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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

マイフィールドに珍鳥及び希少種 2017年夏 その(6)

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    シロスジヒメドリ枝に止まる
    アリゾナでは過去2回しか記録されてないシロスジヒメドリ ( Le Conte's Sparrow )

    9月下旬、インターネット上の Rare Bird (珍鳥)情報 " ebird " にアリゾナでは3回目の記録(これまで2004年と2005年の2回のみ)としてシロスジヒメドリのニュースが流れた。この鳥は珍種ではなく、北カナダで営巣し冬にはガルフ湾沿いのテキサス、ルイジアナの湿地帯の一部で過ごす渡り鳥である。短距離であるが渡りをするコモン ( common ) なヒメドリであるが、不思議なことに多くのバーダーにとって非常になじみが薄く、しかも近くでしっかりと観察できたバーダーが少ない。そのため多くのバーダーにとってぜひ見たい鳥の一種となっている。
     
    シロスジヒメドリ芝生の上
    エサ取りのため芝生に下りてきたシロスジヒメドリ ( Ammodramus leconteii )

    何故シロスジヒメドリがバーダーたちに馴染みが薄いのか?・・・その理由はまず、営巣場所がカナダのあまり人が行けない草が密に茂った湿地や沼地なので、巣を見つけるのが大変難しい。又、秋の渡りで南へ下る時も、丈の高い草に覆われてしっとりとした草原や浅瀬の沼地の淵の草を好み、しかも主にグラウンドを歩きながらエサ取りをする。そして、草が密生した地面をこそこそと隠れるように忍び歩き、驚くと鼠のようにチョコチョコ走るだけで飛ぶことは極めて珍しい。他のヒメドリのようにびっくりして草からパッと飛び出してくることはほとんどなく、飛び出しても、ほんの1メートルから3メートルぐらいの距離を飛ぶだけで、すぐ草の下に下りて見えなくなってしまう。このように見れるチャンスが非常に少ないので、この鳥に関する情報や知識も少なく、主に何を常食としているのか、又どんな営巣状況なのかに関しても記録報告が少ないので、いまだにあまり判ってない部分が多い鳥でもある。
     
    風景ゴルフ場
    2日間シロスジヒメドリが現れ大騒ぎとなった名門ゴルフ場リッツカールトンゴルフコースの5番フェアーウエイ。赤円がエサ取りをしていたスポット。

    今回シロスジヒメドリが現れた場所は、オープンな誰にでも行き易いゴルフコースのフェアウエーだったので、バーダーたちにとって、この見つけるのが困難なヒメドリをじっくり観察出来るまたとないチャンスとなって大騒ぎになった。これほど人目に付かないこそこそしている鳥がこんなオープンな場所にどうして現れたのか?・・・たぶん渡りの途中で十分にエサ取りが出来なかったのと、毎日早朝と夕方のゴルファーがプレーをしていない時間帯にフェアウエーのスプリンクラーから水が散布され、この鳥が好きな草の種が水分を含んで柔らかくなったのを彼は偶然にも見つけたのだろう・・・と多くのバーダーが推測していた。
     
    シロスジヒメドリとヒメウタスズメ
    シロスジヒメドリ(左)と付かず離れず一緒にエサ取りをしているヒメウタスズメ(右)

    9月27日夕方4時頃報告に出ていたゴルフコースの5番に行き、すでにフェアウエーの周りでシロスジヒメドリを探している10人ほどのバーダーのグループに合流し、プレーヤーがいなくなったフェアウエーとラフを1時間ほど歩いて一緒に探す。ラフ横の低灌木からまずヒメウタスズメが芝生に下りてエサ取りを始めだしたので、数分間しゃがんで静かに待っているとお目当てのシロスジヒメドリが同じ灌木の中から出てきた。めったに見れないこの鳥が目の前に現れた姿を見た時の息を吞む驚きは今でも忘れられない。
     
    ヒメウタスズメ餌取
    ヒメウタスズメ ( Lincoln Sparrow / Melospiza lincolnii )

    ヒメウタスズメは営巣場所がシロスジヒメドリと同じような草が茂った湿地や沼地であるが、アラスカからカナダ全域にかけての幅広い地域で見られるポピュラーな鳥である。秋に南下して越冬する場所も太平洋側のカリフォルニアから大西洋側のフロリダまで暖かい北米南部の幅広い地域であり、しかもシロスジヒメドリのような隠密行動を取らず人目につきやすい所に出て来るので、比較的普通に見られる鳥である。
     
    シロスジヒメドリ芝生に嘴入れる
    芝生の根元に嘴を深く入れ夢中でエサ取りするシロスジヒメドリ

    エサ取りに忙しいシロスジヒメドリを10メートルほど離れたところで、半円状に囲むようにフェアーウエー上にバーダーたちが並んで観察しているが、エサ取りに夢中になっているらしく我々のことなど一向に気にすることなくどんどん我々の方に近づいて来て、ついに2メートルぐらいまで寄って来られたのには皆口を開けてポカーンとするほど驚いた。臆病で人目に付きにくいシロスジヒメドリをたっぷり観察出来た珍しいチャンスに遭遇した喜びに大いに沸き、帰り際に皆で握手をし笑顔でこの幸運を祝いあった。
     
