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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

雛を連れたアメリカワシミミズク 2017年夏 (上)

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    アメリカワシミミズク親前向き
    アメリカワシミミズク ( Great Horned Owl ) 

    ​アメリカワシミミズクは北米全域で見られる最もポピュラーなフクロウで、新大陸、アラスカの北極圏から南アメリカまで幅広く生息している。子供の時に見たディズニーのアニメ映画「バンビ」に森の博士として出てきたのを思い出す。そして、絵本にも数多く描かれてるので、子供たちにも人気がある身近なフクロウでもある。
     
    アメリカワシミミズク親後ろ向き
    顔を真後ろに回して警戒するアメリカワシミミズク ( Bubo virginianus

    ​私が住んでる南アリゾナはアメリカワシミミズクの数が特に多く、繁殖期が始まる3月中旬ごろから6月初旬まで毎晩のように我が家の屋根に来て低い声で「ホッホ・ホーホー」と鳴いている。時々寝室の横の塀の上で明け方に鳴かれることがあって、たびたび起こされることがあり、「煩いなー、勘弁してくれよ!」と思わず怒鳴りたくなるほど大変身近な鳥である。何しろ鳴き声の英語による聞きなしが " You awake? " " Me too ! " で、和訳すると「目が覚めた?」「私も覚めたよ」というぐいだから、仕方ないかも・・
     
    アメリカワシミミズク親と雛
    ​じっと私を見つめるアメリカワシミミズクの親子

    ​今年も3月の終わりごろから毎晩屋根で鳴いてくれたアメリカワシミミズクが6月初めの早朝、庭に隣接する「野生生物保護区」の大きな木に雛を連れて現れ、一週間、毎朝親子の仲睦まじい姿を楽しむことが出来た。「雛が生まれ、無事育てたヨ」と自慢げに見せに来てくれたような感じがして、実に嬉しい連日の朝だった。
     
    アメリカワシミミズク雛伸びする
    翼を広げて伸びをするヒナ

    ​アメリカワシミミズクの雛は10週間ぐらいで飛べるようになり、数か月間は親についてエサ捕りの方法を会得していく。フクロウの中でも最も「力」のある種類で、主に脊椎動物を捕り、自分よりも大きいボブキャット(野生の猫)、スカンク、ヤマアラシ、ウサギなどを狙うこともしばしばある。
     
    アメリカワシミミズク雛枝登る
    ​雛は親に負けない太い脚を使って枝を登り始める

    鳥の雛も人間の子供と同じようにひと時もじっとしていない。常に足を動かしたり、首を回したり、枝を登ったり下ったりヨロヨロと千鳥足で危なげに歩き回り、今にも木から落ちるのでは・・・と見ていてハラハラしてくる。
     
    アメリカワシミミズク親に甘える雛
    親子で語り合ってるような微笑ましい姿

    ​アメリカワシミミズクは夜行性であるが、時々は日中でもエサ捕りをする。特に雛を育ててる時は、夏の太陽がさんさんと照りつける暑い昼間でも盛んにエサ捕りする姿を見ることがある。雛の食欲はおおせいで、夜の狩りだけでは間に合わないのかもしれない。

    暑中見舞い 2017年夏

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      トロゴン1横向
      北米では南アリゾナでしか見られない美しい夏鳥ウツクシキヌバネドリ ( Elegant Trogon ) 

      ​暑中お見舞い申し上げます。
      南アリゾナの夏は4月、5月、6月の「ドライサマー」と7月、8月の「モンスーンサマー」の前期と後期2回に分けられてます。今年の「ドライサマー」の6月は40度以上の日が2週間以上も続き、しかも湿度10%以下(時には3%台)というまさにカラカラの「ドライサマー」でした。あまりにも乾燥した猛暑なのでアリゾナ州、隣のカリフォルニア州、ユタ州などでは何か所にも渡って大規模な山火事が発生、そのほとんどが一か月以上も燃え続け、一時は私のところからも煙が見えました。7月に入って「モンスーンサマー」になり、メキシコから湿った空気が入ってきて砂漠の乾いた高熱の空気とぶつかって積乱雲ができ、ほぼ毎日のように激しいスコールが降ります。雷を伴った雨は「ゲリラ集中豪雨」のような降雨で、短時間に多量の雨が降って砂漠からの鉄砲水が流れ、あふれだしそれが道路に溜まってしばしば交通止めとなります。でもこの雨は砂漠の「生きもの」にとっては嬉しい恵みの雨です。草木は生き返ったように新しい芽を出して花が咲きます。そして、砂漠の鳥たちは2回目の子育てをするので、この時期を " Second Spring " (2回目の春)と呼ばれてます。
       
