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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(8)

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    ズグロブユムシクイ1左向

    北米では南アリゾナの限られた数か所でしか見られないメキシコ種ズグロブユムシクイ ( Black-capped Gnatcatcher )

    ブユムシクイ、英名 " Gnatcatcher " (ナットキャッチャー)、学名 " Polioptila " は新世界(アメリカ大陸)のみに生息する鳥で、ヨーロッパやアジアでは見られない。北米には4種類生息していて、南アリゾナではこのうち全米広い地域で見られる最もポピュラーなブユムシクイ ( Blue-gray Gnatcatcher / Polioptila caerulea ) , そして、主に西側の砂漠(南アリゾナはこの種が多い)で見られるオグロブユムシクイ ( Black-tailed Gnatcatcher / polioptila melenura ) それと写真の珍しいメキシコ種ズグロブユムシクイの3種類を見ることが出来る。3種類とも大変良く似てるので、フィールドでの識別が難しい。
     

    ズグロブユムシクイ2正面
    頭の黒い部分が目の下まで被さってるのが特徴のズグロブユムシクイ ( Polioptila nigriceps )


    ズグロブユムシクイの主たる営巣地は北メキシコの西側の水が豊かに流れる森林で、しかも渡りをしない留鳥である。しかし、近年メキシコ国境に近い南アリゾナまで北上しながら生息地域を広げてきている。まさに鳥には国境がないので、いとも簡単に新天地を求めて越境して米国に入って来ることが出来る。
     

    風景 Montosa Canyon
    南アリゾナでの営巣地の一つ Montosa Canyon


    ズグロブユムシクイの北米での初確認は1971年(アリゾナ)で、2002年にペアーで営巣しているのがやはりアリゾナで
    確認さるまで、ごく稀にしか見られない大変な珍鳥であった。現在でも、写真の Montosa Canyon, 北隣の Madera Canyon, Patagonia Lake の3ヶ所のみで毎年営巣しているのが確認される程度で、相変わらずごく限られたスポットでしか見られない希少種である。ABC ( Arizona Bird Commitee ) でも、このズグロブユムシクイの情報が不足してるため、ネットで観察記録の提供を求めている。
     

    ズグロブユムシクイ3囀り

    モンスーンの真夏(8月)の早朝にはズグロブユムシクイのテリトリーソングがよく聞けるので識別が楽で助かる。

    南アリゾナでは、砂漠でごく普通に見られるオグロブユムシクイとこのズグロブユムシクイは営巣地が重なるので初心者にとっては識別が厄介であるが、中級以上のバーダーにとってはこの希少種を見つけるのが腕の見せ所で、バーディングが一段と面白くなるので非常に人気の高い鳥でもある。そのため、真夏の珍鳥情報 " ebird " には毎日のようにズグロブユムシクイを見つけた報告が載せられてる。
     

    ズグロブユムシクイ4羽繕い

    モンスーン期はしばしば激しい雷雨に見舞われるので鳥たちはよく羽繕いをしている。


    ズグロブユムシクイは川が流れる水辺の密に茂った低灌木に営巣しているので巣に座ってる姿はなかなか見れないが、雨がやんで陽が差すとゆっくり羽繕いしてる姿に出会える。人をあまり恐れないのと、好奇心が強いので唇で「ピシピシ・・・」という音(アメリカのバーダーが鳥寄せによくやる)を出すと、灌木の中から目の高さのよく見える枝先に出て来ることが多い。
     

    ズグロブユムシクイ5警戒

    他の鳥がテリトリーに入って来ると、凄い警戒音を出しながら枝移りして威嚇する。


    体が小さく尾が長いのでフィールドで見ていると日本のエナガに似ているが、体は丸くなく体長11センチとエナガよりずーと小さい。餌取は非常にアクティブで、密生した灌木の中で虫を探す、また、時にはホバリングしながら虫を嘴で掴むこともある。
     

    ズグロブユムシクイ6後姿

    特徴の黒い頭が朝日に当たってよく目立つズグロブユムシクイの後ろ姿。


    他のブユムシクイ、特によく似ているオグロブユムシクイとの違いは、ズグロブユムシクイは嘴が細く長い、しかも先端がだんだん細くなっていく。一番の特徴と言われる尾の裏側の模様と尾の外側の白色は、夏の羽毛が抜け替わる Molt シーズンには残念ながら全体的に色が変わるので識別はさらに難しくなる。矢張り事前に囀りや地鳴きを耳に叩きこんで覚え、フィールドでは声をよく聞き識別するのがベストで確実性が高い。日中40度近くまで気温が上がる真夏の南アリゾナのバーディングは早朝(日の出)の3時間から4時間が勝負、事前の予習と突然一転にわかに掻き曇りの雷雨にも負けないチャレンジ精神が必要かもしれない。


    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(7)

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      チャバネスズメモドキ囀る後姿
      アリゾナの「スペシャルバード」と呼ばれるチャバネスズメモドキ ( Botteri's Sparrow )

      チャバネスズメモドキは、北米では南アリゾナのメキシコ国境に近い非常に限られた地域のごく一部のスポットでしか見られない希少な渡り鳥である。アリゾナに来る多くのバーダーがどうしても見たい・・・と思う鳥種は、ウツクシキヌバネドリ ( Elegant Trogon ) やハミングバードのような派手な鳥であるが、色が地味でしかも見つけにくいチャバネスズメモドキは、一般のバーダー(特に初心者)にとっては馴染みの薄い鳥となっている。
       
