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米国アリゾナのソノラ砂漠に住む鳥好き花好き動物好きのおじさんがおとどけするアメリカの自然情報です。

庭に来るソノラ砂漠の鳥たち 2016年春、夏 (その6)

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    Ash-throated Flycatcher 1

    連日の暑さに口を開けて耐えるハイノドヒタキモドキ ( Ash-throated Flycatcher ) 。

     

    ハイノドヒタキモドキはアリゾナに夏鳥として中南米からやって来る渡りである。営巣するレンジが砂漠の低灌木の林から2500メートルを超す常緑針葉樹林の山岳地帯までと大変広いので、庭でエサ取りする姿が見られるのも春の終わりごろの一時期だけである。

     

     

    Ash-throated Flycatcher 2

    塀の上から家の中を窺うハイノドヒタキモドキ ( Myiarchus cinerascens )

     

    英名の Flycatcher (フライキャッチャー)と称するハエトリ類のエサ取り方法は、枝から飛び上がって空中で虫を捕ってはまた元の枝にもどるやり方が多い。しかし、ハイノドヒタキモドキは枝の上でホバリングしたり、飛び降りたり、また枝から急にまっすぐ前に飛び出したりしながら虫を捕るが、元の枝に戻ることは珍しい。そして空中だけでなく、時にはグラウンドに下りて虫捕りをすることもある。

     

     

    White-winged Dove

    警戒しながら欄干を歩くハジロバト ( White-winged Dove / Zenaida asiatica )

     

    毎年6月になると中南米からアリゾナに渡って来る夏鳥である。一日中よく鳴くハトで、真夏の40度を超す炎天下でも、のんびりした独特な調子で「フオッフオ、フオッフオー」と鳴いている。一年中全米で見られるナゲキバト ( Mourning Dove ) と違って、庭のフィーダーに来るハトではないがよく庭の水場にやって来る。非常に水を必要とするので、水を求めて時には30キロ以上も飛んで行くことがある。8月中旬になると、群れを作り始め、30羽以上で空を力強く飛んでいることがある。これは冬を過ごす南米へ渡って行く飛行準備と思われる。

     

     

    curve-billed Thrasher

    柵の欄干に止まるマルハシツグミモドキ ( Curve-billed Thrasher / Toxostoma curvirostre )

     

    主に南アリゾナと南テキサスでしか見られないマルハシツグミモドキもソノラ砂漠では庭の鳥である。四季を通して、一年中庭でエサ取りしたり水場で水浴びしたりしている。日本のツグミよりずっと大きく、朝は一番早く、夕方は一番遅くまで鋭い声で「ホイホイホイ・・・」と鳴く。毎年柵のすぐ前の Cholla サボテンに巣を作り子育てをしている。

     

     

    Rock Wren

    エサ取りの合間に杭に止まって休むイワサザイ ( Rock Wren / Salpinctes obsoletus )

     

    日本のスズメより少し大きい。冬の間から春にかけて毎日のように庭に来てエサ取りをする。灌木の下や家のまわり、屋根瓦、雨ドヨなどで盛んに虫を探す。「ピリリ・・・ピリリ・・・」と鳴きながら短い尾を上げ、腰を振ってエサ取りする姿は見ていても実に可愛い。夏が近づくと、営巣のために山の岩場へ移って行き庭から姿を消す。


    庭に来るソノラ砂漠の鳥たち 2016年春、夏 (その5)

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      庭木に止まるノドグロヒメドリ

      シダの仲間テキサスエボニーでこじみに囀るノドグロヒメドリ ( Black-throated Sparrow ) のオス。

       

      ノドグロヒメドリは主に南アリゾナに住む美しいヒメドリで、長期間水を飲まなくても生きていけるまさに砂漠の鳥である。砂漠の鳥たちは棘の木を好むので、庭にはテキサスエボニーのような棘のある小灌木を多く植えてある。

       

       

      欄干に止まるノドグロヒメドリ

      柵の欄干で高らかに囀るノドグロヒメドリ ( Amphispiza bilineata ) のオス。

       

      ノドグロヒメドリはいわゆるフィーダーに来る庭鳥ではなく、グラウンドの虫を捕りに庭へ入って来るので、あまり長い時間庭には居ない。囀りは鈴の高い音色に近い美しい声である。大変好奇心が強い鳥で、アメリカのバーダーがよくする " Pishing " (唇でピシピシピシ・・・という音を出すこと)をすると、すぐ目の前のよく見える枝先に出てきてこちらをじっと見る。

       

       

      ヒメキンヒワの雄 1

      セージの小さな花の実を食べるヒメキンヒワ ( Lesser Goldfinch ) のオス。

       