      トロゴン2正面 
      ​キャニオン ( Canyon ) と呼ばれる緑深い山の渓流沿いで見られる夏鳥のウツクシキヌバネドリ ( Trogon elegans

      ​真夏になると砂漠での鳥見は危険を伴うこともあり、私のフィールドも2000メートルを超す山々のキャニオンへ移り、主に森林で鳥見を楽しみます。南アリゾナの森林のシンボルの鳥と言えばウツクシキヌバネドリ(通称トロゴン)でしょう。大きさはキジバト ( Streptopelia orientalis ) とほぼ同じで、胸から下腹にかけての鮮明な赤、首から背中にかけての絹のような光沢をした青と緑は実に美しい。独特な低いしゃがれ声で切れ目なく続く鳴き声は森の中から聞こえてくるが、なかなか姿が見れないことが多い。
       
      トロゴン3後姿
      ​ウツクシキヌバネドリはほぼ直立姿勢で、長い尾を真っ直ぐ下へたらして置物のように動かず長い時間高い枝に止まっている。

      ​この鳥は涼しい深い森の渓流沿いの大きな鈴懸の樹やオークの樹を好み、それらの樹洞に営巣する。繁殖期に入る直前の5月の早朝には、オスがしゃがれ声で低く「クワークワー」と繰り返し鳴きながら渓流沿いをメスを求めてパトロールをする。そして、近くの枝にポッと止まることがよくあるので、一番この鳥を見れるチャンスが多い。ウツクシキヌバネドリの数は多くないが、私のフィールドの一つにしてるマデラ渓谷 ( Madera Canyon ) には、今年の報告では3組のカップルが営巣しているようである。7月8月の「モンスーン期」の山での自然探索は集中豪雨はもちろん落雷(森の高い木にはよく落ちる)に十分注意をし、常に天気予報を見ながらの歩きなので非常に疲れる。それでも双眼鏡をぶら下げて早朝から山に入ると、全米各地からの同じような仲間が歩いており情報交換に忙しい。

      謹賀新年 2017年(平成29年) 元旦

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        雪山とサワーロサボテン
        巨大サボテン Saguaro (サワーロ)の林と雪山。

        明けましておめでとうございます。
        南アリゾナの砂漠より皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
        今年も精一杯努力して皆様に喜んでいただけるブログを作成してゆきます。
        どうぞよろしくお願いいたします。
         
        サワーロサボテンと岩山
        初雪でうっすらと白化粧したプッシュリッジ山(1600メートル)とサワーロサボテン。

        ​元旦の朝、マイフィールドのカタリナ州立公園を歩きました。ソノラ砂漠のトレールはまだ少し緑が残っていて、大サボテンも朝日を浴びて緑色に耀き冬らしくない風景ですが、遠くの山々に目を向けると、岩肌に雪が吹き付けられた対照的なソノラ砂漠ならではの面白い景色を見ることが出来ました。
         
        雪のレモン山
        ​2800メートルのレモン山の山頂は松林に雪がたっぷり被さってます。

        暖かい陽射しの砂漠トレールから双眼鏡で遠くの雪山の松林を見るのは豪快です。私が住んでる南アリゾナは砂漠の周りに2000メートルを超す山がいくつもあり、サボテンの林と雪山を同時に見られる冬ならではのマイフィールドの素晴らしい光景が楽しめます。

         
        カーディナル
        ​正月にふさわしい真っ赤な鳥、ショウジョウコウカンチョウ ( Northern Cardinal / Cardinalis cardinalis )

        ​山の麓の砂漠まで雪が降ることはまれですが、早朝の気温は大変低く、花の蕾がまだ固い冬枯れの枝先で鳥たちは朝日に当たって暖を取ります。ショウジョウコウカンチョウはほぼ全米で見られ、子供たちもよく知っているポピュラーな鳥ですが、ソノラ砂漠で見られるのは亜種の Southwest 型で、嘴が大きく、長いブラシのような冠毛が特徴で大きく見えます。
         