      チャバネスズメモドキ左向
      日中はほとんどグラウンドで過ごすチャバネスズメモドキ ( Aimophila botterii )

      この大きなスズメモドキは主なる営巣地が中央メキシコで短い距離の渡りをするメキシコ種である。背丈の高い草に覆われた草原を好み、主にグラウンドでエサ取りをし、危険が迫っても飛び出さず地上を走って逃げるぐらいの隠密行動が得意な鳥である。学名 " Aimophila " の「スズメモドキ」の類はどれも同じような習性なので非常に見つけにくいのと,識別に苦労するため初心者のバーダーには馴染みが薄く、中級以上のバーダーが好んで探し求める鳥種である。
       
      風景Box Canyon への道
      英名 " Sparrow " 学名 " Aimophila " のスズメモドキ類が多種見られる Santa Rita 連山の麓の山岳道路 Greaterville Road


      時には前の車が見えなくなる土煙の中、車の窓を開けてスズメモドキの声を聞きながらゆっくり車を走らせ、鳴き声が聞こえてくると車を停めて識別をして行く。中級以上のバーダーが好んで競い合うバーディングに " Sparrow Challenge " というのがある。南アリゾナで見られるスズメモドキの4種、チャバネスズメモドキ、サメスズメモドキ ( Cassin's Sparrow / Aimophila cassinii ), フタスジスズメモドキ ( Rufous-winged Sparrow / Aimophila carpalis ), ズアカスズメモドキ ( Rufous-crowned Sparrow / Aimophila ruficeps ) の識別をフィールドで競い合う楽しい探鳥方法で、囀りを聞く以外の形や色で識別するのは、やはりある程度の技術がいるので腕の見せ所である。
       
      風景草原
      チャバネスズメモドキが好む背丈の高い草が一面覆っていて、マメ科の低木メスケ ( Mesquit ) とオカティヨ ( Ocotillo ) が点在する広大な草地

      チャバネスズメモドキは南アリゾナの砂漠に多いイネ科のヒゲシバ類が密生している牧草地を好むようなので、。近年、夏に渡って来る個体数が少しづつであるが増えている。写真の牧草地はチャバネスズメモドキのリサーチフィールドで、1960年に立てられた古いほとんど字が読めない看板が立っていた。風の音しか聞こえてこない草原に立っていると、チャバネスズメモドキとサメスズメモドキの囀る声が交互に混じって聞こえてくる。
       
      チャバネスズメモドキ正面顔
      全身茶色でしかも特徴のない顔をしているが、太くて白い眉毛はよく目立つ

      チャバネスズメモドキは6月に南アリゾナに現れ、9月にはメキシコへ去ってしまう。営巣は真夏のモンスーン期(8月)で、激しい雷雨が降り始めないと卵を産まない。観察が難しい鳥なので、営巣状況の詳しいことは今だに判っていない。
       
      チャバネスズメモドキ囀り
      夏のモンスーン期の短い間だけ Ocotillo の高い枝先のソングスポットで囀る

      チャバネスズメモドキがしっかり見れるのは、モンスーンに入り雌が巣に座り始めると雄がソングスポットでテリトリーソングを歌うので、チャンスはその時だけである。車の中で夜明けを待ち、朝日が上がって来て鳥たちが鳴き始めると、車の窓を開けて鳴き声に耳を立てチャバネスズメモドキの居場所を探す。ソングスポットが見つかれば写真を撮るのもそれほど難しくないが、雄がテリトリーソングを歌うのがモンスーン期の短い期間で、しかも日中は40度を超す暑さと、時々激しい雷雨に見舞われることもあるので少々撮影は難儀である。
       
      花、アリゾナポピー
      撮影をしている足元に咲いていたハナビシソウの仲間アリゾナポピー ( Arizona Poppy / Kallstroemia grandiflora )

      チャバネスズメモドキが盛んに囀る頃に咲く砂漠の真夏の花で、ポピーに似ているところからアリゾナポピーの愛称で親しまれている。 " Caltrop " の仲間で、正式英名は " Arizona Caltrop " 。また、春先に山の麓のスロープ一面に花畑となって咲く "Mexican Gold Poppy / Eschscholtzia mexicana ) とよく似ているが、こちらはポピーの仲間である。どちらも主に南アリゾナで見られる人気のある野花である。

      アリゾナ砂漠で見る皆既月食のスーパームーン 2018年1月

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        ブラッドムーンとサワーロサボテン
        砂漠の象徴、サワーロサボテン ( Saguaro ) と皆既月食のスーパー、ブルー、ブラッドムーン

        1月31日午前5時52分、北米では1866年3月以来150年ぶりの天体ショーを我が家の庭で見ることが出来た。月が地球に近くて大きく明るいのでスーパームーン ( Super moon ) と呼ばれ、カレンダーの同じ月に2回ある満月の2回目の月なので、別に色が青くないのにブルームーン ( Blue moon ) と名付けられてる。そして、皆既月食で血のような赤い色に染まるのでブラッドムーン ( Blood moon ) というニックネームも付けられてる。

         
        スーパームーン
        皆既月食が始まる前のスーパーブルームーン

        今回の満月は通常の満月より14%大きく、しかも30%明るい当にスーパームーンである。庭から見る野生生物保護区の巨大サボテン Saguaro や灌木のパロベルディーの木々がくっきり見えるほど明るい。
         
