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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

ハッピーイースター(南アリゾナ・ソノラ砂漠の春)2018年(上)

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    Catalina State Park
    下草が枯れ茶色の土肌が見える、春直前(2月)のソノラ砂漠

    今年のイースター(キリスト教の復活祭)は4月一日。ヨーロッパの暦では4連休。日本のゴールデンウイークのようなもので、特に北ヨーロッパの人々は厳しい長い冬から解放されて、南ヨーロッパの暖かい春の陽気を求めて民族の大移動をする。しかし、北米は連休ではないので人々の大移動はないが、春の挨拶として顔が合えば「ハッピーイースター」と言い合い、待ちに待った春の喜びを分かち合う。
     
    Mexican Gold Popy & Bee
    春一番に咲くポピーの仲間 Mexican Gold Popy と蜜を集める蜜蜂そして、背後はソノラ砂漠の象徴サワーロサボテン (Saguaro) の斜面林

    多くの日本の人々にとって「砂漠」というイメージは砂と砂丘だけの広大な平地であるが、南アリゾナのソノラ砂漠は緑が豊富で春には色々な野花が咲き美し変化に富んでいて、アフリカや中国の「砂漠」とは大きく異なる。
     
    Texas Toadflax
    冬枯れの灌木の根元から春の野花 Texas Toadflax ( Nuttallanthus texanus ) が顔を出す。

    メキシコと国境を接する砂漠の南アリゾナでも少々あいまいであるが四季がある。12月から2月初旬にかけては肌寒く、日中15度以下で朝晩は時には零下になることもあり、2日ないし3日ぐらいは雪が降ることも珍しくない。しかし、2月末ごろから日中は徐々に暖かくなり20度を超して木の新しい芽が出始め野の花が一斉に咲き始める。そんな砂漠の春の美しい野花をたっぷりと紹介しましょう。
     
    Desert Honeysuckle
    スイカズラの仲間 Desert Honeysuckle ( Anisacanthus thurberi )

    春の早い時期は、花蜜を出す野花が少ないのでハミングバードがエサ探しに苦労する。3月初めに早くも花が咲くハニーサックル (Honeysuckle) はハミングバードにとって大変貴重な花である。そのため、花蜜の取り合いが起こり、ハミングバードの間で空中での激しい戦いがちょくちょく見られる。
     
    Tiny Checker Spot
    春一番に舞う小さな蝶 Tiny Checker Spot ( Dymasia dymas )

    野花が咲き出すと蝶も舞い始める。ウイングスパンがたったの22ミリの大変小さな蝶で、陽気が春らしくなるとたくさん出てくる。グラウンドに近い低い所を飛ぶことが多く、時々地面に下りてゆっくり翅を開いてくれる。色とりどりの春の野花が開いて蝶が舞うと、のんびりした春の「アリゾナ時間」を楽しむことが出来る。
     
    Mexican Gold Popy & Trail
    トレールの両側に群生する Mexican Gold Popy ( Eschscholtzia mexicana )

    秋から冬にかけてのソノラ砂漠のトレールは、巨大サボテン・サワーロ (Saguaro) 以外はほぼ茶色一色の世界で、緑のないごつごつした岩肌と、下草も枯れてほとんど土肌が見える殺風景な自然歩道で歩いていてもあまり楽しくない。しかし、春の温かい風が吹き始めると、今まで茶色の土しか見えなかった足元がパッと明るくなって足取りも軽くなってくる。
     
    Mat of Mexcan Gold Popy
    黄色のマットを敷いたような美しい Mexican Gold Popy と California Popy

    日本の春は梅の花が散ると桜が咲きじわじわとゆっくりやって来るが、ソノラ砂漠の春は突然やって来る。3月に入ると、灌木の枯れ枝は瞬く間に新緑の葉に包まれ、歩く足元には野花が一斉に咲く。しかし、春はさーと短く終わってしまう。4月の終わり頃には日中の気温が30度を超すドライな初夏となる。そして、人々は短パン(ショートパンツ)とTシャツに衣替え、9月いっぱいまでの半年近くは買い物、レストラン、カフェーなど、どこへ行くのにもこの格好で闊歩する。
     
    Purple Mat
    Purple Mat ( Nama demissum )

    ソノラ砂漠は、冬の間に降る雨の量によって野草の花の咲き具合が変化する。今年の冬は、例年より雨の量が少なくドライウインターだったので野花の咲き具合もあまり良くない。写真の Purple Mat は、雨の量が多いとグラウンドは紫色のマットを敷いたようにたくさんの花が咲いて見事な光景となる。
     
    Miniature Wool Star
    Miniature Wool Star ( Eriastrum diffusum )

    アリゾナを代表する野草の花の一つで、赤茶の長い茎の先に咲く小さい花で、花が出て来る頂生の房は,毛糸のような柔毛に覆われる。
     
    Blue Dicks
    倒木の横に何げなく咲く Blue Dicks ( Dichelostemma pulchellum )

    「砂漠のヒヤシンス」の愛称で呼ばれる可憐な春の花。ねぎのような球根は,原住民インディアンや開拓移民のスペイン人たちが好んで食していた。

    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(最終)

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      ムラサキノジコ囀り1
      メキシコ種のムラサキノジコ ( Varied Bunting )