      朝、昼、夕、一日に少なくとも3回は4羽から5羽の群れで庭にやって来るヒメキンヒワ、日本に冬鳥として渡来するマヒワ ( Carduelis spinus ) より小さい。南テキサスから南アリゾナ、カリフォルニアにかけての広い地域でごく普通に見られる。

       

       

      ヒメキンヒワの雄 2

      横になったり逆さまになったり、小さな草花の種を取るヒメキンヒワ ( Carduelis psaltria ) 。

       

      好物の小さな草花の種子を食べる時は、非常にアクティブに軽業的な動きをするので見ていても楽しい。太くて頑丈な嘴で実の果肉を取り除き中にある種を食べる。近くに寄ると「クシャクシャクシャ・・」という食べる音が聞こえてくる。庭の草花は花が終わって実がなる頃は雑草のようになって庭が汚らしくなるが、これを食べに来るヒメキンヒワのことを考えると、刈り取ることも出来ずにしばらくそのままにしておく。

       

       

      ヒメキンヒワの幼鳥

      杭に止まるヒメキンヒワの幼鳥。

       

      ヒメキンヒワは小さくて仕草が可愛いのと、アメリカムシクイに似た元気あふれる囀り、そして花が終わった後の小さな種を大量に食べてくれるので庭を持ってる人にとっては非常に人気がある。また、彼らは大変人懐っこくて、私が庭の手入れをしている時でも驚いて飛んで行かず、庭端の杭の上に止まって横目でチラチラ見ながら私が作業を終えるのをじーと待っている。作業を終えて家の中に入ると、すぐエサ場に戻って再びエサ取りの続きをし始める。


      庭に来るソノラ砂漠の鳥たち 2016年春、夏 (その4)

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        滝とハミングバード

        滝の流れる水に足をつけて水浴びを始めるハミングバード。

         

        年間の雨量が少ない砂漠で生活する「生きもの」にとって、きれいな水は非常に大切なものである。彼らにこの貴重な水を常時与えられるよう、自然の岩を利用した小さな水の流れを造ってもらった。その効果あって、昼夜、色々な「生きもの」が水を飲みに来るし、鳥たちは水飲みだけでなく水浴びもして行く。特にフィールドではなかなか見れるチャンスがないハミングバードの水浴びも目の前で見られるし、岩を伝わって流れる水音は心を癒やしてくれる。

         

         

        滝とナゲキバト

        滝の水をうまそうに飲むナゲキバト ( Mourning Dove / Zenaida macroura )

         

        ほぼ全米一帯でごく普通に見られるハトで、日本のキジバト ( Streptopelia orientalis ) より少し小さい。夜が明けると同時に庭に来て、もの悲しい声で「ウーワオ、ホーホーホー」と鳴く。目覚めの悪い朝など、フクロウによく似たこの暗い声を聞くと、またベッドに戻って眠りの続きをしたくなる。

         

         

        滝に足をつけるルビーキクイタダキ

        警戒しながら枝移りし滝へ飛んで来たルビーキクイタダキ ( Ruby-crowned Kinglet )

         

        日本で見られる最小の鳥キクイタダキ ( Regulus regulus ) とほぼ同じ大きさで、メスなので頭頂のルビー色がない。鳥たちが水場に来る時は非常に警戒心が強い。葉が茂る灌木を、まわりの様子を伺いながら時間を掛けて枝移りして来る。

         

         

        水浴びするルビーキクイタダキ

        滝で水浴びを始めたルビーキクイタダキ ( Regulus calendula )

         

        ルビーキクイタダキはほぼ全米に生息しているが、我が家の庭に来るのは主に冬の間だけで、春後半になると北へ渡って行ってしまう。渡り前の「化粧直し」というところか’’’’’’’’’’?

         

         

        水浴びするルビーキクイタダキ2

        ついには顔から体すべてを水につけての行水。

         

        秋になるとルビーキクイタダキは冬を過ごすため南アリゾナの砂漠に下りて来る。庭に現れ始める頃はまだ警戒心が強くてなかなか水場に来ないが、日が経って春ともなると庭にもすっかり慣れて、ポーチのソファーでカメラを構えていても特別驚かず、ゆっくりと目の前で水浴びをしていく。しかし、水浴びする時間は大変短くまさに「カラスの行水」であるが、水場が安全と判ると何回もやって来る。


        庭に来るソノラ砂漠の鳥たち 2016年春、夏 (その3)

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          屋根上のズアカカンムリウズラ3羽

          屋根の上を歩くズアカカンムリウズラ ( Gambel's Quail ) のオスたち。

           