        クーパーハイタカ
        ​冬枯れの倒木でじっと獲物探しをするクーパーハイタカ ( Cooper's Hawk / Accipiter cooperii ) のオス。

        ​冬、日中は比較的暖かい南アリゾナでも、獲物となる小鳥や小動物の数が少なくなり又その動きも静かであるため、猛禽類はエサの捕獲に苦労するのでクーパーハイタカにとっては空腹な毎日と思われる。多くのタカ類の獲物探しは空高くソアリングしながらの行動が多いですが、クーパーハイタカは林の中の大きな木の枝にじっと止まって獲物を探してることが多い。獲物の動きを察知すると、素早く樹間を忍者のように低く飛び、獲物に近づくとアタックするすごい技術を持っています。
         
        ズアカカンムリウズラ
        上を向いて高らかに春の歌を歌うズアカカンムリウズラ ( Gambel's Quail / Callipepla gambelii )

        ​南アリゾナの冬は短く、2月中旬となると早くもペンステモンやポピーが咲き始めます。春を待ちかねてるズアカカンムリウズラ、主にグラウンドを歩きながらエサ取りをしますが、春が近くなると木の高い枝先によじ登って、高らかに独特の「ポアー」というのどかな鳴き声を発します。毎年、冬の終わりにこの姿を見ると、春の兆しを強く感じられ気持ちがウキウキしてきます。

        ハッピーホリデー 2016年12月

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          絵葉書ー雪とサワロ
          南アリゾナ・ツーソンの町で見つけたソノラ砂漠のクリスマスカードです。

          ​11月末の「サンクスギビングデー」が終わると南アリゾナも「ホリデーシーズン」に入ります。連休を取って故郷に帰る人、ヨーロッパへ旅をする人、友人たちを自宅に呼んでパーティーをする人など一年で一番アメリカ人が浮かれる楽しいシーズンです。クリスマスソングに " It's the most wonderful time of the year " という歌があるほどです。丁度、日本の正月のような雰囲気です。鳥好きの私は所属してる愛鳥家クラブが主催する「クリスマスバードカウント」に久しぶり参加し、鳥の数を競い自然保護団体への寄付金を集めようと準備をしてるところです。
           
          玄関のクリスマスオーナメント
          ​「師走」とはいえ、南アリゾナの日中は20度近い暖かさです。草木の緑はまだ残っていますし、ポットやハンギングバスケットの花が満開の中でクリスマスオーナメントが光る南アリゾナ独特のホリデーシーズン光景です。ソノラ砂漠名物、大サボテン・サワーロ ( Saguaro ) に豆電球をぐるぐる巻きにして飾る人もいます。巨大サボテン全体が棘で覆われてますので、電球を付けたり外したりするのに相当苦労するようです。

           
          Buckeye - Butterfly
          今年は雨が多く暖かい冬なので12月に入ってクリスマス近くになっても数種類の蝶が庭に来てます。庭では珍しいクジャク蝶に似た Buckeye ( Junonia coenia ) があらわれ、まさに自然がくれた美しいクリスマスプレゼントになりました。

          今年もブログを見ていただきありがとうございました。
          ​皆様、どうか良い年をお迎えください。

          ソノラ砂漠の秋の話題(2) ロードランナー 2016年

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            ロードランナー塀の上 1
            秋も深まり肌寒さを感じる朝、久しぶりロードランナーがエサ探しに塀を歩き始めた。

            ​ロードランナー(和名:オオミチバシリ、英名: Greater Roadrunner, 学名: Geococcyx californianus ) 。真夏は主食の一つトカゲを捕りに時々庭を歩いているのを見かけるが、毎年秋になると、ほとんど毎朝のように庭木の Desert Willow につく大きな青い虫を探しにやって来る。涼しくなった庭でのロードランナーとの毎朝のご対面は、私にとって秋の楽しい朝のひと時でもある。
             
            ロードランナー塀の上 2
            ​塀の一番高い所に上がり、愛嬌のあるとぼけた顔で私を見つめる。

            ​ロードランナーは、いわゆる目の前で動く「生きもの」は何でも食べてしまうほど悪食である。体長は58センチと大型の「ジカッコウ」なのでグラウンドを歩くのが得意で、時速25メートル以上の速さで走ることも出来る。ソノラ砂漠にはかなりの数がいるが、フィールドを歩いている時より庭や人家の屋根、塀などで見かける機会の方が多い。
             