      主たる生息地はメキシコ全域であるが、モンスーン期の8月にメキシコ国境に近い南アリゾナ、南テキサスに営巣のため渡って来る。真夏の雷雨が降り始めると巣作りが始まるので、北米ではモンスーン期のごく短い間しか見ることが出来ない。
       
      ムラサキノジコ囀り2
      ムラサキノジコ ( Passerina versicolor )

      英名の " Varied Bunting " はいろいろな色の混じった変化に富んでる美しいノジコという意味からきている。繁殖期の美しい雄も秋の換羽期となると雌と同じ全体的に冴えない茶色になるが、尾の根元のランプの美しいブルーが残る。
       
      風景 Montosa Canyon
      モンスーンの8月には、ほぼ確実にムラサキノジコが見られる営巣地のモントサ渓谷 ( Montosa Canyon )

      ムラサキノジコは水が流れる山麓の低灌木地帯を好み、毎夏、繁殖期になるとメキシコから渡って来る。秋になるとほとんどがメキシコへ帰ってしまうので、観察できる期間はモンスーン期の8月だけで大変短い。
       
      ムラサキノジコ全身1
      全身に陽の光が当たると、美しい複雑な色に輝く繁殖期のムラサキノジコの雄

      この鳥は遠距離から見たり、暗い場所や曇りの日などに見ると、全体が黒く見えるだけの地味な鳥である。一方、昼間の明るい太陽のもとで見ると、ハッとするほど大変美しい色に耀き人目を引きつける。同じ鳥とは思えないほど色鮮やかなのに驚かされる。
       
      ムラサキノジコ後姿
      頭の赤と尾の根元のブルーが一際目に付くムラサキノジコの後ろ姿

      主たる食べ物は草や木の種であり、密に茂った低い木の根元のグラウンド近くでエサ取りをするため見つけるのに苦労する。しかし、雌が巣に座り始めると、巣の近くの目立つ高い枝のソングスポットでテリトリーソングを歌うので、早朝の雄が活発に鳴く短い時間がよく観察出来るチャンスである。
       
      ムラサキノジコ全身2
      赤い色、青紫色、濃い紫色、そして黒い色と繁殖期の雄は複雑な美しさである。

      ムラサキノジコはフィールドで簡単に見れる鳥ではなく、ましてや写真に撮るのは非常に難しい。町の公園や人間が住んでる場所の近くにはほとんど現れない。夏の激しい雷雨が降るモンスーン期の短い間だけしかゆっくり観察出来るチャンスがないので、一般のバーダーにはなじみが薄い。

      マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(8)

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        ズグロブユムシクイ1左向

        北米では南アリゾナの限られた数か所でしか見られないメキシコ種ズグロブユムシクイ ( Black-capped Gnatcatcher )

        ブユムシクイ、英名 " Gnatcatcher " (ナットキャッチャー)、学名 " Polioptila " は新世界(アメリカ大陸)のみに生息する鳥で、ヨーロッパやアジアでは見られない。北米には4種類生息していて、南アリゾナではこのうち全米広い地域で見られる最もポピュラーなブユムシクイ ( Blue-gray Gnatcatcher / Polioptila caerulea ) , そして、主に西側の砂漠(南アリゾナはこの種が多い)で見られるオグロブユムシクイ ( Black-tailed Gnatcatcher / polioptila melenura ) それと写真の珍しいメキシコ種ズグロブユムシクイの3種類を見ることが出来る。3種類とも大変良く似てるので、フィールドでの識別が難しい。
         

        ズグロブユムシクイ2正面
        頭の黒い部分が目の下まで被さってるのが特徴のズグロブユムシクイ ( Polioptila nigriceps )


        ズグロブユムシクイの主たる営巣地は北メキシコの西側の水が豊かに流れる森林で、しかも渡りをしない留鳥である。しかし、近年メキシコ国境に近い南アリゾナまで北上しながら生息地域を広げてきている。まさに鳥には国境がないので、いとも簡単に新天地を求めて越境して米国に入って来ることが出来る。
         

        風景 Montosa Canyon
        南アリゾナでの営巣地の一つ Montosa Canyon


        ズグロブユムシクイの北米での初確認は1971年(アリゾナ)で、2002年にペアーで営巣しているのがやはりアリゾナで
        確認さるまで、ごく稀にしか見られない大変な珍鳥であった。現在でも、写真の Montosa Canyon, 北隣の Madera Canyon, Patagonia Lake の3ヶ所のみで毎年営巣しているのが確認される程度で、相変わらずごく限られたスポットでしか見られない希少種である。ABC ( Arizona Bird Commitee ) でも、このズグロブユムシクイの情報が不足してるため、ネットで観察記録の提供を求めている。
         

        ズグロブユムシクイ3囀り

        モンスーンの真夏(8月)の早朝にはズグロブユムシクイのテリトリーソングがよく聞けるので識別が楽で助かる。

        南アリゾナでは、砂漠でごく普通に見られるオグロブユムシクイとこのズグロブユムシクイは営巣地が重なるので初心者にとっては識別が厄介であるが、中級以上のバーダーにとってはこの希少種を見つけるのが腕の見せ所で、バーディングが一段と面白くなるので非常に人気の高い鳥でもある。そのため、真夏の珍鳥情報 " ebird " には毎日のようにズグロブユムシクイを見つけた報告が載せられてる。
         