        月食の始まり
        満月が上から地球の影に隠れ始める

        南国のアリゾナとは言え、ブラッドムーンが見られる「大寒」の早朝の気温は3度と大変寒く、普段着る機会がないがっちりした冬のコートを着て手袋をはめ、温かいコーヒーを飲みながらの3時間に及ぶ奮闘であった。
         
        紫色のスーパームーン
        月食が進んで半分以上暗くなると、スーパームーンは紫色に変化していく

        夜明け前の砂漠はたいへん静かで何の音もしない。アリゾナは州の法律で動物保護のためネオンサインはもちろん、道路のライト、家の周りの街路灯などはいっさい灯すことを禁止されている。月明かり、星明かり以外は何も光がないのでスーパームーンがひときわ明るく見える。
         
        赤くなり始めたスーパームーン
        月食が始まって30分が過ぎる頃、満月もしだいに赤みが増してくる

        皆既月食の天体ショーを見ている間、近くでアメリカワシミミズクとアメリカオオコノハズクが盛んに鳴き合う声が耳に心地よく響いて、大変印象的なスーパーブラッドムーンであった。
         
        月食のスーパームーン
        月全体がどんどん赤くなっていく

        ここ数日間新聞やTVで大騒ぎをするからには、頑張って早起きせねばならない・・・と思いつつベッドに入った。早朝4時、目覚ましに起こされ眠い目をこすりながら、カメラのファインダー越しに刻々と色が変わっていく神秘的なブラッドムーンを楽しんだ。
         
        ブラッドムーン
        2時間後皆既月食となって、スーパームーン全体が血のような赤い色に染まっていった。まさにブラッドムーン ( Blood moon ) である。何とも言えない不思議で神秘的な宇宙の現象に寒さも忘れ酔いしれた。

        マイフィールドに珍鳥及び希少種 2017年夏 その(6)

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          シロスジヒメドリ枝に止まる
          アリゾナでは過去2回しか記録されてないシロスジヒメドリ ( Le Conte's Sparrow )

          9月下旬、インターネット上の Rare Bird (珍鳥)情報 " ebird " にアリゾナでは3回目の記録(これまで2004年と2005年の2回のみ)としてシロスジヒメドリのニュースが流れた。この鳥は珍種ではなく、北カナダで営巣し冬にはガルフ湾沿いのテキサス、ルイジアナの湿地帯の一部で過ごす渡り鳥である。短距離であるが渡りをするコモン ( common ) なヒメドリであるが、不思議なことに多くのバーダーにとって非常になじみが薄く、しかも近くでしっかりと観察できたバーダーが少ない。そのため多くのバーダーにとってぜひ見たい鳥の一種となっている。
           
          シロスジヒメドリ芝生の上
          エサ取りのため芝生に下りてきたシロスジヒメドリ ( Ammodramus leconteii )

          何故シロスジヒメドリがバーダーたちに馴染みが薄いのか?・・・その理由はまず、営巣場所がカナダのあまり人が行けない草が密に茂った湿地や沼地なので、巣を見つけるのが大変難しい。又、秋の渡りで南へ下る時も、丈の高い草に覆われてしっとりとした草原や浅瀬の沼地の淵の草を好み、しかも主にグラウンドを歩きながらエサ取りをする。そして、草が密生した地面をこそこそと隠れるように忍び歩き、驚くと鼠のようにチョコチョコ走るだけで飛ぶことは極めて珍しい。他のヒメドリのようにびっくりして草からパッと飛び出してくることはほとんどなく、飛び出しても、ほんの1メートルから3メートルぐらいの距離を飛ぶだけで、すぐ草の下に下りて見えなくなってしまう。このように見れるチャンスが非常に少ないので、この鳥に関する情報や知識も少なく、主に何を常食としているのか、又どんな営巣状況なのかに関しても記録報告が少ないので、いまだにあまり判ってない部分が多い鳥でもある。
           
          風景ゴルフ場
          2日間シロスジヒメドリが現れ大騒ぎとなった名門ゴルフ場リッツカールトンゴルフコースの5番フェアーウエイ。赤円がエサ取りをしていたスポット。

          今回シロスジヒメドリが現れた場所は、オープンな誰にでも行き易いゴルフコースのフェアウエーだったので、バーダーたちにとって、この見つけるのが困難なヒメドリをじっくり観察出来るまたとないチャンスとなって大騒ぎになった。これほど人目に付かないこそこそしている鳥がこんなオープンな場所にどうして現れたのか?・・・たぶん渡りの途中で十分にエサ取りが出来なかったのと、毎日早朝と夕方のゴルファーがプレーをしていない時間帯にフェアウエーのスプリンクラーから水が散布され、この鳥が好きな草の種が水分を含んで柔らかくなったのを彼は偶然にも見つけたのだろう・・・と多くのバーダーが推測していた。
           
          シロスジヒメドリとヒメウタスズメ
          シロスジヒメドリ(左)と付かず離れず一緒にエサ取りをしているヒメウタスズメ(右)

          9月27日夕方4時頃報告に出ていたゴルフコースの5番に行き、すでにフェアウエーの周りでシロスジヒメドリを探している10人ほどのバーダーのグループに合流し、プレーヤーがいなくなったフェアウエーとラフを1時間ほど歩いて一緒に探す。ラフ横の低灌木からまずヒメウタスズメが芝生に下りてエサ取りを始めだしたので、数分間しゃがんで静かに待っているとお目当てのシロスジヒメドリが同じ灌木の中から出てきた。めったに見れないこの鳥が目の前に現れた姿を見た時の息を吞む驚きは今でも忘れられない。
           