            ロードランナー木の前
            ​真横にいる私など無頓着で、さて獲物でも探そうか・・・・と歩き始める。

            ロードランナー(オオミチバシリ)はカッコウの仲間であるが、渡りをしない留鳥である。大きな木の下などに隠れるようにじっとして獲物を狙うので、フィールドを歩いていてもなかなか見つけるのが難しい。獲物探しで庭に頻繁に現れる秋は、私にとって一年で一番観察できる季節でもある。
             
            ロードランナーオフィスの窓
            ​書斎の窓の前の Desert Willow の葉に隠れてる青い虫を探し始める。

            ​ロードランナーは猛毒なガラガラヘビをも追跡して捕食する習性を持っており、動くものは何でも食べてしまう肉食の鳥である。そのためロードランナーが庭に現れると、エサ取りしてる他の鳥たちは、猛禽類が飛んで来た時と同じように、慌てて木陰や草陰にじっと隠れているし、ハミングバードですら嫌がってホバリングしながら威嚇しようとするが、相手が大きいので場所変えをするほど・・。
             
            ロードランナー伏せる姿
            ​葉の先にいる青虫を見つけたのか、しゃがみ込んで伏せの姿勢をとり青虫を狙う。

            ​青虫は木の葉に同化してよーく見ないと私の目でも判らない。ロードランナーは辛抱強くじーと葉の動きを上から下まで見ており、青虫が少しでも動くと葉の茂みに飛び込み大きな嘴で素早くつかみ取る。そして青虫は大きいのでそのまま飲み込むことが出来ず、銜えたままグラウンドに下り岩に叩きつけて食べる。これらの動作は一瞬の内に行うのでなかなか写真に納めるのが難しく、残念ながら未だに成功していない。
             
            木の葉にいる青虫
            ​葉の一部と見まちがうほど青虫が何処にいるのか判りにくい。

            ​ロードランナーが好む青虫は、実はスズメ蛾の幼虫で、スズメ蛾が卵を産み付けるホストプラントが Desert Willow なのである。ロードランナーはスズメ蛾の幼虫が現れる時期やホストプラントの Desert Willow の木をよく知っており、庭木の中でもこの木だけを選んで獲物探しをする。
             
            岩の上の青虫
            ​蛹になる直前の青虫(スズメ蛾の幼虫)。

            ​スズメ蛾の幼虫は10センチ以上もあって非常に大きいので初めて見るとぎょっとするが、手で触っても刺されたり被れたりすることが全くなく、とてもおとなしい。しかも、色合いが大変美しいのに驚く。この幼虫は蛹になる直前にグラウンドに下りてきて小さな穴を見つけ、そこへ入って蛹となり冬を越す。蛹になる直前の大きな青虫はロードランナーにとって食べごたえがあり、しかも栄養度が高いので大変好まれるようである。
             
            White-lined Sphinx
            ​青虫の親でスズメ蛾の仲間 White-lined Sphinx ( Hyles limeata ) 。

            ​体長9センチと大型の「蛾」で、夕方から朝方にかけて花を求めて飛び回る。ホバリングしながら花の蜜を吸う美しい姿が非常にハミングバード(ハチドリ)に似ているのでよく間違える人が多い。

            スーパームーン 2016年11月

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              Super Moon & Saguaro 1

              一晩中ソノラ砂漠を明るく照らしたスーパームーンが朝日が顔を出す直前、ブルーとピンク色に染まる西の空へ消えていく。

               

               

              Super Moon & Saguaro 2

              巨大サボテン Saguaro (サワーロ)とスーパームーン。

               

              11月14日は1948年以来68年ぶりに月が地球に最も近づき、見た目の大きさが通常の満月の1.14倍、明るさは1.3倍にもなった。アリゾナの秋空は非常に澄んでいるのと大都会の人工灯が少ないので星や月が大変クリアーに見える。月明りに照らされた砂漠は一面白く輝いていた。

               

               

              Coyote

              明るい月夜が大好きな狼の仲間コヨーテ ( Coyote ) 。

               

              秋の夜、特に明るい満月近辺の夜は人家近くをコヨーテが群れで練り歩き、オオカミのような遠吠えを繰り返す。夜中に庭の柵のすぐ前で鳴かれることもあり、びっくりして起こされ寝不足となることが時々ある。眠い目をこすり、砂漠でともに暮らす者としてしかたないナー・・・と思いながら、しばしベッドで聞き入る。