        ズグロブユムシクイ4羽繕い

        モンスーン期はしばしば激しい雷雨に見舞われるので鳥たちはよく羽繕いをしている。


        ズグロブユムシクイは川が流れる水辺の密に茂った低灌木に営巣しているので巣に座ってる姿はなかなか見れないが、雨がやんで陽が差すとゆっくり羽繕いしてる姿に出会える。人をあまり恐れないのと、好奇心が強いので唇で「ピシピシ・・・」という音(アメリカのバーダーが鳥寄せによくやる)を出すと、灌木の中から目の高さのよく見える枝先に出て来ることが多い。
         

        ズグロブユムシクイ5警戒

        他の鳥がテリトリーに入って来ると、凄い警戒音を出しながら枝移りして威嚇する。


        体が小さく尾が長いのでフィールドで見ていると日本のエナガに似ているが、体は丸くなく体長11センチとエナガよりずーと小さい。餌取は非常にアクティブで、密生した灌木の中で虫を探す、また、時にはホバリングしながら虫を嘴で掴むこともある。
         

        ズグロブユムシクイ6後姿

        特徴の黒い頭が朝日に当たってよく目立つズグロブユムシクイの後ろ姿。


        他のブユムシクイ、特によく似ているオグロブユムシクイとの違いは、ズグロブユムシクイは嘴が細く長い、しかも先端がだんだん細くなっていく。一番の特徴と言われる尾の裏側の模様と尾の外側の白色は、夏の羽毛が抜け替わる Molt シーズンには残念ながら全体的に色が変わるので識別はさらに難しくなる。矢張り事前に囀りや地鳴きを耳に叩きこんで覚え、フィールドでは声をよく聞き識別するのがベストで確実性が高い。日中40度近くまで気温が上がる真夏の南アリゾナのバーディングは早朝(日の出)の3時間から4時間が勝負、事前の予習と突然一転にわかに掻き曇りの雷雨にも負けないチャレンジ精神が必要かもしれない。


        マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(7)

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          チャバネスズメモドキ囀る後姿
          アリゾナの「スペシャルバード」と呼ばれるチャバネスズメモドキ ( Botteri's Sparrow )

          チャバネスズメモドキは、北米では南アリゾナのメキシコ国境に近い非常に限られた地域のごく一部のスポットでしか見られない希少な渡り鳥である。アリゾナに来る多くのバーダーがどうしても見たい・・・と思う鳥種は、ウツクシキヌバネドリ ( Elegant Trogon ) やハミングバードのような派手な鳥であるが、色が地味でしかも見つけにくいチャバネスズメモドキは、一般のバーダー(特に初心者)にとっては馴染みの薄い鳥となっている。
           
          チャバネスズメモドキ左向
          日中はほとんどグラウンドで過ごすチャバネスズメモドキ ( Aimophila botterii )

          この大きなスズメモドキは主なる営巣地が中央メキシコで短い距離の渡りをするメキシコ種である。背丈の高い草に覆われた草原を好み、主にグラウンドでエサ取りをし、危険が迫っても飛び出さず地上を走って逃げるぐらいの隠密行動が得意な鳥である。学名 " Aimophila " の「スズメモドキ」の類はどれも同じような習性なので非常に見つけにくいのと,識別に苦労するため初心者のバーダーには馴染みが薄く、中級以上のバーダーが好んで探し求める鳥種である。
           
          風景Box Canyon への道
          英名 " Sparrow " 学名 " Aimophila " のスズメモドキ類が多種見られる Santa Rita 連山の麓の山岳道路 Greaterville Road


          時には前の車が見えなくなる土煙の中、車の窓を開けてスズメモドキの声を聞きながらゆっくり車を走らせ、鳴き声が聞こえてくると車を停めて識別をして行く。中級以上のバーダーが好んで競い合うバーディングに " Sparrow Challenge " というのがある。南アリゾナで見られるスズメモドキの4種、チャバネスズメモドキ、サメスズメモドキ ( Cassin's Sparrow / Aimophila cassinii ), フタスジスズメモドキ ( Rufous-winged Sparrow / Aimophila carpalis ), ズアカスズメモドキ ( Rufous-crowned Sparrow / Aimophila ruficeps ) の識別をフィールドで競い合う楽しい探鳥方法で、囀りを聞く以外の形や色で識別するのは、やはりある程度の技術がいるので腕の見せ所である。
           
          風景草原
          チャバネスズメモドキが好む背丈の高い草が一面覆っていて、マメ科の低木メスケ ( Mesquit ) とオカティヨ ( Ocotillo ) が点在する広大な草地

          チャバネスズメモドキは南アリゾナの砂漠に多いイネ科のヒゲシバ類が密生している牧草地を好むようなので、。近年、夏に渡って来る個体数が少しづつであるが増えている。写真の牧草地はチャバネスズメモドキのリサーチフィールドで、1960年に立てられた古いほとんど字が読めない看板が立っていた。風の音しか聞こえてこない草原に立っていると、チャバネスズメモドキとサメスズメモドキの囀る声が交互に混じって聞こえてくる。
           
          チャバネスズメモドキ正面顔
          全身茶色でしかも特徴のない顔をしているが、太くて白い眉毛はよく目立つ

          チャバネスズメモドキは6月に南アリゾナに現れ、9月にはメキシコへ去ってしまう。営巣は真夏のモンスーン期(8月)で、激しい雷雨が降り始めないと卵を産まない。観察が難しい鳥なので、営巣状況の詳しいことは今だに判っていない。
           
