくなってメス親と変わらない顔と姿である。警戒心もかなり強くなって、私が右へ左へ動くと,顔を右へ左へ回してこちらを見ている。

         

         

        巣の淵に這い上がったコスタハチドリ雛

        3月12日の早朝、雛は巣から体を乗り出して巣の淵に登り、いよいよ巣から離れる準備をし始めた。

         

         

         

        巣を離れたコスタハチドリ雛

        30分後、雛はいよいよ巣から隣の枝へ飛び移った。たった1メートルほどの移動だが、初飛びというより初ジャンプであった。

         

         

        巣立ちして最初のエサを貰う雛

        巣を離れて初めてメス親からエサを貰う雛

         

         

        雛に近づくコスタハチドリ雄 1

        雛が巣を離れて3時間後、突然どこからともなくコスタハチドリの雄が現れ、興奮して頭を紫色に輝かせて雛の周りをホバリングしながら飛び回った。

         

        雛の世話をするのは全てメス親だけで行い、しかも一夫多妻なので雄親は巣の周りからさっさと姿を消していた。巣立ちしたばかりであるが、雛はメスなので雄は Mating の相手と思い興奮して頭と喉、ジョーゼットを膨らませ紫色に輝かせて求愛行動をしたのだろう?・・・と思われた。

         

         

        雛に近づくコスタハチドリ雄 2

        5分間ぐらいの短い時間であったが、コスタハチドリの雄は何回も雛をチェックしていた。

         

        雛の周りを飛び回っていた雄は雛が知らん顔して反応がないのでやがて飛び去って行った。コスタハチドリのコートシップディスプレー(求愛飛行)は非常に激しく、メスの周りをぐるぐる回り上空へ真っ直ぐ飛び上がって広いU字型で急降下する。しかも金属光沢する紫色のジョーゼットをメスに効果的に見せられるよう陽に当たるアングルで行う。そして枝に止まってるメスの僅か2.5センチ以内の近さを猛烈な勢いで通り過ぎて、広い”U”字形を描くようにして又急上昇して行く。それと同時にハイピッチの口笛のような声で鳴く。

         

         

        チュパロサに止まるコスタハチドリ雛

        成鳥のメスとほとんど同じ大きさと色になった巣立ちして一週間後のコスタハチドリ雛

         

        雛にとって自分でホバリングしながら花の蜜を舐める動作は大変難しい。メス親の動作を見よう見まねで試みるが、すぐ疲れるらしく小さな枝に止まって休むことが多い。無事に大きくなって、庭で親と同じように彼女もまた巣を作って子育てしてほしい…と願う気持ちでシャッターを切った。飼育下でのコスタハチドリの一番長生きしたのは「14年」という記録がある。あの大雪の中、懸命に生き残った雛である、無事巣立ってくれた姿を見ると感無量である。


        雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その3)

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          コスタハチドリ雛孵化

          2月19日(2019年)コスタハチドリの雛2羽が孵化する。全身真っ黒な塊で羽もなく、ハミングバードとはとても思えない。

           

           

          Saguaro と降る雪

          ソノラ砂漠に春の大雪が降る

           

          2月「立春」が過ぎると、ソノラ砂漠は初夏をを思わせる暖かい日が続いたが、2月22日明け方から雪が降り始め一日降り続いてこの時期には珍しい何十年ぶりの大雪となった。ソノラ砂漠を象徴するサワーロサボテン ( Saguaro ) に雪が降り積もる光景は珍しくて美しいが、ハミングバードにとっては厳しい天気で、死活問題となる。

           

           

          雪降るなか巣の雛

          2羽いる雛の巣の上にもドンドン雪が積もっていく。雌親は巣に座るのを諦め、近くの大きな木の茂みに入ってじっとしていた。

           

           

          雪で倒れた枝と巣

          雪は午後になっても降りやまず、ついに雪の重さで巣のある枝が斜めに倒れた。しかも、巣が横向きになってしまったので雛は巣から落ちそうになり、それでも懸命に巣にしがみついていた。

           

           

          雪の中のフィーダーとハチドリ

          積雪で花蜜が取れない雌親は、しんしんと降る雪に中、フィーダーに来て盛んに砂糖水を舐めて体を温めていた。花が少なく花蜜の出が悪い冬は、ハミングバードにとってフィーダーの砂糖水は命綱である。