              中秋の名月 ソノラ砂漠 2016年9月

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                中秋の名月 1

                庭から見る砂漠の中秋の名月

                 

                今年の中秋の名月、十五夜は9月15日。日本流にススキと団子を飾って風情を味わいたいところだが、残念ながらソノラ砂漠では両方とも手に入らない。そのかわり、明るい月夜にはよく鳴くコヨーテ(オオカミの一種)の遠吠えを聞きながら、庭で白ワインのグラスを傾け、砂漠の山から顔を出す中秋の名月を楽しむことにした。

                 

                 

                中秋の名月 2

                大サボテン Saguaro を照らす十五夜の月。

                 

                日本には仲秋の満月を中心に一週間、「小望月」、「十五夜」(中秋の名月)、「十六夜」、「立待月」、「居待月」、「臥待月」または「寝待月」、「更待月」’’’’’’’’’’’と毎夜、色々な形で秋の月を愛でることが出来る。アメリカにはこれに似たような言葉として、ただ一つ " Harvest Moon " というのがある。

                 

                 

                中秋の名月 3

                ブッシュ連山を照らす " Harvest Moon " 

                 

                米国では仲秋の満月の日(今年は9月16日)を " Harvest Moon " 又は " The Full Corn Moon " と呼んでいる。アメリカンインディアンの一年の農業暦からきた言葉である。丁度、作物を収穫する時期であり、特にトウモロコシを収穫する目処の目印として

                " Harvest Moon " がある。この日は、むかし農民が満月の明るさで夜遅くまで働けたので一年の中でも大変忙しい一日であったようである。

                 

                 

                ブーゲンビリアとキリギリス

                ブーゲンビリアの花に止る秋の虫、キリギリスの仲間 California Katydid ( Microcentrum californicum

                 

                南アリゾナの砂漠も " Harvest Moon " を境に夏が終って秋が始まる。日中はまだ34度から35度の暑さであるが、朝晩は15度から20度と気温もぐーんと下がり、しかも湿度は10%台になって過ごし易い日々となる。庭にはまだ色々な花が咲いていてブーゲンビリアも満開、そして夜にはコオロギ、キリギリスなどの秋の虫が4種類ほど美しい声を聞かせてくれる。

                 

                 

                花と蝶

                満開の秋の花テキサスエボニーの花蜜を吸う蝶 Queen ( Danaus gilippus

                 

                秋に入ると、砂漠も朝夕の気温が下がるので蝶の数が大変多くなる。特に庭ではオオカバマダラ ( Monarch ) によく似た Queen が数多く見られる。ピークになると15匹から20匹近くが秋風に乗ってヒラヒラと舞うので壮観である。そして10月に入りさらに秋も深まると、メキシコまで旅をする蝶オオカバマダラが大好きな " Milk Weed " の花を求めて庭で卵を産んで行くので賑やかになる。我が家の庭でも仲秋の満月を迎えると、庭に来る生き物を通して深まり行く秋を身近に感じることが出来る。


                暑中見舞い 2016年 夏

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                  Saguaro

                  ギラギラ光るソノラ砂漠の夏の太陽と巨大サボテン Saguaro (サワーロ)

                   

                  暑中お見舞い申し上げます。

                  真夏の南アリゾナ、ソノラ砂漠は連日40度を超す暑さです。日中のトレール歩きは非常に危険で、他の州や外国から自然を求めてアリゾナに来た無謀なハイカーが水不足で救急病院に運ばれるニュースが多くなるのもこ季節です。私の自然歩きの「マイフィールド」も、極暑の砂漠から涼しいCanyon と称する山の渓谷へ移ります。

                   

                   

                  蛇口の水飲むヒメキンヒワ

                  年間を通して砂漠で暮らすヒメキンヒワ ( Lesser Goldfinch / Carduelis psaltria ) も,

                  猛暑の夏は熱中症にならぬよう水を求めて水道の蛇口に嘴を入れうまそうに水を呑んでます。

                   

                   

                  赤い花ブバルディア

                  ハミングバードが大好きな渓谷の野花、アカネ科ブバルディア属の Smooth Bouvardia / Bouvardia ternifolia 

                   