          飛ぶことよりグラウンドを歩いたり走ったりするのが得意なズアカカンムリウズラ。ところが、繁殖期が近くなると、屋根に上がり、独特な「コケッゴーゴー、コケッゴーゴー」と鳴きながらテリトリー宣言をする姿が見られるようになる。

           

           

          ズアカカンムリウズラ、オス

          屋根の上から私を見下ろすズアカカンムリウズラ ( Callipepla gambelii

           

          カンムリウズラが屋根の上から庭で水まきしてる私をじーと見下ろしてるのに最初気がついた時はやはりびっくりした。南アリゾナからネバタ、南カリフォルニアの砂漠ではごく普通に見られるウズラであるが、人家の周りで見られるのは繁殖期の短い間だけで、その他の季節は10羽から15羽ほどのグループで砂漠を歩きながらエサ取りしていることが多い。繁殖期(6月ー7月)が近づくと、メスを連れて仲良く2羽で庭や塀の上、屋根、時には車が行き交う住宅街の道を歩き回るので非常に身近な鳥となる。

           

           

          ズアカカンムリウズラ、オス、ヒナ

          雨ドイに入ってエサ取りするズアカカンムリウズラのオス親と幼鳥。

           

          日本のコジュケイ ( Bambusicola thoracia ) より大きい。庭のグラウンドに簡単な巣を作って10個から15個の卵を産むことがあり、10羽以上の雛を連れて一列に道を渡って行く可愛らしい姿を時々見ることがある。人家近くで営巣し雛を育てることが、天敵から身を守るのに一番適してることを彼らは知っているようである。それでも雛の生存率は大変低く、せいぜい1羽か2羽程度で、しかも今だに米国では最も狩猟されるゲームバードでもある。

           

           

          ズアカカンムリウズラ滑空

          屋根から飛びながら滑空するズアカカンムリウズラの珍しい姿。

           

          飛ぶことが不得意と思われる短い翼の体型であるが、危険が迫った時はかなりの距離を飛ぶのには驚かされる。オスの「ポアー」というのどかな地鳴きはまさに砂漠の鳴き声で、昔よく見た「西部劇」のバックにこの声が入っていたのを思い出す。

           

           

          ワタリガラス

          屋根を歩きながらシャガレ声で鳴くワタリガラス ( Common Raven / Corvus corax ) 。

           

          ズアカカンムリウズラの天敵の一つがワタリガラスである。卵や雛を狙うので、ズアカカンムリウズラが庭や屋根をウロウロ歩きだすと、いつのまにかワタリガラスも家の近くにやって来る。ワタリガラスは日本のワタリガラスと同じ仲間で、山から砂漠、海岸と全米のあらゆる場所で見られる。一方、全米広く分布していて何処でもごく普通に見られるアメリカガラス ( American Crow ) はなぜか南アリゾナではほとんど見られない。


          中秋の名月 ソノラ砂漠 2016年9月

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            中秋の名月 1

            庭から見る砂漠の中秋の名月

             

            今年の中秋の名月、十五夜は9月15日。日本流にススキと団子を飾って風情を味わいたいところだが、残念ながらソノラ砂漠では両方とも手に入らない。そのかわり、明るい月夜にはよく鳴くコヨーテ(オオカミの一種)の遠吠えを聞きながら、庭で白ワインのグラスを傾け、砂漠の山から顔を出す中秋の名月を楽しむことにした。

             

             

            中秋の名月 2

            大サボテン Saguaro を照らす十五夜の月。

             

            日本には仲秋の満月を中心に一週間、「小望月」、「十五夜」(中秋の名月)、「十六夜」、「立待月」、「居待月」、「臥待月」または「寝待月」、「更待月」’’’’’’’’’’’と毎夜、色々な形で秋の月を愛でることが出来る。アメリカにはこれに似たような言葉として、ただ一つ " Harvest Moon " というのがある。

             

             

            中秋の名月 3

            ブッシュ連山を照らす " Harvest Moon " 

             

            米国では仲秋の満月の日(今年は9月16日)を " Harvest Moon " 又は " The Full Corn Moon " と呼んでいる。アメリカンインディアンの一年の農業暦からきた言葉である。丁度、作物を収穫する時期であり、特にトウモロコシを収穫する目処の目印として

            " Harvest Moon " がある。この日は、むかし農民が満月の明るさで夜遅くまで働けたので一年の中でも大変忙しい一日であったようである。

             

             

            ブーゲンビリアとキリギリス

            ブーゲンビリアの花に止る秋の虫、キリギリスの仲間 California Katydid ( Microcentrum californicum

             