    シロスジヒメドリ種食べる
    美味しそうに草の種を食べるシロスジヒメドリ。丁度夕陽が顔に当たってさらに美しく見えた。

    シロスジヒメドリはヒメドリの中でも最も小さい種で、日本のコガラ ( Parus montanus ) と同じ大きさである。和名(シロスジ)にあるように頭のてっぺんの白いすじが目立つ。そしてオレンジ色に近い黄色の額、襟首の茶色のすじ、太くて赤茶の眉、背中の淡黄褐色の線などが特徴で、小さくて人目に付かないが美しいヒメドリである。短くて高い声で虫のようにブジーという地鳴きを時々繰り返していた。ラッキーなことに、このゴルフコースの同じ場所で2日間エサ取りする姿が見られたが、3日目以降には "ebird " 上に「見た!」という報告が出なくなったのでさらに西へ移動して行ったのだろう。

    ハッピーニューイヤー! 2018年元旦

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      初日の出カタリナ州立公園
      南アリゾナ・ソノラ砂漠・カタリナ州立公園の初日の出

      明けましておめでとうございます。
      昨年は私のブログを見ていただきありがとうございました。今年もアリゾナ、そして米国内のより質の高い自然情報をお届け出来ますよう一生懸命努力する所存ですのでよろしくお願い申し上げます。南アリゾナ・ソノラ砂漠は東側にカタリナ連山とリンコン連山があるため残念ながら地平線から上がって来る大きな太陽は見れず、標高2000メートルを超す山々の間から出て来る初日の出となりました。
       
      カタリナ州立公園全景
      マイフィールド「カタリナ州立公園」の元旦の朝

      午前0時、4か所で一斉に花火が上がり、日本から16時間遅れ(時差16時間のため)の新年を迎えた。砂漠に響く大きな花火の音、さぞ野生の動物や鳥たちはびっくりして怖がっているだろうな・・・?と思うと複雑な気持ちになる。2018年の元旦初歩きは近くの州立公園のトレール歩きでした。早朝は零下2度の寒さでしたが、11時ごろには20度を超す暖かさで、冬鳥たちが元気よくグラウンドに下りてエサ取りをしていた。
       
      サワーロとトレール
      巨大サボテン・サワーロ (Saguaro ) を見ながら2018年新年も元気にトレールを歩ける喜びに感謝する。

      冬といっても南アリゾナは暖かい。しかし、冬枯れで花が少なくなった正月の我が家の庭はハミングバードが砂糖水の入ってるフィーダーをすっかり頼りにしているので、エサ場の確保のためテリトリーの取り合いが激しく、よそ者が入って来るとすごいバトルが繰りひろげられる。また、その甘い砂糖水をキツツキのサバクシマセゲラ ( Gila Woodpecker ) が頻繫にフィーダーにやって来るので、これを狙って小型の鷹クーパーハイタカ ( Cooper's Hawk ) が襲う。自然界には正月休みはないようである。
      そして、少なくなった花の蜜を求めて数匹の蝶が飛んでいるのも南国ならではの新年であろう。
       
      ロードランナーカタリナ州立公園
      元旦の朝の鳥見歩きで、さっそく新年のあいさつに現れたオオミチバシリ(ロードランナー Greater Roadrunnner )

      冬の早朝歩きはほとんど人がいないので静かでロードランナーもトレールにちょくちょく出てくる。アリゾナを象徴する鳥の一種であり、飛ぶことより速足で歩いたり走ったりすることが得意である。トレールを歩いてると、前を横切ったり、先導してくれるかのように同じ方向に同じ速度で歩いたり、こっそり後ろを気づかれないように歩いたり・・・と大変愛嬌があり人気者で私も大好きな鳥でもある。
       
      ハイカーの後ろロードランナー
      ハイカーの後ろを何気なくロードランナーが歩いて行く、これも砂漠の元旦ならではの、のんびりした光景であろう。

      他の州や外国からアリゾナに来るバーダーはもちろん、観光客もぜひ見たいと思う鳥ロードランナー。全身がグラウンドや枯草に近い地味な色をしていて、めったに飛ばないので目立たず意外と見つけにくい鳥の一種であるが、秋から冬にかけては人家近くや町の公園、車が行きかう道路にもちょくちょく現れるので目につきやすくなる。2018年新年の「元旦鳥見」の第一号はやはり人気者のロードランナーであった。
       

      マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(5)

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        Five Atriped Sparrow 1
        メキシコ種のムナフスズメモドキ ( Five Striped Sparrow )

        主たる生息地は西メキシコで、近年ごく少数が南アリゾナの小さな限られた地域で営巣している。1950年代までは米国では見られなかった鳥種で、1957年南アリゾナの Santa Rita Mountains で初めて1羽発見されたのが米国での初確認である。
         
        Five Striped Sparrow 2
        顔と喉の白い5本線が特徴のムナフスズメモドキ ( Aimophila quinquestriata )

        英名の " Five Striped " は眉毛とひげ、喉にくっくり目立つ白い5本の線があることからつけられた。なお、和名の「ムナフ」の由来は胸の黒い斑点であろう。南アリゾナのメキシコとの国境沿いにある、限られた Canyon (渓谷)に5月に渡って来て9月にはメキシコへ戻っていく。
         
        Five Striped Sparrow 3
        バーダーたちの目につく所にはなかなか現れてくれないムナフスズメモドキ

        1969年南アリゾナでの営巣が初確認されて以来、1991年までほとんどのバーダーが行けない Chino Canyon でごく少数が毎年見られたが、托卵鳥(他の鳥の巣に卵を産み、自分ではヒナを育てない。日本ではカッコウ類が該当種)のコウウチョウ ( Cowbird / Molothrus ) の犠牲になったのと、熱心すぎるバーダーによるしつっこいテープ音に嫌がってすっかり姿を消してしまった。しかし、2000年に入ってごく少数(1羽から2羽)が南アリゾナに戻って来て限られたスポットで見られるようになってきた。
         