                  アリゾナの真夏、7月から9月は「モンスーン期」で、メキシコから熱い湿った空気が砂漠に入って来て積乱雲ができ、時々激しい雷雨となり短時間のゲリラ集中豪雨となって洪水になる所も出てきます。しかし、この雨はソノラ砂漠の草花や木、生き物にとっては、待ちに待ったまさに天の恵みの雨となります。

                   

                   

                  トロゴン

                  北米では南アリゾナの涼しい渓谷でしか見られないウツクシキヌバネドリ ( Elegant Trogon / Trogon elegans

                   

                  南アリゾナの夏は5月から6月の「ドライサマー」(陽射しは強く日向は熱いですが、湿度が10%前後で日陰は涼しいです。)と7月から9月の「モンスーン期」の2つに分けられます。鳥たちの中にはこの2回の夏を利用して2度営巣するのが数多くおります。このため8月は " Second Spring " と呼ばれて「バードフェスティバル」が数多く開かれ、涼しい山の渓谷を中心に再びバーディングが盛んになります。そしてまた、8月はハミングバードの南への渡りが盛んになり、日によっては13種類から15種類が見られますので、蒸し暑いですが楽しい鳥見が出来る季節でもあります。

                   

                  では皆さんどうか夏バテせぬよう、お元気で猛暑を乗り切って下さい。


                  南アリゾナの珍鳥さわぎ 2016年6月 (下)

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                    チリカウア山林へ入る道

                    米国やヨーロッパのバーダーたちがぜひ行きたい探鳥スポットがたくさんある、南アリゾナ東部の荒涼とした風景。

                     

                    6月末のカンカン照りの日、珍鳥を求めてさらに南下、メキシコ国境近くの州道を走る。昔はそこらじゅうで見られたこの形の風車も、今ではメキシコ国境近くの田舎道を走らないと見られなくなった。牧場の牛に水を与えるため風車で起こした電気で地下水をくみ上げてる。

                     

                     

                    コロナド国有林入口

                    アメリカムシクイの珍鳥が現れた Coronado 国有林の一部チリカウア山国有林 ( Chiricahua Mountains National Forest ) 入口

                     

                    チリカウア連山一帯は景色が良く「夢のパノラマ」と言われて観光客にも大変人気のある所で、西部劇映画が好きな人なら誰でも知ってるインディアン、アパッチ族の本拠地でもある。私の家から車で東南へ3時間近く走るメキシコ国境に近い所で、州道には国境検問所がいくつかあって身分証明所の提示を求められる。

                     

                     

                    ベニイタダキアメリカムシクイ巣の場所

                    珍しいベニイタダキアメリカムシクイが山岳道路の脇(真っ正面の小さい緑の灌木)で営巣している。

                     

                    チリカウア連山は山岳道路があり、標高2100メートルまで上がれるが、未舗装でガードレールのないカーブが多く、下りの車とすれちがえる所も少ないので少々運転には苦労する。こんな道路をがたがた揺れながら標高1500メートルぐらいまで上がったところのS字カーブの脇の小さな灌木の根元にベニイタダキアメリカムシクイは巣を作っていた。この珍鳥見たさにたくさんの人が車で上がって来るので普段は人も居ない静かなこの狭い道も、駐車する車であふれかえった日もあるぐらい人気であった。このへん一帯は数年前山火事ですっかり松が焼けてしまったため、未だに緑が少ない禿げ山に近い景色である。

                     

                     

                    ベニイタダキアメリカムシクイ

                    今夏バーダーたちを驚喜させた珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイ ( Slate-throated Redstart ) 

                     

                    ベニイタダキアメリカムシクイはメキシコから南米ボリビアまでの気候が温和な山岳地帯に生息している Wood Warbler ( parulidae ) の仲間である。南アリゾナでごく普通に見られるカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) によく似ているが、珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイは翼に白い帯がないのと、頭の赤い色がよく目立つのが特徴。

                     

                     

                    虫くわえたベニイタダキアメリカムシクイ

                    雛に虫を運ぶベニイタダキアメリカムシクイ ( Myioborus miniatus

                     

                    尾を拡げると白い部分が大きいので英名では別名 " Slate-throated Whitestart " とも呼ばれてる。日本のメジロと同じ大きさの長い尾を持った小さなアメリカムシクイで、松や樫が入り交じった深い森を好む。

                     

                     