           

           

          雪降る庭の風景

          夕方近くになっても雪は降り続き、庭木もすっぽり雪に包まれてしまった。

           

           

          庭から見るプリザーブ雪景色

          2月末としては何十年ぶりの大雪も、夕が遅くにはやっと止み、ソノラ砂漠は白一色となった。

           

           

          雪の庭木に止まるハチドリ

          雪が止んだ夕方遅く、巣の近くの枯れ枝に止まりボー然としているコスタハチドリの雌親。

           

           

          雪搔きする留見子

          夕方、雪が小やみになったので巣のある Butterfly Bush の木に積もった雪を払い落とし、横向きになった巣の枝を真っ直ぐ元の位置に戻す。巣の横で「助けてくれ!」と言わんばかりに,じっと我々を見ていたコスタハチドリの雌の姿がとても印象的だった。

           

           

          残ったハチドリ雛一羽

          翌日2月23日、雪はすっかり融けてなくなり、巣は乾いて元の形に戻ったが、残念ながら雛1羽は寒さで死んでしまった。

           

           

          巣に座るコスタハチドリ

          何事もなかったかのように巣に戻って雛を温める雌親

           

          大雪が降った翌日は暖かい春の日差しが戻ってすっかり雪は融けてなくなり、昨日の積雪がウソのような感じがした。寒さで死んでしまった一羽の雛はそのまま巣の底に横たわって、その上に生き残った雛一羽と雌親が座っていた。小さいコスタハチドリには死んだ雛を巣の外へ出すのは不可能なので仕方ないことなのだろう。幸いに冬の乾期なので蠅のような虫はおらず、乾いて巣の底の一部となってしまった。


          雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その2)

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            巣を手直しコスタハチドリ雌

            完成まもない巣の最後の手直しに忙しいコスタハチドリ雌 ( Costa's Hummingbird / Calypte costae )

             

             

            完成した巣に座るコスタハチドリ

            巣を作り始めて10日目、ほぼ完成した巣に座るコスタハチドリの雌、いよいよ産卵も間近である。

             

             

            卵一個産まれるコスタハチドリの巣

            1月31日卵一個が産まれる。卵は白色で縦1センチ少々、幅8ミリと大変小さい。

             

             

            抱卵中のコスタハチドリ

            抱卵中のコスタハチドリの雌、抱卵中のエサ取りは非常に短く、主にフィーダーの砂糖水を舐めては直ぐに巣に戻って来る。

             

             

            巣で眠るコスタハチドリ

            抱卵中に目を閉じて眠るコスタハチドリの雌。巣作り、産卵、抱卵…と雌一羽だけで行なうので疲れるのだろう。

             

             

            向きを変えて座るコスタハチドリ

            卵に温かみが均等にいくよう,一日に何回も向きを変えて座り直す。

             

             

            巣の真下でガーデニングする

            巣の真下でガーデニングをしても、長年にわたる付き合いの信頼関係があるのか?コスタハチドリの雌は知らん顔をしてじっと巣に座ってる。(赤い丸印

             

             

            雨の中抱卵するコスタハチドリ

            冬の冷たい雨の中でも、雌はびっしょり濡れながらしっかり座って卵を温めている。

             

             

            巣の中の卵を転がすコスタハチドリ

            冬の冷たい雨が降る日は気温が日中でも5度以下になることが多く、卵が冷えないよう何回も嘴で転がしては均等に温かみが伝わるように座り直していた。

             

             

            卵2個コスタハチドリの巣

            最初の産卵から一週間後の2月7日、いよいよ2個目の卵が産まれる。ハチドリはほとんど卵は2個で,たまには3個のケースもあるらしいが私はまだ見たことがない。


            雪が舞い氷雨が降る真冬、子育てに頑張るコスタハチドリ (その1)

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              ブッシュに止まるコスタハチドリ雄

              コスタハチドリ ( Costa's Hummingbird ) の雄

               