        Five Striped Sparrow 4
        Ocotillo の棘だらけの茎をソングスポットとして好むムナフスズメモドキ

        ムナフスズメモドキは米国では南アリゾナのごく限られた狭い地域でしか見られない、そして数が大変少ない夏鳥の珍種である。しかもその営巣地(見れるスポット)はメキシコ国境沿いのアクセスが難しい Canyon の奥深い岩だらけの所で、しかもいばらの生い茂った Hackberry や Mexquite の藪の中で目立たないように静かに虫を探していることが多いので見つけるのが大変難しい鳥でもある。囀りは特徴ある金属的な声であるが、色々バラエテイーに富んでいて、200以上の異なったバージョーンで歌うこともあるので鳴き声による識別も注意が必要である。
         
        Five Striped Sparrow 5
        後姿や飛んでる姿はただシンプルな赤茶に見えるムナフスズメモドキ

        この鳥は大変臆病で、フレンドリーに近くの枝に来て全身を見せることは非常に少ない。枝先近くに出てきてもほんの数秒いるだけで、直ぐに葉の茂る灌木の中へ入ってしまう。再度見える枝に出てくるのをじっと待つぐらいの辛抱が必要なので、見るのが難しくましてや写真を撮るのは大変忍耐のいる鳥でもある。
         
        風景ムナフスズメモドキ営巣場所
        ムナフスズメモドキが好んで営巣する渓谷の急こう配の崖といばらの生い茂った藪

        ムナフスズメモドキはなかなか見るのが難しく、多くのバーダーたちが一度は見たいと思う憧れの鳥であるが、何と8月中旬に我が家から1時間で行ける近場で、しかも簡単に車で行ける Montosa Canyon と Box Canyon の2か所に出現のニュースがネットに流れ大騒ぎとなる。何しろ今までこの鳥を見るためには地元のガイドを雇ってアクセスが非常に困難なメキシコ国境沿いの California Gulch でしか見られなかった珍鳥が、有名な探鳥スポットがいくつもある Santa Rita Mountains で見つかったこともあって、米国の色々な州からバーダーが殺到して連日大賑わいであった。
         
        風景車道のガラガラヘビ
        ムナフスズメモドキの早朝撮影を終えての帰り道、車の前をゆっくりと猛毒のヒシモンガラガラヘビ ( Western Diamond-back Rattlesnake / Crotalus atrox ) が 横ぎって行く。

        ムナフスズメモドキが最も人目を引いて目につくのは激しい雷雨が降るモンスーン期の夏の短い間だけで、谷底の灌木の茂るぐちゃぐちゃした所で営巣し始めて雌が座りだすと、雄はテリトリーソングを歌い始める。雄は早朝と夕方、谷底から灌木の枝伝いに鳴きながら移動し、見晴らしの良い崖の上に上がって来る。大きな Ocotillo の茎に止まって囀るのが特に好きなようで、数日通ってソングスポットをやっと見つけることが出来た。谷の上の山岳道路で朝日が山から出始めると、やがて雄が下から上がって来る。囀りながら近づいてくる雄を山岳道路で待つのだが、狭い道路なので車と人で溢れることもあり、こんな時は彼はけっして上まで上がって来ず、双眼鏡で見なくてはならないぐらい距離は遠くなる。早朝5時半ぐらいから11時ぐらいまで5時間から6時間、人の動きを見ながら数日間シャッターチャンスを待った。
         

        ハッピーホリデー 2017年12月

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          xmax card 1
          アートフェスティバルで見つけたハミングバードのクリスマスカード

          ​11月23日の " Thanksgiving day " (日本の勤労感謝の日に相当)を迎えると、クリスマスを中心に元旦の1月1日まで米国はホリデーシーズンに入る。この時期に連続休暇を取る人が多く、帰郷して家族と一緒にホリデーを過ごしたり、バケーションで暖かい中南米へ行きバーディングを楽しんだりする。冬でも温かく穏やかな気候のリゾート地、南アリゾナにも色々な州からたくさんの人々が青空と温かい天候を求めてやって来る。ニューヨークでは小雪舞い散る零下の寒さでも、南アリゾナは日中25度以上の暖かさである。また、南アリゾナにはアーティストが多く住んでおり、特に自然や花、鳥、蝶、動物などを主題とする絵画、彫刻のアーティストが集まってるので、この時期は「アートフェスティバル」があちらこちらで開かれる。大きなテントのブースを一つ一つ訪ね、この手の絵描きや彫刻家と自然や生き物の話をし、気に入った作品をそこで作者からダイレクトに買えるのが実に楽しい。歩き疲れた後は、露店のカフェで南国の太陽にさんさんと当たり、よく冷えた白ワインを飲みながらのんびりした暮れのひと時を過ごすのもバーダーにとってこの時期のしばし鳥見を離れてのもう一つの楽しみである。
           