          チャバネスズメモドキ囀り
          夏のモンスーン期の短い間だけ Ocotillo の高い枝先のソングスポットで囀る

          チャバネスズメモドキがしっかり見れるのは、モンスーンに入り雌が巣に座り始めると雄がソングスポットでテリトリーソングを歌うので、チャンスはその時だけである。車の中で夜明けを待ち、朝日が上がって来て鳥たちが鳴き始めると、車の窓を開けて鳴き声に耳を立てチャバネスズメモドキの居場所を探す。ソングスポットが見つかれば写真を撮るのもそれほど難しくないが、雄がテリトリーソングを歌うのがモンスーン期の短い期間で、しかも日中は40度を超す暑さと、時々激しい雷雨に見舞われることもあるので少々撮影は難儀である。
           
          花、アリゾナポピー
          撮影をしている足元に咲いていたハナビシソウの仲間アリゾナポピー ( Arizona Poppy / Kallstroemia grandiflora )

          チャバネスズメモドキが盛んに囀る頃に咲く砂漠の真夏の花で、ポピーに似ているところからアリゾナポピーの愛称で親しまれている。 " Caltrop " の仲間で、正式英名は " Arizona Caltrop " 。また、春先に山の麓のスロープ一面に花畑となって咲く "Mexican Gold Poppy / Eschscholtzia mexicana ) とよく似ているが、こちらはポピーの仲間である。どちらも主に南アリゾナで見られる人気のある野花である。

          アリゾナ砂漠で見る皆既月食のスーパームーン 2018年1月

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            ブラッドムーンとサワーロサボテン
            砂漠の象徴、サワーロサボテン ( Saguaro ) と皆既月食のスーパー、ブルー、ブラッドムーン

            1月31日午前5時52分、北米では1866年3月以来150年ぶりの天体ショーを我が家の庭で見ることが出来た。月が地球に近くて大きく明るいのでスーパームーン ( Super moon ) と呼ばれ、カレンダーの同じ月に2回ある満月の2回目の月なので、別に色が青くないのにブルームーン ( Blue moon ) と名付けられてる。そして、皆既月食で血のような赤い色に染まるのでブラッドムーン ( Blood moon ) というニックネームも付けられてる。

             
            スーパームーン
            皆既月食が始まる前のスーパーブルームーン

            今回の満月は通常の満月より14%大きく、しかも30%明るい当にスーパームーンである。庭から見る野生生物保護区の巨大サボテン Saguaro や灌木のパロベルディーの木々がくっきり見えるほど明るい。
             
            月食の始まり
            満月が上から地球の影に隠れ始める

            南国のアリゾナとは言え、ブラッドムーンが見られる「大寒」の早朝の気温は3度と大変寒く、普段着る機会がないがっちりした冬のコートを着て手袋をはめ、温かいコーヒーを飲みながらの3時間に及ぶ奮闘であった。
             
            紫色のスーパームーン
            月食が進んで半分以上暗くなると、スーパームーンは紫色に変化していく

            夜明け前の砂漠はたいへん静かで何の音もしない。アリゾナは州の法律で動物保護のためネオンサインはもちろん、道路のライト、家の周りの街路灯などはいっさい灯すことを禁止されている。月明かり、星明かり以外は何も光がないのでスーパームーンがひときわ明るく見える。
             
            赤くなり始めたスーパームーン
            月食が始まって30分が過ぎる頃、満月もしだいに赤みが増してくる

            皆既月食の天体ショーを見ている間、近くでアメリカワシミミズクとアメリカオオコノハズクが盛んに鳴き合う声が耳に心地よく響いて、大変印象的なスーパーブラッドムーンであった。
             
            月食のスーパームーン
            月全体がどんどん赤くなっていく

            ここ数日間新聞やTVで大騒ぎをするからには、頑張って早起きせねばならない・・・と思いつつベッドに入った。早朝4時、目覚ましに起こされ眠い目をこすりながら、カメラのファインダー越しに刻々と色が変わっていく神秘的なブラッドムーンを楽しんだ。
             
            ブラッドムーン
            2時間後皆既月食となって、スーパームーン全体が血のような赤い色に染まっていった。まさにブラッドムーン ( Blood moon ) である。何とも言えない不思議で神秘的な宇宙の現象に寒さも忘れ酔いしれた。

            マイフィールドに珍鳥及び希少種 2017年夏 その(6)

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              シロスジヒメドリ枝に止まる
              アリゾナでは過去2回しか記録されてないシロスジヒメドリ ( Le Conte's Sparrow )

              9月下旬、インターネット上の Rare Bird (珍鳥)情報 " ebird " にアリゾナでは3回目の記録(これまで2004年と2005年の2回のみ)としてシロスジヒメドリのニュースが流れた。この鳥は珍種ではなく、北カナダで営巣し冬にはガルフ湾沿いのテキサス、ルイジアナの湿地帯の一部で過ごす渡り鳥である。短距離であるが渡りをするコモン ( common ) なヒメドリであるが、不思議なことに多くのバーダーにとって非常になじみが薄く、しかも近くでしっかりと観察できたバーダーが少ない。そのため多くのバーダーにとってぜひ見たい鳥の一種となっている。
               
              シロスジヒメドリ芝生の上
              エサ取りのため芝生に下りてきたシロスジヒメドリ ( Ammodramus leconteii )