              「砂漠のハミングバード」と呼ばれるコスタハチドリはアリゾナ、南カリフォルニア、北メキシコにまたがるソノラ砂漠とモハベ砂漠が主たる生息地である。体長は8センチ前後、体重はたったの2グラム少々と大変小さい。庭の草花の花蜜やフィーダーの砂糖水を好んで舐めるので、我が家の庭ではほぼ一年中見られるごく身近な留鳥である。

               

               

              飛んでるコスタハチドリ雄

              チュパロサの花の周りを飛ぶコスタハチドリ ( Calypte costae ) の雄

               

              雄は頭と喉が紫色の金属光沢に耀き、しかも喉から長く伸びた髭のようなジョーゼットが両側に広がって大変ゴージャスである。赤いチュパロサ ( Chuparosa ) やサルビア ( Salvia ) , Desert Willow の花を好み、庭に植えると花蜜を舐めに集まって来る。一日に1840本もの花に嘴を入れて花蜜を舐めるようだ。

               

               

              枯枝に止まるコスタハチドリ雌

              枯れ枝の先に止まるコスタハチドリの雌

               

              英名 " Costa's Hummingbird " は1800年代初めの政治家でハチドリのコレクターでもあるフランス人の名前から付けられたもの。雌は雄と比べて非常に地味で頭から背中にかけては美しい緑色であるが、喉から胸、腹にかけては白い。アンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) やノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird ) の雌とよく似ており、フィールドで見分けるのは初心者にとっては少々苦労する。

               

               

              巣作り中のコスタハチドリ

              真冬の1月19日、雌がまだ葉の少ない Butterfly Bush の木に巣を作り始めた。

               

              「寒入り」間近の真冬に早くもコスタハチドリは巣作りを始めた。砂漠の鳥の中でも一番早い巣作りである。コスタハチドリは主に北米の南西部の限られた地域に生息するが、寒い気候への適応性は高く、近年ではアラスカや北カナダでもまれに見られることがあるようだ。

               

               

              コスタハチドリの巣

              作り始めたばかりの巣、クモの糸を多く使用してるのが判る。

               

              巣の底の部分が大分出来上がってきており、産座に使う羽毛も敷かれてる。巣材は小さな枯れ枝や葉などで、これらをクモの糸を使って織り込むように編んでいく。雄の助けはなく雌だけで作るので、完成には5日間ぐらい掛かる。

               

               

              巣の上で飛ぶコスタハチドリ

              飛び上がったり又座ったりを繰り返し、巣の座り心地を確認しながら作っていく。

               

               

              クモの糸を巣に絡ませるコスタハチドリ

              丁寧に嘴でクモの糸を縫い込むように絡ませていく巣作り

               

              雌は巣作りを始める一ヶ月ほど前ぐらいから、巣を作ろうと思ういくつかの木を選択し、気に入るとその木を時間を掛けて徹底的に調べる。ホバリングしながら木の周りをぐるぐる回り、上からも眺めて木の茂みの中へ入り、巣を掛けられそうな枝の状況を見る。しかも、外からどういうルートで茂みの中へ入って行けるか?…も、色々試してチェックする細かい動作には驚いた。

               

               

              クモの巣とコスタハチドリ

              巣材用にクモの巣の糸を集めるコスタハチドリ雌

               

              雌はホバリングしながら嘴でクモの巣を突っついて引っ張る。コスタハチドリの小さな嘴では、クモの糸はなかなか切れないので苦労しながら引っ張り、長い糸をそのまま巣へ運んで行き一先ず巣の周りに付けておき、貯めては少しづつ切りながら巣に織り込んでいく。面白いことに、クモの糸を取るついでに巣に引っ掛かってる小さな虫を失敬して食べることもある。

               

               

              完成間近のコスタハチドリ巣

              三分の二以上でき上がったコスタハチドリの巣の外側には、運んできたクモの糸がたくさんつけてある。完成された巣は直径3センチ少々、深さ2.5センチの小さなものである。

               

               

              巣のある木と庭

              コスタハチドリの巣(赤い矢印)がある庭木の Butterfly Bush

               

              この同じ木に昨年アンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) が巣を作っており、ハチドリが好んで巣を作る木のようである。巣の位置は地上1メートル60センチぐらいの高さで、寝室の窓の前なので室内からもよく観察できる。巣を作り始める頃はまだ木は葉が少なく、スケスケで巣が丸見えであるが、雛が孵化する頃には新芽が出て葉が茂り、強い陽射しや風を防ぎ、外敵からも見えにくくなる。実に上手く出来てるもんだな・・・と感心させられた。