                    踊るベニイタダキアメリカムシクイ1

                    翼と尾を拡げ木の幹や枝を踊るように歩くベニイタダキアメリカムシクイ。

                     

                    ベニイタダキアメリカムシクイのエサ取りする姿は大変面白い。尾と翼を拡げ枝や幹を歩き、時々飛び跳ねたりしながら樹皮の間にいる虫を払い出し、飛んだところを空中で捕る。

                     

                     

                    踊るベニイタダキアメリカムシクイ2

                    珍鳥騒ぎで集まったバーダーたちを喜ばせたベニイタダキアメリカムシクイのダンス。

                     

                    ベニイタダキアメリカムシクイは生息する地域によって多くの色の変化がある。全部で12亜種に分けられるが、この珍鳥は胸から下が赤いメキシコ種で、前にコスタリカで見た個体は黄色であった。ベニイタダキアメリカムシクイを大きく分けると、この写真のメキシコ種、コスタリカなどで見られる中央アメリカ種、ボリビアなどの南アメリカ種の3グループに分けられると言われてる。

                     

                     

                    踊るベニイタダキアメリカムシクイ3

                    バックから見るベニイタダキアメリカムシクイの面白いダンス。

                     

                    この珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイはメスで盛んに雛にエサを運んでいるが、どうも近くにオスが見られない。さっそくネット上の鳥情報でもこれが問題となり、ある人はオスを見た、別の人はオス、メス2羽でエサ運びをしているのを見た、そして、オスは居ないなどなど’’’’’’色々な報告が載っていた。私や友人たちが見る限り、やはりメス1羽が忙しく巣に出たり入ったりするだけでオスは見られなかった。そして、近くでは近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) のオスが盛んにさずっていた。

                     

                     

                    飛ぶベニイタダキアメリカムシクイ

                    拡げた羽で幹や枝をブラッシュして出て来た虫を空中で捕えた瞬間。

                     

                    私は営巣場所に2回行ってエサ運びの状況を観察し、また、現地でガイドをしてる人たちともディスカッションをしてみた。それらの人々の推測では、子育てをしているこのベニイタダキアメリカムシクイのメスは、一羽単独でメキシコから北上してアリゾナに入ったものの繁殖期になっても相手のオスが見つからず、仕方なく近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) のオスとつがいとなり巣を作ったようだ。そしてメスが巣に座りだした後、オスは巣を離れ同じ仲間のカタジロアメリカムシクイのメスを見つけて近くの別の木で営巣し始めている’’’’’’’’と推察された。

                     

                     

                    カタジロアメリカムシクイ

                    珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイのメスの相手と思われる、近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart / Myioborus pictus ) のオス。

                     

                    翼の白い大きいパッチと目の下の白い点そして頭の黒いのが特徴でその他はよく似ている。今回は珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイが現れた騒ぎだけでなく、メス1羽のシングルマザーでの子育て、生まれて来る雛がカタジロアメリカムシクイとのハイブリット種と思われる(7月20日に雛2羽ともハイブリット種と確認された。)ことなど、毎日のようにネット上で議論された話題豊富な珍鳥であった。しかし、アメリカムシクイでは、このような近似種による番いの組み合わせはよくあるようだ。キンバネアメリカムシクイ ( Golden-winged Warbler / Vermivora chrysoptera ) とアオバネアメリカムシクイ ( Blue-winged Warbler / Vermivora pinus ) の番いから生まれたハイブリット種(交配種) " Brewster's Warbler " と " Lawrence's Warbler " は有名で、近年その数も増えてきている。


                    南アリゾナの珍鳥さわぎ 2016年6月 (中)

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                      Ramsey Canyon 1

                      今夏、珍鳥が営巣した南アリゾナの超有名な探鳥スポット、ラムゼイ渓谷 ( Ramsey Canyon ) 

                       

                      ラムゼイ渓谷はツーソンの町から2時間ほど東南へ走ったワチカ連山 ( Huachica Mountains ) にある。私にとっては、毎年8月になるとハミングバードの渡りを見に行く好きなスポットで、一日で12種〜15種見られる日がある。ここのトレールはしっかり造られてあり、山奥深くまで入れ、しかもメキシコとの国境が近いので近年中南米からの密入国者が多く、場所によってはボーダーパトロール(国境警備警察員)と山中で出会って職務質問を受けたり、空からボーダーパトロールのペリコプターが低く降りて来て双眼鏡でウオッチされたり、軍のベースも近くにあるので山中訓練隊に出会ったり’’’’’’’’’’’’と米国他州ではなかなか経験出来ない南アリゾナならではのちょっと緊張するバーディングとなることもある。しかし、ここはバーダーにとっては探鳥地のメッカ、首から双眼鏡を下げていると、ボーダーパトロールに出会っても皆にこにこして丁寧に挨拶をしてくる。バーダーならではの強みである。