              何故シロスジヒメドリがバーダーたちに馴染みが薄いのか?・・・その理由はまず、営巣場所がカナダのあまり人が行けない草が密に茂った湿地や沼地なので、巣を見つけるのが大変難しい。又、秋の渡りで南へ下る時も、丈の高い草に覆われてしっとりとした草原や浅瀬の沼地の淵の草を好み、しかも主にグラウンドを歩きながらエサ取りをする。そして、草が密生した地面をこそこそと隠れるように忍び歩き、驚くと鼠のようにチョコチョコ走るだけで飛ぶことは極めて珍しい。他のヒメドリのようにびっくりして草からパッと飛び出してくることはほとんどなく、飛び出しても、ほんの1メートルから3メートルぐらいの距離を飛ぶだけで、すぐ草の下に下りて見えなくなってしまう。このように見れるチャンスが非常に少ないので、この鳥に関する情報や知識も少なく、主に何を常食としているのか、又どんな営巣状況なのかに関しても記録報告が少ないので、いまだにあまり判ってない部分が多い鳥でもある。
               
              風景ゴルフ場
              2日間シロスジヒメドリが現れ大騒ぎとなった名門ゴルフ場リッツカールトンゴルフコースの5番フェアーウエイ。赤円がエサ取りをしていたスポット。

              今回シロスジヒメドリが現れた場所は、オープンな誰にでも行き易いゴルフコースのフェアウエーだったので、バーダーたちにとって、この見つけるのが困難なヒメドリをじっくり観察出来るまたとないチャンスとなって大騒ぎになった。これほど人目に付かないこそこそしている鳥がこんなオープンな場所にどうして現れたのか?・・・たぶん渡りの途中で十分にエサ取りが出来なかったのと、毎日早朝と夕方のゴルファーがプレーをしていない時間帯にフェアウエーのスプリンクラーから水が散布され、この鳥が好きな草の種が水分を含んで柔らかくなったのを彼は偶然にも見つけたのだろう・・・と多くのバーダーが推測していた。
               
              シロスジヒメドリとヒメウタスズメ
              シロスジヒメドリ(左)と付かず離れず一緒にエサ取りをしているヒメウタスズメ(右)

              9月27日夕方4時頃報告に出ていたゴルフコースの5番に行き、すでにフェアウエーの周りでシロスジヒメドリを探している10人ほどのバーダーのグループに合流し、プレーヤーがいなくなったフェアウエーとラフを1時間ほど歩いて一緒に探す。ラフ横の低灌木からまずヒメウタスズメが芝生に下りてエサ取りを始めだしたので、数分間しゃがんで静かに待っているとお目当てのシロスジヒメドリが同じ灌木の中から出てきた。めったに見れないこの鳥が目の前に現れた姿を見た時の息を吞む驚きは今でも忘れられない。
               
              ヒメウタスズメ餌取
              ヒメウタスズメ ( Lincoln Sparrow / Melospiza lincolnii )

              ヒメウタスズメは営巣場所がシロスジヒメドリと同じような草が茂った湿地や沼地であるが、アラスカからカナダ全域にかけての幅広い地域で見られるポピュラーな鳥である。秋に南下して越冬する場所も太平洋側のカリフォルニアから大西洋側のフロリダまで暖かい北米南部の幅広い地域であり、しかもシロスジヒメドリのような隠密行動を取らず人目につきやすい所に出て来るので、比較的普通に見られる鳥である。
               
              シロスジヒメドリ芝生に嘴入れる
              芝生の根元に嘴を深く入れ夢中でエサ取りするシロスジヒメドリ

              エサ取りに忙しいシロスジヒメドリを10メートルほど離れたところで、半円状に囲むようにフェアーウエー上にバーダーたちが並んで観察しているが、エサ取りに夢中になっているらしく我々のことなど一向に気にすることなくどんどん我々の方に近づいて来て、ついに2メートルぐらいまで寄って来られたのには皆口を開けてポカーンとするほど驚いた。臆病で人目に付きにくいシロスジヒメドリをたっぷり観察出来た珍しいチャンスに遭遇した喜びに大いに沸き、帰り際に皆で握手をし笑顔でこの幸運を祝いあった。
               
              シロスジヒメドリ種食べる
              美味しそうに草の種を食べるシロスジヒメドリ。丁度夕陽が顔に当たってさらに美しく見えた。

              シロスジヒメドリはヒメドリの中でも最も小さい種で、日本のコガラ ( Parus montanus ) と同じ大きさである。和名(シロスジ)にあるように頭のてっぺんの白いすじが目立つ。そしてオレンジ色に近い黄色の額、襟首の茶色のすじ、太くて赤茶の眉、背中の淡黄褐色の線などが特徴で、小さくて人目に付かないが美しいヒメドリである。短くて高い声で虫のようにブジーという地鳴きを時々繰り返していた。ラッキーなことに、このゴルフコースの同じ場所で2日間エサ取りする姿が見られたが、3日目以降には "ebird " 上に「見た!」という報告が出なくなったのでさらに西へ移動して行ったのだろう。

              ハッピーニューイヤー! 2018年元旦

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                初日の出カタリナ州立公園
                南アリゾナ・ソノラ砂漠・カタリナ州立公園の初日の出