               

               

              巣に座るコスタハチドリ

              ほぼ出来上がった巣で座り心地を試してるコスタハチドリ雌


              庭で初めて子育てをしたノドグロハチドリ 2019年春 (下)最終

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                雌親に甘える雛ノドグロハチドリ

                雌親に甘えるノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird ) の雛

                 

                 

                飛ぼうとする雛ノドグロハチドリ

                雛は大きくなるにしたがって行動範囲が広がってくるので、巣からさらに遠くの木へ飛び移ろうとする。

                 

                 

                エサを貰う雛ノドグロハチドリ

                雌親からエサを貰う雛

                 

                ノドグロハチドリは花蜜を舐めるために長い舌には二筋の溝があり、毛管作用により花蜜をすくい上げ、下を引っ込めて花蜜を口の中へ流し込む。いわゆる花蜜を吸うのではなく舐めるのである。その舌を伸ばして花蜜を舐める速度は一秒間に13回から17回と大変早い。冬の寒い日は体重の3倍もの花蜜を一日に取るようだ。

                 

                 

                雌親の嘴を離さない雛

                食べ盛りの雛、「もっとエサをくれ!」と雌親の嘴を離さない。

                 

                 

                虫を捕る雌親と雛ノドグロハチドリ

                葉についてる虫をホバリングしながら捕えようとする雌親、それをじっと見上げてる雛

                 

                 

                ノドグロハチドリの主なエサは花蜜と虫である。花蜜を舐める時は、花の上でホバリングしながら長くて鋭い嘴を花の真ん中に深く差し込む。空中で虫を捕らえるため、やみくもに飛び出して行くこともちょくちょく見られる。また、葉に居る虫を激しくむしり取ることもあり、時にはクモの巣に引っ掛かってる虫を失敬して盗み取ることもある。

                 

                 

                エサを与える雌親ノドグロハチドリ

                生まれて一か月目の雛、すっかり大きくなって背中の緑色の光沢が美しい。

                 

                 

                一か月半経った雛ノドグロハチドリ

                生まれて一か月半経った雛。私を警戒する目も鋭く、雌親と変わらぬ大きさで立派な幼鳥である。

                 

                 

                巣離れして18日目の雛

                巣を離れて18日目、自分でもホバリングして花蜜を舐められるようになってきたので、いよいよ庭を離れて砂漠へ帰って行く。

                 

                ノドグロハチドリの渡りは6月末になると雄は早くも営巣地を離れ、雌は7月に入ると南へ下り始める。冬の間は主にメキシコ、南テキサスで過ごし、2月には南アリゾナに戻ってくる。


                庭で初めて子育てをしたノドグロハチドリ 2019年春 (中)

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                  巣にうずもれるノドグロヒメドリ雛

                  孵化後17日目のノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird ) の雛。巣にうずくまり上を向いて雌親の戻って来るのを待つ。

                   

                   

                  雛にエサ与えるノドグロハチドリ雌親

                  雛にエサを与える雌親

                   

                  雌親だけで雛の世話をしなくてはならないので、大変忙しく巣に出たり入ったりする。今回は卵一つが孵らなかったので雛一羽だけであるが、ふつうは2羽の面倒を見るためもっと忙しい。それでも、5分に一度ぐらいの間隔でエサを持って巣に戻って来ていた。

                   

                   

                  巣の中の雛ノドグロハチドリ

                  孵化後22日目の大きくなった雛。目もしっかり開いてこちらを見ている。背中の翅も大分生えそろって、大きな翼が巣に入り切れず、飛行機の尾翼のように立っている。

                   

                   

                  雛の口奥深くエサ入れる雌親

                  雛にエサを与える雌親

                   

                  雌親は雛の口の奥深く嘴を入れてエサを与える。エサは虫に花蜜を混ぜ合わせ、それを流し込んでる。雛は喉に大分黒いすじ模様がはっきりしてきてるので、多分雄と思われる。

                   

                   