          xmas card 2
          日常の生活の中で最も身近に見るハミングバードはクリスマスのオーナメントやカードなどによく描かれ大変人気がある。

          ​米国のバーダーにとってホリデーシーズンの大きなイベントは「クリスマスバードカウント」であろう。今年で118回目という長い歴史を持っている。このイベントの始まりは、19世紀のクリスマス休暇に始められた「クリスマス・シューティング」である。いわゆるハンターたちが野山へ出かけて手当たり次第に鳥を打ち落として、一日の獲物の数を競い合った。これがクリスマスのお祝いだったようだ。しかし、これはあまりにも野蛮なお祝い行事ではないか・・・と鳥類学者のフランク・チャップマンという人が抗議を始め、これを止めて、かわりにどれだけたくさんの鳥を一日に見たかを競い合うことを提案した。そして、銃を捨てエンピツで鳥の数を記録していく「クリスマスバードカウント」へ変更、第一回大会が1900年にニューヨークのセントラルパークで開かれたのである。この行事はアメリカにいる鳥についての毎年一回行われる国勢調査のようなもので、貴重な記録として残されている。
          ​今年の「クリスマスバードカウント」は12月14日から来年の1月5日までの間に行われる。参加者はグループごとに自然保護団体であり主催者でもある「オーデュボン協会」( The National Audubon Society ) に名前を登録し、公園や森へ出かけ、半径にして12キロ(直径24キロ)の円内で一日(24時間)に見た鳥の数をすべて記録して協会へ提出する。ちなみに、昨年2016年は76,669人のボランティアーが参加、2、505グループで行われ、総計58.9百万羽の鳥が数えられた。
           
          紅葉と山
          ​クリスマス間近でもサボテン Saguaro の林の間に秋の色合いが残る南アリゾナの師走風景

          今年の12月の南アリゾナは例年より暖かく、日中25度以上になる日も多い。そのためか、北から下りて来るミヤマシトド (White-crowned Sparrow ) , ヒバリヒメドリ (Lark Sparrow ) , ブリューワーヒメドリ (Brewer's Sparrow) などの冬鳥の群れがいつもより少ない。しかし、砂漠独特の朝晩の冷え込みは厳しく、5度近くまで下がるのでハミングバードのエサとなる蜜が出る花が庭から消えていく。そのため,冬の間の砂糖水によるフィーダーを掛け始めるのも我家の暮れの作業の一つである。ハミングバードがフィーダーに頼るのは花の咲きが良くない冬(12月〜2月)の間だけで、春になり庭に花が咲き始めると,彼らはフィーダーから離れていく。
           

          マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(4)

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            フスチャメジロハエトリ前向きの姿
            ウスチャメジロハエトリ ( Buff-breasted Flycatchier ) 

            ​ウスチャメジロハエトリは珍鳥フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher ) とよく似てるが、頭に冠毛がないのと少し大きい。生息地域も同じ高い山のポンデロサ松や Pine-oak の林で、今年の夏はたまたまマイフィールドの " Carr Canyon " で、しかも、この2種類が同じ場所でエサ取りをしている報告がネットに載った。一か所で同時に2種類の珍しいフライキャッチャーを見ることが出来たので連日大勢のバーダーが " Carr Canyon " に押し掛けた。
             
            ウスチャメジロハエトリ後姿
            ウスチャメジロハエトリ ( Empidonax fulvifrons ) の後ろ姿

            ​目の周りの白いアイリングが特徴のメジロハエトリ、米国で見られるこの " Empidonax " は11種類で、その中でもウスチャメジロハエトリが一番小さい。メジロハエトリはどれもこれも非常によく似ていて、鳴き声による識別が一番確実であるが、初心者はもちろんベテランのバーダーでも大変識別に苦労するフライキャッチャーである。
             
            ウスチャメジロハエトリ頭上の虫狙う
            頭上を飛ぶ虫をじーと狙っている

            ​ウスチャメジロハエトリは、南アリゾナのメキシコ国境沿いの Huachuca Mountain と Chiricahua Mountain のごく限られた地域のみに渡って来る夏鳥のメキシコ種である。営巣し雛を育て終えると、9月には冬を過ごす南メキシコへ南下して行く。
             
            ウスチャメジロハエトリ全身
            赤みがかった褐色の胸と薄い茶色の平らな頭が特徴

            ​ウスチャメジロハエトリはメジロハエトリの中では小さくて特徴があるので比較的識別し易いが、他のメジロハエトリの識別にはほとんどのバーダーが苦労する。フィールドでメジロハエトリを見つけると、そうそうと識別は諦め、ただ「エンピ (Empi) の一種を見た・・・」という報告をする人が多い。「エンピ」はメジロハエトリのラテン名 "Empidonax" から付けられたものである。
             
            ウスチャメジロハエトリ首傾げる
            ​時々首を傾げては私を見つめ,様子を伺っていた

            ​ウスチャメジロハエトリは,南アリゾナの非常に限られた地域の山の渓谷の松林でしか見られない希少種である。しかし、近年営巣する個体数が少しづつ増えてきて、今では推定30組ぐらいは南アリゾナで営巣するようだが、お目にかかるチャンスが非常に少ないメジロハエトリである。
             
            ウスチャメジロハエトリ草に止まる
            低い草の茎に止まって朝日を浴びる

            ​ほとんどのメジロハエトリは高い枝に止まって空中を飛んでる虫をフライングキャッチするが、ウスチャメジロハエトリのエサ取りのテリトリーは大変広く、高い木の枝から低い下枝まで、そして時には草むらまで下りてきて、グラウンドでエサ取りをすることもある。
             