                明けましておめでとうございます。
                昨年は私のブログを見ていただきありがとうございました。今年もアリゾナ、そして米国内のより質の高い自然情報をお届け出来ますよう一生懸命努力する所存ですのでよろしくお願い申し上げます。南アリゾナ・ソノラ砂漠は東側にカタリナ連山とリンコン連山があるため残念ながら地平線から上がって来る大きな太陽は見れず、標高2000メートルを超す山々の間から出て来る初日の出となりました。
                 
                カタリナ州立公園全景
                マイフィールド「カタリナ州立公園」の元旦の朝

                午前0時、4か所で一斉に花火が上がり、日本から16時間遅れ(時差16時間のため)の新年を迎えた。砂漠に響く大きな花火の音、さぞ野生の動物や鳥たちはびっくりして怖がっているだろうな・・・?と思うと複雑な気持ちになる。2018年の元旦初歩きは近くの州立公園のトレール歩きでした。早朝は零下2度の寒さでしたが、11時ごろには20度を超す暖かさで、冬鳥たちが元気よくグラウンドに下りてエサ取りをしていた。
                 
                サワーロとトレール
                巨大サボテン・サワーロ (Saguaro ) を見ながら2018年新年も元気にトレールを歩ける喜びに感謝する。

                冬といっても南アリゾナは暖かい。しかし、冬枯れで花が少なくなった正月の我が家の庭はハミングバードが砂糖水の入ってるフィーダーをすっかり頼りにしているので、エサ場の確保のためテリトリーの取り合いが激しく、よそ者が入って来るとすごいバトルが繰りひろげられる。また、その甘い砂糖水をキツツキのサバクシマセゲラ ( Gila Woodpecker ) が頻繫にフィーダーにやって来るので、これを狙って小型の鷹クーパーハイタカ ( Cooper's Hawk ) が襲う。自然界には正月休みはないようである。
                そして、少なくなった花の蜜を求めて数匹の蝶が飛んでいるのも南国ならではの新年であろう。
                 
                ロードランナーカタリナ州立公園
                元旦の朝の鳥見歩きで、さっそく新年のあいさつに現れたオオミチバシリ(ロードランナー Greater Roadrunnner )

                冬の早朝歩きはほとんど人がいないので静かでロードランナーもトレールにちょくちょく出てくる。アリゾナを象徴する鳥の一種であり、飛ぶことより速足で歩いたり走ったりすることが得意である。トレールを歩いてると、前を横切ったり、先導してくれるかのように同じ方向に同じ速度で歩いたり、こっそり後ろを気づかれないように歩いたり・・・と大変愛嬌があり人気者で私も大好きな鳥でもある。
                 
                ハイカーの後ろロードランナー
                ハイカーの後ろを何気なくロードランナーが歩いて行く、これも砂漠の元旦ならではの、のんびりした光景であろう。

                他の州や外国からアリゾナに来るバーダーはもちろん、観光客もぜひ見たいと思う鳥ロードランナー。全身がグラウンドや枯草に近い地味な色をしていて、めったに飛ばないので目立たず意外と見つけにくい鳥の一種であるが、秋から冬にかけては人家近くや町の公園、車が行きかう道路にもちょくちょく現れるので目につきやすくなる。2018年新年の「元旦鳥見」の第一号はやはり人気者のロードランナーであった。
                 

                マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(5)

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                  Five Atriped Sparrow 1
                  メキシコ種のムナフスズメモドキ ( Five Striped Sparrow )

                  主たる生息地は西メキシコで、近年ごく少数が南アリゾナの小さな限られた地域で営巣している。1950年代までは米国では見られなかった鳥種で、1957年南アリゾナの Santa Rita Mountains で初めて1羽発見されたのが米国での初確認である。
                   
                  Five Striped Sparrow 2
                  顔と喉の白い5本線が特徴のムナフスズメモドキ ( Aimophila quinquestriata )

                  英名の " Five Striped " は眉毛とひげ、喉にくっくり目立つ白い5本の線があることからつけられた。なお、和名の「ムナフ」の由来は胸の黒い斑点であろう。南アリゾナのメキシコとの国境沿いにある、限られた Canyon (渓谷)に5月に渡って来て9月にはメキシコへ戻っていく。
                   
                  Five Striped Sparrow 3
                  バーダーたちの目につく所にはなかなか現れてくれないムナフスズメモドキ

                  1969年南アリゾナでの営巣が初確認されて以来、1991年までほとんどのバーダーが行けない Chino Canyon でごく少数が毎年見られたが、托卵鳥(他の鳥の巣に卵を産み、自分ではヒナを育てない。日本ではカッコウ類が該当種)のコウウチョウ ( Cowbird / Molothrus ) の犠牲になったのと、熱心すぎるバーダーによるしつっこいテープ音に嫌がってすっかり姿を消してしまった。しかし、2000年に入ってごく少数(1羽から2羽)が南アリゾナに戻って来て限られたスポットで見られるようになってきた。
                   
                  Five Striped Sparrow 4
                  Ocotillo の棘だらけの茎をソングスポットとして好むムナフスズメモドキ

                  ムナフスズメモドキは米国では南アリゾナのごく限られた狭い地域でしか見られない、そして数が大変少ない夏鳥の珍種である。しかもその営巣地(見れるスポット)はメキシコ国境沿いのアクセスが難しい Canyon の奥深い岩だらけの所で、しかもいばらの生い茂った Hackberry や Mexquite の藪の中で目立たないように静かに虫を探していることが多いので見つけるのが大変難しい鳥でもある。囀りは特徴ある金属的な声であるが、色々バラエテイーに富んでいて、200以上の異なったバージョーンで歌うこともあるので鳴き声による識別も注意が必要である。
                   