          ヒメウタスズメ餌取
          ヒメウタスズメ ( Lincoln Sparrow / Melospiza lincolnii )

          ヒメウタスズメは営巣場所がシロスジヒメドリと同じような草が茂った湿地や沼地であるが、アラスカからカナダ全域にかけての幅広い地域で見られるポピュラーな鳥である。秋に南下して越冬する場所も太平洋側のカリフォルニアから大西洋側のフロリダまで暖かい北米南部の幅広い地域であり、しかもシロスジヒメドリのような隠密行動を取らず人目につきやすい所に出て来るので、比較的普通に見られる鳥である。
           
          シロスジヒメドリ芝生に嘴入れる
          芝生の根元に嘴を深く入れ夢中でエサ取りするシロスジヒメドリ

          エサ取りに忙しいシロスジヒメドリを10メートルほど離れたところで、半円状に囲むようにフェアーウエー上にバーダーたちが並んで観察しているが、エサ取りに夢中になっているらしく我々のことなど一向に気にすることなくどんどん我々の方に近づいて来て、ついに2メートルぐらいまで寄って来られたのには皆口を開けてポカーンとするほど驚いた。臆病で人目に付きにくいシロスジヒメドリをたっぷり観察出来た珍しいチャンスに遭遇した喜びに大いに沸き、帰り際に皆で握手をし笑顔でこの幸運を祝いあった。
           
          シロスジヒメドリ種食べる
          美味しそうに草の種を食べるシロスジヒメドリ。丁度夕陽が顔に当たってさらに美しく見えた。

          シロスジヒメドリはヒメドリの中でも最も小さい種で、日本のコガラ ( Parus montanus ) と同じ大きさである。和名(シロスジ)にあるように頭のてっぺんの白いすじが目立つ。そしてオレンジ色に近い黄色の額、襟首の茶色のすじ、太くて赤茶の眉、背中の淡黄褐色の線などが特徴で、小さくて人目に付かないが美しいヒメドリである。短くて高い声で虫のようにブジーという地鳴きを時々繰り返していた。ラッキーなことに、このゴルフコースの同じ場所で2日間エサ取りする姿が見られたが、3日目以降には "ebird " 上に「見た!」という報告が出なくなったのでさらに西へ移動して行ったのだろう。

          ハッピーニューイヤー! 2018年元旦

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            初日の出カタリナ州立公園
            南アリゾナ・ソノラ砂漠・カタリナ州立公園の初日の出

            明けましておめでとうございます。
            昨年は私のブログを見ていただきありがとうございました。今年もアリゾナ、そして米国内のより質の高い自然情報をお届け出来ますよう一生懸命努力する所存ですのでよろしくお願い申し上げます。南アリゾナ・ソノラ砂漠は東側にカタリナ連山とリンコン連山があるため残念ながら地平線から上がって来る大きな太陽は見れず、標高2000メートルを超す山々の間から出て来る初日の出となりました。
             
            カタリナ州立公園全景
            マイフィールド「カタリナ州立公園」の元旦の朝

            午前0時、4か所で一斉に花火が上がり、日本から16時間遅れ(時差16時間のため)の新年を迎えた。砂漠に響く大きな花火の音、さぞ野生の動物や鳥たちはびっくりして怖がっているだろうな・・・?と思うと複雑な気持ちになる。2018年の元旦初歩きは近くの州立公園のトレール歩きでした。早朝は零下2度の寒さでしたが、11時ごろには20度を超す暖かさで、冬鳥たちが元気よくグラウンドに下りてエサ取りをしていた。
             
            サワーロとトレール
            巨大サボテン・サワーロ (Saguaro ) を見ながら2018年新年も元気にトレールを歩ける喜びに感謝する。

            冬といっても南アリゾナは暖かい。しかし、冬枯れで花が少なくなった正月の我が家の庭はハミングバードが砂糖水の入ってるフィーダーをすっかり頼りにしているので、エサ場の確保のためテリトリーの取り合いが激しく、よそ者が入って来るとすごいバトルが繰りひろげられる。また、その甘い砂糖水をキツツキのサバクシマセゲラ ( Gila Woodpecker ) が頻繫にフィーダーにやって来るので、これを狙って小型の鷹クーパーハイタカ ( Cooper's Hawk ) が襲う。自然界には正月休みはないようである。
            そして、少なくなった花の蜜を求めて数匹の蝶が飛んでいるのも南国ならではの新年であろう。
             
            ロードランナーカタリナ州立公園
            元旦の朝の鳥見歩きで、さっそく新年のあいさつに現れたオオミチバシリ(ロードランナー Greater Roadrunnner )

            冬の早朝歩きはほとんど人がいないので静かでロードランナーもトレールにちょくちょく出てくる。アリゾナを象徴する鳥の一種であり、飛ぶことより速足で歩いたり走ったりすることが得意である。トレールを歩いてると、前を横切ったり、先導してくれるかのように同じ方向に同じ速度で歩いたり、こっそり後ろを気づかれないように歩いたり・・・と大変愛嬌があり人気者で私も大好きな鳥でもある。
             