            ウスチャメジロハエトリ草の虫を探す
            低い枝に下りてきて、草にいる虫を取ろうとしている

            ​松林の林縁をエサ取り場とするウスチャメジロハエトリとフサボウシハエトリは松林の枝の高低でテリトリーが分かれてる。低いところを好むウスチャメジロハエトリが時々高い枝へ上がっていくと、フサボウシハエトリのテリトリーに入るので猛烈な勢いで追いかけまわされる。小さいフサボウシハエトリの方が気性が激しく、いつも追い払う側であった。

            マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(3)

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              フサボウシハエトリ下から見る姿
              ​フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher / Mitrephanes phaeocercsu

              主にメキシコから中央アメリカのコスタリカ、パナマそして南アメリカのエクアドールまでの広い地域に生息するフライキャッチャーである。4亜種に分かれていて、夏(3月〜10月)は3500メートル以上の高山の Pine-oak の森林に、冬は川が流れる低い森林で過ごす。
               
              フサボウシハエトリ逆光の中で
              ​特徴の粋な羽飾りのような冠毛 (Tuft ) と喉から胸にかけての赤茶色が美しいフサボウシハエトリ

              ​別名 " Small Mountain Flycatcher " と呼ばれ、体長は12センチで日本のメジロ ( Zosterops japonicus ) と同じ大きさの小さな可愛いハエトリである。
               
              フサボウシハエトリ正面
              正面から見ると、冠毛がトサカのように見えて愛嬌のある顔である。

              ​北米では1991年テキサスの Big Bend 国立公園で写真に納められて確認されたのが初めての記録。昨年(2016年)南アリゾナの Ramsey Canyon で初めて営巣してるのが確認された。今年は営巣はされなかったが、メスは Ramsey Canyon で、オスは隣接してる Carr Canyon で、別々に確認されており、これは北米で8番目の記録となった。
               
              フサボウシハエトリ左向き全身
              よく見える葉のない丸裸の枝に直立して止まり、飛んでる蛾を探す。

              ​基本的には渡りをしない鳥で、北米では南アリゾナとテキサスのメキシコとの国境に近い Canyon でしか見られない珍鳥である。
               
              フサボウシハエトリ伸びをする
              伸びをするフサボウシハエトリ

              ​今年8月9日にフサボウシハエトリがカー渓谷 (Carr Canyon) に出現というニュースがネットに流れ、翌日さっそく確認に出かけた。Carr Canyon は我が家から最も遠いフィールドで、片道224キロ南に下ったメキシコとの国境沿いの渓谷である。鳥たちには国境などがないので、こうしたメキシコ・中南米種は自由に行き来することが出来るが、人間はそうはいかない。フサボウシハエトリが見れるスポットへ行く主要道路には国境警備隊の検問所があり、すべての車一台一台止められてチェックを受ける。また、「ここはメキシコからの違法入国者や麻薬運び人が徘徊するので十分注意するように!」という看板が所ところで目につくので少々緊張する鳥見となった。
               
              フサボウシハエトリとポンデロサ松
              ​五葉松の一種ポンデロサ松 (Ponderosa Pine) の林で静かに止まっていることが多いので、この小さなハエトリを見つけるのには少々苦労する。

              ​珍鳥フサボウシハエトリが出現したスポットは標高2260メートルの山頂のキャンプグラウンドで、10キロほどの未舗装の山岳道路を四輪駆動車で上がらなくてはならなかった。もともと鉱山用の道で、急斜面に造られてあり一車線の道路でスイッチバック運転をしなくてはならない。しかも、所々岩が露出してるばかりでなく、雨で土がえぐれてるので車の底を擦るのでは・・・とヒヤヒヤしながらの緊張したドライブを強いられた。
               
              フサボウシハエトリ急降下
              蛾を捕えようと枝から急降下するフサボウシハエトリ

              ​彼らのエサ捕りは高い枝に止まって飛んでる蛾や虫をフライングキャッチしては元の枝に戻るので、この時がこの小さなハエトリをじっくり見れるチャンスである。よく「ピーピーピー」というコールを繰り返すので、声を頼りに近づくと見つけやすい。
               
              フサボウシハエトリ蛾を捕える
              捕らえた蛾をくわえて元の枝に戻り食べ始める。

              ​フサボウシハエトリは Tyrant Flycatcher ( Tyrannidae ) の仲間で非常に気まぐれの鳥で、前年営巣した場所に次の年も再び営巣するとは限らない。昨年営巣した Ramsey Canyon には今年は雌一羽だけが現れ、一方、雄は一羽だけで Carr Canyon に現れた。はて!来年も現れるのか?・・・予測のつかない珍鳥である。

              マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(2)

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                巣材運ぶバラノドカザリドリモドキ雌
                巣材を運ぶバラノドカザリドリモドキ雌 ( Rose-throated Becard )

                ​6月、何十年ぶりに南アリゾナで営巣してるのが確認されたバラノドカザリドリモドキのカップルは無事ヒナを育て終えた。ところが、その後、8月8日同じ雌雄が前回の巣の近くで再び巣作りを始めた情報がメールに入り、再度出掛けて自分の目で確認し、それからほぼ連日通って観察を続けた。2回目の巣は前回の巣から200メートルほど離れた所で、丁度川を挟んで反対側の岸辺に近い森の中であった。
                 
                巣材を引っ張るバラノドカザリドリモドキ雄
                長い樹皮を引っ張り出す途中で、勢い余って枝から落ちそうになるバラノドカザリドリモドキ雄 ( Pachyramphus agiaiae