            南アリゾナの砂漠も " Harvest Moon " を境に夏が終って秋が始まる。日中はまだ34度から35度の暑さであるが、朝晩は15度から20度と気温もぐーんと下がり、しかも湿度は10%台になって過ごし易い日々となる。庭にはまだ色々な花が咲いていてブーゲンビリアも満開、そして夜にはコオロギ、キリギリスなどの秋の虫が4種類ほど美しい声を聞かせてくれる。

             

             

            花と蝶

            満開の秋の花テキサスエボニーの花蜜を吸う蝶 Queen ( Danaus gilippus

             

            秋に入ると、砂漠も朝夕の気温が下がるので蝶の数が大変多くなる。特に庭ではオオカバマダラ ( Monarch ) によく似た Queen が数多く見られる。ピークになると15匹から20匹近くが秋風に乗ってヒラヒラと舞うので壮観である。そして10月に入りさらに秋も深まると、メキシコまで旅をする蝶オオカバマダラが大好きな " Milk Weed " の花を求めて庭で卵を産んで行くので賑やかになる。我が家の庭でも仲秋の満月を迎えると、庭に来る生き物を通して深まり行く秋を身近に感じることが出来る。


            庭に来るソノラ砂漠の鳥たち 2016年春、夏 (その2)

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              アメリカツリスガラ正面

              四季を通して毎日、朝、昼、夕にエサ取りのため庭にやって来るアメリカツリスガラ ( Verdin ) 。

               

              庭に来る身近な親しい鳥の一種で、黄色の頭と喉、そして肩の栗色のパッチがとてもチャーミングである。庭の前の動植物保護地域からエサ取りのため庭に入って来る時は、まるで「庭へ行くぞー!」と知らせるかのように必ず「ツイー、ツイー、ツイー」と鳴きながらやって来る。日本の庭の鳥に例えると、丁度メジロみたいな感じである。

               

               

              ハニーサックル花とアメリカツリスガラ 1

              スイカズラの仲間メキシコハニーサックル ( Mexican Honeysuckle ) の花に顔を突っ込むアメリカツリスガラ ( Auriparus flaviceps

               

              この鳥は大変甘党で、庭に咲くハニーサックルやペンステモンなど甘い花蜜が出る花が大好きである。主たる食べ物は花蜜、フルーツと虫で、そのため、あまり水を必要としないのでまさに砂漠で生きられる鳥である。

               

               

              ハニーサックル花とアメリカツリスガラ2

              警戒して尾を立て私をじっと睨むアメリカツリスガラ。

               

              アメリカツリスガラは日本のツリスガラと同じ大きさでメジロより小さい。南テキサスから南アリゾナ、南カリフォルニアにかけての砂漠に生息していて渡りをしない留鳥である。春秋に庭に立ち寄って行く渡り鳥たちや、アメリカツリスガラのように年間を通して砂漠に住む鳥たちが違和感なくエサ取りがし易いように、庭の木や草花は地元南アリゾナを中心として、テキサス、カリフォルニアなどの南部地帯に生える植物をメインに植えてもらった。

               

               

              ペンステモン花とアメリカツリスガラ

              春一番に咲くイワブクロの仲間ペンステモン ( Arizona Penstemon ) の花をじっと見つめるアメリカツリスガラ。

               

              アメリカツリスガラは二千本以上の小さな枝を使って手の込んだ球形の巣を作る。巣の壁は大変厚く、日中は砂漠の暑い太陽熱を防ぎ、夜は寒い空気を防ぐようになっている。アメリカツリスガラは年2回営巣するので、春先に作る巣は冷たい北風が入らないよう横に付いてる巣の入口が南に向かってあり、2回目の夏に作る巣は涼しい風が入るように北に向いている。

               

               

              飛ぶアメリカツリスガラ

              甘い蜜を求めて花から花を飛び回るアメリカツリスガラ。

               

              アメリカツリスガラのエサ探しは大変活発で、草や木の小枝や葉の間をくりくり動き、時には逆さまになったり、四十雀のように枝先にぶら下がったり、幹を登ったりもする。そして一つの花が終わると次の花に飛び移り、早朝、玄関前のコートヤード(前庭)に咲く花から始まってバックヤード(裏庭)の花へと移り、一日中家の周りをぐるぐる回っている。

               

               

              エントツの上サボテンミソサザイ

              屋根上のエントツ、メスに得意の歌を披露するサボテンミソサザイ ( Cactus Wren ) 。

               