            ハイカーの後ろロードランナー
            ハイカーの後ろを何気なくロードランナーが歩いて行く、これも砂漠の元旦ならではの、のんびりした光景であろう。

            他の州や外国からアリゾナに来るバーダーはもちろん、観光客もぜひ見たいと思う鳥ロードランナー。全身がグラウンドや枯草に近い地味な色をしていて、めったに飛ばないので目立たず意外と見つけにくい鳥の一種であるが、秋から冬にかけては人家近くや町の公園、車が行きかう道路にもちょくちょく現れるので目につきやすくなる。2018年新年の「元旦鳥見」の第一号はやはり人気者のロードランナーであった。
             

            マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(5)

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              Five Atriped Sparrow 1
              メキシコ種のムナフスズメモドキ ( Five Striped Sparrow )

              主たる生息地は西メキシコで、近年ごく少数が南アリゾナの小さな限られた地域で営巣している。1950年代までは米国では見られなかった鳥種で、1957年南アリゾナの Santa Rita Mountains で初めて1羽発見されたのが米国での初確認である。
               
              Five Striped Sparrow 2
              顔と喉の白い5本線が特徴のムナフスズメモドキ ( Aimophila quinquestriata )

              英名の " Five Striped " は眉毛とひげ、喉にくっくり目立つ白い5本の線があることからつけられた。なお、和名の「ムナフ」の由来は胸の黒い斑点であろう。南アリゾナのメキシコとの国境沿いにある、限られた Canyon (渓谷)に5月に渡って来て9月にはメキシコへ戻っていく。
               
              Five Striped Sparrow 3
              バーダーたちの目につく所にはなかなか現れてくれないムナフスズメモドキ

              1969年南アリゾナでの営巣が初確認されて以来、1991年までほとんどのバーダーが行けない Chino Canyon でごく少数が毎年見られたが、托卵鳥(他の鳥の巣に卵を産み、自分ではヒナを育てない。日本ではカッコウ類が該当種)のコウウチョウ ( Cowbird / Molothrus ) の犠牲になったのと、熱心すぎるバーダーによるしつっこいテープ音に嫌がってすっかり姿を消してしまった。しかし、2000年に入ってごく少数(1羽から2羽)が南アリゾナに戻って来て限られたスポットで見られるようになってきた。
               
              Five Striped Sparrow 4
              Ocotillo の棘だらけの茎をソングスポットとして好むムナフスズメモドキ

              ムナフスズメモドキは米国では南アリゾナのごく限られた狭い地域でしか見られない、そして数が大変少ない夏鳥の珍種である。しかもその営巣地(見れるスポット)はメキシコ国境沿いのアクセスが難しい Canyon の奥深い岩だらけの所で、しかもいばらの生い茂った Hackberry や Mexquite の藪の中で目立たないように静かに虫を探していることが多いので見つけるのが大変難しい鳥でもある。囀りは特徴ある金属的な声であるが、色々バラエテイーに富んでいて、200以上の異なったバージョーンで歌うこともあるので鳴き声による識別も注意が必要である。
               
              Five Striped Sparrow 5
              後姿や飛んでる姿はただシンプルな赤茶に見えるムナフスズメモドキ

              この鳥は大変臆病で、フレンドリーに近くの枝に来て全身を見せることは非常に少ない。枝先近くに出てきてもほんの数秒いるだけで、直ぐに葉の茂る灌木の中へ入ってしまう。再度見える枝に出てくるのをじっと待つぐらいの辛抱が必要なので、見るのが難しくましてや写真を撮るのは大変忍耐のいる鳥でもある。
               
              風景ムナフスズメモドキ営巣場所
              ムナフスズメモドキが好んで営巣する渓谷の急こう配の崖といばらの生い茂った藪

              ムナフスズメモドキはなかなか見るのが難しく、多くのバーダーたちが一度は見たいと思う憧れの鳥であるが、何と8月中旬に我が家から1時間で行ける近場で、しかも簡単に車で行ける Montosa Canyon と Box Canyon の2か所に出現のニュースがネットに流れ大騒ぎとなる。何しろ今までこの鳥を見るためには地元のガイドを雇ってアクセスが非常に困難なメキシコ国境沿いの California Gulch でしか見られなかった珍鳥が、有名な探鳥スポットがいくつもある Santa Rita Mountains で見つかったこともあって、米国の色々な州からバーダーが殺到して連日大賑わいであった。
               
              風景車道のガラガラヘビ
              ムナフスズメモドキの早朝撮影を終えての帰り道、車の前をゆっくりと猛毒のヒシモンガラガラヘビ ( Western Diamond-back Rattlesnake / Crotalus atrox ) が 横ぎって行く。

              ムナフスズメモドキが最も人目を引いて目につくのは激しい雷雨が降るモンスーン期の夏の短い間だけで、谷底の灌木の茂るぐちゃぐちゃした所で営巣し始めて雌が座りだすと、雄はテリトリーソングを歌い始める。雄は早朝と夕方、谷底から灌木の枝伝いに鳴きながら移動し、見晴らしの良い崖の上に上がって来る。大きな Ocotillo の茎に止まって囀るのが特に好きなようで、数日通ってソングスポットをやっと見つけることが出来た。谷の上の山岳道路で朝日が山から出始めると、やがて雄が下から上がって来る。囀りながら近づいてくる雄を山岳道路で待つのだが、狭い道路なので車と人で溢れることもあり、こんな時は彼はけっして上まで上がって来ず、双眼鏡で見なくてはならないぐらい距離は遠くなる。早朝5時半ぐらいから11時ぐらいまで5時間から6時間、人の動きを見ながら数日間シャッターチャンスを待った。
               