                  Five Striped Sparrow 5
                  後姿や飛んでる姿はただシンプルな赤茶に見えるムナフスズメモドキ

                  この鳥は大変臆病で、フレンドリーに近くの枝に来て全身を見せることは非常に少ない。枝先近くに出てきてもほんの数秒いるだけで、直ぐに葉の茂る灌木の中へ入ってしまう。再度見える枝に出てくるのをじっと待つぐらいの辛抱が必要なので、見るのが難しくましてや写真を撮るのは大変忍耐のいる鳥でもある。
                   
                  風景ムナフスズメモドキ営巣場所
                  ムナフスズメモドキが好んで営巣する渓谷の急こう配の崖といばらの生い茂った藪

                  ムナフスズメモドキはなかなか見るのが難しく、多くのバーダーたちが一度は見たいと思う憧れの鳥であるが、何と8月中旬に我が家から1時間で行ける近場で、しかも簡単に車で行ける Montosa Canyon と Box Canyon の2か所に出現のニュースがネットに流れ大騒ぎとなる。何しろ今までこの鳥を見るためには地元のガイドを雇ってアクセスが非常に困難なメキシコ国境沿いの California Gulch でしか見られなかった珍鳥が、有名な探鳥スポットがいくつもある Santa Rita Mountains で見つかったこともあって、米国の色々な州からバーダーが殺到して連日大賑わいであった。
                   
                  風景車道のガラガラヘビ
                  ムナフスズメモドキの早朝撮影を終えての帰り道、車の前をゆっくりと猛毒のヒシモンガラガラヘビ ( Western Diamond-back Rattlesnake / Crotalus atrox ) が 横ぎって行く。

                  ムナフスズメモドキが最も人目を引いて目につくのは激しい雷雨が降るモンスーン期の夏の短い間だけで、谷底の灌木の茂るぐちゃぐちゃした所で営巣し始めて雌が座りだすと、雄はテリトリーソングを歌い始める。雄は早朝と夕方、谷底から灌木の枝伝いに鳴きながら移動し、見晴らしの良い崖の上に上がって来る。大きな Ocotillo の茎に止まって囀るのが特に好きなようで、数日通ってソングスポットをやっと見つけることが出来た。谷の上の山岳道路で朝日が山から出始めると、やがて雄が下から上がって来る。囀りながら近づいてくる雄を山岳道路で待つのだが、狭い道路なので車と人で溢れることもあり、こんな時は彼はけっして上まで上がって来ず、双眼鏡で見なくてはならないぐらい距離は遠くなる。早朝5時半ぐらいから11時ぐらいまで5時間から6時間、人の動きを見ながら数日間シャッターチャンスを待った。
                   

                  ハッピーホリデー 2017年12月

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                    xmax card 1
                    アートフェスティバルで見つけたハミングバードのクリスマスカード

                    ​11月23日の " Thanksgiving day " (日本の勤労感謝の日に相当)を迎えると、クリスマスを中心に元旦の1月1日まで米国はホリデーシーズンに入る。この時期に連続休暇を取る人が多く、帰郷して家族と一緒にホリデーを過ごしたり、バケーションで暖かい中南米へ行きバーディングを楽しんだりする。冬でも温かく穏やかな気候のリゾート地、南アリゾナにも色々な州からたくさんの人々が青空と温かい天候を求めてやって来る。ニューヨークでは小雪舞い散る零下の寒さでも、南アリゾナは日中25度以上の暖かさである。また、南アリゾナにはアーティストが多く住んでおり、特に自然や花、鳥、蝶、動物などを主題とする絵画、彫刻のアーティストが集まってるので、この時期は「アートフェスティバル」があちらこちらで開かれる。大きなテントのブースを一つ一つ訪ね、この手の絵描きや彫刻家と自然や生き物の話をし、気に入った作品をそこで作者からダイレクトに買えるのが実に楽しい。歩き疲れた後は、露店のカフェで南国の太陽にさんさんと当たり、よく冷えた白ワインを飲みながらのんびりした暮れのひと時を過ごすのもバーダーにとってこの時期のしばし鳥見を離れてのもう一つの楽しみである。
                     
                    xmas card 2
                    日常の生活の中で最も身近に見るハミングバードはクリスマスのオーナメントやカードなどによく描かれ大変人気がある。

                    ​米国のバーダーにとってホリデーシーズンの大きなイベントは「クリスマスバードカウント」であろう。今年で118回目という長い歴史を持っている。このイベントの始まりは、19世紀のクリスマス休暇に始められた「クリスマス・シューティング」である。いわゆるハンターたちが野山へ出かけて手当たり次第に鳥を打ち落として、一日の獲物の数を競い合った。これがクリスマスのお祝いだったようだ。しかし、これはあまりにも野蛮なお祝い行事ではないか・・・と鳥類学者のフランク・チャップマンという人が抗議を始め、これを止めて、かわりにどれだけたくさんの鳥を一日に見たかを競い合うことを提案した。そして、銃を捨てエンピツで鳥の数を記録していく「クリスマスバードカウント」へ変更、第一回大会が1900年にニューヨークのセントラルパークで開かれたのである。この行事はアメリカにいる鳥についての毎年一回行われる国勢調査のようなもので、貴重な記録として残されている。
                    ​今年の「クリスマスバードカウント」は12月14日から来年の1月5日までの間に行われる。参加者はグループごとに自然保護団体であり主催者でもある「オーデュボン協会」( The National Audubon Society ) に名前を登録し、公園や森へ出かけ、半径にして12キロ(直径24キロ)の円内で一日(24時間)に見た鳥の数をすべて記録して協会へ提出する。ちなみに、昨年2016年は76,669人のボランティアーが参加、2、505グループで行われ、総計58.9百万羽の鳥が数えられた。
                     