              サボテンミソサザイは北米の南アリゾナ、南テキサスで一年中見られる砂漠の留鳥で、ミソサザイとはいえ大変大きく、日本のミソサザイ ( Troglodytes troglodytes ) の2倍、フィールドで見るとツグミと見まちがえるほどの大きさである。アリゾナの「州の鳥」で主にグラウンドを歩きながらエサ取りする。一年中よくさえずるが、鳴き声はおせいじにも美しいとは言えず、低いしゃがれ声で「ギョギョギョ’’’’’’’’」と鳴く。体の大きさといい、鳴き声といい、とてもミソサザイの仲間とは思えない鳥である。

               

               

              サボテンミソサザイと巣

              チョーヤサボテン ( Cholla ) に作った巣から早朝、顔を出すサボテンミソサザイ ( Campylorhynchus brunneicapillus

               

              サボテンミソサザイは庭の柵の前のチョーヤサボテンに毎年巣を作っている。サボテンの大きな棘は天敵から身を守るのに適している。雛が巣立った後、彼らはこの巣を夜の寝場所として利用する面白い習性を持っている。朝、目覚めると、まずチョーヤサボテンの巣の上で鳴き、それからまっすぐ庭に飛んで来てエサ取りを始める。


              庭に来るソノラ砂漠の鳥たち 2016年春、夏 (その1)

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                庭全景

                庭から柵越しに見る動植物保護地域。

                 

                我が家の庭は小さいが、大サボテン Saguaro (弁慶柱)や Cholla (ウチワサボテン)が林立する動植物保護地域に隣接しているので、色々な砂漠の「生きもの」たちが庭にやって来る。3年前に家を建てた時に造園デザイナーと相談をし、鳥(特にハミングバード)や蝶が好む小灌木や草花を植えてもらい、鳥たちが水飲みや水浴びが出来る小さな水の流れを造ってもらった。庭が完成してまだ月日が浅いので、灌木は小さく鳥たちが営巣するところまで育ってないが、南アリゾナはほぼ四季を通して花が咲いてるのでハミングバードが一年中花の蜜を求めて飛び回っている。庭に来る野鳥を見ていると、アリゾナの砂漠でも四季の移り変わりを身近なものとして楽しめる。

                 

                 

                フィーダー、サバクシマセゲラ

                ハミングバード用フィーダーの砂糖水を盗むサバクシマセゲラ ( Gila Woodpecker ) のオス。

                 

                北米では主に南アリゾナの砂漠で見られるキツツキで、大サボテン Saguaro に穴をあけて子育てをする。大変甘党で、ハミングバード用のフィーダー(砂糖水)の常連である。体の大きさがハミングバードの3倍近くはあるので、彼らがフィーダーを占領するとハミングバードはキツツキの周りをホバリングしながら威嚇するが、その内あきらめすぐ横の枝に止ってキツツキが砂糖水を飲み終って飛び去るまでじーと待っている。

                 

                 

                屋根上のサバクシマセゲラ

                屋根の梁に止ってドラミングするサバクシマセゲラ ( Melanerpes uropygialis

                 

                キツツキのコートシップの一つに、嘴で木をたたきドラムのような音を出す仕草(ドラミング)がある。ところが、砂漠には良い音が出る大きな木がない。そこで彼らは屋根の上の煙突や金の筒になってる雨ドヨ、あげくの果ては家の梁や壁を叩きまわるので春夏の繁殖期には目が離せない。サバクシマセゲラは頭の良い鳥で、夏の「モンスーン期」に激しい雷雨が降り始めるとポーチの中に入って来て雨宿りをすることがよくある。

                 

                 

                屋根上のロードランナー

                屋根の上を歩くオオミチバシリ ( Greater Roadrunner ) 

                 

                カッコウの仲間で砂漠の人気者ロードランナーは、昔はジカッコウ ( Ground Cuckoo ) と呼ばれていた。飛ぶことよりグラウンドを走るのが得意で、しかも一日のほとんどをグラウンドでエサ捕りしたり休んだりしてることが多く、そのためフィールドでは以外と見れる機会が少ない。しかし、ブリーディングシーズン(繁殖期)となると、人家の近くや庭にちょくちょく現れるので、フィールドではなかなか見られない面白い行動を目にする機会が多くなる。その一つに、彼らはこの時期になると時々庭から塀づたいに屋根に上がり瓦の上を軽やかに歩く姿が見られる。

                 

                 

                コートシップ、ロードランナー

                屋根の上で翼と尾を拡げコートシップ(求愛行動)をするオオミチバシリ ( Geococcyx californianus

                 