                ​この鳥の巣材運びを観察してると、紐のように細長く切れたハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の樹皮を一つ一つ巣の近くの高い枝の間に運び蓄えておき、適当な量になると一本一本そこから引っ張り出して巣に持って行ってる。これにたくさんの草や葉、蜘蛛の巣などを混ぜて接合してるようである。
                 
                巣の屋根作りの雄
                自分の体長の何倍もある大きな吊り巣の屋根の部分を作ってるバラノドカザリドリモドキ雄

                ​巣作りは主に雌の仕事であるが、時には雄も手伝うことがあるようで、長い樹皮を一生懸命巣の外側に差し込んでる姿を見る。大きなフットボールの形をした球形の巣を,巣材を集め出してからたった一週間で作り上げてしまうスピードであった。
                 
                樹皮を巣に押し込む雄
                薄くて長い樹皮を巣に押し込んでる雄。巣は見る見るうちに高くなっていく。

                ​バラノドカザリドリモドキはたいへん静かで、しかもゆったりとした鳥で、葉の茂った大きな木の枝に直立した姿勢で止まって、長い時間ほとんど動かずじっとしていることが多いので、繁殖期以外はフィールドでは非常に見つけにくい。
                 
                バラノドカザリドリモドキ雄の飛翔
                樹皮を巣に差し込んでは、忙しそうにまた巣材探しに飛び立って行く雄

                ​地元の人たちの努力でほとんど手付かずの自然のままに保たれてるこの森は、南アリゾナのメインのバーディングスポットではないが、時々こうした希少種が現れることがあり、年に何回かはチェックする必要がある場所でもある。
                 
                巣の上で葉を差し込む雄
                茶色の枯れ枝や樹皮を組み合わせた巣に、所々緑の葉を差し込んでいく。

                ​巣は高さ60センチ以上、直径30センチ以上の大きなもので、ハヒロハコヤナギ ( Cotton Wood ) の高い垂れてる枝先にぶら下がってる。常緑樹の林の緑にカモフラージュさせるため、巣の外側に緑色の葉を付けていくようだ。
                 
                巣の出入り口を作る雌
                ​巣穴から頭を深く突っ込んで巣の内側を丁寧に作ってる雌

                ​彼らの大きな巣はまるでごみを集めたような粗雑なものであるが、出入り口の穴は底についてる。穴に入る時はホバリングしながら下から入っていくが、出る時は真っ直ぐ下へ飛び出して、周りの枝に止まることなくそのまま一直線に遠くへ飛んで行く。
                 
                バラノドカザリドリモドキの巣
                地上から15メートルほどの高さにぶら下がってるバラノドカザリドリモドキの巣

                ​今年の後期サマー(モンスーンの夏)は例年以上に雨の量が多く、しかも暑い日が続いたため虫の出が良いので、この希少種バラノドカザリドリモドキは2回も営巣してくれた。そのおかげで6月中旬から8月中旬まで2か月間たっぷりこの珍しい美しいメキシコ種の巣作りを堪能することが出来た。
                 
                巣の周りの風景と人物
                ​巣材を探しに低い枝に下りてきたバラノドカザリドリモドキを見るバーダーたち

                ​全米のバーダーたち憧れのこのメキシコの鳥が2回も営巣したのだから南アリゾナは大騒ぎとなった。色々な州から、又カナダやイギリスからのバーダーたちで巣の周りは連日大賑わい。多い時は10人から30人のグループもやってきた。鳥の観察だけでなく、それぞれの州の「鳥見自慢話」に花が咲き、巣の周りは賑やかであった。

                マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(1)

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                  バラノドカザリドリモドキ雄
                  ​今年の夏、バーダーたちを夢中にさせたバラノドカザリドリモドキ雄 ( Rose-throated Becard )

                  ​昨年の珍鳥騒ぎに続いて、今年も珍しい中央アメリカの鳥たちが南アリゾナに現れ、またまた大騒ぎとなった。そのうちの一つバラノドカザリドリモドキが6月18日に何十年ぶりに南アリゾナで営巣しているのが確認され、たちまち "e-bird" "AZ Tucson Audubon" などのネットに多くの人の情報が載り、私もすぐ車を走らせて現場へ赴いた。
                   
                  バラノドカザリドリモドキ雌
                  ​バラノドカザリドリモドキ雌 ( Pachyramphus agiaiae

                  雌は翼と尾が明るい赤茶で背中は灰色。頭の薄黒い色がアクセントとなって雄のように美しくはないが表情がとても可愛らしい。
                   
                  風景サンタクルーズ川
                  バラノドカザリドリモドキの営巣が確認されたサンタクルーズ川 ( Santa Cruz River ) 

                  ​営巣場所は我が家から車で1時間15分南へ下がったメキシコとの国境に近い国定歴史公園で、バーダーたちが常時鳥見をして報告を出してる所ではない隠れたスポットである。メキシコに上流を持つサンタクルーズ川は水量が豊富なので川の両岸は大きなハヒロハコヤナギ (Cotton Wood ) やマメ科の大木メスケ (Mesquit) , Pine-oak など、常緑樹の葉がうっそうと茂っている森で、まさにバラノドカザリドリモドキが好む環境となっている。
                   