              ハッピーホリデー 2017年12月

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                xmax card 1
                アートフェスティバルで見つけたハミングバードのクリスマスカード

                ​11月23日の " Thanksgiving day " (日本の勤労感謝の日に相当)を迎えると、クリスマスを中心に元旦の1月1日まで米国はホリデーシーズンに入る。この時期に連続休暇を取る人が多く、帰郷して家族と一緒にホリデーを過ごしたり、バケーションで暖かい中南米へ行きバーディングを楽しんだりする。冬でも温かく穏やかな気候のリゾート地、南アリゾナにも色々な州からたくさんの人々が青空と温かい天候を求めてやって来る。ニューヨークでは小雪舞い散る零下の寒さでも、南アリゾナは日中25度以上の暖かさである。また、南アリゾナにはアーティストが多く住んでおり、特に自然や花、鳥、蝶、動物などを主題とする絵画、彫刻のアーティストが集まってるので、この時期は「アートフェスティバル」があちらこちらで開かれる。大きなテントのブースを一つ一つ訪ね、この手の絵描きや彫刻家と自然や生き物の話をし、気に入った作品をそこで作者からダイレクトに買えるのが実に楽しい。歩き疲れた後は、露店のカフェで南国の太陽にさんさんと当たり、よく冷えた白ワインを飲みながらのんびりした暮れのひと時を過ごすのもバーダーにとってこの時期のしばし鳥見を離れてのもう一つの楽しみである。
                 
                xmas card 2
                日常の生活の中で最も身近に見るハミングバードはクリスマスのオーナメントやカードなどによく描かれ大変人気がある。

                ​米国のバーダーにとってホリデーシーズンの大きなイベントは「クリスマスバードカウント」であろう。今年で118回目という長い歴史を持っている。このイベントの始まりは、19世紀のクリスマス休暇に始められた「クリスマス・シューティング」である。いわゆるハンターたちが野山へ出かけて手当たり次第に鳥を打ち落として、一日の獲物の数を競い合った。これがクリスマスのお祝いだったようだ。しかし、これはあまりにも野蛮なお祝い行事ではないか・・・と鳥類学者のフランク・チャップマンという人が抗議を始め、これを止めて、かわりにどれだけたくさんの鳥を一日に見たかを競い合うことを提案した。そして、銃を捨てエンピツで鳥の数を記録していく「クリスマスバードカウント」へ変更、第一回大会が1900年にニューヨークのセントラルパークで開かれたのである。この行事はアメリカにいる鳥についての毎年一回行われる国勢調査のようなもので、貴重な記録として残されている。
                ​今年の「クリスマスバードカウント」は12月14日から来年の1月5日までの間に行われる。参加者はグループごとに自然保護団体であり主催者でもある「オーデュボン協会」( The National Audubon Society ) に名前を登録し、公園や森へ出かけ、半径にして12キロ(直径24キロ)の円内で一日(24時間)に見た鳥の数をすべて記録して協会へ提出する。ちなみに、昨年2016年は76,669人のボランティアーが参加、2、505グループで行われ、総計58.9百万羽の鳥が数えられた。
                 
                紅葉と山
                ​クリスマス間近でもサボテン Saguaro の林の間に秋の色合いが残る南アリゾナの師走風景

                今年の12月の南アリゾナは例年より暖かく、日中25度以上になる日も多い。そのためか、北から下りて来るミヤマシトド (White-crowned Sparrow ) , ヒバリヒメドリ (Lark Sparrow ) , ブリューワーヒメドリ (Brewer's Sparrow) などの冬鳥の群れがいつもより少ない。しかし、砂漠独特の朝晩の冷え込みは厳しく、5度近くまで下がるのでハミングバードのエサとなる蜜が出る花が庭から消えていく。そのため,冬の間の砂糖水によるフィーダーを掛け始めるのも我家の暮れの作業の一つである。ハミングバードがフィーダーに頼るのは花の咲きが良くない冬(12月〜2月)の間だけで、春になり庭に花が咲き始めると,彼らはフィーダーから離れていく。
                 

                マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(4)

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                  フスチャメジロハエトリ前向きの姿
                  ウスチャメジロハエトリ ( Buff-breasted Flycatchier ) 

                  ​ウスチャメジロハエトリは珍鳥フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher ) とよく似てるが、頭に冠毛がないのと少し大きい。生息地域も同じ高い山のポンデロサ松や Pine-oak の林で、今年の夏はたまたまマイフィールドの " Carr Canyon " で、しかも、この2種類が同じ場所でエサ取りをしている報告がネットに載った。一か所で同時に2種類の珍しいフライキャッチャーを見ることが出来たので連日大勢のバーダーが " Carr Canyon " に押し掛けた。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ後姿
                  ウスチャメジロハエトリ ( Empidonax fulvifrons ) の後ろ姿

                  ​目の周りの白いアイリングが特徴のメジロハエトリ、米国で見られるこの " Empidonax " は11種類で、その中でもウスチャメジロハエトリが一番小さい。メジロハエトリはどれもこれも非常によく似ていて、鳴き声による識別が一番確実であるが、初心者はもちろんベテランのバーダーでも大変識別に苦労するフライキャッチャーである。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ頭上の虫狙う
                  頭上を飛ぶ虫をじーと狙っている