                ロードランナーは繁殖期になると、砂漠の灌木の高い枝に登ってコートシップをする姿をちょくちょく見かけることがある。砂漠の背丈が低い灌木では高さが足りないとみえて、時々人家の屋根に上がって求愛行動をすることがあり、庭からゆっくり彼らの面白いコートシップを見ることが出来る。屋根の一番高い所でおじぎをするような格好で翼と尾を拡げ、しかも翼を左右交互に上げたり下げたりするのが彼らの独特なコートシップである。

                 

                 

                さえずるロードランナー

                屋根の上で喉を膨らませて囀るロードランナーの珍しい姿。

                 

                初夏に砂漠のトレールを歩いていると、冴えないロードランナーのさえずりを聞くことがある。その鳴き声はしゃがれ声で鳩に似た「クークークー」という終わりが下がる調子で、しかも声量が低くつぶやくような声なので慣れないとフィールドでは聞こえてこない。ところが、高い屋根の上でさえずるとその声は比較的大きくよく響くので、メスに聞かせるには大変効果があるのをこのオスは知っているかもしれない?下を向いて口を半分ぐらいしか開けず消え入るような声で鳴く姿は冴えないが愛嬌があって面白い。


                念願の出会いがかなったシロマダラウズラ 2016年夏

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                  シロマダラウズラ 1

                  北米では主に南アリゾナの標高1000メートル以上の山林で見られるシロマダラウズラ ( Montezuma Quail ) 

                   

                  シロマダラウズラはアメリカのバーダー仲間でも見るのがなかなか難しい’’’’’’’’と言われてる鳥である。もともとメキシコのシエラマドレ連山に生息しているウズラで、近年その生息地を北へ拡げており、北アメリカも南アリゾナと南テキサスの一部で見られるようになった。

                   

                   

                  風景マデラキャニオン

                  シロマダラウズラに出会えたマイフィールド、マデラ渓谷 ( Madera Canyon ) のトレール。

                   

                  シロマダラウズラはオークと松の混じった林で背丈の高い草が茂った大きな岩がゴロゴロしてる斜面を好む。この鳥は珍鳥ではないが、彼らの習性上なかなか出会える機会が少なく、米国の多くのバーダーにとって「ライフバード」の一種でもある。

                   

                   

                  シロマダラウズラ 2

                  メス(写真の奥)をエスコートするシロマダラウズラ ( Cyrtonyx montezumae ) のオス。

                   

                  シロマダラウズラは同じ南アリゾナの砂漠地帯に生息するズアカカンムリウズラ ( Gambel's Quail ) のように大きな群は作らず、オス、メスまたは雛連れで一日のほとんどスロープを登り下りしながら隠れるようにエサ取りし、疲れたら草の上に座って静かに休んでいる。

                   

                   

                  シロマダラウズラ 3

                  フリーズしてじっと動かずこちらを警戒しているシロマダラウズラ。

                   

                  シロマダラウズラは鷹などの猛禽類やコヨーテ、ボブキャットなどの動物、そして人間(主にハンター)などが近づくと独特な行動をとる。近くの木の葉が覆っていてすぐ隠れられるような場所へ走って行き、じっとうずくまって長い時間動かない。身を隠すのに適した体の配色とまったく動かない姿勢が彼らにとって天敵から身を守る唯一の手段なのだろう。そして多くのバーダーたちがこのウズラをなかなか見れないのも、こうした彼らの習性からくるものと思われる。

                   

                   

                  シロマダラウズラ 4

                  早足でスロープを駆け上って行くシロマダラウズラの足の特徴がよーく見える。

                   

                  大きく頑丈な足と、足のアーチの形をした鋭く曲がったかぎ爪が山林の開けたオーク、グラスランドの険しい岩場を歩くのを容易にしている。危険が迫ってもじっとフリーズしてるだけで、飛ぶことは最後の手段でありめったに飛ばない。トレールを歩いている時、こちらがまったく彼らの存在に気がつかず、体に触れるぐらい異常接近してしまうことがある。そんな時、短い翼を早く動かし急に飛び立つので足下から凄い音がしてびっくりさせられる。

                   

                   

                  シロマダラウズラ 5

                  シロマダラウズラは10分間ぐらいフリーズした後ゆっくり背中を向けてメスの所へ歩いて行き草の中に消えた。

                   

                  シロマダラウズラは日本のウズラ ( Coturnix japonica ) より大きい。まるまる太ったずんぐりした鳥で、オスはピエロのような白黒の縞模様の顔で、なめし革のような茶色の冠毛が目立つ。派手な背中の模様がまわりの枯れ草や小石に同化して、上から見るとまったく判らなくなる。南アリゾナで暮らすようになって6年になるが、前に2度ほど足下から飛び立った彼らの後ろ姿を一瞬見たものの、これほどゆっくり観察出来たのは今回が初めてで、私にとってもまさに「ライフバード」である。