                  羽繕いするカザリドリモドキ雄
                  水浴びをして羽繕いするバラノドカザリドリモドキの雄

                  ​体長18センチ、日本の河川の葦藁でよく見られるオオヨシキリ ( Acrocephatus orientalis ) と同じ大きさ。雄は美しいバラ色の喉とずんぐりした大きな黒い頭が特徴。主にメキシコから中央アメリカに生息しており、北米では南アリゾナと南テキサスの一部の地域でたまに見られる希少種である。亜種が多く、中央アメリカのコスタリカで見た亜種は雄でも喉にバラ色がなくただ灰色であったため美しい鳥とは思わなかった。
                   
                  羽繕いするカザリドリモドキ雌
                  ​水浴びを終えて羽繕いするバラノドカザリドリモドキの雌

                  ​巣にはすでに雛が孵化してるようで、小さな声が聞こえてくる。夜明けとともに親鳥はエサ取りを開始、頻繫にエサを銜えて戻って来ては雛にエサを与えている。午前8時過ぎごろ、朝日が高くなって森に日が差し始め、空気が温まって来ると親鳥の雛へのエサ運びは一段落して、自分たちの朝食そして水浴びに出かけ、暫く巣の近くには戻ってこない。
                   
                  バッタを銜えたカザリドリモドキ雄
                  ​雛の好きなバッタを銜えて巣の近くに戻って来たバラノドカザリドリモドキの雄

                  ​バラノドカザリドリモドキのエサの捕り方はフライングキャッチはあまりせず、主に大きな木の真ん中の葉がよく茂った枝で静かに動かず隠れるように止まって虫を探すか、あるいは背丈の低い大きな野草にしがみついてるバッタを捕ることが多い。時々雄、雌でコール(口笛に似た物悲しい声)し合いながらエサ探しをしている姿を見る。
                   
                  バッタを銜えたカザリドリモドキ雌
                  バッタを雛に運ぶバラノドカザリドリモドキの雌

                  ​川と森の間の草地にはバッタが大変多い。歩いてると足元から何十匹ものバッタが一斉に飛び上がってはまた草の上に落ちていく。その時に出る「パチッパチッ・・」という音が何も聞こえない静かな草地に良く響く。昔、日本で虫捕りをしていた子供の時に耳にした懐かしい音でもある。
                   
                  カザリドリモドキ雌の
                  捕らえたバッタを銜えて巣へ飛んで行く雌

                  ​バラノドカザリドリモドキは雛へのエサ運びを主に雌が行い、時々雄が手伝うかのようにエサ運びをしている。雄は主に巣の近くの枝にじっと止まっていて他の鳥が近づくと凄い剣幕で追い払っている。巣の近くには数組のレンジャクモドキ (Phainopepla / Phainopepla nitens) も営巣しており、時々雄がバラノドカザリドリモドキの巣に近づきチョッカイをかけている。

                   

                  砂漠の夏に咲くサボテンの花 2017年 (下)

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                    Ocotillo
                    初夏の砂漠の開けた岩のスロープでよく目立つオカティヨ ( Ocotillo ) 

                    ​巨大サボテン・サワーロの花が咲き出す頃に、オカティヨの赤い花も砂漠に色を添える。Ocotillo は木のような細長い茎にたくさんの棘がついてるのでサボテンの一種と思う人が多いが、正式にはサボテンではなく、メキシコの " Boojum Tree " と同じ仲間。茎の棘は葉柄が落ちたもともとの葉が変化したものである。一年のほとんどが灰色で枯れた棘の棒のような姿をしているが、雨が降ると直ぐに美しい緑色に変化する。
                     
                    Flower of Ocotillo
                    オカティヨ ( Ocotillo / Fouguieria splendens ) の花

                    ​赤いオレンジ色の筒状の花の房は、細くて長い茎のてっぺんに咲く。花が咲いてる形がローソクのようなので別名 " Candle wood " " Coach whip " などと呼ばれている。ハミングバードが大好きな花で、よく蜜をホバリングしながら舐めている。
                     
                    Pink flowered Hedgehog
                    ​パロベルで ( Paroverde ) の木陰にヘッジホッグサボテン ( Pink flowered Hedgehog / Echinocereus fasciculatus ) の花が咲く

                    ​別名を「ストロベリーヘッジホッグサボテン」。花は紫色の淡紅色で幅10センチ、主に南アリゾナで見られるが、ツーソン近郊のソノラ砂漠では特に人目を惹くサボテンである。花は多くのサボテンの花と同じように、朝に開いて夜には閉じてしまう。
                     
                    Staghorn Cholla
                    スタグホーンチョーヤ・サボテン ( Staghorn Cholla / Cylindropuntia versicolor

                    ​太くて頑丈な木のように茂った幹、砂漠で見ていると大きな灌木に見えるが、これも立派なサボテンである。英名 " Staghorn " の由来は、節がある円柱の茎が鹿の角のように見えるところからきている。
                     
                    Flower of Staghorn Cholla
                    スタグホーンチョーヤ・サボテンの美しい花。

                    ​4月に入ると咲き始める赤い花は、カップの形をしていて幅2.5センチ程度と小さい。主に南アリゾナでしか見られないサボテンで、棘のある灌木のような木で、砂漠の鳥たちサボテンミソサザイ ( Cactus Wren ) やマルハシツグミモドキ ( Curve-billed Thrasher ) が好んで営巣する。大きな棘が外敵から卵や雛を守る役目をしているため・・・と思われる。
                     
                    flower of Engelmann Prickly Pear
                    エンゲルマン・プリックリーペアー・サボテン (Engelmann Prickly Pear / Opuntia engelmannii