                    紅葉と山
                    ​クリスマス間近でもサボテン Saguaro の林の間に秋の色合いが残る南アリゾナの師走風景

                    今年の12月の南アリゾナは例年より暖かく、日中25度以上になる日も多い。そのためか、北から下りて来るミヤマシトド (White-crowned Sparrow ) , ヒバリヒメドリ (Lark Sparrow ) , ブリューワーヒメドリ (Brewer's Sparrow) などの冬鳥の群れがいつもより少ない。しかし、砂漠独特の朝晩の冷え込みは厳しく、5度近くまで下がるのでハミングバードのエサとなる蜜が出る花が庭から消えていく。そのため,冬の間の砂糖水によるフィーダーを掛け始めるのも我家の暮れの作業の一つである。ハミングバードがフィーダーに頼るのは花の咲きが良くない冬(12月〜2月)の間だけで、春になり庭に花が咲き始めると,彼らはフィーダーから離れていく。
                     

                    マイフィールドの珍鳥及び希少種 2017年夏 その(4)

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                      フスチャメジロハエトリ前向きの姿
                      ウスチャメジロハエトリ ( Buff-breasted Flycatchier ) 

                      ​ウスチャメジロハエトリは珍鳥フサボウシハエトリ ( Tufted Flycatcher ) とよく似てるが、頭に冠毛がないのと少し大きい。生息地域も同じ高い山のポンデロサ松や Pine-oak の林で、今年の夏はたまたまマイフィールドの " Carr Canyon " で、しかも、この2種類が同じ場所でエサ取りをしている報告がネットに載った。一か所で同時に2種類の珍しいフライキャッチャーを見ることが出来たので連日大勢のバーダーが " Carr Canyon " に押し掛けた。
                       
                      ウスチャメジロハエトリ後姿
                      ウスチャメジロハエトリ ( Empidonax fulvifrons ) の後ろ姿

                      ​目の周りの白いアイリングが特徴のメジロハエトリ、米国で見られるこの " Empidonax " は11種類で、その中でもウスチャメジロハエトリが一番小さい。メジロハエトリはどれもこれも非常によく似ていて、鳴き声による識別が一番確実であるが、初心者はもちろんベテランのバーダーでも大変識別に苦労するフライキャッチャーである。
                       
                      ウスチャメジロハエトリ頭上の虫狙う
                      頭上を飛ぶ虫をじーと狙っている

                      ​ウスチャメジロハエトリは、南アリゾナのメキシコ国境沿いの Huachuca Mountain と Chiricahua Mountain のごく限られた地域のみに渡って来る夏鳥のメキシコ種である。営巣し雛を育て終えると、9月には冬を過ごす南メキシコへ南下して行く。
                       
                      ウスチャメジロハエトリ全身
                      赤みがかった褐色の胸と薄い茶色の平らな頭が特徴

                      ​ウスチャメジロハエトリはメジロハエトリの中では小さくて特徴があるので比較的識別し易いが、他のメジロハエトリの識別にはほとんどのバーダーが苦労する。フィールドでメジロハエトリを見つけると、そうそうと識別は諦め、ただ「エンピ (Empi) の一種を見た・・・」という報告をする人が多い。「エンピ」はメジロハエトリのラテン名 "Empidonax" から付けられたものである。
                       
                      ウスチャメジロハエトリ首傾げる
                      ​時々首を傾げては私を見つめ,様子を伺っていた

                      ​ウスチャメジロハエトリは,南アリゾナの非常に限られた地域の山の渓谷の松林でしか見られない希少種である。しかし、近年営巣する個体数が少しづつ増えてきて、今では推定30組ぐらいは南アリゾナで営巣するようだが、お目にかかるチャンスが非常に少ないメジロハエトリである。
                       
                      ウスチャメジロハエトリ草に止まる
                      低い草の茎に止まって朝日を浴びる

                      ​ほとんどのメジロハエトリは高い枝に止まって空中を飛んでる虫をフライングキャッチするが、ウスチャメジロハエトリのエサ取りのテリトリーは大変広く、高い木の枝から低い下枝まで、そして時には草むらまで下りてきて、グラウンドでエサ取りをすることもある。
                       
                      ウスチャメジロハエトリ草の虫を探す
                      低い枝に下りてきて、草にいる虫を取ろうとしている

                      ​松林の林縁をエサ取り場とするウスチャメジロハエトリとフサボウシハエトリは松林の枝の高低でテリトリーが分かれてる。低いところを好むウスチャメジロハエトリが時々高い枝へ上がっていくと、フサボウシハエトリのテリトリーに入るので猛烈な勢いで追いかけまわされる。小さいフサボウシハエトリの方が気性が激しく、いつも追い払う側であった。


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