                  ​ウスチャメジロハエトリは、南アリゾナのメキシコ国境沿いの Huachuca Mountain と Chiricahua Mountain のごく限られた地域のみに渡って来る夏鳥のメキシコ種である。営巣し雛を育て終えると、9月には冬を過ごす南メキシコへ南下して行く。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ全身
                  赤みがかった褐色の胸と薄い茶色の平らな頭が特徴

                  ​ウスチャメジロハエトリはメジロハエトリの中では小さくて特徴があるので比較的識別し易いが、他のメジロハエトリの識別にはほとんどのバーダーが苦労する。フィールドでメジロハエトリを見つけると、そうそうと識別は諦め、ただ「エンピ (Empi) の一種を見た・・・」という報告をする人が多い。「エンピ」はメジロハエトリのラテン名 "Empidonax" から付けられたものである。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ首傾げる
                  ​時々首を傾げては私を見つめ,様子を伺っていた

                  ​ウスチャメジロハエトリは,南アリゾナの非常に限られた地域の山の渓谷の松林でしか見られない希少種である。しかし、近年営巣する個体数が少しづつ増えてきて、今では推定30組ぐらいは南アリゾナで営巣するようだが、お目にかかるチャンスが非常に少ないメジロハエトリである。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ草に止まる
                  低い草の茎に止まって朝日を浴びる

                  ​ほとんどのメジロハエトリは高い枝に止まって空中を飛んでる虫をフライングキャッチするが、ウスチャメジロハエトリのエサ取りのテリトリーは大変広く、高い木の枝から低い下枝まで、そして時には草むらまで下りてきて、グラウンドでエサ取りをすることもある。
                   
                  ウスチャメジロハエトリ草の虫を探す
                  低い枝に下りてきて、草にいる虫を取ろうとしている

                  ​松林の林縁をエサ取り場とするウスチャメジロハエトリとフサボウシハエトリは松林の枝の高低でテリトリーが分かれてる。低いところを好むウスチャメジロハエトリが時々高い枝へ上がっていくと、フサボウシハエトリのテリトリーに入るので猛烈な勢いで追いかけまわされる。小さいフサボウシハエトリの方が気性が激しく、いつも追い払う側であった。

                  マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(3)

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                    フサボウシハエトリ下から見る姿
                    ​フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher / Mitrephanes phaeocercsu

                    主にメキシコから中央アメリカのコスタリカ、パナマそして南アメリカのエクアドールまでの広い地域に生息するフライキャッチャーである。4亜種に分かれていて、夏(3月〜10月)は3500メートル以上の高山の Pine-oak の森林に、冬は川が流れる低い森林で過ごす。
                     
                    フサボウシハエトリ逆光の中で
                    ​特徴の粋な羽飾りのような冠毛 (Tuft ) と喉から胸にかけての赤茶色が美しいフサボウシハエトリ

                    ​別名 " Small Mountain Flycatcher " と呼ばれ、体長は12センチで日本のメジロ ( Zosterops japonicus ) と同じ大きさの小さな可愛いハエトリである。
                     
                    フサボウシハエトリ正面
                    正面から見ると、冠毛がトサカのように見えて愛嬌のある顔である。

                    ​北米では1991年テキサスの Big Bend 国立公園で写真に納められて確認されたのが初めての記録。昨年(2016年)南アリゾナの Ramsey Canyon で初めて営巣してるのが確認された。今年は営巣はされなかったが、メスは Ramsey Canyon で、オスは隣接してる Carr Canyon で、別々に確認されており、これは北米で8番目の記録となった。
                     
                    フサボウシハエトリ左向き全身
                    よく見える葉のない丸裸の枝に直立して止まり、飛んでる蛾を探す。

                    ​基本的には渡りをしない鳥で、北米では南アリゾナとテキサスのメキシコとの国境に近い Canyon でしか見られない珍鳥である。
                     
                    フサボウシハエトリ伸びをする
                    伸びをするフサボウシハエトリ

                    ​今年8月9日にフサボウシハエトリがカー渓谷 (Carr Canyon) に出現というニュースがネットに流れ、翌日さっそく確認に出かけた。Carr Canyon は我が家から最も遠いフィールドで、片道224キロ南に下ったメキシコとの国境沿いの渓谷である。鳥たちには国境などがないので、こうしたメキシコ・中南米種は自由に行き来することが出来るが、人間はそうはいかない。フサボウシハエトリが見れるスポットへ行く主要道路には国境警備隊の検問所があり、すべての車一台一台止められてチェックを受ける。また、「ここはメキシコからの違法入国者や麻薬運び人が徘徊するので十分注意するように!」という看板が所ところで目につくので少々緊張する鳥見となった。
                     
                    フサボウシハエトリとポンデロサ松
                    ​五葉松の一種ポンデロサ松 (Ponderosa Pine) の林で静かに止まっていることが多いので、この小さなハエトリを見つけるのには少々苦労する。

                    ​珍鳥フサボウシハエトリが出現したスポットは標高2260メートルの山頂のキャンプグラウンドで、10キロほどの未舗装の山岳道路を四輪駆動車で上がらなくてはならなかった。もともと鉱山用の道で、急斜面に造られてあり一車線の道路でスイッチバック運転をしなくてはならない。しかも、所々岩が露出してるばかりでなく、雨で土がえぐれてるので車の底を擦るのでは・・・とヒヤヒヤしながらの緊張したドライブを強いられた。
                     