                    ​プリックリペアーサボテンは低灌木のようであるが、幹のないこんもりしていて群生するサボテンである。別名「牛たんサボテン (Cow's tongue cactus ) 」、「円形サボテン ( Discus Prickly Pear ) 」と呼ばれてる。色々な種類があるが、南アリゾナが最も多い。レモン色のカップの形をした花は幅8センチ、花一つ一つは朝8時ごろ開き始めて夜8時ごろには閉じてしまう。
                     
                    American Kestrel on Saguaro
                    ​サワーロ ( Saguaro ) のてっぺんに止まるアメリカチョウゲンボウ雄 ( American Kestrel / Falco sparverius

                    ​種から成長して50年ぐらいしか経ってない若いサワーロサボテンはまだ花が咲いていない。樹木が少ない砂漠では鳥たちの恰好の止まり木である。アメリカチョウゲンボウは米国で最も小さい鷹で、古くは " Sparrow Hawk " と呼ばれていた。日本のチョウゲンボウより小さく、キジバトよりさらに小さい。砂漠には樹洞が少ないので巨大サボテン・サワーロにサボテンキツツキ ( Gila Woodpecker ) が穴をあけて巣に使った古い巣を利用することが多い。サワーロサボテンの穴から出入りする鷹の姿はまさにソノラ砂漠ならではであろう。

                    砂漠の夏に咲くサボテンの花 2017年 (上)

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                      サワーロと虹
                      ​早朝の雷雨、虹がかかった巨大サボテン Saguaro (サワーロ)、朝日の光に浮き上がる黄色いパロベルデの花。

                      ​春雷が激しくなりだすと、南アリゾナ・ソノラ砂漠の短い春は終わって夏となる。砂漠の夏は巨大サボテン・サワーロの花に囲まれる。そして、周りにはアリゾナの州の木である " Foothill Palo Verde " (パロベルデ / Cercidium microphyllum ) の小さな花が樹全体に咲く。葉が大変小さく幹や枝が緑色なので樹全部が黄色に輝いて見える。
                       
                      サワーロとマリーゴールド
                      キンセンカの仲間マリーゴールドの花とサワーロ

                      ​サワーロの花が咲くころに明るく黄色い花をつける野草 Desert Marigold ( Baileya multiradiata ) 。背丈の高い茎のてっぺんに咲く菊に似た花である。トレールの両側にこの花が咲くと、まさに砂漠の夏の到来を感じる。
                       
                      サワーロの蕾
                      ​巨大サボテン・サワーロの枝、たくさんの蕾が大きく膨らんでいる。

                      ​サワーロ(和名:弁慶柱、英名: Saguaro 学名: Cereus gigantea )はアリゾナ州からカリフォルニア州の南西部からメキシコ北部まで広がるソノラ砂漠、主にそこだけでしか見ることが出来ない巨大サボテンである。奇妙な人間に似た外観や野生的で想像的なイメージを持っているので大変人気がある。
                       
                      サワーロ、サバクシマセゲラ
                      ​サワーロの蕾が開き始めると砂漠のキツツキ・サバクシマセゲラ (Gila Woodpecker / Melanerpes uropygialis) が蜜を吸いに来る

                      ​サワーロは非常に成長が遅く、砂漠の花や木がほとんどそうであるように、主に夏の「モンスーン期」(6月中旬から9月中旬)の3か月間に成長する。15年経過するとやっと30センチの高さとなるぐらいスローで、何と、花が咲くには75年以上経たなくてはならない。200年近く生存するが、150年以上経った立派なサワーロは、高さ15メートル以上になり重さは8トンもの大きさに成長する。
                       
                      サワーロ全体に花
                      大きなサワーロサボテンの全体に花がついて、まさに満開である。

                      ​今年の冬と春は例年より少々雨が多く、サワーロや砂漠の木や花にとって大変ハッピーだったようだ。サワーロの頂上から枝先全部に花がびっしり咲くのも珍しい。ソノラ砂漠はアメリカ大陸において最も乾燥した土地の一つだと言える。真夏の気温は35度から40度、年間の降雨量は30センチ以下、しかも冬場は朝方零下5度以下という日もあって実に厳しい。サワーロはそんな環境に置かれてるので成長が非常に遅い。
                       
                      サワーロ5つの花
                      アリゾナの「州の花」サワーロ、蝋細工の花のようである。

                      ​サワーロの花は大きさ(幅)9センチほどの白い蝋質の花弁で、中央部にはぎっしりと花粉がついている。花は午後遅く咲き始め翌日の午後早く終わってしまう、たった24時間の命である。花が咲き終わり赤い果実がなる頃には、乾燥した「ドライサマー」も終わって激しい雷雨をともなう「モンスーンサマー」に入る。
                       
                      サワーロ、下に向いた花
                      サワーロには珍しい、低くグラウンドに向かって咲いてる花。

                      ​サワーロは樹木のような大きなサボテンであるが、根は浅く横に広く張っている。そして互いに水分の奪い合いをしないようにするため、一本一本の間隔が均等でしかも遠く離れている。「モンスーン期」の砂漠で荒れ狂う夏の嵐は、雷雨をともなった大量の雨を降らせる。この雨は砂漠の「生きもの」にとってまさに天の恵みで、サワーロも巨大な幹のゼラチン質の細胞で750リットルもの水分を吸収し、翌年の乾期に備える。
                       


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