                  暑中見舞い 2016年 夏

                  0

                    Saguaro

                    ギラギラ光るソノラ砂漠の夏の太陽と巨大サボテン Saguaro (サワーロ)

                     

                    暑中お見舞い申し上げます。

                    真夏の南アリゾナ、ソノラ砂漠は連日40度を超す暑さです。日中のトレール歩きは非常に危険で、他の州や外国から自然を求めてアリゾナに来た無謀なハイカーが水不足で救急病院に運ばれるニュースが多くなるのもこ季節です。私の自然歩きの「マイフィールド」も、極暑の砂漠から涼しいCanyon と称する山の渓谷へ移ります。

                     

                     

                    蛇口の水飲むヒメキンヒワ

                    年間を通して砂漠で暮らすヒメキンヒワ ( Lesser Goldfinch / Carduelis psaltria ) も,

                    猛暑の夏は熱中症にならぬよう水を求めて水道の蛇口に嘴を入れうまそうに水を呑んでます。

                     

                     

                    赤い花ブバルディア

                    ハミングバードが大好きな渓谷の野花、アカネ科ブバルディア属の Smooth Bouvardia / Bouvardia ternifolia 

                     

                    アリゾナの真夏、7月から9月は「モンスーン期」で、メキシコから熱い湿った空気が砂漠に入って来て積乱雲ができ、時々激しい雷雨となり短時間のゲリラ集中豪雨となって洪水になる所も出てきます。しかし、この雨はソノラ砂漠の草花や木、生き物にとっては、待ちに待ったまさに天の恵みの雨となります。

                     

                     

                    トロゴン

                    北米では南アリゾナの涼しい渓谷でしか見られないウツクシキヌバネドリ ( Elegant Trogon / Trogon elegans

                     

                    南アリゾナの夏は5月から6月の「ドライサマー」(陽射しは強く日向は熱いですが、湿度が10%前後で日陰は涼しいです。)と7月から9月の「モンスーン期」の2つに分けられます。鳥たちの中にはこの2回の夏を利用して2度営巣するのが数多くおります。このため8月は " Second Spring " と呼ばれて「バードフェスティバル」が数多く開かれ、涼しい山の渓谷を中心に再びバーディングが盛んになります。そしてまた、8月はハミングバードの南への渡りが盛んになり、日によっては13種類から15種類が見られますので、蒸し暑いですが楽しい鳥見が出来る季節でもあります。

                     

                    では皆さんどうか夏バテせぬよう、お元気で猛暑を乗り切って下さい。


                    南アリゾナの珍鳥さわぎ 2016年6月 (下)

                    0

                      チリカウア山林へ入る道

                      米国やヨーロッパのバーダーたちがぜひ行きたい探鳥スポットがたくさんある、南アリゾナ東部の荒涼とした風景。

                       

                      6月末のカンカン照りの日、珍鳥を求めてさらに南下、メキシコ国境近くの州道を走る。昔はそこらじゅうで見られたこの形の風車も、今ではメキシコ国境近くの田舎道を走らないと見られなくなった。牧場の牛に水を与えるため風車で起こした電気で地下水をくみ上げてる。

                       

                       

                      コロナド国有林入口

                      アメリカムシクイの珍鳥が現れた Coronado 国有林の一部チリカウア山国有林 ( Chiricahua Mountains National Forest ) 入口

                       

                      チリカウア連山一帯は景色が良く「夢のパノラマ」と言われて観光客にも大変人気のある所で、西部劇映画が好きな人なら誰でも知ってるインディアン、アパッチ族の本拠地でもある。私の家から車で東南へ3時間近く走るメキシコ国境に近い所で、州道には国境検問所がいくつかあって身分証明所の提示を求められる。

                       

                       

                      ベニイタダキアメリカムシクイ巣の場所

                      珍しいベニイタダキアメリカムシクイが山岳道路の脇(真っ正面の小さい緑の灌木)で営巣している。

                       

                      チリカウア連山は山岳道路があり、標高2100メートルまで上がれるが、未舗装でガードレールのないカーブが多く、下りの車とすれちがえる所も少ないので少々運転には苦労する。こんな道路をがたがた揺れながら標高1500メートルぐらいまで上がったところのS字カーブの脇の小さな灌木の根元にベニイタダキアメリカムシクイは巣を作っていた。この珍鳥見たさにたくさんの人が車で上がって来るので普段は人も居ない静かなこの狭い道も、駐車する車であふれかえった日もあるぐらい人気であった。このへん一帯は数年前山火事ですっかり松が焼けてしまったため、未だに緑が少ない禿げ山に近い景色である。