                       

                       

                      Ramsey Canyon 2

                      ラムゼイ渓谷のハイカー用トレールから見る水量豊かな渓流。

                       

                      ラムゼイ渓谷のトレールは自然保護団体の " The Nature Conservancy " が管理する自然保護区にあり、ここから急勾配な険しい岩の多いトレールをスイッチバックしながら標高1950メートルまで登る。このトレールは渓流に沿って歩くので、鳥以外に色々な種類の蝶や野花を楽しむことが出来、時には熊やハナグマ ( Coati ) などの動物に出会えることもある。

                       

                       

                      Ramsey Canyon 3

                      珍鳥フサボウシハエトリが営巣する(手前右側)ラムゼイ渓谷の奥深い森林。

                       

                      5月22日に初めて見られたフサボウシハエトリの営巣場所は " Nature Conservancy " のビジターセンターから入り、大変厳しい急斜面と渓流沿いで石がごろごろしてる狭いトレールを3.3キロも歩かなくてはならなかった。距離は短いが足場が平坦でないので時間が掛かり、しかも南アリゾナの夏の暑い盛りなので飲み水を大量に持って歩く必要があり、その上に機材を背負ってのトレール歩きなので、やはり少々苦労した。

                       

                       

                      フサボウシハエトリ雄 1

                      北米での営巣が初確認された珍鳥フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher ) のオス。

                       

                      フサボウシハエトリが米国に現れたのは今回で8回目の記録である(最初は1991年テキサス)。しかし、今回の確認は初の営巣で、しかもすでにメスが巣に座っていることもあって、やはり大騒ぎとなった。

                       

                       

                      フサボウシハエトリ雄 2

                      連日バーダーたちを夢中にさせたフサボウシハエトリ ( Mitrephanes phaeocercus ) のオス。

                       

                      フサボウシハエトリはメジロより少し大きいぐらいの小さなハエトリ種である。オスは顔と喉、胸が赤みがかった茶色、そしてしゃれた冠毛がある独特な姿でたいへん可愛い。

                       

                       

                      フサボウシハエトリ虫狙う

                      頭上を飛ぶ虫を狙うフサボウシハエトリのオス。

                       

                      フサボウシハエトリは、空中を飛ぶ虫をフライングキャッチしてはまたもとの枝に戻る動作を繰り返すので、楽にじっくりと観察が出来るのでありがたい。これはハエトリやタイランチョウ類に見られるエサ捕り方法で、虫が急降下すれば彼らも同じ急降下するし、上昇すれば一緒に上昇し、曲がる角度も急で実にその素早い飛翔力には驚く。

                       

                       

                      フサボウシハエトリ飛び立つ

                      飛んでる虫を見つけると枝から素早く飛び上がって空中で捕える。

                       

                      フサボウシハエトリは中米のメキシコから南米のボリビアまで幅広く生息している。春夏には標高の高い森林へ行き営巣し、子育てを終える晩秋には標高の低い川沿いの森に移る。

                       

                       

                      フサボウシハエトリ雌

                      胸から腹が白いフサボウシハエトリのメス。

                       

                      メスは胸から腹にかけて白いがその他はまったくオスと同じ。巣のまわりの低い枝で、オス、メスが高い声で「ピーピーピー」と

                      " call " を繰り返しながら鳴き合っている。その声は大きくないが、静かな森にはよく響く。

                       

                       

                      フサボウシハエトリ巣

                      北米で初確認されたフサボウシハエトリの巣とメス。

                       

                      フサボウシハエトリの営巣した場所は標高1700メートルの松やモミ、樫の森林で、巣は太い枝の折れた所に作られ、皿状の形をしていた。私が見た時はまだメスが盛んに巣の補修をしたり、時々座り心地をチェックしていたが、6月の下旬には一羽の雛が無事孵化したニュースがネットの " ebird " に出ていてほっとした。



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