                    フサボウシハエトリ急降下
                    蛾を捕えようと枝から急降下するフサボウシハエトリ

                    ​彼らのエサ捕りは高い枝に止まって飛んでる蛾や虫をフライングキャッチしては元の枝に戻るので、この時がこの小さなハエトリをじっくり見れるチャンスである。よく「ピーピーピー」というコールを繰り返すので、声を頼りに近づくと見つけやすい。
                     
                    フサボウシハエトリ蛾を捕える
                    捕らえた蛾をくわえて元の枝に戻り食べ始める。

                    ​フサボウシハエトリは Tyrant Flycatcher ( Tyrannidae ) の仲間で非常に気まぐれの鳥で、前年営巣した場所に次の年も再び営巣するとは限らない。昨年営巣した Ramsey Canyon には今年は雌一羽だけが現れ、一方、雄は一羽だけで Carr Canyon に現れた。はて!来年も現れるのか?・・・予測のつかない珍鳥である。

                    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(2)

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                      巣材運ぶバラノドカザリドリモドキ雌
                      巣材を運ぶバラノドカザリドリモドキ雌 ( Rose-throated Becard )

                      ​6月、何十年ぶりに南アリゾナで営巣してるのが確認されたバラノドカザリドリモドキのカップルは無事ヒナを育て終えた。ところが、その後、8月8日同じ雌雄が前回の巣の近くで再び巣作りを始めた情報がメールに入り、再度出掛けて自分の目で確認し、それからほぼ連日通って観察を続けた。2回目の巣は前回の巣から200メートルほど離れた所で、丁度川を挟んで反対側の岸辺に近い森の中であった。
                       
                      巣材を引っ張るバラノドカザリドリモドキ雄
                      長い樹皮を引っ張り出す途中で、勢い余って枝から落ちそうになるバラノドカザリドリモドキ雄 ( Pachyramphus agiaiae

                      ​この鳥の巣材運びを観察してると、紐のように細長く切れたハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の樹皮を一つ一つ巣の近くの高い枝の間に運び蓄えておき、適当な量になると一本一本そこから引っ張り出して巣に持って行ってる。これにたくさんの草や葉、蜘蛛の巣などを混ぜて接合してるようである。
                       
                      巣の屋根作りの雄
                      自分の体長の何倍もある大きな吊り巣の屋根の部分を作ってるバラノドカザリドリモドキ雄

                      ​巣作りは主に雌の仕事であるが、時には雄も手伝うことがあるようで、長い樹皮を一生懸命巣の外側に差し込んでる姿を見る。大きなフットボールの形をした球形の巣を,巣材を集め出してからたった一週間で作り上げてしまうスピードであった。
                       
                      樹皮を巣に押し込む雄
                      薄くて長い樹皮を巣に押し込んでる雄。巣は見る見るうちに高くなっていく。

                      ​バラノドカザリドリモドキはたいへん静かで、しかもゆったりとした鳥で、葉の茂った大きな木の枝に直立した姿勢で止まって、長い時間ほとんど動かずじっとしていることが多いので、繁殖期以外はフィールドでは非常に見つけにくい。
                       
                      バラノドカザリドリモドキ雄の飛翔
                      樹皮を巣に差し込んでは、忙しそうにまた巣材探しに飛び立って行く雄

                      ​地元の人たちの努力でほとんど手付かずの自然のままに保たれてるこの森は、南アリゾナのメインのバーディングスポットではないが、時々こうした希少種が現れることがあり、年に何回かはチェックする必要がある場所でもある。
                       
                      巣の上で葉を差し込む雄
                      茶色の枯れ枝や樹皮を組み合わせた巣に、所々緑の葉を差し込んでいく。

                      ​巣は高さ60センチ以上、直径30センチ以上の大きなもので、ハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の高い垂れてる枝先にぶら下がってる。常緑樹の林の緑にカモフラージュさせるため、巣の外側に緑色の葉を付けていくようだ。
                       
                      巣の出入り口を作る雌
                      ​巣穴から頭を深く突っ込んで巣の内側を丁寧に作ってる雌

                      ​彼らの大きな巣はまるでごみを集めたような粗雑なものであるが、出入り口の穴は底についてる。穴に入る時はホバリングしながら下から入っていくが、出る時は真っ直ぐ下へ飛び出して、周りの枝に止まることなくそのまま一直線に遠くへ飛んで行く。
                       
                      バラノドカザリドリモドキの巣
                      地上から15メートルほどの高さにぶら下がってるバラノドカザリドリモドキの巣

                      ​今年の後期サマー(モンスーンの夏)は例年以上に雨の量が多く、しかも暑い日が続いたため虫の出が良いので、この希少種バラノドカザリドリモドキは2回も営巣してくれた。そのおかげで6月中旬から8月中旬まで2か月間たっぷりこの珍しい美しいメキシコ種の巣作りを堪能することが出来た。
                       
                      巣の周りの風景と人物
                      ​巣材を探しに低い枝に下りてきたバラノドカザリドリモドキを見るバーダーたち

                      ​全米のバーダーたち憧れのこのメキシコの鳥が2回も営巣したのだから南アリゾナは大騒ぎとなった。色々な州から、又カナダやイギリスからのバーダーたちで巣の周りは連日大賑わい。多い時は10人から30人のグループもやってきた。鳥の観察だけでなく、それぞれの州の「鳥見自慢話」に花が咲き、巣の周りは賑やかであった。


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