                       

                       

                      ベニイタダキアメリカムシクイ

                      今夏バーダーたちを驚喜させた珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイ ( Slate-throated Redstart ) 

                       

                      ベニイタダキアメリカムシクイはメキシコから南米ボリビアまでの気候が温和な山岳地帯に生息している Wood Warbler ( parulidae ) の仲間である。南アリゾナでごく普通に見られるカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) によく似ているが、珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイは翼に白い帯がないのと、頭の赤い色がよく目立つのが特徴。

                       

                       

                      虫くわえたベニイタダキアメリカムシクイ

                      雛に虫を運ぶベニイタダキアメリカムシクイ ( Myioborus miniatus

                       

                      尾を拡げると白い部分が大きいので英名では別名 " Slate-throated Whitestart " とも呼ばれてる。日本のメジロと同じ大きさの長い尾を持った小さなアメリカムシクイで、松や樫が入り交じった深い森を好む。

                       

                       

                      踊るベニイタダキアメリカムシクイ1

                      翼と尾を拡げ木の幹や枝を踊るように歩くベニイタダキアメリカムシクイ。

                       

                      ベニイタダキアメリカムシクイのエサ取りする姿は大変面白い。尾と翼を拡げ枝や幹を歩き、時々飛び跳ねたりしながら樹皮の間にいる虫を払い出し、飛んだところを空中で捕る。

                       

                       

                      踊るベニイタダキアメリカムシクイ2

                      珍鳥騒ぎで集まったバーダーたちを喜ばせたベニイタダキアメリカムシクイのダンス。

                       

                      ベニイタダキアメリカムシクイは生息する地域によって多くの色の変化がある。全部で12亜種に分けられるが、この珍鳥は胸から下が赤いメキシコ種で、前にコスタリカで見た個体は黄色であった。ベニイタダキアメリカムシクイを大きく分けると、この写真のメキシコ種、コスタリカなどで見られる中央アメリカ種、ボリビアなどの南アメリカ種の3グループに分けられると言われてる。

                       

                       

                      踊るベニイタダキアメリカムシクイ3

                      バックから見るベニイタダキアメリカムシクイの面白いダンス。

                       

                      この珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイはメスで盛んに雛にエサを運んでいるが、どうも近くにオスが見られない。さっそくネット上の鳥情報でもこれが問題となり、ある人はオスを見た、別の人はオス、メス2羽でエサ運びをしているのを見た、そして、オスは居ないなどなど’’’’’’色々な報告が載っていた。私や友人たちが見る限り、やはりメス1羽が忙しく巣に出たり入ったりするだけでオスは見られなかった。そして、近くでは近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) のオスが盛んにさずっていた。

                       

                       

                      飛ぶベニイタダキアメリカムシクイ

                      拡げた羽で幹や枝をブラッシュして出て来た虫を空中で捕えた瞬間。

                       

                      私は営巣場所に2回行ってエサ運びの状況を観察し、また、現地でガイドをしてる人たちともディスカッションをしてみた。それらの人々の推測では、子育てをしているこのベニイタダキアメリカムシクイのメスは、一羽単独でメキシコから北上してアリゾナに入ったものの繁殖期になっても相手のオスが見つからず、仕方なく近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart ) のオスとつがいとなり巣を作ったようだ。そしてメスが巣に座りだした後、オスは巣を離れ同じ仲間のカタジロアメリカムシクイのメスを見つけて近くの別の木で営巣し始めている’’’’’’’’と推察された。

                       

                       

                      カタジロアメリカムシクイ

                      珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイのメスの相手と思われる、近似種のカタジロアメリカムシクイ ( Painted Redstart / Myioborus pictus ) のオス。

                       

                      翼の白い大きいパッチと目の下の白い点そして頭の黒いのが特徴でその他はよく似ている。今回は珍鳥ベニイタダキアメリカムシクイが現れた騒ぎだけでなく、メス1羽のシングルマザーでの子育て、生まれて来る雛がカタジロアメリカムシクイとのハイブリット種と思われる(7月20日に雛2羽ともハイブリット種と確認された。)ことなど、毎日のようにネット上で議論された話題豊富な珍鳥であった。しかし、アメリカムシクイでは、このような近似種による番いの組み合わせはよくあるようだ。キンバネアメリカムシクイ ( Golden-winged Warbler / Vermivora chrysoptera ) とアオバネアメリカムシクイ ( Blue-winged Warbler / Vermivora pinus ) の番いから生まれたハイブリット種(交配種) " Brewster's Warbler " と " Lawrence's Warbler " は有名で、近年その数も増えてきている。



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