                  巣の横に出たノドグロハチドリ雛

                  巣立ちしたばかりの雛

                   

                  生まれて25日目、いよいよ巣(左)からジャンプするように飛び出て、初めて枝に両足で踏ん張って止まった。フラフラしながら細い枝に寄りかかって体を安定させてる。

                   

                   

                  雌親にエサをねだる雛

                  エサ取りから戻って来た雌親に強請る雛。

                   

                   

                  曲芸的なエサ与えノドグロハチドリ

                  雌親の曲芸的なエサ与え。

                   

                  雛は巣から離れて枝の上で初めてエサを貰う。オープンスペースが狭いのと止まれる枝がないので、雌親は細い枝に片足を引っ掛けホバリングしながらエサを雛に与えていた。

                   

                   

                  エサもらう雛・ノドグロハチドリ

                  雌親からエサを貰う雛

                   

                   

                  巣の枝から飛び出そうとする雛

                  安全のため出来る限り早く巣の近くから離れようとする雛

                   

                  雛はいよいよ初飛びの準備を始める。とにかく最初のステップは巣のある枝から別の枝へ移ることから始まる。まだきちっと畳めない翼が曲がったように上に突き出している不格好な姿である。

                   

                   

                  初飛び成功の雛・ノドグロハチドリ

                  初飛びに成功!

                   

                  上手く初飛びをして近くの別の枝に移れてほっとしている雛。「飛ぶ」というよりもバタバタ…と落ちる感じでひとまず巣の枝から離れることが出来た。これは雛が無事生き残れる最初のチャレンジである。


                  庭で初めて子育てをしたノドグロハチドリ 2019年春 (上)

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                    ノドグロハチドリの雄

                    フィーダーに来るノドグロハチドリ ( Black-chinned Hummingbird ) の雄

                     

                    ノドグロハチドリは体長10センチ、体重はたったの3.1グラム、日本のメジロよりずーと小さい。西側の北はカナダの南ブリティッシュコロンビア(バンクーバーあたり)からテキサス、北メキシコまで大変幅広く生息している。また、標高の高さもかなりあって砂漠から高山の森林までで見られ、しかも町の郊外の庭などでも営巣するほど環境への適応性が高いハミングバードでもある。雄は頭と背中、腹がメタリックなグリーンで、黒のジョーゼット、そして喉に細い紫色のバンドがある。普通の光の下だとこの紫色のバンドは見るのが難しく、顎から喉にかけてはただ黒にしか見えない。

                     

                     

                    ノドグロハチドリの雌

                    思いっきり嘴をフィーダーの奥深く差し込んで砂糖水を舐めるノドグロハチドリ ( Archilochus alexandri ) の雌

                     

                    雌は頭から背にかけては美しいグリーンで、白い喉に黒いスポットがあるだけのシンプルな色合いである。我が家の庭には今までコスタハチドリ ( Costa's Hummingbird ) とアンナハチドリ ( Anna's Hummingbird ) の2種類しか営巣してなかったが、今年は初めてノドグロハチドリが巣を作って雛を育ててくれた。

                     

                     

                    巣に座るノドグロハチドリの雌

                    砂漠を象徴する灌木、ホップブッシュ ( Hopbush ) に巣を作ったノドグロハチドリの雌

                     

                    まだ冬の寒さの名残がある2月末、巣材運びをし始め巣作りを始めた。ノドグロハチドリは砂漠の鳥の中でもコスタハチドリと同じく営巣が早い。巣の高さは地上から1メートル30センチぐらいから2メートル80センチぐらいを好むようであるが、この巣は丁度私の目の高さぐらいであった。巣の周りと上下にはホップブッシュの花の房がぶら下がっており、巣の場所をわかりづらくするためのカモフラージュになっている。このような枯れた花の房や葉が下がっている木に巣を作るのがノドグロハチドリの特徴でもある。

                     

                     

                    巣に座るノドグロハチドリの雌親

                    雌はいよいよ産卵のために巣にしっかり座り始めた。

                     

                    巣は木の枝に並行に作られ、小さなガラスのカップのような形をしている。植物の繊維などを蜘蛛の糸で絡めて作り、外側はカモフラージュするため枯葉や植物の地衣が織り込まれてる。単独での巣作りから卵を温め孵化させ、しかも雛の世話まで全て雌一羽でする仕事である。一方、雄は縄張りの囀りをすることもなく、雌が巣作りを始めるといつの間にか巣の周りから消えていなくなってしまう、一夫多妻制である。

                     

                     

                    巣のある場所ー風景

                    玄関先の家の角にある庭木 ( Hopbush ) に巣は作られた。

                     

                    この木は昨年コスタハチドリが巣を作って雛を育てた同じ木である。この場所は東南に面して日当たりが良いのと、風が直接当たらない、また玄関先であるがコートヤード内にあるので散歩の人や犬が入って来れないなどのためか、ハミングバードに人気のある木である。

                     

                     

                    ノドグロハチドリの卵2個

                    雌が巣に座り始めて4日目、白い卵を2個確認。卵の大きさはコーヒーの豆ぐらいしかなく非常に小さい。

                     

                     

                    雛1羽と卵 1

                    卵の確認から13日後、雛一羽が誕生。黒い塊が頭の部分だろうと辛うじて判る程度。

                     

                     

                    雛1羽と卵 2

                    孵化して5日目の雛、まだ目が開いてないが、短い嘴が判る。背中に羽毛がまず生えてきてる。

                     

                     

                    雛1羽と卵 3

                    雛と残った卵

                     

                    最初の雛が生まれて10日目、まだ残ってる1個の卵はそのままなので、たぶん無精卵と思われる。雛は頭と背中に羽毛が少しづつ生えてきた。

                     

                     

                    ノドグロハチドリの雛

                    生まれて15日目の雛

                     

                    雛はだいぶ大きくなって目を開けているが、まだボヤーとしていて見えてないようだ。糞をする時だけ尻を上げて巣の外へ出す仕草をするが、その他はじっとしていてまったく動かない。雛の横にあった卵はいつの間にか消えてなくなっていた。雌親が割って外へ出した・・・と思われる。


                    ハミングバード(コスタハチドリ)のヒナ誕生 2018年春 (その4)最終

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                      雛にエサを与えるコスタハチドリ雌親1
                      雌親は雛の口奥深く長い嘴を入れエサを流し込む

                      雛にエサを与える雌親の一日は大変忙しい。群生してる花の間を忙しく乱舞、ホバリングしながら丁寧に一つ一つの花に長い嘴を差し込んで花蜜を集め喉の奥の袋に貯め、小さな飛んでる虫を空中で捕まえて混ぜ合わせては雛に与えなくてはならない。自分のエサ取りの時間がないぐらい、一日中飛び回って子育てに奮闘している。
                       
                      雛と雌親並んでる姿
                      雌親に甘えてるような雛の仕草が可愛い

                      コスタハチドリの雌は雄の様な色の特徴がなく、頭と背中が雄と同じ緑色の他は灰色と白のプレーンである。遠くから見て全身が灰色に見えるのはコスタハチドリの雌の特徴でもある。
                       
                      雛にエサを与えるコスタハチドリ雌親2
                      雛の嘴が親より短いのは、エサがもらい易くするためである。コスタハチドリの2羽の雛は、6月には完全に親離れして立派に育ち、自分たちでホバリングしながら長くなった嘴を花に差し込んで蜜を舐めていた。
                       
                      コスタハチドリ雄1
                      コスタハチドリの雄親

                      ハミングバードは巣作り、子育ては全て雌だけで行い、雄は一切手伝わない。巣作りが終わり雌が座り始めると、雄は巣の周りから離れてまた別の雌を探し始める。いわゆる一夫多妻である。雄は興奮していない時は特徴の頭と喉、ジョーゼットの紫色が光らず、ただ黒く髭の様に見えるだけである。
                       
                      コスタハチドリ雄2
                      雄は興奮すると頭、喉、ジョーゼットの紫色が金属光沢してひときわ美しい

                      コスタハチドリの雄の求愛飛行は、見ていて実に迫力がある。雌が止まっている枝の前で、猛烈な急上昇と急降下を繰り返す。そして、雌を惹きつけるために喉やジョーゼットの紫の金属光沢をより大きく美しく見せようと、陽の光の当たり具合を意識しながら調整しつつ飛ぶ。


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